第1章-1 戦略策定の背景
1戦略策定の背景
時代潮流の変化と地域社会
我が国は,21世紀を目前にして,これまでの高い成長を支えてきた日本的な社会・経済システムが時代の変化に適合しなくなり,新しい仕組みづくりが求められています。さらに,少子化による人口の減少,経済成長の鈍化,人々の価値観の多様化等への対応も求められており,時代は大きな転換期を迎えています。
また,地域社会においても,これらの社会・経済情勢の変化に対応し,地域自らが主体的に創意工夫しながら,地域の問題に取り組んでいくことがますます求められるようになっています。
こうした状況の中で,地域がその活力を高めていくためには,地域の有する固有の自然や歴史・文化等の資源を総合的に生かしながら,愛着心や誇りを持って,うるおいと活力のある地域社会を形成していくことが必要です。
ウォーターフロントを生かした地域づくり
このような中で,優れた地域資源のひとつとして,近年,大きな注目を集めているのが,陸域と水域を一体としてとらえた空間であるウォーターフロントです。
ウォーターフロントは,古くから産業や交通の拠点となり,地域の発展に大きな役割を果たしてきましたが,近年,自然とのふれあいや安らぎを求める人々の欲求が顕著になるにつれ,それらの欲求に応え,うるおいをもたらすことのできる空間として,その魅力を多面的に活用した地域づくりが求められるようになっています。
現在,ウォーターフロントに期待されている役割は,うるおいやにぎわいの創出といった生活面にとどまらず,海洋レクリエーション等の余暇活動の場や,地域内外の人々が集う交流の拠点,新たな文化を育む創造の場としての役割など多岐にわたっています。
このようなことから,国の「全国総合開発計画」においても,地域の自立の促進と美しい国土の創造を進める観点から,海と人との多様なかかわりの構築や,沿岸域圏の総合的な計画と管理の推進を図ることとしているところです。
錦江湾における取り組みの現状
錦江湾においても,近年,環境問題への関心が深まる中,錦江湾の有する優れた自然環境の魅力等が再認識されるとともに,これらを生かした地域づくりが各方面で取り組まれています。
平成2年に策定された鹿児島県総合基本計画において,錦江湾ウォーターフロントの整備が位置づけられ,その後,「錦江湾ウォーターフロント整備基本構想」の策定や,「錦江湾ウォーターフロント景観形成マニュアル」の作成などにより,秩序あるウォーターフロントの整備が図られるとともに,「鹿児島湾ブルー計画」に基づく良好な水質の保全対策が推進されているほか,湾岸各地で様々なイベントが開催されるなど,多様な取り組みが行われています。
都市化の進行や生活様式の変化などは,地域と海とのかかわりをやや希薄にさせてきた面もありましたが,近年の新たなウォーターフロントの整備やヨットをはじめとした海洋レクリエーションの普及等に伴い,錦江湾においては,海と親しむ気運が次第に醸成されつつあります。
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