島と自分の豊かな暮らしの未来を描く研究室「屋久島まちづくりLABO」を開催しました!
CO2フリーの島だからこそできるまちづくりについて
1993年に世界自然遺産に登録された屋久島は,大自然とともに,自然と共生する豊かな暮らしの基盤を整えてきました。
そんな屋久島のほぼ全ての電力は,発電時にCO2をほとんど発生しない水力発電で賄われています。
このような地域は,他になく,屋久島は「CO2フリーの島」となりうるポテンシャルを持っている地域と言えます。
島民の皆さん,行政,企業や団体が力を合わせて,島を見つめ直し,「CO2フリーの島だからこそできるまちづくり」をヒントに,これからの屋久島の未来のカタチをデザインする場をつくっていきます。
屋久島まちづくりLABOについて
「CO2フリーの島だからこそできるまちづくり」を担うキーパーソンを育成するため,令和元年6月から令和2年2月にかけて,島を想う仲間と集い,地域と向き合い,島の未来をデザインする実践講座「屋久島まちづくりLABO」を開催しました。
第1回令和元年6月27日(木曜日)@屋久島環境文化研修センター
講義1地球をとりまく環境の変化とSDGsから考えるCO2フリーの島づくりの可能性を学ぶ[鹿児島大学法文学部小栗有子准教授]
- CO2フリーの島づくりは,自然と共生する島という特性に最先端の科学・技術を掛け合わせようというもの。地球上どこを探してもこういった先進性をもった島はない。自然遺産に次ぐ,新たな付加価値,ブランドと捉えてもらえばいいのではないか。
- 屋久島も世界自然遺産登録から25年,第2の分岐点に来ているのではないか。来島者数も右肩上がりだったのが横ばいとなり,今は減少傾向。そうした時期に,屋久島でSDGsをいかした地域づくりに取り組むことは素晴らしいことだと思う。SDGsは,捉え方が多様。専門家もそれぞれ捉え方が異なる。屋久島では,どう捉えていくのかを考えてほしい。
講義2屋久島CO2フリーの島づくり事例紹介[(一財)鹿児島県環境技術協会清水建司氏]
- 世界の目標であるCO2排出量実質ゼロを,屋久島は実現できる特性を持っている。現に,大まかな試算では,排出量が吸収量が上回っており,既にCO2フリーの島となっていることになる。
- この状況を維持し,活かしていくためには,1.排出量を抑制する,2.吸収量を増やす,3.理解者・賛同者を増やすことが重要。
第2回令和元年6月28日(金曜日)@屋久島環境文化研修センター
講義1NPO法人HUB&LABOYakushimaの事例紹介[NPO法人HUB&LABOYakushima福元豪士氏]
- 自然遺産登録後,横ばいで推移してきた屋久島の人口も減少している。人口が減少するということは,税収が減るということ。これまでどおりの行政サービス・関与は望めない。そうなった場合に求められるのは,地域の総合力。住民が地域の課題解決に自ら取り組むこと。
- 地域づくりは,やりたいこと,できること,求められることの重なった部分に取り組むことが大事。また,小さく産んで,大きく育てる。いろんな人を巻き込むこともポイント。
講義2小さく始め,大きく育てるまちの取組[NPO法人頴娃おこそ会加藤潤氏]
- 地域づくりで大事なことは,まずはできることから始めてみること。自分たちでできること(ソフト事業)を積み重ねていくことにより,行政による大きなサポート(ハード事業)がついてくる。さらには,ハードを活かすソフトが重要になる。ソフト→ハード→ソフトの順。
- メディアを上手に活用することも重要なポイント。どれだけ良い取組をしていても,知ってもらわないと意味がない。
- 誰かがやってくれるのを待っていても始まらない。まずは,どれだけ自分事で考えられるかが求められる。
- 「やりたいこと」「できること」「求められること」の重なる部分に取り組むことが大事だが,スタートは「やりたいこと」にすること。そうでなければ続かない。
1人の取組は限界がある。仲間を見つけて楽しく取り組むこと。その輪が繋がっていくことにより,地域上げての取組となる。
ワーク屋久島の課題の整理
第3回令和元年7月4日(木曜日)@屋久島環境文化研修センター
講義1屋久島憲章に基づくポスターづくり[美屋久皆川直信氏]
- 屋久島町からの依頼で,屋久島町で初めての観光ポスターを作成した。世界自然遺産登録から25年が経ち,新しい切り口でという依頼だった。しかし,新しいものをつくる必要はない,今あるものを再度見直し,デザインし直せばいいのではないかと考えた。
- 屋久島のより良い未来/環境に向けては,屋久島憲章にある考え方は外せない。ということで,屋久島憲章にフォーカスしたポスターとなっている。屋久島憲章を島内外に向けて発信していきたい。
講義2まちづくりコミュニケーション[Ten-Lab小野優氏]
- 地域づくりをするには,対話が不可欠。その際に,ファシリテーションの技法を用いるとスムーズにいきやすい。
- 意図やゴールイメージを明確にし,参加者が共感してもらえるような説明が必要。参加者が自分事として捉えられるような問いかけに努める。
- 屋久島のことを大事に思っているのは相手も同じ。相手の意見を尊重しつつ,丁寧にコミュニケーションをとっていくことにより,双方に良いところに落ち着くもの。説得で人は動かない,納得して初めて人は動く。
ワーク1良い会議/悪い会議
ワーク2企画書づくりSTEP1「あなたが実現したい理想の状況は…」「理想に対して現実は…」
第4回令和元年7月5日(金曜日)@屋久島環境文化研修センター
講義1心が離れた海岸から思いの集う海岸へ[NPO法人くすの木自然館浜本麦氏]
- 屋久島の将来のために,自分だったら何ができるかを考えていただきたい。どれだけ自分事に落とし込めるかが大事。
- 周りの人や地域を変えたいと思うのであれば,まず自分が変わること。
- 現状分析や実績,経験などから未来を予測する方法(フォーキャスティング)は,現在を起点として考えるので,目指す方向がその都度変わり,遠い目標が定まりにくい。目指すべき未来・目標を想定し,そこを起点に現在を振り返って今何をすべきかを考える方法(バックキャスティング)だと,より高い目標を目指すことができる。
ワーク1企画書づくりの現状を共有
ワーク2企画書づくりSTEP2「課題の相関関係を把握する」
第5回令和元年7月12日(金曜日)@屋久島町役場
ワーク1STEP3「自分と地域の資源を把握する」
ワーク2STEP4「課題・理想・資源から取組を生み出す」
ワーク3STEP5「取組を企画にする」
講義KP法講座[NPO法人HUB&LABOYakushima福元豪士氏]
- KP法=紙芝居プレゼンテーション。KISSの法則=KeepitSimpleandShort。
- 相手に伝えるだけでなく共感してもらう,心を動かす,その気になってもらう必要がある。そのためには,論理的に話す必要がある。結論→理由を3つ→例示→だめ押しの順。
- シンプルに伝えることが大事。スッキリ・カンタン。言葉を選ぶ。情報を絞り込み捨てる。構成しデザインする。
ワーク41分間プレゼンテーション
第6回令和元年11月9日(土曜日)@屋久島サウスビレッジ
講義クラウドファンディングについて[株式会社CAMPFIRE星山幸美氏]
- クラウドファンディングの成否を分ける最も大きい要素は,挑戦者の熱量・必死さ。資金は,勝手に集まるものではなく,集めるもの。
- プロジェクトの内容の魅力も大事だが,リターンの設計も重要。特別感・付加価値があり,遠方でも参加/支援しやすいものが良い。
- プロジェクトを立ち上げる時期も重要。
ワーク企画書づくりの近況を報告
第7回令和2年1月11日(土曜日)@屋久島町安房公民館
前回までの振り返り
ワーク企画書のブラッシュアップ
第8回令和2年2月11日(火曜日・祝日)@屋久島町安房公民館
屋久島まちづくりLABOの中で生まれた魅力ある活動を共有しつつ,参加者同士での屋久島への想いや未来を語り,自分自身も小さな一歩を踏み出す場。全員で語り繋がりながら,島の未来をともに描く1日をつくる場として,「屋久島未来ミーティング」を開催しました。
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