更新日:2019年10月18日

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平成11年度通知

基礎学力の定着に向けた指導の充実について(通知)

鹿教学教第672号
平成11年6月30日
(学校教育課扱い)
各市町村教育委員会教育長殿

鹿児島県教育委員会教育長

 

基礎学力の定着に向けた指導の充実について(通知)

 


童生徒の基礎学力(「読み・書き・算」をはじめ,将来の社会生活を営む上で欠かせない基本的な知識や技能,態度,考え方など)の定着については,従来から尽力をいただいているところですが,別添資料(「基礎学力をめぐる現状と課題」)に示されているとおり,種々懸念すべき状況が見られます。

平成14年度からの完全学校週5日制及び小・中学校の新学習指導要領の実施を展望しつつ,自ら学び,自ら考える力などの「生きる力」を児童生徒にはぐくんでいく上で,厳選された基礎的・基本的な内容の確実な定着を図ることは不可欠です。また,当面する教育上の課題である「心の教育」の推進,生徒指導の充実を図るためにも,このことは極めて重要です。「変化の激しい,先行き不透明な厳しい時代」と言われる21世紀を目前にし,保護者・県民の信頼に応え,児童生徒の明るい未来を築くため,教育関係者が一致協力してこの問題に対処していくことは急務であります。

ついては,こうした認識のもと,児童生徒の「ゆとり」に配慮し,学校のスリム化を図りながら,下記の観点に立って管下の学校における指導方法の改善等がなされるよう御指導をお願いします。その際,別紙「具体的な取組の例」を参照され,学校の自主性・自律性が強く期待される中,各学校がそれぞれの実情に応じて指導を充実していくよう,適切な支援をお願いします。また,別添資料を各学校に配布されるなど,適宜活用くださるようお願いします。

1礎学力の定着度の適切な把握

児童生徒の基礎学力の定着度について,多様な方法により,一層きめ細かく,客観的に把握し,指導方法の改善に反映させていく必要があること。その際,各学校において,学級の枠を超えた協同態勢を十分に確立することが望まれること。

2に応じた指導方法の改善充実

一人一人の能力・適性に応じた教育を積極的に進めるため,「分かる授業」の更なる推進はもとより,ティームティーチングの一層幅広く有効な活用,学習進度の遅い児童生徒に対する補充指導の推進など,指導方法の弾力化を積極的に図っていく必要があること。

3護者に対する説明及びその意見の反映

保護者に対して基礎学力の定着度等に関する説明責任を果たすとともに,授業改善にその意見を適切に反映していくなど,家庭との連携を一層深め,開かれた学校づくりを進めていく必要があること。

(別紙)

具体的な取組の例

1礎学力の定着度の適切な把握

学校等において積極的に取り組んでいくことが望まれる事項
  • 基礎学力の定着度を測る多様な方法(標準的な学力検査,教科研究団体や各学校で作成するテスト,ドリル等)を活用して組織的・客観的にその結果を分析し,校長をはじめとする教員全体が基本的な情報を共有する。
  • 標準的な学力検査等の分析結果を踏まえ,事後の指導計画の改善を図る。特に,各学年及び卒業までに学習のつまずきができるだけ克服されるよう組織的・計画的な取組をする。
  • 高等学校入学者選抜の学力検査の問題や結果(特に基礎的・基本的な問題の正答状況など)を参考とし,指導方法の改善に反映させていく。
  • 基礎学力の定着度について,小・中・高等学校間の共通理解を深め,その把握を的確なものとし,指導の連続性を確保する観点から校種間連携を進めていく。
  • 学校内における組織的な取組が十分になされるよう,「基礎学力対策委員会」等を設けたり,既存の委員会等を活性化したりする。
  • 市町村教育委員会は,標準的な学力検査等を通じて,所定の時機をとらえて各学校における基礎学力の定着度を的確に把握するとともに,それを踏まえた指導の改善(特に学習進度の遅い児童生徒への配慮)を各学校に促す。

2に応じた指導方法の改善充実

(1)分かる授業」の改善充実
学校等において積極的に取り組んでいくことが望まれる事項
  • 児童生徒の学習内容の理解や定着の状況を的確に把握し,基礎・基本をおさえた「分かる授業」を一層進めることにより,児童生徒が学ぶこと・できるようになることの楽しさを味わえるようにする。特に,学習の基礎となる「読み・書き・算」などについては繰り返し指導し,確実に習熟させる。
  • 「新しい学力観」(自ら学ぶ意欲や思考力,判断力,表現力などを学力の基本とする考え方)に立つ教育については,基礎的・基本的な内容の定着を図ることにより,豊かに展開されるものであることを十分認識し,その実践を深めていく。その際,授業の「ねらい」や「まとめ」があいまいとなったり,児童生徒の間違った理解が正されないままになったりすることのないよう留意する。
  • 教材教具の工夫,コンピュータ等の教育機器の活用を一層推進する。市町村教育委員会は,ハードウエア・ソフトウエア両面にわたる情報環境の整備を進めるなど,適切な支援策を講じていく。その際,小規模校における教育・研究の環境整備に留意する。

(2)ィームティーチング(TT)等の推進
学校等において積極的に取り組んでいくことが望まれる事項
  • 学級経営・学習指導が閉鎖的にならないよう,企画・実施・評価の各段階にわたって教員間の協力を進めていく。また,そのための教員の意識改革を進めていく。
  • 学級の枠内あるいはその枠を超えて,学習内容の理解や習熟の程度に応じ,弾力的に学習集団を編成して指導に当たる(例えば小学校高学年の算数など)。
  • 中学校における選択教科の学習形態の中に,補充的な学習を取り入れていく(一度学習した内容を更に理解を深めるため再度学習したり,基礎的・基本的な内容の理解を深めたりすることなど)。
  • TTについて,教員間の事前準備や事後評価などに要する十分な時間を確保するため,校内体制を整えていく。
  • 教職経験者,大学生,一定の知識・経験を有する地域の人材が補助者となる形態の授業を実施する。また,市町村教育委員会が適切な支援策を講じていく(例えば,非常勤講師や補助指導員の措置,「学校支援ボランティア」の人材バンク化等)。
学校等の実情に応じて任意に取り組んでいくことが望まれる事項
  • 教員が,授業を持たない時間を活用して,他の教員の授業に適宜参加・補助する形態のTTを実施する。特に,授業の円滑な実施に支障がある学級について,臨機に当該学級の担任教員等を他の教員が支援する態勢を整える。
  • 中学校において,学習進度の遅い生徒の学習を支援するためなどに,免許教科以外の教員が補助者となる形態の授業を実施する。
  • 市町村教育委員会において,TTを最大限有効に活用する方策について,実践校間で研究協議の場を設けるなど,研究を進める。

(3)習進度の遅い児童生徒等に対する補充指導の推進
学校等において積極的に取り組んでいくことが望まれる事項
  • 児童生徒の学習負担や保護者の意向に配慮しながら,放課後等における補充指導を実施する。
  • 教職経験者,大学生,一定の知識・経験を有する地域の人材の協力を仰いで補充指導を実施する。また,市町村教育委員会が適切な支援策を講じていく(例えば,非常勤講師や補助指導員の措置,「学校支援ボランティア」の人材バンク化等)。
学校等の実情に応じて任意に取り組んでいくことが望まれる事項
  • 必要に応じて補充指導が円滑に実施されるよう,教科外活動との調整を行う。その一環として,中学校の部活動の運営に当たっても適切な配慮をしていく(例えば,部活動を実施しない日を設定することも含む)。
  • 中学校において,「心の教室相談員」が補充指導に当たる。
  • 学習障害(LD)の児童生徒について,総合教育センター研究紀要「学習障害(LD)児等の指導に関する研究」等を参考に,それぞれの学習面・行動面の特性を把握し個別の指導計画を作成するなどして適切に対処する。

3護者に対する説明及びその意見の反映

学校等において積極的に取り組んでいくことが望まれる事項
  • 基礎学力の定着度について,その把握のための多様な方法(標準的な学力検査,教科研究団体や各学校で作成するテスト,ドリル等)に基づき,PTAの会合などの機会をとらえて客観的なデータや資料による十分な説明をしていく(その際,相対的な順位のみに目を向けさせるようなことのないよう留意する)。
  • 基礎学力の定着度に関する説明と併せて,今後の対処方針や指導計画等について説明する。
  • 保護者からの学習相談に応じる態勢を確立し,自宅学習の習慣化に向けて,家庭の理解と協力を求めていく。
学校等の実情に応じて任意に取り組んでいくことが望まれる事項
  • 保護者の希望に応じて随時授業参観を認めていく(年度を通じて,あるいは,一定の期間に限って)。
  • 学習進度の遅い児童生徒に対しては,宅習課題を工夫するなどの配慮を払う(その際,過重な負担を児童生徒に課すことのないよう留意する)。
  • 保護者あるいは児童生徒に対して授業理解度に関するアンケートを実施すること等を通じて,授業改善の参考とする。

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