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更新日:2011年12月26日

12月のちょっといい話~個別の課題から~(障害者)

   Aさんとの出会いは,彼女が教科連絡係として,私を迎えに来てくれたときでした。

 赴任して初めての授業を前に,私はドキドキしながら教材を揃えていました。
 
「こんにちは,○組のAです。何か配布物とか準備するものはありませんか。」

   Aさんは,にこやかに私の方を向き,職員室の入り口に立っていました。私はその笑顔に安心し,

「じゃあ,補助教材の資料集があるので,それを持って行って配ってくれるかな?」

「はいっ」

と,彼女は歯切れよく返事をしてくれました。さわやかな余韻を残して駆け足で取りに行く後ろ姿を見たとき,彼女の右腕の肘から先がないことに気付きました。私は,すかさず

「あっ,いいよ。私が持って行くから」

と言いながら,彼女の後を追うように,準備室へ資料集を取りに行きました。

  私は「大丈夫?持てる?」と何度も確認し,彼女が持ちやすい高さを測りながら,資料集を渡しました。すると,彼女は,友人がいることを知らせるかのように,後ろを少し振り向き,

「大丈夫ですよ。○○さんもいるし・・・。せんせっ。」

と左手で,私の右肘をぽんとたたいて,友人と分担してにこやかに運んで行ったのでした。

 

 ぽんとたたかれて一人残った準備室。

   私は,Aさんが駆けていく後ろ姿を見たとき,重い資料集は彼女には持てないだろうと,瞬時に判断してしまったことを悔やみました。さらに,「・・・してあげよう」という思いを持ち,それを果たすことだけ考えていたことを恥じました。まさに,初対面にして,独善的な決め付けで,彼女とのこれから始まるであろう人間同士の対等なつながりを断とうとしていたことに気付き,冷や汗が出てきました。

    Aさんは,Aさんなりの歴史をくぐってきた中で,自分のできることに最善を尽くし,学校生活を過ごし,自分の責任を果たすべく係を引き受けていたのです。そのことに思いをめぐらせることの大切さとともに,子どもをどう見ているのか,障害をどう見ているのか,Aさんの

「大丈夫ですよ。○○さんもいるし・・・。せんせっ。」そして,“ぽん” に気付かされました。

    障害があるということで,「できない」とか「かわいそう」と決め付けることは,その人が持っている可能性や希望に勝手にふたをして,偏見のラベルを貼り付けてしまうということであり,大変危険な物差しを持っていた自分だったのです。

   その次の授業の準備時には,「そこのプリント配ってくれる?」「はいっ」と返してくれる,いつもの彼女の笑顔がありました。
 

人権問題に係る記念日・週間等

世界エイズデー(12月1日)【リンク先:健康増進課】
人権週間(12月4日~10日)【リンク先:人権同和対策課】
世界人権デー(12月10日)【リンク先:法務省人権擁護局】

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