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更新日:2011年12月26日

5月のちょっといい話~個別の課題から~(インターネットによる人権侵害)

   自家用車で通勤途中のことです。私の前に車が急に割り込んできました。
 「危ないなあ,何で急に入ってくるのよ。」
 と,時間を気にしつつ口を尖らせながら,割り込んだ車に対して罵声を吐き捨てました。その後,前の車のハザードライトが点滅しました。私は「ごめんなさい,ありがとう」の意思表示だと受け取り,気持ちも落ち着いてきましたが,自分の心に潜む何かにはっとしました。買い物でレジに並ぼうとする際,他の人と同時になり,顔を見合わせることがあります。その時は笑顔まで添えて「どうぞ」と気前よく順番を譲るのですが,車の中でお互いの声や表情が分からないと,つい,私の心の奥底からの「声」が不本意にも漏れ出てくる。このことに気付いたのです。
 インターネットや携帯電話等での誹謗中傷の書き込みもこの状況と同じではないかと思えます。こちらの顔や名前などが相手に知られていないと,相手を傷付ける意図はなくても,その瞬間思ったことを平気で書き込んでしまうのでしょう。車の状況と違うところは,車の場合であれば,当事者間の意思の疎通が図れることで問題は解決に向かいますが,ネット上の「書き込み」は違います。「書き込み」という行為が,たとえハザードライトのつもりでも,見知らぬ多くの人をも巻き込み,書かれる内容がエスカレートし,謂われもないことで個人が攻撃され,深く傷付いてしまうのです。誰かとつながるために購入した携帯電話。結果的には,孤立したり,離れたりするような予期しない事態を生む道具にもなってしまいます。
 ある子どもが,誹謗中傷の「書き込み」のため学校に通えなくなりました。
 高校合格のお祝いと家庭との連絡のために購入した携帯電話でしたが,やがて夏休みが終わり,2学期の始業式の日には,朝から登校を渋るようになりました。クラスの特定の人しか知らないはずの情報を,全く見知らぬ人が知り,「お前は○○だってな?」などとメールが送られてきて,人間不信になってしまったのです。着信音もマナーモードに変更し,携帯電話を避けるような行動が多くなったそうです。不思議に思った親は,当初は,なすすべもなく途方に暮れていました。何度も,学校や関係機関に相談しましたが,なかなか改善しませんでした。そして,「これが最後」と,カウンセラーの言葉を参考に,終日家にいる子どものために,作り置きした昼食に手紙を添えるようにしました。「今日は,何時に帰ってきます。」などと根気強く手紙によるコミュニケーションを続けたそうです。そこには,悩み続ける子を目の前にして,苦悩する親としての壮絶な心の渦が伺えます。そして,とうとう,子どもからのハザードライトが点滅しました。子どもの様子をよく見続けて,解決の糸口を子どもと共に見いだそうとした親の行動が子どもの心をつなぎ止めて,食卓にも弾む会話が戻ってきたそうです。
 インターネットや携帯電話等は,買い与える親の処し方が問われるものです。そしてまた,子どもとのかかわり方で問題解決の方法も見つかるのかもしれません。インターネットだから人を蔑み傷付ける心が醸成されるわけでなく,子どもを囲む親や教師を含めた現実の社会全体の意識が反映していることを再認識することでした。

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