『桜島』

梅崎春生

敗戦間際の桜島基地に赴任してきた通信科二等兵曹「私」は，兵曹長のもとでの海軍生活が我慢できない。敗戦後，まだ状況を知らない兵曹長に，戦争の終結を告げる。
敗戦が現実味を帯びる中で，死への覚悟と生への執着との葛藤など，極限状況下に生きる人間の内面とそれに結びついた情景を繊細に描いている。

作者について

梅崎春生（うめさきはるお）（本名：末富東作）
（1915～1965）福岡県福岡市簀子町生まれ

戦争中に海軍に召集され，九州内の基地を転々とする中で，昭和19年12月からの約3ヶ月間，指宿分遣隊に配属されたことと，昭和20年から終戦の間，坊津・谷山・桜島基地配属の際に，鹿児島に滞在していた。