更新日:2026年3月5日
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鹿児島県は,全国で唯一,2つの世界自然遺産を有している自然豊かな地域です。世界自然遺産の「顕著で普遍的な価値」を将来にわたって継承していくために,世界自然遺産に登録された奄美大島,徳之島,屋久島に暮らす高校生を対象に,意識の醸成や行動変容を促すことを目的として令和5年度から自然体験型交流学習を実施しており,今年度で3年目となります。
今年度は各島から高校生10名が参加し,事前学習として6月と7月にオンラインにより参加者同士の自己紹介,事業目的や各島が世界自然遺産に登録された経緯,地域における保全活動の状況・課題などについての学習を行い,7月25日~8月1日の7泊8日の現地研修に臨みました。
初日は,前日に鹿児島入りした屋久島の参加者が飛行機で徳之島に移動し,現地から参加の徳之島の参加者,後から飛行機で来た奄美大島の参加者全員が合流した後に,オリエンテーションを行いました。その後,令和6年12月にオープンした徳之島世界遺産センターにおいて徳之島の地形・地質の他島との違い等について説明を受けた後,牛小屋や闘牛場を見学しながら徳之島の文化・闘牛と島民の関わり等について学びました。夜は,環境省職員による特定外来生物のシロアゴガエルについての説明や,実際の駆除作業を見学し,その必要性について学びました。
2日目は,剥岳林道を歩きながら動植物の生態を学び,植物の形状を観察したり,花の香りや動物の糞の臭いを確かめたり,鳥の鳴き声に耳を澄ませたりして五感で自然を体験しました。
徳之島は“闘牛の島”と言われますが,牛小屋でのブラッシング体験や島民との生活には欠くことができない存在であることを教わり,徳之島の文化を深く考えることができました。




3日目は,飛行機で奄美大島に移動し,奄美野生生物保護センターにおいてアマミノクロウサギに対するロードキル対策の取組を,アマミノクロウサギミュージアムQuruGuruでは展示内容等について説明を受けました。夜は,柑橘農家が所有する農園において,アマミノクロウサギによる農業被害や防護柵設置による共生に向けた取組について説明を受けた後に,フォレストポリス周辺において野生動物の観察を行いました。
4日目は,悪天候のためカヌー体験を取り止め,遊歩道からマングローブの生態や干潟の生き物を観察した後に,奄美大島世界遺産センターにおいて遺産登録までの経緯や遺産の価値や守るための地域の取組等について学びました。その後,アマミノクロウサギミュージアムQuruGuruに再び戻り,これまでの学習成果を踏まえたロードキル対策のワークショップを行いました。
ワークショップでは,奄美大島でマングースが根絶したことに,先が見えない長い年月をかけた活動に関わる人たちの根気に驚かされたといった意見が聞かれました。




5日目は,最終目的地である屋久島へ移動し,屋久島環境文化村センターで屋久島の自然や文化,島の成り立ち等について学びました。
6日目は,永田いなか浜でアカウミガメの産卵を保護する取組を,西部林道では海岸線までの山道を歩きながら,植生の垂直分布や動植物の生態等について学びました。
7日目は,ヤクスギランドで屋久杉の森を歩きながら,自然と人間との共生の歴史や森を守るための取組等について学んだ後,最後に現地学習を通じての感想や気づき,各島に帰って取り組むこと等について,ファシリテーター(大岩根尚氏)のコーディネートにより成果発表会を行い,無事7泊8日の行程を終えました。




現地学習終了後は,オンラインでの事後学習を2回行い,参加者から高校の全校集会での活動報告等の様々な取組について発表がありました。今回の目的は,参加者に対して「世界自然遺産の価値を継承するために必要な意識の醸成や行動変容を促すこと」です。今回学んだ知識や経験を参加者のみに留めず,学んだことを同級生や地域の子ども達に伝えたり,自然環境の保全と活用について考え,今後,地域のリーダーとして行動することなどを目指しています。
参加者は現地学習の後,学んだ内容を校内発表したり,実際にロードキル現場へ足を運び現地確認を行った上で町の産業祭でアンケート調査を行ったり,ロードキル防止を呼びかけるチラシやポスターを作成して配布・掲示するなどの行動を起こしてくれました。
また,全体として「実際に自分でロードキル対策のポスター作成というアクションを起こしてみて,周りの人のロードキルへの認識の低さに気付けたので,今後も対策を考えていきたい。」,「この自然を壊したくないし残していきたいと強く思った。もっと早い段階で自然に触れておけばよかったと感じている。また,自然は何か一つ欠けると壊れていく怖さも感じた。」などの感想が寄せられました。
今後の活躍を楽しみにしています。

