更新日:2025年9月5日
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令和7年第3回県議会定例会の開会に当たりまして,提出議案等の説明に先立ち,去る7月24日に逝去されました新盛辰雄元衆議院議員に謹んで追悼の言葉を申し上げます。
新盛辰雄元衆議院議員の御逝去は,誠に残念なことであり,深い悲しみに堪えません。
生前,県勢の浮揚発展のために尽くされた幾多の御功績をたたえ,深く敬意と感謝の意を表し,謹んで心から哀悼の誠をささげ,心から御冥福をお祈りいたします。
先月7日から9日にかけての大雨と,21日に発生した台風第12号の大雨により,県内で2名の方が亡くなられたほか,10名の方が負傷されました。
また,県内各地で断水や停電が発生したほか,住宅の浸水被害,道路等の公共土木施設や農作物等への被害が生じました。亡くなられた方々に対し,心から哀悼の意を表しますとともに,被災された方々に対し心からお
見舞い申し上げます。
先月7日からの大雨については,8日早朝に大雨特別警報が発表されたことを受け,直ちに県災害対策本部を設置するとともに,大きな被害が予想された霧島市,姶良市,薩摩川内市及び曽於市に災害救助法を適用しま
した。また,既に発表されていた自治体からの避難指示に従い,早めに避難することや,不要不急の外出を控え,ご自身の命,大切な人の命を守ることを最優先とした行動をお願いする知事メッセージを発出しました。
10日には,私自身,現地に足を運び,河川護岸の損壊や水田への流木等の流入,道路の損壊などの被害状況を確認しました。
25日に,坂井防災担当大臣と小泉農林水産大臣が県内の被災現場を視察された際には,私から今回の大雨や台風による被害への支援について要望を行いました。
また,台風第12号については,気象台や自治体の発表する災害に関する情報に注意を払いながら,土砂災害等に厳重に警戒し,安全に最大限留意した行動をとっていただくよう呼びかける知事メッセージを発出しました。
28日,住家に相当数の被害が生じた南さつま市に,災害救助法を適用しました。
今回の一連の大雨による農地や公共土木施設等の甚大な被害については,激甚災害に指定される見込みとなりました。
また,今回,住家の全壊や床上浸水以上の被害が大きかった霧島市及び南さつま市には,被災者生活再建支援法を適用し,全壊世帯等の生活再建支援を行うほか,姶良市など,同一災害で床上浸水以上の被害を受けた世
帯に対しては,県と市町村による基金から被災者生活再建支援金を支給することとしております。
県では,県民生活に支障が生じないよう,全力を挙げて応急対策に取り組んでおります。引き続き,被災した公共土木施設や,農業施設,商工事業者の生産設備の復旧等に向けて,関係市町村と連携しながら,追加の予
算措置も含め,速やかに必要な対応を講じてまいります。
これからも台風や豪雨が発生しやすい時期が続きます。
今後とも,住民への適時・適切な情報伝達や円滑な避難が図られるよう,市町村や関係機関との連携に努めてまいります。
県民の皆様におかれましても,日頃から避難場所や避難経路を確認し,災害時には早めの避難に心掛けていただくなど,備えに万全を期していただくようお願い申し上げます。
それでは,当面する県政の諸問題の推移及び今回提案しております議案その他の案件につきまして,概要を御説明申し上げます。
我が国経済は,米国の通商政策等による影響が一部にみられるものの,緩やかに回復しております。先行きについては,雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されますが,米国の通
商政策の影響による景気の下振れリスクには留意する必要があります。加えて,物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども,我が国の景気を下押しするリスクとなっております。
また,金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意する必要があります。県内経済は,緩やかに回復しておりますが,食料品を中心とした物価上昇や自然災害などの影響も懸念され,今後の動きに十分注意する必要があ
ります。
こうした中,国においては,米国の関税措置について,7月23日に米国と合意し,相互関税は,従前の税率が15パーセント未満の品目は15パーセント,従前の税率が15パーセント以上の品目は従前のまま据え置かれるこ
ととなっております。
国においては,今回の合意による影響を引き続き十分に分析するとともに,中小企業・小規模事業者の資金繰り等への支援の相談など産業・雇用に与える影響の緩和に万全を期すこととしております。
県内の関税措置の影響については,金融機関や商工団体からの情報収集や地域企業支援官等による訪問等を通じて,県内企業の状況把握に努めておりますが,現在のところ大きな影響が生じているとの報告はありません。
ただし,今後,米国の関税措置による影響の程度によっては,県内中小企業者の経営状況が急激に悪化することも懸念されることから,経営への影響が生じた際に可能な限り速やかに金融支援を行うことができるよう,
7月24日に,県融資制度の「緊急経営対策資金」について,事業者の利用要件の緩和措置を講じました。
農林水産業については,米国は,本県農林水産物の輸出額の半分を占める最大の輸出国であり,本県にも大きな影響が生じることが懸念されます。
県においては,当初予算等に計上した輸出促進等の各種事業を着実に実施するとともに,今回の補正予算において,米国向けの水産物の滞留が生じた場合の保管料支援に要する経費や,輸出先の更なる多角化を図るため,新たな市場として有望な中東や東南アジアに向けた販路開拓の取組及び詳細な市場調査の実施に必要な経費等を計上しました。
今後とも,日米間での関税交渉の状況を注視しつつ,交渉結果を受けた国の対策内容等も踏まえ,速やかに必要な対策を講じてまいります。
国の経済財政運営と改革の基本方針2025においては,足元の物価高に対して,家計や事業活動に与える影響に細心の注意を払いつつ,令和6年度補正予算や令和7年度当初予算に盛り込んだ施策に加え,あらゆる政策を
総動員するとしております。
県としては,国の施策とも連携して,本年度当初予算及び補正予算に計上した生活者や事業者のガス・電気料金や資材費等の支援など,各種の事業を効果的に展開することにより,物価高騰の影響を受けている生活者や
事業者の負担軽減に努めております。
今後も,物価や景気の動向を踏まえ,必要な対応を講じてまいりたいと考えております。
また,物価高による家計負担の軽減を目的として,与野党間で,いわゆる「ガソリン暫定税率」の廃止について議論が進められております。
これらの税収は,地方の道路整備や維持管理,老朽化対策にも充てられる重要な財源となっていることから,先月27日と,今月3日,4日に,与野党の協議メンバー等に対して,安定的な行政サービスの提供及び財政運
営を担う地方への影響等を十分に考慮し,財源論なき減税が行われることがないよう,全国知事会など地方六団体で緊急要請を実施しました。
本年7月の県開発促進協議会の要望活動においても,地方税制度の見直し等に当たっては,地方公共団体の財政運営に支障が生じることのないよう,地方税財源の充実・確保等に係る財政措置などについて,国に対して
要請しております。
引き続き,国の議論を注視しつつ,全国知事会等と連携しながら必要な対応を行ってまいります。
本格的な人口減少や少子高齢化の進行,輸入物価や人件費の上昇等を背景とした物価の高騰,デジタル化の進展,カーボンニュートラルの要請など,昨今の社会経済情勢は大きく変化しております。
私としては,これらに的確に対応しつつ,本県の基幹産業である農林水産業,観光関連産業など鹿児島の「稼ぐ力」の向上,地域や各種産業を支える人材育成,結婚・妊娠・出産・子育てしやすい環境の整備や高齢者が
健やかで生きがいが持てる社会の形成など,「かごしま未来創造ビジョン」に掲げた各般の施策に積極的に取り組むことにより,「誰もが安心して暮らし,活躍できる鹿児島」を目指してまいりたいと考えております。
今後とも,「県民の皆様と一緒に鹿児島の今と未来をつくる」ということを基本として,「誠実に」,「着実に」県政の推進に全力を挙げて取り組んでまいります。
(誰もが個性と能力を発揮し活躍できる社会の実現)
次に,最近の県政の展開の中で主な事項について御報告申し上げます。
男女共同参画・ジェンダー平等の推進については,家庭や職場,地域社会などに依然として存在するジェンダーギャップの解消を図るため,7月25日から31日までの「鹿児島県男女共同参画週間」において,カクイック
ス交流センターを会場に,本年が昭和100年に当たることを踏まえて,過去100年の男女共同参画・ジェンダー平等の歩みを振り返るパネル展示を行うとともに,子どもたちが力を合わせてジェンダー平等に関する映画をつくるワークショップを実施するなど,様々な広報啓発活動を展開しました。
今後とも,男女共同参画社会の実現に向け,「第4次鹿児島県男女共同参画基本計画」に基づき,県民の意識啓発や気運醸成,女性活躍の推進など,各般の施策に積極的に取り組んでまいります。
(結婚,妊娠・出産,子育ての希望がかなう社会の実現)
子どもの居場所づくりについては,本年5月から先月にかけて関係機関等による協議会を4回開催し,児童生徒や保護者,フリースクールの代表者から,フリースクールに通うきっかけや通った後の子どもの変化,施設
の運営状況や課題などについて意見をお聞きしました。
また,昨年度実施した子どもの居場所に関する実態調査の結果を踏まえ,保護者や子どもたちに向けて,県内のフリースクール等について,その活動内容等を取りまとめた一覧表を新たに作成し,県ホームページに掲載するとともに,希望するフリースクールに対しては,持続的な運営を行うための経営手法等に関するアドバイザーの派遣を先月から開始しました。
引き続き,協議会における議論等を踏まえ,フリースクール等に関する支援の在り方について検討してまいります。
また,児童養護施設等を退所した子どもたちについては,その孤立を防ぎ,個々の状況に応じた支援に適切につなげる必要があります。
県では,先月1日に,相互交流の場を提供するとともに,生活や就労相談等により自立を支援する拠点施設として,「つむぐテラスかごしま」を設置しました。
今後,同施設を中心に,児童相談所や児童養護施設などの関係機関と連携し,こうした子どもたちの自立に向けた支援に取り組んでまいります。
(健康で長生きできる社会の実現と良質な医療・介護の確保)
認知症施策の推進については,今月21日から27日までの「認知症を理解し一緒に歩む県民週間」において,鶴丸城御楼門をはじめ県内8か所を認知症支援のシンボルカラーであるオレンジ色でライトアップするほか,イ
オンモール鹿児島等で認知症の理解促進に関するパネル展示等を実施することとしております。
また,来月19日には,アミュ広場において,認知症の方や家族等が気軽に交流できる認知症カフェや,認知症の人にやさしい地域づくり等をテーマにしたトークショー,認知症VR体験などの体験型イベントを開催する
こととしております。
今後も,国,市町村,関係機関・団体とも連携しながら,認知症の方々にやさしい地域づくりに資するよう,県民の認知症に関する正しい理解の促進に努めてまいります。
新型コロナウイルス感染症については,例年夏場に感染者が増える傾向があり,今夏も本県,全国ともに,定点当たりの報告数が増加しています。
先月24日までの1週間を見ると,本県は宮崎県に次いで2番目に多くなっています。
新型コロナウイルス感染症以外では,百日咳の週当たりの報告数が,現在は,減少してきているものの,本年7月には,現在の方法で統計を取り始めて以降最多の104件を記録しました。
また,伝染性紅斑(リンゴ病)の週当たりの報告数が増えており,先月28日に,平成27年以来10年ぶりとなる流行発生警報を発令しました。
新学期を迎え,今後,児童や生徒などの学校等での感染が増える可能性もあります。
県では,感染が重症化リスクの高い方々に広がり,医療体制がひっ迫することのないよう,毎週公表している感染症情報で注意喚起を行うとともに,ホームページやSNS等において予防対策を呼びかけております。
県民の皆様におかれましては,引き続き,手洗いや手指消毒,換気など基本的な感染防止対策に取り組んでいただくようお願いします。
(地域を愛し世界に通用する人材の育成と文化・スポーツの振興)
スポーツ・コンベンションセンターについては,本年第2回県議会定例会において,設計に要する経費を議決していただきました。
設計者については,国のガイドラインに基づき公募型プロポーザル方式により選定することとしています。
公募に向けては,設計期間や参加資格要件など,設計公募資料で求める条件について設計事業者等から意見を頂くため,7月10日から30日までの期間で,サウンディング型の市場調査を行いました。
その結果,18社から調査票の回答があり,このうち希望する10社とは,先月4日から8日にかけて個別に意見交換を行いました。
サウンディング型の市場調査で出された意見や他県の事例等も踏まえ,現在,設計公募資料案の検討・作成を進めております。
今月1日には,設計公募資料案の協議や,設計事業者から提出される技術提案書の審査を行うため,スポーツやコンベンション,建築,都市計画など,8名の専門家で構成する設計審査会を設置しました。
今後は,今議会において,設計公募資料案の内容についてお示しした上で,今月末を目途に第1回の設計審査会を開催し,設計公募資料案について,議会での御論議も踏まえ,協議していただきたいと考えております。
県民の皆様への情報発信については,これまでの様々な取組に加え,先月31日に放送された県政広報番組に私が出演し,スポーツ・コンベンションセンターを整備する意義やこれまでの経緯,施設の規模・機能・構成,
整備運営手法を従来型手法に見直すことなどにより安定的な財政運営が可能であることなどについて説明しました。
また,7月24日の県・市政意見交換会においては,副知事が各市町村議会議長等へ同様の説明を行いました。
このほか,経済,行政関係団体の会合に参加した際,私からスポーツ・コンベンションセンターの整備についての県の考え方を述べております。
県政かわら版の8月号では,広く県民の皆様に向けて,スポーツ・コンベンションセンターの機能や規模,整備予定地などの基本的な内容や県の考え方をQ&Aでわかりやすく周知しました。この内容については,ホー
ムページで紹介しているほか,県の公式LINEでも情報発信しました。
さらには,令和7年第2回県議会定例会の常任委員会の議論のアーカイブ配信や,県政出前セミナーでの説明も行いました。
引き続き,県議会や県民の皆様へ丁寧に説明を行うとともに,私自ら先頭に立って,積極的な情報発信に努めてまいります。
明治日本の産業革命遺産については,7月8日に世界文化遺産登録10周年の節目を迎えたことから,構成資産を有する8県11市で組織する世界遺産協議会において,7月6日に東京で記念シンポジウムを開催しました。
また,本県においても,7月12日に鹿児島市で記念シンポジウムを開催しました。
両シンポジウムでは,登録に御尽力を頂いた専門家などから,世界文化遺産の登録までの道のりや日本が急速な産業化を成し遂げたことを証言する本遺産の価値・意義の紹介,次世代への継承に向けた提言等を頂きました。
当日は,インターネットによる同時配信と合わせて,約1,400名の参加を頂き,産業国家日本の原点を改めて見つめ直す貴重な機会となりました。
併せて,7月1日から本遺産の認知度向上を図るため,SNSにおいて,旧集成館などの県内資産の写真・動画の投稿を促すためのキャンペーンや,子どもたちの本遺産への興味や関心を喚起し,郷土に対する誇りや愛情を
育むための作文コンクールなどを実施しております。
このような取組を通じて,産業国家日本の原点として,価値あるこの遺産を次の世代に継承し,地域の発展に生かしてまいります。
青少年研修センターなどの県立青少年社会教育施設は,体験活動を通して,青少年の豊かな人間性と社会性を育む場として,重要な役割を果たしていると考えております。一方で,近年の児童生徒数の減少による利用者
数の減少や施設の老朽化などの課題があります。教育委員会においては,このような現状や地域バランス等を踏まえ,青少年社会教育施設の設置・運営を今後も持続可能なものとするため,鹿児島市に設置している青少年研修センターを廃止し,同センターがこれまで担ってきた社会教育や青少年教育に携わる指導者の育成などの中心的な機能については,南薩少年自然の家に移管することとしております。
今後も市町村等と連携し,県下の青少年社会教育施設の利活用を促進するとともに,体験活動の充実を図ることで青少年の豊かな人間性と社会性を育んでまいります。
県立短期大学については,本年3月に「魅力ある県立短期大学づくり検討委員会」から頂いた提言の実現に向けて,県と県立短期大学の教職員で構成する検討会において,具体的な取組について協議を進めております。
7月30日に開催した第2回検討会では,教育内容の更なる充実に向けて,「想像力」や「課題発見力」を養うリベラルアーツ教育を実践するための新たな教養科目の新設や,AIやソーシャルメディアを適切に扱うための
全学生を対象とした講演会の開催などの案が出されました。
今後,県立短期大学の学生へのアンケートを行い,その結果も踏まえて検討を進め,年度内に具体的な取組をとりまとめることとしております。
(安心・安全な県民生活の実現)
6月21日以降,十島村では,地震が断続的に観測されており,これまでにトカラ列島近海で,震度6弱を1回,震度5強を3回,震度5弱を4回,震度1以上の地震が2千回以上観測されています。
県では,7月3日の震度6弱の地震発生を受け,直ちに災害対策本部を設置し,十島村や国,防災関係機関と緊密に連携を図りながら,被害状況の把握に努め,災害救助法の適用を決定しました。
また,十島村からの災害救助法に基づく要請を受け,災害支援ナースなどを現地に派遣し,診療所の支援や島内に残られた方々の体調確認,精神的ケアなどを行いました。島外へ避難された方々に対しては,保健師によ
る体調確認などを行いました。
7月14日には,坂井防災担当大臣と久保十島村長とテレビ会議を行い,県からも島民への生活支援や緊急的な対応が必要な場合の対応などについて国へ要請しました。
7月19日には,久保十島村長と一緒に悪石島と小宝島を訪問し,被害状況の調査や住民との意見交換会を実施し,住民の方々の要望などを伺いました。
また,住民からの要望を受け,県から土木及び建築職員等20名を派遣し,住宅や学校の建築物,村道・港湾施設等の安全性の確認を実施しました。
県としては,十島村,国,関係機関等と緊密な連携を図りながら,島民の皆様が安心,安全に生活できるよう引き続き取り組んでまいります。
6月22日には新燃岳が7年ぶりに噴火し,降灰の影響により一部の地域では水道の断水や温泉の供給停止などの被害が発生しました。
県では,防災関係機関等と情報共有を図るとともに,防災ヘリによる上空からの被害状況調査等を実施しました。
調査の結果,火山灰等に起因する土砂災害の発生が懸念されたことから,直ちに国へ災害関連緊急砂防事業を申請し,7月末から霧島川周辺域の砂防堰堤の緊急除石などを実施しております。
県としては,引き続き,霧島市,国,関係機関等と連携し,災害応急対策に全力で取り組んでまいります。
馬毛島における自衛隊施設の整備等については,航空自衛隊馬毛島先遣隊の隊員が中種子町に居住し,先月3日からは,馬毛島での勤務を開始しております。
7月30日には,県議会議長とともに中谷防衛大臣にお会いし,住民の安心・安全の確保に必要な対策や環境保全措置などに万全を期すこと,今後の工事関係者数の推移について,ピークがどの程度続くかなどを具体的か
つ速やかに示すこと,地域の住民や産業に影響を与える事項が生じた場合には,県及び地元市町に対して速やかな情報提供と必要な対応を行うことなどを要請しました。
中谷大臣からは,「御要請については,今後とも,地元自治体と緊密に連携し,必要な対応を行う」との回答を頂きました。
県としては,今後とも,地元市町と緊密に連携を図りながら,住民の安心・安全が確保され,また,環境保全措置等が適切に講じられるよう,国に対応を求めるなど,しっかりと取り組んでまいります。
国は,広域での洋上監視能力を強化するため,滞空型無人機MQ-9B(シーガーディアン)を配備することとしており,鹿屋航空基地において,令和9年度に海上自衛隊の監督下において民間企業による飛行を行い,警
戒監視要領の確立など,必要な準備を行った上で,令和10年度からは海上自衛隊による運用を開始することを先月29日に明らかにしました。これを受けて,県では,シーガーディアンの配備に当たっては,県民の
安心・安全を確保するため,地元への丁寧な情報提供を行うよう,国に対し要請を行いました。引き続き,十分な説明責任を果たすよう求めてまいります。
川内原発については,九州電力が本年1月に原子力規制委員会に認可申請した1,2号機の使用済燃料プールの共用化等に係る設計及び工事計画が先月8日に認可されました。九州電力においては,来年度以降,使用済燃料プールの共用化を実施するに当たっては,引き続き,川内原発の安全性の確保に万全を期していただきたいと考えております。
今後とも,原発の立地県として,常に事故の発生を念頭に置き,県民の生命と暮らしを守る観点から,川内原発の安全対策・防災対策の充実・強化に取り組んでまいります。
(快適な生活環境の向上と世界につながる県土の創造)
住吉町15番街区の利活用については,本年3月に公募を開始し,4月に開催した事業者説明会には県内外から6事業者の参加があり,また,5月から7月にかけて実施した公募要領に対する質問や,個々の事業者と県と
の対話においては,県内外2事業者が参加しました。応募の前提となる事前登録には県内外2事業者からの申込みがあり,最終的に1件の応募がありました。先月24日に「住吉町15番街区利活用事業提案評価委員会」によ
る公開プレゼンテーションを開催し,会場で傍聴した方や終了後のインターネット配信を視聴した方へのアンケートも実施しました。
先月31日には,評価委員会による事業者へのヒアリングを実施し,公開プレゼンテーションのアンケート結果も参考に提案内容を評価していただき,鹿児島国際観光株式会社が最優秀提案者として選定されました。
評価委員会では,同提案は,住吉町15番街区をMICE・バンケット・ホテル等として利活用するという本事業の趣旨を踏まえ,最大2,000人規模の学会や式典などに対応可能なバンケット機能を備えたホテルの提案となっていると評価されました。
事業内容・施設計画においては,海の屋台村といった施設の魅力を高める提案に加え,鹿児島中央駅や天文館とをつなぐ循環バスの運行,サイクルポートの設置など,賑わいの創出や中心市街地との回遊性を向上するよ
うな提案となっている,また,県内産業・経済への配慮・貢献においては,地元企業の参画や県産材の活用,レストランにおける地産地消の取組など,県内産業・経済に波及効果をもたらすような提案となっていると評価されました。
なお,同委員会での評価の過程において,施設計画の更なる検討や,収支計画の十分な精査,提案のあった取組の具体性を高める検討の必要があり,提案事業者においては,こうした意見も踏まえ,県とも十分協議しなが
ら事業化の検討を進めていくべきであるなどの意見が出されました。
県としては,この選定結果を今議会で御論議いただいた上で,事業予定者を決定したいと考えております。
事業予定者として決定した場合,評価委員会や議会からの意見を踏まえ,今回の提案がより優れた内容となるよう,県と事業予定者との間で協議を行ってまいります。
鹿児島港本港区エリア一帯の利活用については,エリアコンセプトプランに基づいて,北ふ頭エリア等において,民間事業者へのサウンディング調査を実施するなど,民間活力の導入に向けて,事業者公募への取組を進
めてまいります。
また,北ふ頭エリアのしおかぜ通りについては,トライアル・サウンディング事業の募集を行い,先月22日に,カフェ運営など,コンテナハウスを活用した事業を採択しました。
トライアル・サウンディングの実施に当たっては,先月25日に開催した第6回鹿児島港本港区エリアまちづくり懇談会において,出席者から「SNSで発信するなどPRが必要」,「駐停車や歩行者の道路横断など,安全
面に配慮してほしい」といった趣旨の意見も出されたことから,懇談会における御意見も参考に,事業者と調整しながら,来月からの事業実施に向けて準備を進めております。
県としては,鹿児島港本港区エリアまちづくり懇談会における御意見等を参考に,県議会での御論議も踏まえ,エリアコンセプトプランの更なる具体化に向けた取組を着実に進めてまいります。
鹿児島中央駅西口地区の県工業試験場跡地の利活用については,先月25日に第4回検討委員会を開催しました。
同委員会においては,同跡地に導入が望まれる機能,土地の取扱いや整備運営手法等に係る提言案について議論していただきました。
その結果,「同跡地は,バス駐車スペース,緑地などの多目的オープンスペースに加え,将来の鹿児島の発展や県民福祉の向上に寄与するという観点から導入する機能を検討することとし,公有地のまま,整備運営につい
ては民間資金も活用し,利活用を図ることが望ましい」などの利活用の方向性を取りまとめていただきました。
県としては,同委員会の提言を踏まえ,県議会での御論議や県民の皆様の御意見もお伺いしながら,同跡地の利活用について丁寧に検討を進めてまいります。
高規格道路である南九州西回り自動車道については,7月29日に県議会議長等とともに,国に対し,予算の確保と整備促進について要請を行いました。
また,本年度中の供用を予定している大隅縦貫道の吾平道路などの整備を進めてまいります。北薩横断道路の北薩トンネルについては,これまでの技術検討委員会での議論を踏まえ,早期復旧に向け工事を進めておりま
す。
今後とも,高規格道路の早期供用に向け,国と一体となって,整備に努めてまいります。
川内港については,地域の産業の競争力強化を支える効率的かつ経済的な貨物の輸出入の実現のため,国際物流ターミナル整備事業により,新たな岸壁やふ頭用地の整備を進めております。
今後とも,国と連携を図りながら,まずは,今年度末の暫定供用に向け,船舶の大型化に対応できるよう着実に整備を進めてまいります。
また,ガントリークレーンについては,室蘭港からのクレーンの移設に向けて,令和9年1月に譲渡契約を締結することで室蘭市と合意しました。
引き続き令和9年度末までの設置に向けて取り組んでまいります。
JR指宿枕崎線の指宿─枕崎間については,昨年8月に沿線自治体やJR九州,学識経験者等で構成する検討会議を設置し,将来の在り方の検討を進めております。
先月5日に第4回検討会議を開催し,持続可能性や沿線地域間の回遊性,同線区の活性化,地域内外からの多数の住民参加を重視した実証事業を行うことや,同線区が有する社会・経済的価値を定量化し,可視化する手法
について確認しました。
県としては,引き続き,関係者と一体となり,同線の将来の在り方について検討を進めてまいります。
(個性を生かした地域づくりと移住・交流の促進)
人口急減地域において地域の担い手の確保を図る特定地域づくり事業については,7月29 日に,私が会長を務める「特定地域づくり事業推進全国協議会」において,関係国会議員等に対し,必要な予算の確保や支援制度
の拡充について要望を行いました。
県としては,同事業を推進するため,事業主体である「特定地域づくり事業協同組合」の設立・運営支援を行っており,本年5月に喜界町,先月には枕崎市で新たな組合が設立されるなど,取組が広がってきております。
今後とも,同事業を活用した地域における担い手の確保や移住・定住の促進に努めてまいります。
移住・交流の促進については,市町村やふるさと回帰支援センターと連携し,7月12日に,県内8市町が参加する移住相談会を東京で主催したほか,7月30日と先月22日には,移住希望者の関心が高い,本県での子育て
環境や農業などへの就業環境をテーマとしたオンラインでの移住・交流セミナーを開催しました。
また,7月19日に大阪で開催された全国的な移住・交流イベント「おいでや!いなか暮らし移住フェア2025」に,県内8市町等とともに出展し,移住や就職に関する相談に対応しました。さらに,移住を検討している方の不安を解消するため,先輩移住者などが,移住に向けた現地訪問の行程づくりの支援や訪問先での案内等を行う「お試し移住サポート」を今年度も実施することとしており,参加者の募集を7月1日から開始しました。
今後とも,より多くの方々に本県を選んでもらえるよう,鹿児島ならではの特色を生かした移住・交流の促進に取り組んでまいります。
(多様で魅力ある奄美・離島の振興)
奄美群島の振興については,奄美群島振興開発計画に基づき,交通基盤や産業基盤等の社会資本整備を図るとともに,奄美群島振興交付金を活用し,市町村と連携しながら,観光拠点施設の整備等に取り組んでおります。7月7日には,瀬戸内町が本県と連携して整備を進めていた瀬相港の「加計呂麻ターミナル」が開所しました。加計呂麻島の玄関口にあり,船の待合所や行政の相談・申請窓口としての機能のほか,特産品の販売やレンタサイクルの実施などの観光・交流拠点としての機能を有していることから,地域住民の利便性の向上や交流人口の増加による地域活性化に寄与するものと期待しております。
離島の振興については,特定有人国境離島地域の地域社会の維持に関する施策を推進するため,令和3年に関係都道県で構成する協議会を設立し,これまで国等への要望活動等を行ってきております。本年7月からは,私
が同協議会の会長に就任し,7月29日に,関係都道県とともに,令和8年度末に期限を迎える有人国境離島法の延長や離島航路に就航する船舶の更新などへの支援拡充について,関係国会議員等に要望を行いました。
引き続き,関係都道県等と一体となって,法延長等の実現に向けて取り組んでまいります。
(農林水産業の「稼ぐ力」の向上)
令和6年度県産農林水産物の輸出については,令和5年度の約367億円に対し,約28パーセント増の約471億円となり,平成23年度の公表開始以降の最高額を4年連続で更新するとともに,単年度の増加額も約104億円と過去
最大となりました。
輸出額増加の主な要因としては,牛肉について,展示会等を通じて,和牛の認知や評価が向上したことにより需要が高まったこと,養殖ブリについて,海外の日本食レストランで寿司商材などとしての需要が順調に伸び
たこと,お茶について,健康志向や日本食への関心の高まり等を背景に抹茶需要が高まったことがあるものと考えております。
農畜林水いずれの部門でも過去最高額を更新しており,これまで官民一体で取り組んできた成果として,本県の安心・安全で良質な農林水産物が,海外市場において,着実に浸透してきていることの表れであると受け止めております。
引き続き,「鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョン」における令和7年度の輸出目標額約500億円の実現に向けて,米国の相互関税措置の影響や中国の日本産水産物輸入再開による効果,中国の日本産牛肉の輸入再開に向けた中国側との協議状況を注視しながら,官民一体となって輸出拡大に取り組んでまいります。
県産和牛については,鹿児島黒牛を推奨銘柄牛として開催される東京食肉市場まつりが,来月18日,19日に国内最大の和牛取扱量を誇る東京食肉市場において開催されます。
当日は,「和牛日本一鹿児島」をキャッチコピーに「和牛といえば,鹿児島県産。」のイメージの定着を図るため,東京食肉市場まつり2025鹿児島県実行委員会を中心に,首都圏の食肉事業者や消費者に対して,鹿児島黒牛の振る舞いや,県産畜産物の販売を行うこととしております。
県としては,東京食肉市場まつりを通じて,首都圏の食肉事業者や消費者に対して,鹿児島黒牛をはじめとする県産和牛の強みである品質や供給力をPRするとともに,「和牛日本一鹿児島」の認知度向上や,県産畜産物
の販路拡大に努めてまいります。
併せて,同会場において,荒茶生産量日本一のかごしま茶を提供する百円茶屋を実施するほか,水産加工品,焼酎等の県産品の販売や観光PR等を行い,本県の豊かな自然や食,歴史・文化,特産品など「南の宝箱 鹿
児島」の魅力を発信してまいります。
お茶については,昨年,本県の荒茶生産量が初めて全国1位になりました。国が先月19日に公表した令和7年産一番茶の荒茶生産量においても,本県が初の全国1位となりました。
全国的に生産量が減少する中,本県のお茶の生産量は,前年度と同程度を維持しており,また,海外での需要が高い有機栽培茶や,抹茶の原料であるてん茶の生産拡大が進んでおります。
県としては,引き続き,てん茶・抹茶の加工施設の整備促進などに取り組むとともに,国内外での販路開拓を支援してまいります。
農業の担い手の確保・育成については,全国の農業者が一堂に会して,相互研鑽・交流を行う「第27回全国農業担い手サミットinかごしま」が来月23日,24日に本県で開催されます。大会では,記念式典のほか,県内
6地域に分かれて先進農家を視察する現地研修会や,本県の多彩な農畜産物でおもてなしをする交流会を開催することとしています。
県内外から訪れる多くの方が,大会テーマである「共に創ろう!新しい農業のカタチ」を体感していただける大会となるよう,担い手組織や農業団体等と一体となって着実に準備を進めてまいります。
家畜防疫対策については,本年4月以降,宮崎県において,野生イノシシの豚熱感染が複数確認されてきており,今月2日には,本県との県境から約3キロメートルの地点において,野生イノシシの感染が確認されまし
た。
県においては,今回の発生情報を県内の養豚場や関係団体に直ちに周知するとともに,確認地点から半径10キロメートル圏内の8農場について,異状がないことを確認しました。
翌3日には,県豚熱対策本部会議を開催し,関係者の協力を得て侵入防止に全力で取り組むよう指示するとともに,同日開催した豚熱緊急防疫対策会議においては,関係機関・団体等を通じて,適時・適切なワクチン接
種や,野生動物の侵入防護柵の再点検などの飼養衛生管理基準の遵守徹底を改めて指導しました。
また,県内の全養豚場について異状がないことを確認し,万一,飼養家畜に異状が認められた場合,直ちに通報するよう指導しました。
昨日,国が,本県を経口ワクチン散布推奨地域に指定したことを受け,国から今後派遣される専門家と協議の上,経口ワクチンの散布を開始します。
本県の養豚業は農業産出額が900億円を超える,本県の基幹産業であり,県としては,市町村や関係機関・団体と一体となって,最大限の警戒感を持って,家畜伝染病の農場への侵入防止策に取り組んでまいります。
特殊病害虫であるセグロウリミバエ,ミカンコミバエについては,本年度,奄美地域などで誘殺が確認されており,現在,国や市町村と連携して発生調査や防除対策などを行っております。
特に,セグロウリミバエについては,本年3月に,県内で初めて伊仙町で誘殺されて以降,奄美地域の10市町村で誘殺が確認されています。
与論町など6市町村では幼虫等も確認されており,これらの地域では,国のマニュアルに基づき,寄主果実除去や家庭菜園でのウリ科野菜などの栽培自粛を要請しております。
今後とも,国や市町村などの関係機関と連携し,住民の協力も頂きながら,県内へのセグロウリミバエ等の定着,まん延防止に努めてまいります。
全国植樹祭については,主催団体の公益社団法人国土緑化推進機構から令和11年に本県で開催する旨の内定を先月6日に頂きました。
県としては,全国植樹祭の開催により,森林の重要性や木材利用の意義に対する理解が更に深まり,森林を全ての県民で守り育てる意識の醸成が図られるものと考えております。
また,多様で豊かな自然や多彩で豊富な食材などの本県の魅力を全国に発信できる大会となるよう,関係者と一体となって開催に向けた準備を進めてまいります。
水産業の振興については,生産量日本一を誇る養殖ブリの人工種苗の安定供給へのニーズが高いことや,海外では生産履歴が明らかで天然資源に影響を与えない人工種苗に対する評価が高いことから,ブリの人工種苗の
供給体制の強化に取り組んでおります。本年7月には,垂水市の種苗生産施設において,ブリ親魚棟の新築と早期種苗の生産に必要な既存施設の冷却機能強化工事が完了し,これにより,ブリの人工種苗の供給量が増加す
るほか,供給できる期間が長くなり,1年を通して養殖ブリの出荷が可能となりました。
引き続き,人工種苗の安定供給に取り組み,更なる水産物の輸出拡大を図ってまいります。
(観光の「稼ぐ力」の向上)
大阪・関西万博については, 今月3日から本日までの3日間,「九州の宝を世界へ」のコンセプトのもと,九州7県による合同出展を行っております。オープニングセレモニーには私も出席し,本県が誇る食や観光など
の魅力をPRしてまいりました。
万博会場内の屋内展示場「EXPOメッセ「WASSE」」に設けられた九州7県の食のPRブースでは,本県の県産和牛のローストビーフなど各県の料理を詰め込んだ「九州宝弁当」や,本県の焼酎ソーダ割,指宿温泉サイダーの販売などを行っております。イベントスペースでは,本県からは,平田まりなさんをはじめ奄美大島出身の唄者による奄美島唄ライブを実施しております。
また,同展示場内の本県ブースでは,世界文化遺産登録10周年記念パネルの展示やVRを使った奄美の海,空,夜の疑似体験,鹿児島の食文化を紹介するPR動画の放映,鰹節を自分で削って作る茶ぶし体験,切子のか
けらを使ったキーホルダーの製作体験,大島紬の着付け体験などを行い,本県の特色ある素材の魅力を発信しております。
会場には,多くの方にお越しいただいており,来場者の方には本県の豊かな自然や歴史・文化,特産品など「南の宝箱 鹿児島」の魅力を体感していただけたものと考えております。
今後とも,様々な機会を捉え本県の魅力の発信や観光誘客に取り組んでまいります。
鹿児島空港国際線については,7月17日から先月21日にかけて中国東方航空による上海線が週2便から週3便に増便されました。また,来月26日からは,大韓航空によるソウル線が週4便から毎日運航に,チェジュ航空
によるソウル線が週3便から毎日運航に増便されることとなっております。
一方,週4便で運航していた香港航空による香港線が,7月1日から全便欠航となっており,県の観光動向調査における本年7月の香港からの宿泊者数は,前年比で約8割減と大きな影響を受けております。
県としては,香港市場に向けて,自然や食などの本県の魅力,季節のイベント情報に加え,関西や福岡の経由便を活用した鹿児島へのアクセス方法などについて,公式SNSで随時情報を発信しています。また,香港で
利用の多い旅行予約サイトに本県の特設ページを設け,県内おすすめの観光スポットや福岡・鹿児島間が乗り放題となるJR九州レールパスの情報を掲載するなど,旅行需要の喚起を図ってまいります。
また,直行便が就航している韓国,中国,台湾のほか欧米豪をターゲットに,それぞれの国や地域で利用の多い旅行予約サイトと連携した誘客プロモーションや,外国人インフルエンサーを活用した情報発信など誘客対
策を強化し,インバウンドの拡大を図ってまいります。
香港線の欠航に加え,新燃岳の噴火,トカラ列島近海を震源とする地震,先月7日からの大雨などにより,霧島市をはじめ県内の一部宿泊施設においては,宿泊予約のキャンセルなどの影響が発生しております。
県の観光動向調査結果によると,本年7月の県内主要宿泊施設の宿泊者数は,前年比約1割減となっています。
新燃岳の噴火警戒レベルが継続するなど,引き続き状況の変化を注意深く見守っていく必要がありますが,県内ほとんどの地域は, これまでどおり観光を楽しむことができます。
県では,県観光サイトへ,新燃岳の噴火警戒レベルなどの情報と合わせて,県内のほとんどの観光施設は,通常どおり営業していること,観光地へのアクセス道路のほとんどが通行可能であることについて情報発信して
おります。
今後,県内外の多くの方に鹿児島の観光を楽しんでいただくため,本県観光の魅力を伝える動画を作成し,SNSを活用した情報発信を行うなど,国内からの誘客対策にも取り組んでまいりたいと考えております。
新燃岳の噴火や大雨の影響が大きい霧島市の観光地については,県公式SNSにおいて,観光スポットの情報発信を行うとともに,SNS広告や旅行予約サイトの特設ページで重点的に情報発信を行うこととしておりま
す。
県としては,引き続き,本県の観光需要の回復に向けて,誘客対策の強化に取り組んでまいります。
アウトバウンドの促進については,7月12日,13日の両日,鹿児島中央駅アミュ広場において,鹿児島空港のビル会社や航空会社,旅行会社と連携し,海外旅行フェアを開催しました。同フェアでは,航空旅行アナリスト
等のトークショーや韓国,台湾,ベトナムのグルメが堪能できる本格屋台の出展などにより,鹿児島空港からの海外旅行の魅力について,広く県民にPRを行いました。
国際定期便の拡充に当たっては,グランドハンドリングなどの受入体制の充実が求められていることから,職員の採用支援などに継続して取り組むとともに,今後の増便等も見据え,新規参入への準備を行っている鴻池
エアーホールディングに対し,参入に当たって必要な経営支援を行うこととしております。
鹿児島空港駐車場については,混雑が慢性化しており,大きな課題であると考えております。県では,混雑の原因等について具体的に把握するため,国や空港ビル会社と連携し,7月19日から空港駐車場の利用実態把握
調査を実施しております。
また,同駐車場の混雑緩和及び利用者の利便性向上に向け,今後の取組等を議論するため,国,県,空港ビル会社による「鹿児島空港駐車場の混雑緩和等に向けた検討会」を6月30日に開催しました。同検討会において
は,現在実施している駐車場の利用実態把握調査の途中経過等も活用しながら,必要な取組について議論を行うこととしており,今月11日に,2回目の検討会を開催することとしております。
引き続き,鹿児島空港駐車場の混雑緩和に向けて,国への働きかけを含め,必要な対応を検討してまいります。
県では,県産品の輸出拡大や海外からの誘客促進,外国人材の確保などの国際関連施策を,相手国・地域の特性やニーズ等を十分に踏まえつつ,より効果的,戦略的に展開するため,今後の国・地域別の取組の方向性等
をまとめた「鹿児島県国際戦略(仮称)」を策定することとしております。
これまで,関係団体・事業者へのヒアリング等を行い,本県と海外における人的・物的交流の現状や課題を把握しました。それらも踏まえ作成した骨子案を今議会にお示したいと考えており,今後,県議会での御論議も
踏まえ,策定に向けて引き続き検討を進めてまいります。
(企業の「稼ぐ力」の向上)
企業立地の推進については,半導体関連産業の振興を図るため,半導体関連企業や教育機関,行政機関,金融機関等で構成する「かごしま半導体関連産業共創協議会」を立ち上げ,先月28日に設立総会を開催しました。
同協議会において,産学官金それぞれの取組等について互いに情報共有を図るとともに,意見交換を行い,連携して人材確保・育成,取引拡大,海外との産業交流等の取組を推進してまいります。
また,来月30日には,東京において,本県に立地している大手企業や市町村等とともに,官民一体となって「企業立地懇話会」を開催することとしており,私自ら,関東圏に本社を置く企業等の皆様に対して本県の優れた立地環境のPRを行うこととしております。
スタートアップの創出・育成については,先月26日に「かごしまスタートアップシンポジウム2025」を開催し,県外起業家による講演や,産官学金の各機関と連携した支援体制の形成等についての意見交換を行いました。
引き続き,関係機関と情報を共有し,連携を深めることにより,スタートアップの創出・育成に一体となって取り組んでまいります。
また,今年度から,新たな産業の創出に取り組む企業等に対し,ニーズの掘り起こしから事業化・販路拡大まで,各段階に応じた支援を総合的に行っており,7月までに,AI画像認識技術を活用した漁獲量把握システ
ムの開発や茶園の防霜散水状況の遠隔確認システムの開発など,6件の取組への支援を決定しました。
(多彩なキャリアをデザインできる働き方の創出)
県内の雇用情勢については,本年7月の有効求人倍率は1.07倍となっており,前月より0.01ポイント減少したものの,111か月連続で1倍台で推移しております。
若年者の県内就職については,来春卒業予定の高校生の採用を計画している企業214社が出展する「県内企業と高校等就職担当者との情報交換会」を7月2日に開催し,県内67の高校の就職担当者が参加しました。
県内企業等への就職の促進を図ることを目的として,本年3月に就職支援に関する協定を締結している鹿児島国際大学において,県内で働くことの魅力を発信するキャリアデザインセミナーを7月18日に開催し,202人の
学生が参加しました。
今後とも,県内大学等とも連携しながら,新規学卒者の県内就職やUIターンの促進に努めてまいります。
外国人材については,外国人材の安定的な確保や,外国人材が安心して働き暮らせる環境整備,共生社会の実現に向けた相互理解の促進に向け,昨日,経済・業界団体,監理団体,有識者,行政等で構成する「かごしま
外国人材受入活躍推進会議」を開催しました。
また,7月には,この推進会議に先立ち,「技能実習・特定技能」をテーマに,人手不足が顕著である建設業,製造業,介護など6分野の関係団体等と,課題を抽出・共有するためのワーキンググループを開催しました。
関係団体等からは,それぞれの分野毎に抱えている課題や人手不足の要因等について率直な意見を頂き,推進会議において,その結果を報告し,意見交換を行いました。
今月3日には,県内企業における外国人材の安定的な確保を促進するため,今後,有望な送り出し国として期待されているインドネシアの送り出し機関と県内関係機関との個別相談会をカクイックス交流センターで開催
しました。来月には,インドの送り出し機関との個別相談会を開催することとしております。
また,外国人材の受入れ・定着に向け,外国人材の日本語能力の向上や就労に必要な知識の習得を図るため,今月1日から,県内企業で働く外国人材を対象に,日本語のe-ラーニングシステムの提供を行っております。
このような取組を通じて,引き続き,外国人材の安定的な確保や受入れ環境の整備に取り組んでまいります。
本県の最低賃金については,先月29日に開催された鹿児島地方最低賃金審議会において,現行の953円から73円引き上げ,1,026円とする答申がなされました。答申額どおり改定されると,本県の最低賃金は,初めて千円
を超えることとなります。
賃金の引き上げは,物価上昇が継続する中で,労働者の生活水準を維持・向上させるために重要であると考えております。また,人材の県外への流出防止や消費拡大による景気の好循環に繋がることも期待されます。
一方で,中小・小規模事業所の多くは,経営基盤が脆弱であり,原材料価格の高騰や人手不足等により厳しい経営環境に置かれております。
県では,企業の稼ぐ力の向上に向けて,当初予算に約10億円を計上し,製造業・サービス業における自動化・省力化や中小企業のDX化など,生産性向上等の取組を集中的に支援することとしており,先月までに174件の
取組への支援を決定しました。
また,円滑な価格転嫁を促進するため,企業間で望ましい取引慣行の遵守等に取り組む「パートナーシップ構築宣言」企業の拡大に向けて,制度の周知・広報を行うとともに,先月から今月にかけて価格交渉等を効果的
に進めるための企業向けセミナーを県内3地域で開催しております。
今後とも,このような取組を通じて,賃上げに結びつくような事業環境の整備に取り組んでまいります。
(持続可能な行財政運営)
地域振興局・支庁庁舎の再整備については,南薩地域振興局庁舎について,令和10年度はじめ頃の供用開始を目指して,現在,実施設計を行っております。
また,大島支庁庁舎について,本年6月から7月にかけて地元市町村や関係団体から意見聴取を行い,本庁舎の位置や駐在機関等の在り方などについて御意見を頂きました。今後,地元市町村から本庁舎の具体的な整備
候補地の提案を募集することとしております。
「知事とのふれあい対話」については,7月5日に,農業の「稼ぐ力」の向上をテーマとして喜界町の皆様と意見交換を行い,きび栽培に従事する新規就農者に対する補助の充実や,自動運転トラクターの導入などのス
マート農業への支援などの御意見がありました。
先月31日には,農林水産業の「稼ぐ力」をテーマとして指宿市及び南九州市の皆様と意見交換を行い,観葉植物やオクラ,和牛などの農畜産物の更なるPRや,経営の厳しい畜産農家への支援,老朽化している畑地かん
がい施設の更新・充実などの御意見がありました。
なお,先月9日に予定しておりました,日置市,いちき串木野市の皆様との意見交換については,前日の大雨の影響により開催を延期いたしました。
今後も,県内各地域において順次開催し,県民との対話を通じて,県民の皆様の声を県政に反映するとともに,透明で開かれた県政運営を行ってまいります。
県議会の皆様方をはじめ,県民の皆様方の御理解と一層の御支援を心からお願い申し上げます。
次に,補正予算の概要について御説明申し上げます。
今回の補正予算は,米国関税措置による本県産品の輸出への影響が懸念される中で,米国向けの水産物の滞留が生じた場合の保管料支援に要する経費や輸出先の更なる多角化を図るため,新たな市場として有望な中東や
東南アジアにおける販路開拓の取組に要する経費や,梅雨期の大雨による被害に対する災害復旧事業,新燃岳噴火に伴う土砂災害を防止するための砂防工事に要する経費等を計上することとしております。
補正予算の総額は,一般会計で52億5百万円であり,この結果,補正後の一般会計の予算額は8,628億31百万円となっております。この財源については,地方交付税,国庫支出金,県債などをもって充てることとしており
ます。
このほか,予算外の議案として,「鹿児島県税条例の一部を改正する条例制定の件」など,条例案9件,その他の議案10件,報告1件となっております。
何とぞよろしく御審議の上,議決していただきますようお願い申し上げます。
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