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ホーム > 県政情報 > ようこそ知事室へ > 施政方針 > 令和3年第1回県議会定例会施政方針及び予算説明要旨

更新日:2021年2月22日

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令和3年第1回県議会定例会施政方針及び予算説明要旨

令和3年第1回県議会定例会の開会に当たりまして,県政運営についての基本的な考え方を明らかにいたしますとともに,令和3年度予算及び令和2年度補正予算等の概要について御説明申し上げます。

説明に入ります前に,今月13日に発生いたしました福島県沖を震源とする地震により,甚大な被害が発生しております。
被災された方々に対しまして心からお見舞いを申し上げますとともに,被災地の一日も早い復旧を心からお祈り申し上げます。

[1県政運営の基本方針]
県政運営の基本的な考え方であります。
知事就任以来,世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症をはじめ,令和2年7月豪雨災害や台風第10号による被害など,多岐にわたる様々な課題に対し,全力を挙げて取り組んできたところであります。
新型コロナウイルス感染症については,全国的に感染拡大の状況にあったことから,国においては,先月,2度目の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を行ったところであります。
本県においても,年末年始から感染が拡大し,医療提供体制が逼迫するおそれが高まったことから,1月22日に,感染状況の段階をステージⅢに引き上げるとともに,今月7日までを期間とする「感染拡大警報」を発令し,飲食店を対象とした営業時間の短縮要請や感染拡大地域との往来の自粛要請など,接触機会の低減のための取組を進めてきたところであります。
その後,感染状況については,全国的に新規感染者数は減少傾向にあり,本県においても,県民の皆様の御理解と御協力により,確保病床の占有率や60歳以上の高齢者の入院患者数が減少していることなどから,今月15日に感染状況の段階をステージⅡに引き下げたところであります。
しかしながら,県内においては,高齢者施設や医療機関等においてクラスターが発生しており,引き続き,感染防止対策にしっかりと取り組むことが重要であります。
これまでに経験したことがない非常に厳しいこの難局を,県民の皆様の御協力をいただきながら,県民の皆様と一緒になって乗り越えていきたい,そのように考えております。
今後も,まずは,新型コロナウイルス感染症への対応が最優先であると考えており,感染防止対策をしっかりと講じるとともに,検査体制及び医療提供体制の確保・拡充に取り組み,県民の皆様の安心・安全と,経済活動,社会活動の両立が図られるよう,引き続き,緊張感を持って,取り組んでまいります。
本格的な人口減少や少子高齢化の進行などとともに,地方の疲弊も深刻化する中,しっかりと地域活性化に向けた取組を進める必要があります。
現在,新型コロナウイルス感染症の拡大により,人の移動に制約がある中で,テレワークなどの活用・定着が進み始めたことは,人々の意識変化につながっており,地方回帰の機運が更に高まっております。
本県には,豊かな自然,食,歴史や伝統,お祭りなどすばらしい地域資源が豊富にあるほか,本県の特色の一つである離島には,多様な地域,コミュニティがあり,各島に特色ある独特の自然,文化や伝統が存在するなど,その多様性が魅力であります。
鹿児島がその受け皿に選ばれるように,この地方回帰の流れをしっかりと逃すことなく,地域の魅力を一層高めていくためには,これらの地域資源の磨き上げはもとより,テレワークや二地域居住などの新しい働き方・暮らし方の広がりや人々の価値観の変容を踏まえた,住みやすい地域づくり,より多くの人材に選んでもらえる地域づくりを目指していくことが重要であります。
こうした時代の流れを的確に捉え,今後,地域に仕事をつくり,地域への人の流れをつくっていくためにも,あらゆる分野でのデジタル化をはじめとするデジタル社会の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。
さらに,今後,デジタル化の取組を進めていくに当たっては,知識・技能の習得だけでなく,それを生かして地域課題の解決やイノベーションの創出につなげることができる人材を育成していくことも重要であります。
情報通信基盤の整備の一層の促進や,デジタル社会を支える人材の確保・育成を図るとともに,農業,福祉,医療,教育などあらゆる分野におけるICTを活用した効率化・生産性向上等に向けた取組を進めてまいります。
新型コロナウイルス感染症の拡大等先行きが不透明でもあり,確実な見通しを持つことは困難であるものの,感染症の収束後を見据えつつ,今後の県勢発展の基盤をしっかりとつくっていくためにも,鹿児島の基幹産業である農林水産業,観光関連産業の更なる振興に取り組むとともに,技術力の高い製造業や情報関連産業など新たな産業の創出にも取り組み,鹿児島の「稼ぐ力」の向上を図ってまいりたいと考えております。
本県の多様で豊かな自然環境を次世代に引き継ぎ,安心して暮らし続けることができるようにするためには,これまでの発想を転換し,環境への負荷の少ない持続可能な社会の構築を図ることが重要であります。
地球温暖化は,人類の将来に関わる最も重要な環境問題であり,昨年10月,菅総理大臣が「2050年カーボンニュートラル,脱炭素社会の実現を目指す。」旨を宣言し,この目標を達成するため,国は昨年末にグリーン成長戦略を取りまとめるなど,総力を挙げて取り組むとしております。
県としても,先の第4回県議会定例会において,2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとすることを目指す旨を表明したところであり,県民,事業者,行政が力を合わせて,一体となって地球温暖化対策を積極的に推進し,カーボンニュートラルの実現に向けた施策を積極的に展開してまいります。
私としては,こうした様々な取組を通じて,鹿児島の「稼ぐ力」の向上に努めるとともに,自然環境に配慮しつつ,経済を持続的に発展させることで,地域の格差を是正し,県民所得の向上を図り,県民の皆様の暮らしと雇用を守りたいと考えております。
また,結婚・出産・子育てしやすい環境の整備や高齢者が健やかで生きがいを持てる社会の形成などに取り組み,これらを基盤として,高齢者や女性,障害者,子どもなど,誰もが安心して暮らし,活躍できる鹿児島をつくってまいります。
私は,県民の声がしっかりと反映される県政にしたい,県民が主役の,県民の目線に立った行政を実現したい,各市町村の意見を聞きながら連携を進めていきたいということを申し上げてきたところであります。
県民との対話を進め,政策決定の透明化を図り,市町村との連携強化に取り組むことなどにより,県民の皆様と一丸となって県勢発展を推進してまいりたいと考えております。
現在,我が国は,本格的な人口減少や少子高齢化の進行,経済のグローバル化や技術革新の急速な進展,新型コロナウイルス感染症の拡大など大きな変革期を迎えており,本県の将来にとっても極めて重要な時期となっております。
今後とも,時代の変化に的確に対応しながら,「県民の皆様と一緒に鹿児島の今と未来をつくる」ということを基本として,「誠実に」,「着実に」県政の推進に全力を挙げて取り組んでまいります。
県議会の皆様方をはじめ,県民の皆様方の御理解と一層の御支援を心からお願い申し上げます。

[2予算編成の大綱]
次に,令和3年度の予算編成の大綱について申し上げます。
我が国経済は,新型コロナウイルス感染症の影響により,依然として厳しい状況にある中,持ち直しの動きが続いているものの,一部に弱さが見られるところであります。
先行きについては,緊急事態宣言の解除後も感染拡大の防止策を講じつつ,社会経済活動のレベルが引き上げられていく中で,各種施策の効果や海外経済の改善もあって,持ち直していくことが期待されますが,国内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要があります。
県内経済については,個人消費は足もとでは一部に弱めの動きが見られているものの基調としては緩やかに持ち直しております。観光については再び厳しい状況にあります。全体としては,このところ足踏み状態となっております。
国においては,令和2年度第3次補正予算及び令和3年度予算において,「15か月予算」の考えのもと策定された「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」に基づき,雇用と事業を支えながら新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するとともに,ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図り,防災・減災,国土強靭化の推進など安全・安心の確保を進めることとしております。
県としては,まず,令和2年度3月補正予算において,新型コロナウイルス感染症関連の追加対策に加え,国の補正予算に対応し,防災・減災に資する公共事業,農林水産業の「稼ぐ力」の向上に資する事業,教育施設等の整備促進に資する事業など,682億円余りを計上しているところであります。
その上で,令和3年度当初予算編成に当たっては,「行財政運営戦略」を踏まえた行財政改革を着実に進めつつ,持続可能な開発目標SDGsの理念も踏まえ,新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策や医療提供体制の確保,県民の安心・安全と経済活動,社会活動の両立を図るための施策,鹿児島の基幹産業である農林水産業,観光関連産業や地域の中小企業などの「稼ぐ力」の向上に資する施策などを積極的に推進する予算として編成したところであります。
その結果,令和3年度一般会計当初予算の規模は8,443億75百万円となり,令和2年度当初予算に対し0.5パーセントの増となったところであります。
この間,行財政改革推進プロジェクトチームを中心として歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組んだ結果,財源不足のない予算編成ができたところであります。
令和3年度末の県債残高見込みについては,臨時財政対策債等を除いた本県独自に発行する県債の残高ベースで比較すると,令和2年度末の1兆732億円から169億円減の1兆563億円となり,総額ベースで比較しても,69億円の減となるなど,着実に減少しております。
また,企業会計を除く特別会計の予算規模は4,261億83百万円となっております。
企業会計は,病院事業特別会計で247億71百万円,工業用水道事業特別会計で7億36百万円となっております。
国においては,「経済財政運営と改革の基本方針2020」等を踏まえ,国・地方を合わせた2025年度の基礎的財政収支の黒字化を目指すという財政健全化目標の達成に向けて,引き続き,これまでの歳出改革の取組を継続し,経済再生と財政健全化の両立を図ることとしており,今後厳しい財政運営が予想されるところであります。
このような国の動向にも的確に対応しつつ,持続可能な行財政構造を構築するため,引き続き,歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組んでまいります。

[3主要施策の概要]
以下,主要施策の概要について申し上げます。
第一は,「新型コロナウイルス感染症対策」であります。
新型コロナウイルス感染症については,先ほど申し上げたとおり,1月22日に感染状況の段階を感染者急増の段階であるステージⅢに引き上げ,今月7日までを期間とする「感染拡大警報」を発令し,感染拡大地域との不要不急の往来の自粛,鹿児島市など都市部の飲食店を対象とした営業時間の短縮要請を行うとともに,要請に応じた事業者に対して,1店舗あたり56万円の協力金を支給することとし,1月28日に関連する補正予算の専決処分を行ったところであります。
今月15日には,感染状況の段階を感染者漸増の段階であるステージⅡに引き下げたところですが,引き続き,感染拡大地域との不要不急の往来の自粛等を要請するとともに,高齢者施設等に対して,チェックリストによる緊急再点検を求め,その結果に応じて関係団体等と連携した現地指導を行うこととしております。
県としては,引き続き警戒感を持って感染状況を注視しつつ,専門家の御意見を伺いながら,感染拡大防止に取り組んでまいりたいと考えております。
県民の皆様には,徹底した手洗いやマスクの着用,人と人との距離の確保など,感染拡大の防止に向けて,御協力をいただいていることにつきまして,心から感謝申し上げるとともに,引き続き感染防止対策にしっかりと取り組んでいただきますよう,御理解,御協力をよろしくお願い申し上げます。
また,厳しい状況,環境の中で,人命を守るため,現場の最前線で献身的な努力をしていただいている医師・看護師等の医療関係者の皆様をはじめ,患者搬送に多大なる御協力をいただいている,海上保安庁,自衛隊及び消防機関の皆様など,感染症対応に御協力をいただいている全ての方々に対しまして,心から感謝申し上げます。
医療提供体制の整備については,引き続き,重点医療機関等の空床確保や設備整備等に対する支援や軽症者等が療養するための宿泊施設の確保,新型コロナウイルス感染症患者等の診療等に携わる医療従事者に対して危険手当を支給する医療機関への支援などに取り組み,感染拡大に備えた体制の確保に努めてまいります。
新型コロナウイルスワクチンの接種については,庁内の関係課等による「ワクチン接種対策チーム」を編成し,市町村や医師会等の関係機関と連携しながら,接種体制の整備を図っているところであり,市町村において迅速かつ適切に接種を開始できるよう,準備を進めているところであります。
また,県においては,来年度から新たに「新型コロナウイルス感染症対策室」を設置し,今月,改正・施行された新型インフルエンザ等対策特別措置法等に基づく対応やワクチン接種に向けた広域調整等,今後の新型コロナウイルス感染症対策に迅速かつ確実に取り組むこととしております。
中小企業等への支援については,事業者の事業継続を図るため,売上高が相当程度減少している県内の中小企業,個人事業主に対して,事業全般に広く使える,1事業者当たり上限額20万円の支援金を支給することとし,1月28日に関連する補正予算の専決処分を行ったところであります。
また,感染拡大警報の発令に伴う飲食店への営業時間短縮要請や感染拡大地域との往来の自粛要請により大きな影響を受けている事業者を対象として,支援金の拡充を行うこととしているところであります。
現在,今月26日の申請受付開始に向けて準備を進めているところであります。
中小企業者への金融支援については,3年間実質無利子となる新型コロナウイルス関連緊急対策資金について,取扱期間の延長や融資限度額の引上げを行い,資金繰りを支援しているところであり,令和3年度は,中小企業融資制度の融資枠を700億円確保するとともに,新型コロナウイルス感染症により経営に影響を受けている中小企業者の経営改善等を支援する資金の創設や「事業承継対策資金」の信用保証料の負担軽減など制度の拡充を図り,県内中小企業者の資金調達の円滑化に努めてまいります。
また,割引クーポンの発行による消費意欲の喚起やWebを活用した県産品の販売促進への支援,県内伝統的工芸品産地組合や県酒造組合等と連携した事業者への支援を行うなど,強力な産業支援を実施してまいります。
観光については,感染防止対策とともに需要回復策に取り組み,本県の観光産業は持ち直しの動きが見られていたものの,昨年12月28日からの
Go To トラベル事業の全国一斉停止や,国による緊急事態宣言の発出,本県での感染拡大警報発令などの影響により,再び非常に厳しい状況となっております。
県では,引き続き,感染拡大の状況・変化に適切に対応し,感染防止対策の徹底を図りつつ,効果的な需要喚起策を切れ目なく展開することにより,本県観光の回復と更なる活性化を図ってまいります。
農林水産業については,引き続き,新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,需要低下等による収入減などの影響を受けた花き,茶などの需要喚起や,ポストコロナを前提とした新たな生産・販売体制の構築に向けた先進的な取組への支援,県産水産物の冷凍保管料等の支援を行ってまいります。

第二は,「『稼ぐ力』の向上」であります。
農林水産業をはじめ,本県の主要な産業においては,付加価値額の向上が課題であると考えております。
鹿児島の基幹産業である農林水産業や観光関連産業,技術力の高い製造業等の「稼ぐ力」の向上に取り組み,経済を持続的に発展させることで,県民所得の向上を図ってまいりたいと考えております。
農林水産業については,多様な担い手の確保・育成や農山漁村の活性化,スマート農林水産業など先進技術等の普及定着による生産性向上や高収益農作物の導入,県産農林水産物のブランド力の向上や輸出商社の活動支援などの更なる輸出拡大に向けた取組など,「稼ぐ力」の向上に向けた施策に取り組んでまいります。
スマート農業の推進については,引き続き,「スマート農業推進方針」に基づき,先端技術に関する農業者の理解促進を図るとともに,県内各地での技術実証活動や費用対効果の検証,スマート農業の研究開発など,現地への実装に向けた取組を推進してまいります。
6次産業化等による県産農産物の高付加価値化の取組については,引き続き,販路開拓や商品開発の支援に取り組むとともに,更に今後は,地域の6次産業化商品等を取りまとめ,販路開拓に取り組む地域商社等への支援や,リモートによる商談会の開催など,時代に対応した新たな取組も進めながら,県産農産物の高付加価値化に取り組んでまいります。
農林水産物の輸出促進については,国際的な経済連携協定の進展,コロナ禍における輸出先国のニーズや経済活動の回復状況を踏まえながら,戦略的なPR・販売促進活動,輸出に意欲的な生産者や産地の確保・育成など,輸出拡大に向けた取組を積極的に展開してまいります。
今月27日から28日にかけて,シンガポール,香港,タイで日本産にこだわった商品を販売するスーパーマーケット「DON DON DONKI(ドンドンドンキ)」17店舗で「どんどん鹿児島フェア」を大々的に開催し,牛肉や豚肉,ブリ,さつまいもなど県産農畜水産物のPR・販売促進活動を展開することとしております。
林業の振興については,林業・木材産業の「稼ぐ力」の向上を図るため,品質や性能の確かな「かごしま材」のJAS製品化と県外への販売促進に努めるとともに,合同商談会の開催など製材品等の輸出拡大に取り組んでまいります。
水産業の振興については,次期「水産業振興基本計画」を本年度中に策定することとしており,「漁業の担い手の育成・確保」や「水産物の流通・加工・販売対策」など,5つの基本目標を定め,付加価値の高い製品づくりのほか,国内外における新たな販路開拓や輸出商品の開発を支援するなど,本県水産業の「稼ぐ力」を引き出すための施策を積極的に進めることとしております。
観光関連産業については,観光客数はもとより観光消費額の増加を図るため,観光業界だけでなく,商工業者や農林水産業者,地域住民などを含む幅広い関係者が連携して「観光地域づくり」に取り組むとともに,観光客の属性や消費動向等データを分析し,滞在時間の長期化やリピート率の増加につなげる取組を進めるなど,「稼ぐ力」の向上に向けた施策に取り組んでまいります。
また,PR・観光関連施策と文化・スポーツ関連施策の連携強化及び効果的な展開により地域の「稼ぐ力」の向上を図るため,組織再編を行い,「観光・文化スポーツ部」を設置することとしております。
製造業については,次期「かごしま製造業振興方針」を本年度中に策定することとしており,「独自の技術・ノウハウを生かした新製品・技術の研究・開発」や「地域資源等を活用した新産業分野への参入や起業」など,5つの方向性を掲げることとしております。
また,製造業等の新分野進出やデジタル化の推進,起業等のスタートアップ支援等新たな産業による「稼ぐ力」の創出に向けた取組を支援するため,産業立地課内に新たに「新産業創出室」を設置し体制を強化することとしております。
県としては,本県製造業の長期的な発展のため,国,県の研究機関や大学,支援機関等との連携を強化するとともに,地域経済を牽引する中核企業等による研究開発や生産性向上に向けた設備導入等に対する支援のほか,情報関連産業など新たな分野への参入や,起業に向けた機運醸成や事業化への支援などの取組を通じて,本県製造業の「稼ぐ力」を引き出し,地域経済の好循環を高めてまいります。

第三は,「デジタル社会の実現」であります。
デジタル化について,国は,デジタルの活用により,一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ,多様な幸せが実現できる社会を掲げており,昨年12月25日には「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」が策定されたところであります。
本県においては,県全体のDXに係る企画・総合調整及びデジタル関連施策の推進を図るため,新たに「デジタル推進課」を設置するとともに,DX推進に向けた課題と基本的な方針を明確にするため,令和3年度に「鹿児島県DX推進戦略(仮称)」を策定することとしております。
また,農林水産業への先端技術の導入支援,遠隔医療等の推進,介護分野へのICTの導入支援,サービス業,製造業のIoT,ITの導入支援,県有施設のキャッシュレス化や中小・小規模事業者へのキャッシュレスの導入支援,教育の情報化の推進など,デジタル社会の実現に向けた取組を進めてまいります。

第四は,「地域づくり・人づくり」であります。
本県産業の振興のためには,地域を支える人材,新たな未来を切り拓いていく人材の確保・育成が大切であると考えております。
このため県では,中長期的な観点から,ふるさと鹿児島の産業を担う人材の確保・育成を図るため,「かごしま故郷人財確保・育成プロジェクト」に引き続き取り組むとともに,新たに,ポストコロナを見据えた産業人材の確保・育成をテーマとする「ふるさと人財フェスタ」の開催や,UIターン就職を希望する学生等が,本県内で行うインターンシップや採用面接に対し,交通費等の支給を行う県内企業等への支援に取り組んでまいります。
また,将来鹿児島に住んで,郷土の発展を支えようとする人材を育成するため,青少年社会教育施設を拠点とした体験活動や産学連携に取り組む大学等を活用したアカデミック・インターンシップなどを実施し,郷土教育の充実を図ってまいります。
農林水産業の担い手確保のうち,農業については,県内外での就農相談や農業インターンシップの実施,農業大学校での教育・研修などによる新規就農者の確保,農業次世代トップリーダー塾の開催などによる担い手の育成に加え,農福連携の推進や外国人材の安定的な受入れに向けた環境整備など,多様な人材の確保に向けた取組を推進してまいります。
林業については,就業相談や雇用情報の提供などによる就業者の確保,技能レベルに応じた各種研修の実施による担い手の育成に加え,森林整備の中核的な担い手である「意欲と能力のある林業経営者」が実施する雇用拡大等の取組への支援などを行ってまいります。
また,水産業については,就業相談や漁業のイメージアップの取組による就業者確保,漁業学校による担い手育成に加え,新米漁業者みまもり隊の運営・活動等定着を図る取組などの支援を行ってまいります。
中小企業等の事業承継の促進については,事業承継の経営課題を抱える県内中小企業に対し,経営者等を対象としたセミナーの開催や企業評価等に係る経費の補助等を行うことにより,事業承継が円滑に進められるよう,関係機関と連携しながら支援してまいります。
地域おこし協力隊については,研修会や起業セミナーの開催,隊員の相談体制の充実など,市町村と連携し,今後とも積極的かつ円滑な活用が図られるよう取り組むとともに,退任後の地域への定住・定着が促進されるよう努めてまいります。
移住・交流については,大都市圏における移住・交流セミナーの開催など,市町村と一体となって本県への移住人口の増加を目指した取組をより一層進めるとともに,新たな交流人口・関係人口の創出・拡大を図るため,鹿児島ならではのワーケーションを促進するなど,より多くの方々に選んでもらえる地域づくりに努めてまいります。

第五は,「2050年カーボンニュートラルの実現」であります。
地球温暖化対策については,新たに学識経験者や関係団体,県内企業の代表者等で構成する「2050年鹿児島ゼロカーボン推進委員会」を設置し,今後の施策展開や「県地球温暖化対策実行計画」の見直し等に当たって,様々な立場から意見や助言をいただくとともに,同計画の取組状況調査等を行い,産業部門,運輸部門,家庭部門などの部門毎に重点的に取り組むべき施策等について検討を進めてまいります。
また,県内のエネルギー起源の二酸化炭素排出量の約4割を占める運輸部門の排出削減を図るため,充電インフラの民間への導入支援を行うほか,県において率先して排出削減に取り組む姿勢を示すため,今後の公用車の更新について,原則,燃料電池自動車,電気自動車,ハイブリッド車等次世代自動車への転換を図ってまいります。
再生可能エネルギーについては,小水力発電やバイオマス発電の導入を活性化させるための検討,市町村と連携したエネルギーを地産地消するまちづくりなどに取り組んでまいります。また,新たに,民間事業者等が燃料電池や蓄電池等の自立・分散型エネルギー設備を導入する際の支援を行うなど,地産地消型再生可能エネルギーの導入を進めてまいります。
また,森林吸収源対策として計画的な間伐や伐採後の再造林等による森林整備を進めるとともに,炭素を長期間貯蔵することが期待される木材の利用促進を図ってまいります。

第六は,「高齢者や女性,障害者,子どもなど,誰もが安心して暮らし,活躍できる社会の形成」であります。
地域で高齢者を支える仕組みづくりについては,これまでの高齢者のグループポイント,個人ポイントに加え,来年度から,若者,中年齢層,高年齢層など各年齢層の方が,高齢者の見守りや,買い物支援などのボランティア活動を行うことに対してポイントを付与する事業を新設し,地域で高齢者を支える人材の裾野を広げ,更なる促進を図ることとしております。
介護人材の確保については,県内介護施設での就労を希望する外国人留学生への支援や,元気高齢者等を対象とする入門的な研修の実施など,介護分野への参入促進に努めてまいります。
また,介護人材の確保が一層困難な離島・中山間地域等において,大都市圏をはじめとする地域外の人材の参入を促進するため,就職に必要な費用を助成するほか,事業所が行う地域外での採用活動等を支援することとしております。
男女共同参画の推進については,SDGsの目標の一つでもある「ジェンダー平等」の実現に向けて,職場等におけるジェンダーギャップを解消するため,円卓会議の開催等により企業をはじめ県民の取組に向けた気運醸成を図ってまいります。
また,女性の様々な分野への参画を促進するため,能力向上やネットワークの構築などを支援するセミナーの開催等に取り組んでまいります。
障害者支援については,引き続き,各地域で意見交換会を開催し,障害者の方々から直接御意見を伺うほか,外見から障害のあることが分かりにくい方などが配慮や援助をより受けやすくなるよう,ヘルプカードに加えて,ストラップ型のヘルプマークを導入してまいります。
また,かごしま県民手話言語条例を踏まえ,新たに,県民に手話を普及するための講座を各地域で開催するとともに,手話通訳者を養成するための指導者の育成を行うなど,ろう者の方が手話を使用しやすい環境の整備等を進めてまいります。
重度心身障害者医療費助成制度については,他都道府県の事例も参考にしながら,制度の在り方について検討を行うため,必要な調査を行うとともに,市町村や関係機関との協議・調整を進めてまいります。
子どもの医療費については,経済的な理由から医療機関の受診を控え,症状が重篤化することを防ぐため,医療機関等での窓口負担をなくす制度の対象を,本年4月から住民税非課税世帯の小学生・中学生・高校生まで拡充いたします。引き続き,医療機関や市町村等と連携しながら,制度の円滑な導入・運用に取り組んでまいります。
児童虐待防止対策については,「令和元年8月死亡事例に係る検証報告書」の提案内容等を踏まえ,児童相談所の業務執行体制を強化するため,児童福祉司,児童心理司を増員するほか,中央児童相談所に「心理判定課」を新たに設置し,児童の心理診断等について専門性を高め,組織的対応力を強化することとしております。
また,関係機関との連携を強化するため,警察本部から警察職員を出向により中央児童相談所に配置するとともに,児童相談所の補完的役割を担う児童家庭支援センターを南薩地域に設置することとしております。
引き続き,検証報告書の提案内容等を踏まえながら,市町村をはじめ関係機関相互の緊密な連携のもと,児童虐待への確実な対応・防止に努めてまいります。

第七は,「奄美世界自然遺産登録と更なる振興」であります。
奄美の世界自然遺産の登録の可否が審議されるユネスコ世界遺産委員会が,いよいよ今年6月から7月に中国福建省福州市において開催されます。
世界遺産委員会の開催は,登録に向けた関係者のこれまでの取組が実を結ぶ最終段階の極めて重要なものと認識しており,引き続き,国,沖縄県,地元市町村等との連携を更に密にしながら,奄美の世界自然遺産登録に向け,着実に取り組んでまいります。
また,世界自然遺産への登録を契機に,奄美のすばらしい自然を次の世代に継承する気運を更に高めるとともに,地域資源を生かした観光をはじめ,地域経済の活性化が図られるよう努めてまいります。

第八は,「東京2020オリンピック・パラリンピック,かごしま国体・かごしま大会への取組」であります。
今年は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され,本県でも聖火リレーが4月27日,28日に実施されます。
オリンピック・パラリンピックの感動と興奮を令和5年に開催する「かごしま国体・かごしま大会」につなげてまいります。
「かごしま国体・かごしま大会」の翌年には,佐賀県での大会開催が予定されており,2年連続での九州開催となることから,両県のアスリートや学生など県民の幅広い交流や関係強化に資する取組を実施し,両県の大会を「双子の大会」として盛り上げるとともに,「コロナ禍からの再生と飛躍」を象徴するスポーツ大会として成功を目指してまいります。
開催県として天皇杯・皇后杯を目標として全力を尽くすという決意で取り組むとともに,「かごしま国体・かごしま大会」が,県民はもとより,全国の皆様にとってもすばらしい,思い出に残る希望に満ちた大会となるよう,着実に取組を進めてまいります。

その他の各般の施策についても着実に取り組んでまいりたいと考えております。

県の組織体制については,政策立案・政策調整機能の充実・強化や県全体のDXに係る企画・総合調整を図るほか,地域振興に資する取組をより一層推進するため,企画部を改組し,新たに「総合政策部」を設置したいと考えております。
鹿児島の目指す姿や施策展開の基本方向などを取りまとめた「かごしま未来創造ビジョン」については,新型コロナウイルス感染症の拡大やDXの推進,カーボンニュートラルの実現など,昨今の社会経済情勢の変化等を踏まえ,令和3年度に所要の見直しを行いたいと考えております。
新たな行財政運営の指針については,現行の行財政運営戦略の策定後9年が経過することから,この間の本県を取り巻く社会経済情勢の変化に対応するため,令和3年度中の策定に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
いじめ再調査に係る再発防止策等については,再発防止策等検討会において,提言の作成に向けた検討を行っているところであります。
引き続き,再調査委員会の調査結果や提言を踏まえて,専門家の御意見を伺うとともに,御家族の御意見を伺いながら再発防止策を検討してまいります。
文化芸術の振興については,今年度中に策定する県文化芸術推進基本計画に基づき,文化芸術の創造活動の促進と鑑賞機会の充実,地域文化の継承・発展と地域づくりへの活用など,文化の薫り高いふるさとかごしまの形成に向けた取組を推進してまいります。
また,文化芸術を通じた交流人口の拡大や地域活性化を図るため,歴史・文化施設等におけるイベントの開催支援や,御楼門及び鶴丸城跡を活用したにぎわい創出などの取組を進めてまいります。
さらに,本年10月には,伝統芸能の保存・継承に尽力してきた団体等の顕彰や発表の場の創出を通じ,担い手の育成や更なる振興を図るため,第29回地域伝統芸能全国大会を鹿児島市及び霧島市において開催します。
消費者行政の推進については,令和3年度からスタートする第4期「県消費者基本計画」に基づき,県民の皆様の消費生活の安定・向上のため,消費者教育の推進や相談体制の強化に取り組んでまいります。
また,食品ロス削減など持続可能な社会の実現に向けた消費者と事業者との協働促進に取り組んでまいります。
馬毛島における自衛隊施設の整備等については,昨年12月に,国から,飛行場や港湾施設等の詳細検討業務について,近日中にも入札公告を行いたい旨の連絡があり,県としては,国の唐突な対応について,極めて遺憾であると抗議するとともに,本県及び関係自治体への丁寧な説明を重ねて申し入れたところです。
一方で,詳細検討業務は,住民の質問に適切に回答するためにも必要であることなど一定程度,理解できる部分もあったため,騒音など住民の関心が高いものから検討し,丁寧に住民の皆様に説明していただきたいとの意見を,国に伝えたところであります。
関係自治体の首長とは,先の第4回県議会定例会以降,南種子町長,屋久島町長及び南大隅町長と個別にお会いし,それぞれの考えや地元の状況などについて伺ったところであります。
また,今月19日には,国が環境影響評価の方法書を公告し,3月18日まで縦覧を行っているところです。
馬毛島における自衛隊施設の整備等については,国による住民説明会などにおいて,様々な意見や要望も出ていることから,国においては,十分な説明責任を果たしていただく必要があると考えております。
今後とも,国による説明や地元の意見をお聞きした上で,県としての考え方を整理し,対応を検討してまいりたいと考えております。
新たな総合体育館については,県内外の各分野の専門家を構成員とする「総合体育館基本構想検討委員会」を昨年設置し,第1回検討委員会を開催したところであります。
また,同委員会における検討に資するため,現在,需要予測調査を実施しているところであります。
県としては,同委員会における検討結果を踏まえ,県民の皆様の御意見なども伺いながら,令和3年度中の基本構想策定を目指して取組を進めてまいります。
現行の「過疎地域自立促進特別措置法」については,今年度末で期限が到来することから,県議会の皆様方をはじめ,県選出の国会議員,関係市町村等と一体となって,新たな過疎対策の立法化等を国に強く要請してきたところであり,今国会において新たな法案の審議がなされる予定となっております。
今後とも,関係市町村とも連携を図りながら,過疎地域の振興と活性化が図られるよう取り組んでまいります。
奄美群島の振興については,航路・航空路の運賃軽減や農林水産物の輸送コスト支援など,奄美群島が有する条件不利性の改善などの取組を推進しているところであります。
また,世界自然遺産登録を見据え,沖縄県との交流の促進や両地域を周遊するルートづくりのほか,屋久島と奄美の2つの世界自然遺産を活用した島旅の魅力発信等による誘客促進などの取組を引き続き進めてまいります。
離島の振興については,特定有人国境離島地域における航路・航空路運賃の低廉化や輸送コスト支援などを着実に実施してまいります。
また,自然条件等が特に厳しい離島地域における特定離島ふるさとおこし推進事業などを実施し,離島地域の活性化に着実に取り組んでまいります。
鹿児島空港の機能向上については,令和元年に策定した「鹿児島空港将来ビジョン」の実現に向けて,今年度,関係機関・団体による推進協議会を設置し,国際線の新規路線等の誘致や旅客ターミナルビル等の再整備のあり方などについて,御意見をいただいたところです。
今後とも,同協議会において必要となる施策等について協議等を行い,県議会をはじめとした関係者の皆様方の御意見も十分にお聞きしながら,来年度末を目途に,同将来ビジョンの工程表を策定することとしております。
「知事とのふれあい対話」については,これまで6市町において開催し,参加された方々と地域の現状や課題,振興策等について,率直な意見交換を行ったところであります。
1月と2月に予定していた対話は,新型コロナウイルス感染症の影響により延期としましたが,感染状況を踏まえながら,できるだけ早期に全市町村において開催し,県民の皆様の声を県政に反映するとともに,透明で開かれた県政運営を行ってまいります。
国際交流については,南に開かれたアジアの玄関口としての地理的優位性を生かして,アジア各国地域との間で各般にわたる交流を展開してきているところであります。
このうち,台湾については,昨年屏東県知事から,本県と交流を行いたいとの打診があり,私としては,屏東県との交流を進めてまいりたいと考え,現在,両県で具体的な交流の内容について協議を行っているところであります。
今後とも,屏東県をはじめ台湾との積極的な交流を進めてまいりたいと考えております。
水俣病対策については,昨年12月に認定審査会を開催し,審査会の答申を受けて,今月,申請者に結果を通知したところであります。
今後とも,認定申請者の審査を進めるなど,水俣病対策の円滑な実施に取り組んでまいります。
総合的な医師確保対策については,令和元年度に策定した「県医師確保計画」に基づき,医師修学資金の貸与や臨床研修医の確保などに取り組んでまいります。
また,医療従事者の離職防止や医療安全の確保を図るため,医療機関が行う勤務環境改善への取組を支援してまいります。
看護職員の確保対策については,今月17日に看護職員確保対策検討会を開催し,令和3年度から令和7年度を計画期間とする「県看護人材確保計画(案)」を取りまとめたところであります。
障害福祉サービスの提供体制の確保等については,今月9日に県障害者施策推進協議会を開催し,令和3年度から令和5年度を計画期間とする次期県障害福祉計画の素案を取りまとめ,現在,パブリックコメントを実施しているところであります。
動物愛護の推進については,1月22日に動物愛護推進協議会を開催し,令和3年度から令和12年度を計画期間とする県動物愛護管理推進計画の素案を取りまとめ,現在,パブリックコメントを実施しているところであります。
本県における高齢者の保健・福祉等に係る各種施策の基本的な計画である次期高齢者保健福祉計画については,令和3年度から令和5年度を計画期間とする素案を取りまとめ,1月27日までパブリックコメントを実施し,今月9日の作成委員会で了承をいただいたところであります。
これらの各計画については,県民の皆様方から寄せられた御意見や県議会での御論議等を踏まえ,今年度中に策定することとしております。
企業立地の推進については,今年度は,新型コロナウイルス感染症の影響により,企業の設備投資に慎重な動きがみられる一方で,これからを見据えた投資を着実に実行しようとする企業もみられ,これまでに,食品や電子・機械関連企業を中心に28件の立地が決定したところであります。
引き続き,鹿児島の特性を生かした企業誘致の展開に努めてまいります。
また,デジタル社会の推進や若者の雇用の場の創出に向け,企業立地促進補助制度を拡充し,IT関連企業の誘致に積極的に取り組んでまいります。
県内の雇用情勢については,昨年12月の有効求人倍率は,前月から横ばいの1.10倍となっており,5か月連続で全国平均を上回っているところであります。
県としては,新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,オンライン化が進む就職活動に対応するため,高校生や大学生等を対象としたWebを活用した合同企業説明会や県内企業のWebによる採用活動をサポートするセミナーなどを開催し,新規学卒者をはじめとした若年者等の県内定着を促進してまいります。
サツマイモ基腐病対策については,令和3年産に向けて,南薩,大隅,熊毛地域に設置したプロジェクトチームにおいて,現在,個別カウンセリングの実施や,実証ほの設置等を進めるとともに,これまでに明らかになった対策等について研修会等を通じて広く農家に指導しているところであります。
また,令和2年産の被害程度や3年産に向けた取組に応じて10アール当たり最大5万円が交付される支援策等については,基金事業等を活用して事業を実施しているところであります。
基腐病の農薬登録については,新たな農薬の登録試験に取り組み,その早期登録を国に要請しているところであります。
引き続き,これらの対策を積極的に活用しながら,基腐病対策に全力で取り組んでまいります。
1月13日にさつま町の養鶏農場において発生した高病原性鳥インフルエンザについては,発生農場における鶏の殺処分など一連の初動防疫措置を迅速に実施するとともに,鶏や卵などの移動や搬出を制限する区域を設定し,消毒ポイントにおける車両消毒を実施するなど,まん延防止を図ったところであります。
また,1月28日には,これらの防疫措置に必要な経費や発生に伴う移動制限により影響を受けた養鶏農家に対する支援に係る経費について,補正予算の専決処分を行ったところであります。
その後,移動制限区域内の農場の清浄性確認検査で異状が認められなかったことなどから,2月5日午前0時をもって移動制限を解除したところであります。
国の疫学調査の結果概要では,小型の野生動物が侵入可能な隙間が確認されたとの報告があり,また,野鳥等における高病原性鳥インフルエンザウイルスの検出も続いていることから,県としては引き続き,野鳥の監視を継続するとともに,養鶏農家に対して,改めて鶏舎や防鳥ネット等の点検及び修繕など飼養衛生管理基準の遵守の再徹底を図ってまいります。
令和4年度に本県で開催される「第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会」については,同共進会の企画・運営,広報,出品対策等の一層の強化を図るため,「全国和牛能力共進会推進室」の体制を拡充することとしております。
県としては,霧島市や関係機関・団体等と一体となり,会場設営等の準備や大会のPRに努めるとともに,本県大会での連覇に向けて,全力で取り組んでまいります。
高規格幹線道路については,東九州自動車道の鹿屋串良ジャンクションから志布志間において,本年夏頃の供用に向け整備が進められております。
また,南九州西回り自動車道の芦北出水道路及び阿久根川内道路においても,早期完成に向け整備が進められております。
地域高規格道路である都城志布志道路においては,今月27日に有明東インターから志布志インター間,3月28日には宮崎県金御岳インターから末吉インター間を供用開始することとしております。
今後とも,高規格幹線道路や地域高規格道路の早期供用に向け,国と一体となって整備に努めてまいります。
屋久島空港については,ジェット機の就航に必要な滑走路2,000mの延伸の事業化に向けた取組を進めているところです。
これまで,住民の合意形成を図るためのパブリック・インボルブメントを実施し,基本計画を確定したのち,環境影響評価の手続や測量等を実施してきているところであり,引き続き,環境影響評価の手続を進めるとともに,新たに基本設計等を行うこととしております。
鹿児島港本港区エリアのまちづくりについては,コンベンション・展示機能を備える施設の整備など,改めてまちづくりの方向性を検討することとしており,来年度においては,ドルフィンポート跡地等における同施設に係る整備可能性調査を行うこととし,県内外における既存の類似施設の整備・運営状況や,コンベンション・展示会の市場動向等も踏まえながら,本県に適した施設のあり方等について検討を進めてまいります。
昨年は,7月の豪雨災害や台風第10号により住宅をはじめ,道路や河川,農作物などに多大な被害が発生しました。
県としては,災害救助法や避難所等の関係業務を危機管理防災局に一元化し,迅速かつ効果的,効率的な災害対策の推進を図るとともに,国の施策とも連動し,防災・減災対策の推進,地域防災力の強化,災害発生時の即応力の強化により一層努めてまいります。
また,令和3年度からは,これまでの3か年緊急対策に引き続き,「防災・減災,国土強靭化のための5か年加速化対策」に重点的かつ集中的に取り組むなど,防災対策を推進してまいります。
あわせて,豪雨等に伴う自然災害から人的被害を未然に防止するため,洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域等の指定の推進,水位情報など各種防災情報の提供に努めてまいります。
川内原発については,1月8日に開催した県原子力安全・避難計画等防災専門委員会において,特定重大事故等対処施設の運用開始について九州電力から報告がなされるとともに,廃棄物搬出設備の設置に係る審査結果について原子力規制庁から報告がなされました。これを受け,委員からは,特重施設の運用方法や情報公開のあり方等について意見が出されるなど,活発な議論がなされたところであります。
今年度の原子力防災訓練については,今月6日に,国や関係市町と連携して実施することとしておりましたが,新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が11都府県に発令され,同区域を含む感染拡大地域からの関係機関等の要員の参加が困難な状況となったこと,また,本県においても感染が拡大していたことなどから,関係市町と協議の上,今年度の訓練を中止したところであります。
今年度の訓練では原子力防災アプリの試作版を活用して,原子力災害時における避難の円滑化について検証を行い,その検証結果を踏まえて,引き続き開発を進めることとしておりましたが,今後,どのような形で検証を行うか,関係市町と協議してまいりたいと考えております。
今後とも,県民の生命と暮らしを守る観点から,川内原発の安全対策・防災対策の充実・強化に取り組んでまいります。
県立楠隼中学校・高等学校の共学化や全寮制の廃止については,生徒,保護者を対象に実施したアンケートの結果や,周辺市町などの意見を踏まえ,今後のスケジュールや進め方について検討してまいりたいと考えております。
いじめ問題等の対策については,24時間対応の電話相談窓口やSNSを活用した相談窓口による対応を引き続き実施してまいります。また,スクールカウンセラー等を全公立小中学校,県立高等学校及び特別支援学校に派遣することや,きめ細やかな学校生活アンケートの実施,自殺予防教育に関する研修の実施など,相談体制の充実を図り,いじめ問題等の未然防止・早期発見に取り組んでまいります。

[4歳入予算]
次に,歳入予算について申し上げます。
まず,県税については,最近における本県経済の動向や県税収入の状況,税制改正の影響や地方財政計画などを踏まえ,前年度当初予算に比べ,
4.4パーセント減の1,438億22百万円を計上しております。
地方交付税については,地方の財源不足に対応するために地方交付税の代わりに発行する臨時財政対策債を加えた実質的な地方交付税総額で,前年度当初予算に比べ,6.0パーセント増の3,200億47百万円を計上しております。
県債については,1,054億5百万円を計上しておりますが,臨時財政対策債等を除きますと623億80百万円となっております。
使用料・手数料については,必要な見直しを行うとともに,その他の収入についても,それぞれ見込みうる額を計上しております。

[5令和2年度補正予算及びその他の議案]
次に,令和2年度補正予算について概要を申し上げます。
今回の補正予算は,先ほど申し上げました国の補正予算に対応するなどして682億14百万円を計上することとしております。
このほか,災害復旧事業や公債費などの額の確定に伴う減額を行うほか,歳入については,県税が大幅に減少することから,減収補塡債70億66百万円を追加発行することとしております。
これらの結果,一般会計補正予算の総額は,282億16百万円の増となっております。
また,あわせて,営業時間短縮要請や感染拡大地域との往来の自粛要請などにより大きな影響を受けている事業者を対象とした事業継続緊急支援金の拡充に要する経費として21億2百万円を計上することとしております。
このほか,「鹿児島県部等設置条例の一部を改正する条例制定の件」など,条例案22件,その他の議案14件,報告5件となっております。
なにとぞよろしく御審議の上,議決していただきますようお願い申し上げます。

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