更新日:2025年9月3日
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鹿児島県教育委員会は,国立大学法人鹿児島大学大学院教育学研究科髙瀬研究室(助教:髙瀬和也),国立大学法人静岡大学教育学部塩田研究室(准教授:塩田真吾)と共同で,「リスクへの自覚を促す教員研修教材」シリーズ第3弾として,「児童生徒との不適切な関係のリスクを題材とした教員研修教材シリーズ」を開発しました。研修などで利用できる教材一式を本日より提供開始します。
昨今,盗撮やわいせつ等の児童生徒性暴力等をはじめとして,教員による不祥事が全国で発生しており,学校現場での服務研修の実施が喫緊の課題となっております。従来は,チェックリスト等による学校内の点検やルールの徹底,教員不祥事の事例紹介等といった対策が中心となって展開されてきましたが,点検項目が増えるほど対策行動がとられなくなることが懸念されるほか,事例を紹介するほど不祥事リスクそのものが他人事として捉えられてしまうことが指摘されてきました。
このような状況を踏まえて,三者は,学校職員が児童生徒と私的な連絡先を交換してしまう場面を中心に,「もし自分が児童生徒と私的な連絡先を交換してしまうと仮定したら,どのような条件・環境・経緯が揃った場合であるか」を逆算的に考えさせる手法を用い,教員研修教材として開発しました。当教材は鹿児島大学髙瀬研究室と静岡大学塩田研究室が開発し,鹿児島県教育委員会が監修しています。
今回は,既に公開したシリーズ第1弾「導入&飲酒運転のリスクver.」,第2弾「職員間ハラスメントのリスクver.」,第0弾「教員のライフキャリアとリスクver.」に続けて,第3弾「児童生徒との不適切な関係のリスクについて考えようver.」を公開しました。
教員のリスクに対する自覚意識を育むべく,すべての学校の先生方や教育関係者の皆様に,広くご活用いただけますと幸いです。
ワークシート教材は,下記リンクよりダウンロードしてお使いいただけます。
シリーズ3 児童生徒との不適切な関係のリスクについて考えよう[NEW](PDF:1,207KB)
シリーズ0 教員のライフキャリアとリスク(PDF:1,157KB)
シリーズ2 職員間ハラスメントのリスク(PDF:973KB)
失敗や間違い,思い込みは人につきもので,不祥事につながる高リスク状況へと陥る要因は生活の至る所に散らばっています。本教材は,研修を受講する一人ひとりがリスクを自分事として捉えるための内容を重視しました。本シリーズ教材が,学校現場を支える先生方にとって,自らのライフキャリアを損なわずに,リスクを身近なものとして考えるきっかけになれば幸いです。
プロフィール:早稲田大学大学院博士課程修了,博士(学術)。専門は,教育工学,安全人間工学,情報セキュリティ教育。人のエラーをどのように減じられるかについて,安全人間工学の観点から研究している。主な論文に,「ヒューマンエラー対策手法を用いた個人情報漏えいを防ぐ教員研修教材の開発と評価」(2018)などがある。
不祥事を起こすことのリスクは,十分知られています。しかし,いくら「懲戒処分になります」と言われても,なかなかそのダメージを具体的にイメージすることは難しく,そのことが防止策になりにくいという現状があります。そこで本教材では,まずは自分のライフキャリアの充実を考え,その上でそれを失うことをイメージさせる手法を取り入れています。ライフキャリアの充実とリスクを両輪として考えるという手法をぜひ活用していただければ幸いです。
プロフィール:早稲田大学大学院博士課程修了,博士(学術)。静岡大学助教,講師を経て現職。専門は,教育工学,情報教育,授業デザイン。「社会とつながる授業」をテーマに,さまざまな企業と連携しながら「授業デザイン」について工学的に研究している。主な著書に,『行動改善を目指した情報モラル教育』(2018)などがある。
このたび,鹿児島大学高瀬研究室および静岡大学塩田研究室のご協力により,本県教職員の服務指導に新たな視点を取り入れることができました。開発された「リスクへの自覚を促す教員研修教材」により,本県の全教職員が不祥事根絶に向けた取り組みを一層「自分事」として捉え,職場内の対話を通じて自己を振り返ることを期待しています。引き続き,両研究室とともに,この教材のシリーズ化に向けた取り組みを進めてまいります。
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