更新日:2020年7月9日
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第5回かごしま・人・まち・デザイン賞では,応募総数41件のうち景観づくり部門4件,都市デザイン部門4件の表彰を行いました。
受賞された皆様に深く敬意を表しますとともに,本賞に御応募いただいた皆様に心から感謝を申し上げます。
なお,表彰の対象等については,以下ホームページを御覧ください。
所在地 | 大島郡和泊町国頭 |
活動団体 | 和泊町立国頭小学校 |
概要 | 明治31年に第1期卒業生が植樹したガジュマルの木は,太平洋戦争の空襲や多くの台風を乗り越え,悠然と存在している。 この木の下には日々,地域住民,観光客などが集まり,生徒だけでなく,みんなの憩いの場となっている。この木の存在もあって,和泊町は昭和55年にガジュマルの木を町木に指定した。 地域の学校に植えた一本の木が,地域の枠を超え,町全体の誇り,シンボルとなるのは他に例はなく,小学校や保護者達をはじめとする地域が,この木を大切に守ってきた成果といえる。 |
講評 | 第1期卒業生から受け継がれた学校の財産が地域の人々にも守られ,地域の大きな財産になっている。幹回り6m,枝張り22mの日本一と言われるこの巨木は,実に壮観な景観を創出している。一本の木を地域のシンボルとして守り続けていることは素晴らしく,全国的にも誇るべきであり,高く評価できる。 また,多くの人にこの木を知ってもらおうと,木から苗を作り,島外の人に配布している点も特筆に値する。 |
所在地 | 大島郡大和村国直 |
活動団体 | 特定非営利活動法人TAMASU |
概要 | TAMASUは,伐採されることの多かったフクギを植樹し,並木道として整備して集落内外からの多くの人を集めている。その他にもツツジのウォーキングツアーなど集落の景観を生かしたイベントを行い,地域を活性化させている。 こうしたTAMASUの活動に影響を受け,住民一人一人が景観について考えるようになり,集落全体で景観の保全に取り組むようになった。なお,TAMASUは,自然の恵みをみんなで共有する奄美大島の方言「たます」に由来する。 |
講評 | 成長の遅いフクギの木を防風林として家々や集落を守る並木として復元し,景観づくりだけでなく,集落再生に取り組んでいる。何より,子どもから大人まで集落全体で一丸となって,景観の形成を行い,地域活性化への意識が高く,その積極的な活動が高く評価できる。 フクギの成長の遅さを考えると,この活動は長い年月を要するが,ぜひその継続を期待したい。 |
所在地 | 南さつま市坊津 |
活動団体 | 特定非営利活動法人坊津やまびこ会 |
概要 | 港町として栄えた坊津は,過疎化及び人口減少に悩まされている。坊津やまびこ会は,地域を元気にしようと16世紀に坊津の美しい景色を詠んだ「坊津八景」を船で巡る「遊覧船坊津八景」を企画し,運航している。 遊覧船では,和歌が詠まれた時とほとんど変わらない景色を楽しむことができ,4世紀以上前の人が美しいと感じた景色を同じ視点で体験できるのは貴重である。 |
講評 | 独特の歴史・文化的景観を保全し,新たに和歌にちなむ八景巡り等,多角的な取組により,地域活性化に大きく寄与している。 単に美しい自然景観というばかりでなく,和歌という「文化」と景観の関わりとして独特であり,新たな魅力的な景観発掘への取組を評価したい。 |
所在地 | 姶良郡湧水町 |
活動団体 | 栗若会 |
概要 | 地元の商業や建設業者の2代目で構成される栗若会は,丸池湧水の美しさを守るため,毎年,重機を入れて繁茂する藻の除去を行っている。 活動期間は20年を越え,活動の成果により発生する藻の量は年々減ってきており,美しい丸池湧水を見に多くの人が訪れている。 「地域のために行動する」という先代からの教えを,3代目に引き継ぐのが栗若会の次の目標である。 |
講評 | 地域住民のみならず,一定の技術と道具を持った地元の人達が中心となって無償で景観の保全に取り組んでいることは,特筆に値する。 20年もの長きにわたって湧水保全活動を継続している点も評価できる。 |
所在地 | 奄美市名瀬 |
所有者 管理者 |
カトリック鹿児島司教区 |
設計者 | 株式会社酒井建築事務所 |
施工者 | 株式会社松元組 |
その他計画に 携わった者 |
株式会社大都電気 |
概要 | 「カトリック名瀬聖心教会」は,大正11年より長きにわたり奄美大島にカトリックの教えを伝える教会である。 現在の聖堂は築50年にもなり,この歴史ある施設を後世に伝えようと,内装改修を中心としたリノベーションが行われた。 内装は白を基調とし,壁面の一部を木材で仕上げることで,暖かさが感じられる仕上がりとなっている。さらに,壁面に配置されたステンドグラスから日光が差し込めば,また違った神秘的な表情が表れる。 施設と,その利用者を大切に思う気持ちが伝わってくる計画となっている。 |
講評 | 素材を生かし,丁寧に継承した高質な仕上げになっており,自然光の取り入れ方等,一つのデザインとしてもクオリティが高い。 単なるリノベーションではなく,歴史や宗教的な重み,関わった人々の思いが形になっている。 変わらない良さを残したまま,地域の方達の努力で聖堂の価値を高めたことはすばらしく,戦後建築の保存例として,高く評価できる。 |
(完成年度:平成29年度)
所在地 | 南九州市頴娃町 |
所有者 管理者 |
濵﨑イク子・特定非営利活動法人頴娃おこそ会 |
設計者 | 根本修平 |
施工者 | 鹿児島県立頴娃高校,頴娃町の皆さん |
その他計画に 携わった者 |
市村製材,原田弘志,加藤潤,西村要 |
概要 | 「塩や、」は,地域の観光事業を担う頴娃おこそ会と大学が中心に取り組んでいる地域再生プロジェクトのシンボルとして,かつて塩などを販売する商店だった空き家を,観光交流拠点としてリノベーションしたものである。 内装改修工事は,その多くを住民と学生が協働で行っており,内壁などに用いた壁紙には住民主体のワークショップで作られた再生紙を使用するなど,地域で協力し,共につくりあげた施設である。 |
講評 | 限られた予算の中で,再生紙作成のワークショップをはじめとした地域協働で古民家再生を形にしている。建築物の歴史的な価値や伝統を生かしたデザインとしてのみならず,その活動をとおして観光のみならず,町の定住策と連携している点は特筆に値する。 本県における地域活性化策としての良好なモデルであり,今後も予定されているプロジェクトにも期待したい。 |
(完成年度:平成28年度)
所在地 | 鹿児島市千日町 |
所有者 管理者 |
有限会社あぢもり |
設計者 | 戸高+一級建築士事務所ODE |
施工者 | メモリーストーン久永株式会社,株式会社竹中工務店,奥山産業株式会社 |
概要 | 「咲耶島」は,飲食店の前庭にあるアートワークである。 桜島で採取された溶岩を中心に,枝垂れモミジやツバキといった数種類の植物から構成されており,一定不変のものではなく,常に成長する「生きた庭」として,鹿児島の自然の豊かさを表現した施設となっている。 鹿児島随一の繁華街にありながら,商業性を意識させない,ほどよい緑を配置したこの施設は,街に潤いを与えている。 |
講評 | 白石と黒褐色の溶岩とのコントラストや,生きた植栽との絶妙なバランスは,デザインアートとして評価できる。 さらに,市街地中心部の民地を,公共的な都市空間づくりに寄与するものとして提供し,人々に潤いやゆとりを与え,癒しの場を創出している心意気を高く評価したい。 |
(完成年度:平成26年度)
所在地 | 南さつま市加世田 |
所有者 管理者 |
本坊酒造株式会社 |
設計者 | 株式会社田代設計工房 |
施工者 | 長野建設株式会社,石川内装 |
その他計画に 携わった者 |
スタジオ・ライズ |
概要 | 「津貫蒸留所」と「寶常」は,本坊酒造株式会社津貫工場の一角にあり,いずれも既存の施設をリノベーションしたものである。 「津貫蒸留所」は蒸留塔を改修し,建設当時の蒸留器を見学できるコースを設けたり,アプローチに既存の石蔵を連想させるオブジェを設置したりと,景観やまちなみを意識しつつも,その歴史を現代に伝える施設となっている。 また,社長宅であった施設をバー&ショップにコンバージョンした「寶常」は,内装や家具をアンティーク調とし,当時の雰囲気を味わいながらお酒を楽しめる施設となっている。 |
講評 | 全体的に,新鮮でありながらも,歴史を感じさせるデザインとなっているところが評価できる。 和とモダンの調和を表現し,地域のランドマークとしての役割を上手く生かした取組である。 |
(完成年度:平成28年度)
平成30年2月8日(木曜日)知事応接室において開催しました。
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