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更新日:2022年6月1日

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第7号日本語要約版

04.10鹿児島県環境保護課

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記事1-自然保護に関する新知事就任コメント

このたび,第47代の鹿児島県知事に就任いたしました伊藤祐一郎です。
かねてから地球環境の保全に関する各位の積極的な取組に対し,深く敬意を表するものであります。また,2000年5月の世界自然遺産会議以来,皆様から寄せられております世界自然遺産「屋久島」での活動をはじめ本県に対する変わらぬ御厚情,アジア太平洋地域13カ国の皆様の友情にも感謝いたします。
私は,「環境の時代」と言われる21世紀は,豊かな自然の中で,世界中の子どもたちが国境の枠を超えて平和を実感し,五感ゆたかな子どもたちに育って欲しいと願っています。また,すべての人々がそれぞれのふるさとの自然や文化を守り,自然と人との共生をめざす社会であって欲しいと考えております。
鹿児島県では,前号でお知らせしたとおり,昨年5月に奄美群島が知床,小笠原諸島とともに日本の世界自然遺産候補地に選定されたことから,屋久島に続く当県2番目の世界自然遺産登録を目指した取組を進めているところです。
もとより我々人類へのかけがえのない贈り物である地球全体こそが世界遺産でありますが,屋久島における各種活動の充実や奄美群島での世界自然遺産登録へ向けた生態系の保全活動や我々一人一人が自然環境を理解する活動等を通じて,前述した目標に近づく役割の一端を担ってまいりたいと考えております。
今後とも,本県の自然保護の歩みに皆様の御理解と御指導をよろしくお願いいたします。
皆様のますますの御発展をお祈りしております。
なお,今号には,第2回世界自然遺産会議開催地からのメッセージも掲載しております。
皆様と“白神”でお会いできますように。(鹿児島県知事伊藤祐一郎)

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記事2-第2回世界自然遺産会議開催案内(日本国青森県からのお知らせ)

「第2回世界自然遺産会議」-豊かな自然と共生する地域づくりに関するアジア太平洋・白神山地会議につきましては,先に青森県知事三村申吾より開催のご案内をいたしておりますが,2005年10月15日から17日までの日程で,ユネスコ世界遺産センターの共催のもと,日本国青森県で開催いたします。
この会議は、人類共通の財産である世界自然遺産の保全とそのような豊かな自然を活かした地域づくりについて、地方政府・自治体の役割などの視点から議論するもので、2000年5月に鹿児島県で最初の会議が開催され、屋久島サミット宣言を発表するなど、大きな成果をあげています。
「白神山地」は、日本国の秋田県と青森県にまたがる広大な原生的ブナ林を特徴とする地域です。この地は、四季の違いが明瞭なことが特徴で、10月は、落葉広葉樹のブナが紅葉する特に景観のすぐれた時季です。
第2回の白神山地会議は、2005年のそのような時季に『大いなる生命(いのち)の循環見つめよう、自然の中の私たち』をテーマに開催するもので、鹿児島会議の後に新たに世界自然遺産となった地域の地方政府・自治体にも参加いただき、自然と共生する社会の形成を目指して、情報発信や意見交換を行うなど、有意義な内容となるよう準備に努めているところです。
この会議は、世界自然遺産の保全や自然と共生する地域づくりについて、知見や経験を共有し、また、相互の信頼・協力関係を築く素晴らしい機会です。関係の地方政府・自治体におかれましては、ぜひご参加くださるようこの紙面をお借りして重ねてご案内申し上げます。白神山地の紅葉の時季にお会いしましょう。

(日程等の概要)

2005年10月15日(土曜日)基調講演,分科会等,16日(日曜日)事例発表会等,17日(月曜日)白神山地サミット等
第2回世界自然遺産会議実行委員会事務局(青森県環境生活部自然保護課内)

屋久島NOW

記事3-1屋久杉※1の王たちを未来へつなぐ~「著名屋久杉遺伝資源保存林植樹祭を開催」

平成16年4月17日、上屋久町の旧小杉谷小中学校跡地において、島内外からの参加者総勢約200名により、縄文杉などの著名屋久杉遺伝資源保存林の造成に伴う植樹祭を開催。
九州森林管理局長等から、これまでに至った経緯等についてのあいさつがあり、来賓代表で鞆上屋久町助役が「貴重な著名屋久杉遺伝子の保存であり、大切に育成してほしい。」と祝辞を述べた。続いて林木育種センター九州育種場長から、著名屋久杉遺伝子苗木の目録が上屋久・屋久両町へ贈呈された。
その後、全員で著名屋久杉遺伝子の苗木百十三本を植樹。植樹した苗木は、九州森林管理局と林木育種センター九州育種場が連携し、農林水産省ジーンバンク事業の一環として平成7年度から縄文杉をはじめとする著名屋久杉26個体の遺伝子を収集し、その増殖事業に取り組んでいるもので,そのうち16個体のクローン苗木が「山出し」を迎えたことから、屋久島国有林内に植栽したもの。
なお、植栽した林については、今後学術研究や広く国民各層への広報等に展示・活用する。

※1“屋久杉”という名前は一般的な呼び名で,屋久島に育つ天然の杉の総称。著名屋久杉には弥生杉,紀元杉,大王杉などがあり,なかでも”縄文杉”は,推定樹齢が2600~7200年まで諸説ある代表的な屋久杉。

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記事3-2「第三回屋久島エコツーリズム推進検討会開催」

保護地域の保全には,自然保護に対する人々の理解や地域の経済的な基盤が重要な役割を果たすことから,屋久島では自然保護と地域の振興を両立するためエコツーリズムの活用が検討されている。
6月24日(木曜日)、環境省自然環境局九州地区自然保護官事務所主催で、第三回屋久島エコツーリズム推進検討会が開催された。
昼の部の検討会は一般公開され、関心ある多くの人々が参加。会議ではこれまでの検討結果が報告され、今年度の事業の進め方が検討された。
屋久島地区のモデル事業内容(案)として、「ガイド認定・登録制度の立ち上げ」、「集落自慢を活用したツアープログラムの開発支援」、「推進体制の構築」などを主体に活動していくことが発表された。
夜の部は、ガイド認定・登録制度についての意見交換会。この会は、これまでの検討結果の報告をするとともに、登録制度のあり方や内容、今後についてガイドとともに考える機会として開催されたもの。
屋久島エコツーリズム推進検討会委員や、ガイドなど77名もの人々が出席,関心の高さが伺える。
「エコツーリズムの推進という観点から制度を作り上げていくべき」、「どこが中心となってこの制度を進めていくべきか?」などの活発な意見が出され、会議は充実したものに。

記事3-3「屋久島自然体験セミナー~屋久島と参加者を結ぶ研修指導員の活躍」

すべての生命の源、「雨・川・海」水の島・屋久島。この生命の豊かさは、あふれる水の賜。「水」がテーマの二〇〇三年六月の「自然体験セミナー~屋久島・水物語」をご紹介します。
~初日~全国各地からやってきて、屋久島で初めて顔を合わせ、四日間共に過ごしていく。知らずの内に水に馴染んでいく。参加者同士、博物館見学などを通して屋久島を知る一日。今夜は特別にウエルカムパーティ~ミニコンサート。ここは自然だけでなく、島民たちもまた魅力的。歌はストレートに屋久島の魅力を誉め讃え、一方でシニカルに自分たちの暮らしが及ぼす自然への負荷というテーマをも投げかける。

~二日目~瑞々しくフサフサの苔に滴る水滴がキラリ輝く白谷雲水峡。深い森を沢沿いに登り、時折出くわす巨樹を仰ぎ見る。スタッフの案内で、島と森の成り立ちや屋久杉たちのことを聞きながら歩く。一人ひとり感じ方も違う。森がくれるメッセージを、最後に小さな絵に描き持ち帰る。

~三日目~カヌーはプロのガイドの指示に従って、一艇ずつ安房川へ漕ぎ出してゆく。中には流れに逆らえず流されていく艇も!スタッフや参加者同士の力を借りて上流を目指し、皆必死に漕ぐ!ヤマモモの実を水上からほおばったり、ターザンロープで子どもの様にはしゃいだり。時折たたきつける激しい雨で、上からも下からも水にずぶ濡れ。こんなに水浸しになったことがあるだろうかというくらい!
夕方、永田・うみがめ館に到着。ウミガメの生態のレクチャー。そして、夜が更け・・・隠された浜辺でウミガメの上陸を待つ。ウミガメは一度目の穴掘りに失敗し、次の穴掘り開始との連絡。明かりを浜に向けない様に細心の注意を払い浜へ降りる。卵を産み出すまでは非常に敏感。邪魔をしない様、息を殺して静かに浜辺でその様子を見守る。この営みが二億年も前から続いている。その深遠さを感じずにはいられない。

~最終日~白谷雲水峡・大川の滝で汲んできた水で茶話会。お茶のお点前を拝見、抹茶(水曜日)を味わう。参加者同士教え合い、互いにお茶を点てあったりしながら、お作法のまねごともまた楽しい。このセミナーに参加した人それぞれの中に、かたちを変えて水はまだ流れ続けていることでしょう。
移りゆく季節と共に、毎月自然体験セミナーは実施されます。中身は一つとして同じものはありません。そのとき、この屋久島で一緒にいるあなたが、この自然体験セミナーをつくるのです。

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記事4-世界自然遺産候補地「奄美群島」,どんな希少な動物が?

奄美群島には,固有種や固有亜種といった他の地域には見られない動植物が多く見られ,その中には他の地域では既に絶滅してしまった遺存種も含まれている。ここでは種の保存法の国内希少種を中心に紹介。
隔離され,面積が狭く,環境的には多様性が低いために固有の動植物が同時に希少性を持ちやすい。
ほ乳類では,アマミノクロウサギ(Pentalagusfurnessi)が希少な動物の代表。これは,奄美大島と徳之島の2島のみに分布する1属1種の固有種。頭胴長42~51cm,尾長1~4cm,体重1.3~2.7kgで目と耳が小さくて四肢も短いが,爪は強大で穴掘りに適している。植物食で季節に応じてさまざまな草本の葉や茎,シイの実などを食べ,夜行性で昼間は大きな石の下や大木の根元などに作った長さ3~4mの巣穴で休む。原生的な森林が多い地域で巣穴を作り,これに隣接して草木などの餌が多い沢や二次林などで採食するので,適度に両者が混ざっているような環境が生息に適している。生息数が減少している地域では,マングース(Herpestesjavanicus)の分布域拡大が確認されている。
鳥類では,アマミヤマシギ(Scolopaxmira),オーストンオオアカゲラ(Dendrocoposleucotosowstoni),オオトラツグミ(Zoothradaumamajar),アカヒゲ(Erithacuskomadorikomadori),ルリカケス(Garruluslidthi)などが有名。ここでは,オオトラツグミについて。生息地が奄美大島のみに限られた固有亜種で,生息数も非常に少ない。奄美大島の原生林や高齢の広葉樹林などの谷間を中心に,限られた場所に一年中生息しており,主な分布域は奄美大島の名瀬市以南。本州,四国,九州に生息する基亜種トラツグミ(Z.d.dauma)に似ているが,オオトラツグミはより大きく全長約30cmで,また足も長く,尾羽の枚数が12枚(亜種トラツグミは14枚)。常緑広葉樹の原生林・高齢林のなかの,林床に落ち葉の溜まりやすい谷間などに生息。個体数は非常に少なく,最近の調査によると繁殖期のさえずり個体数は100羽に満たない程度。
両生類の仲間では,イシカワガエル(Ranaishikawae),イボイモリ(Tylototritonandersoni)が貴重。うち,イシカワガエルは奄美大島,沖縄島だけに生息している。体長が10cmを超える大型のカエルで,目が大きく,吸盤,後肢のみずかきが発達,黄緑色の地に金色を含んだ黒褐色の斑紋が散らばり,「日本で一番きれいなカエル」とも。繁殖期の雄は,岩の上などで「クオッ」という高い声で鳴く。広葉樹林に覆われた河川の上流部にすんでいるが,自然林の伐採や,売買目的の捕獲などによって個体数が急激に減少している。
保護対策ではアマミノクロウサギは国指定特別天然記念物及び種の保存法国内希少種に指定されて保護されており,イシカワガエルは県指定天然記念物及び県希少野生動植物保護条例の指定種。
1979年前後に導入されたマングースは在来の希少種を捕食しており,駆除事業が実施されている。
様々な保護策がとられているものの,保護に対する意識高揚も大切。

記事5-1屋久島通信員・ニューズレター会員からの便り

飛行機・船を降りたら「夢の島」へ来たと感じるような,そんなまちづくりを応援します。
埼玉県男性N・T
素晴らしい自然に囲まれた島だと思います。より多くの人が訪れて,人間として大切なことを発見してくれることを祈っています。
神奈川県男性O・M

緑色にこんなにたくさんの種類があるなんて初めて知りました。
東京男性T・S
3月下旬に屋久島を訪れ,縄文杉に出会ってきました。8歳の私でもものすごく感動しました。
静岡女性A・N
タスマニアからの礼状及びインドネシアからの便り要約文

記事5-2編集後記

地球上で見ると草原や砂漠の多い亜熱帯地域。奄美群島に見られるまとまった面積の亜熱帯多雨林は世界的に見て極めて貴重なもの。次回は,今回の希少動物たちの様子に続き,亜熱帯性常緑広葉樹林などの植生,地形・地質,サンゴ礁,広域を移動する動物たちの中継地となっている豊かな自然に加え,独特の文化に育まれた人々の暮らしなど奄美群島の魅力を余すところなくご報告します。特集をお楽しみに。

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