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更新日:2009年4月16日

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鹿児島県希少野生動植物保護基本方針

[目次]

第1 希少野生動植物の保護に関する基本構想
  1 野生動植物保護の現状と課題
  2 保護の基本的な考え方 
第2 指定希少野生動植物及び特定希少野生動植物の選定に関する基本的な事項
    1 指定希少野生動植物
  2 特定希少野生動植物
第3 指定希少野生動植物及び特定希少野生動植物の個体(卵及び種子を含む。以下同じ。)の取扱いに関する基本的な事項
    1 個体の範囲
    2 個体の取扱いに関する規制
    3 その他の個体の取扱いに関する事項
第4 指定希少野生動植物の個体の生息地又は生育地の保護に関する基本的な事項
    1 生息地等保護区の指定方針
    2 生息地等保護区の区域の保護に関する指針
    3 生息地等保護区等の指定に当たって留意すべき事項
第5 その他希少野生動植物の保護に関する重要事項
    1 実態調査等の促進
    2 県民の理解の促進と意識の高揚
    3 保護推進の仕組みづくり    

第1 希少野生動植物の保護に関する基本構想

 

1 野生動植物保護の現状と課題

 野生動植物は,地球上の生物,生態系の一部として人間と共存している。野生動植物はまた,人類の生存の基盤である生態系の基本的構成要素であり,日光,大気,水,土等とあいまって,物質循環やエネルギーの流れを担うとともに,その多様性によって生態系のバランスを維持しており,食料,衣料,医薬品等の資源としての利用のほか,学術研究,芸術,文化の対象,生活に潤いや安らぎをもたらす存在として,また,遺伝子資源の活用の面からも,私たちの豊かな生活に欠かすことのできない役割を果たしている。
 他方で,急激な近代化と人口増加が生態系の過剰利用などを招き,自然破壊を引き起こし,野生動植物の生存を脅かしてきたことも事実である。こうした問題を解決するためには,人間の社会経済活動を自然保護と調和したものとしながら,生物資源の賢明な利用を図っていくことが必要である。
 その際,重要なことは,生物多様性の保全であるが,野生動植物は,生態系,個体群,種等の様々なレベルで成り立っており,それぞれのレベルでの多様性の保全を図ることが必要である。なかでも,種は生物相・生態系を構成する基本単位であり,その保全は極めて重要である。
 しかし,現在,地球上では,過去約40億年の生命の歴史上,かつてない速さで野生動植物の種の絶滅が進行している。我が国においても,人間活動による種の生息地又は生育地(以下「生息地等」という。)の破壊や減少,さらに乱獲や移入種による在来種のかく乱等により,多くの種が絶滅し,あるいは絶滅の危機にひんしている。
 種の絶滅は,自然生態系の多様性を低下させ,そのバランスを変化させるおそれがあるばかりでなく,人類が享受することができる様々な恩恵を永久に消滅させる。
 本県は,南北 600キロメートルにも及ぶ広大な県土を有し,豊かな自然に恵まれており,維管束植物約 3,100種類,鳥類約 380種類,哺乳類約50種類など多種多様な野生動植物が生息し,又は生育している。
 また,地形的に九州の南端に位置し,南西諸島をはじめ島しょが多いこと,気候的に亜熱帯から温帯への移行地帯であることや,地殻変動により大陸との断続を繰り返したという南西諸島の地史的経緯などから南限種,北限種,固有種など学術的に価値がある種が多い。
 これらの野生動植物は,県民の生活基盤である自然環境の維持のため大切な役割を果たしており,県民の豊かな生活に欠かすことのできないものとなっている。しかしながら,平成11年度から4か年にわたって希少野生生物調査を行った結果,県内においても絶滅のおそれのある野生動植物の種が約1,200種類にものぼることが明らかになっている。
 国レベルでは,生物多様性保全のために生態系や野生動植物の生息地等の保護の促進,絶滅のおそれのある野生動植物の保護の強化などを求めた「生物多様性条約」に基づき,我が国の基本方針及び今後の施策の展開方向を示す「生物多様性国家戦略」が策定され,その後自然と共生する社会の実現を目的としたトータルプランとしての「新・生物多様性国家戦略」に改訂されている。
 また,野生動植物の種の保存を目的として,絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号)が制定されている。
 しかし,絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律で保護の対象とされているのは,国レベルで絶滅のおそれが高い,限られた種であり,本県に生息し,又は生育している多くの希少野生動植物を保護するには十分でない。
 このため,本県の多くの希少野生動植物の保護を図るためには,絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の保護の対象となっている種と同様に,きめの細かい,かつ,総合的な対策が求められている。

 2 保護の基本的な考え方

 県内に生息し,又は生育する希少野生動植物の保護施策を推進するに当たっての基本的な考え方は,次のとおりである。
 (1)希少野生動植物の保護に対する県民一人ひとりの認識が重要である。このため,希少野生動植物の捕獲,採取,売買等を行わないようなモラルの向上や生物多様性の重要性,本県の自然環境の現況や成り立ち等について普及啓発を図るとともに,家庭,学校,社会教育の場等で,積極的に環境教育を推進する。
 (2)今日,野生動植物の生存を脅かしている主な要因は,過度の捕獲・採取,人間の生活域の拡大等による生息地等の消滅又は生息・生育環境の悪化等であり,希少野生動植物の保護を図るには,これらの状況を改善することが必要である。このため,生物学的知見等に基づき,特に保護を図る必要がある希少野生動植物を明らかにした上で,その個体の捕獲・採取の規制を行うとともに,必要に応じて,個体の譲渡し・譲受けの監視,生息地等における行為の規制等の措置を講ずる。
 (3)希少野生動植物保護のためには,生息地等の状況を把握し,必要に応じて現地監視等を行うことが必要である。このため,施策の推進に必要な各種の調査や希少野生動植物保護推進員の設置などの措置を講ずる。
  以上の施策は,県民の理解と協力の下に,人と野生動植物の共存を図りながら推進する必要がある。

第2 指定希少野生動植物及び特定希少野生動植物の選定に関する基本的な事項

 

1 指定希少野生動植物

 (1)指定希少野生動植物については,県内に生息し,又は生育する絶滅のおそれのある野生動植物で,次のいずれかに該当するものの中から選定する。
 ア 既に個体数が著しく少なく,その存続に支障を来しているもの
 イ 個体数が著しく減少しつつあり,その存続に支障を来すおそれがあるもの
 ウ 生息地等が減少しつつあり,その存続に支障を来すおそれがあるもの
 エ 生息・生育環境が著しく悪化しつつあり,その存続に支障を来すおそれがあるもの
   オ 生息地等における過度の捕獲又は採取により,その存続に支障を来すおそれがあるもの
 (2)指定希少野生動植物は,規制措置により効果的に保護対策が図られる野生動植物の中から選定することとする。ただし,鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)等他法令により保護されている野生動植物については,その生息・生育等の状況を検討し,保護のための規制内容が重複し新たな効果が期待できない場合は選定しない。
 (3)指定希少野生動植物の選定に当たっては,保護対策が効果的に図られるよう,商取引の対象として採取・捕獲されやすい動植物であること,種名が確立した動植物であること,専門家でなくても判別が可能な動植物であること等を考慮する。また,種類としての識別が容易な大きさ又は形態を有する動植物を指定することとする。

 2 特定希少野生動植物

 特定希少野生動植物については,指定希少野生動植物のうち,商業的に繁殖又は増殖が可能な動植物で,その譲渡し又は譲受けを監視する必要があると認めるものを選定する。

第3 指定希少野生動植物及び特定希少野生動植物の個体(卵及び種子を含む。以下同じ。)の取扱いに関する基本的な事項

 

1 個体の範囲

 鹿児島県希少野生動植物の保護に関する条例(平成15年鹿児島県条例第11号。以下「条例」という。)に基づく規制の対象となるのは,指定希少野生動植物の生きている個体とする。
 なお,条例第11条における所持等の禁止の対象となる個体の加工品は,標本,はく製など種を容易に識別することができるものとする。
 

2 個体の取扱いに関する規制

 (1)捕獲等の規制
 指定希少野生動植物の個体の捕獲,採取,殺傷又は損傷については,その動植物の保護の重要性にかんがみ,学術研究又は繁殖の目的その他その動植物の保護に資する目的で行うものとして知事の許可を受けた場合を除き,原則として,これを禁止する。
 (2)事業等の規制
 特定希少野生動植物については,その個体の譲渡しの業務を伴う事業(特定事業)を行おうとする者に対し,届出を求める。
 

3 その他の個体の取扱いに関する事項

 指定希少野生動植物の個体の所有者又は占有者は,その保護の重要性にかんがみ,その生息・生育の条件を維持するなど指定希少野生動植物の保護に配慮した適切な取扱いをするよう努めるものとする。
 また,県民等は,その所有し,又は管理する土地に指定希少野生動植物が存在する場合は,可能な限り現地保存に努めるものとする。

第4 指定希少野生動植物の個体の生息地又は生育地の保護に関する基本的な事項

 希少野生動植物の保護の基本は,その生息地等における個体群の安定した存続を保証することである。
 このような見地から,指定希少野生動植物の保護のため,その個体群が安定して存続できる環境の保全を図る必要があると認めるときは,生息地等保護区を指定する。

 1 生息地等保護区の指定方針

 (1)生息地等保護区の指定の方法
  生息地等保護区は,指定希少野生動植物の個々の種ごとに指定する。
 (2)生息地等保護区として指定する生息地等の選定方針
  生息地等保護区の選定に当たっては,個体数,個体数密度,個体群としての健全性,その生息・生育環境の状況及び生息地等としての規模について総合的に検討するものとする。
 (3)生息地等保護区の区域の範囲
  生息地等保護区の区域は,生息地等保護区の指定に係る指定希少野生動植物の個体の生息地等であって,そこでの各種行為により当該生息地等の個体の生息又は生育に支障が生じることを防止するために保護を図るべき区域とする。行動圏の広い動物の場合は,営巣地,産卵地,重要な採餌地等その動物の個体の生息又は生育にとっての重要性の観点からも検討する。
 (4)生息地等保護区において適用される各種の規制に係る区域等の指定の基本的考え方
 ア 条例第21条第1項第7号の知事が指定する野生動植物については,食草など指定希少野生動植物の個体の生息又は生育にとって特に必 要な野生動植物を指定する。
 イ 条例第21条第1項第8号の知事が指定する湖沼又は湿原については,新たな汚水又は廃水の流入により,指定希少野生動植物の個体の生息又は生育に支障が生じるおそれがある湖沼又は湿原を指定する。
 ウ 条例第21条第1項第9号の知事が指定する区域については,車馬若しくは動力船の使用又は航空機の着陸若しくは着水により,指定希少野生動植物の個体が損傷を受けるなど,現に指定希少野生動植物の個体の生息若しくは生育に支障が生じている区域又はそのおそれがある区域を指定する。
 エ 条例第21条第1項第10号から第14号までの行為を規制する区域として知事が指定する区域については,これらの行為により,現に指定希少野生動植物の個体の生息若しくは生育に支障が生じている区域又はそのおそれがある区域を指定し,その区域ごとに知事が指定する期間についてはこれらの行為による指定希少野生動植物の個体の生息又は生育への影響を防止するために繁殖期間など必要な期間を指定する。
 オ 条例第21条第1項第11号の知事が指定する動植物については,指定希少野生動植物の個体を捕食し,餌若しくは生息・生育の場所を奪うことにより圧迫し,又は指定希少野生動植物との交雑を進行させるおそれのあるものを指定する。
 カ 条例第21条第1項第12号の知事が指定する物質については,指定希少野生動植物の個体に直接危害を及ぼし,又はその個体の生息・生育環境を悪化させるおそれのあるものを指定する。
 キ 条例第21条第1項第14号の知事が定める方法については,生息・生育環境をかく乱し,繁殖・育すう行動を妨害する等指定希少野生動植物の個体の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれのあるものについて定める。
 

2 生息地等保護区の区域の保護に関する指針

 生息地等保護区の区域の保護に関する指針においては,指定希少野生動植物の個体の生息・生育及び個体群の存続のために確保すべき条件とその維持のための環境管理の指針などを明らかにするものとする。

 3 生息地等保護区等の指定に当たって留意すべき事項

 生息地等保護区の指定に当たっては,関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに,農林水産業を営む者等県民の生活の安定及び福祉の維持向上に配慮し,地域の理解と協力が得られるよう適切に対処するものとする。
 また,国土の保全その他の公益との調整を図りつつ,その指定を行うものとする。この際,土地利用に関する計画及び国土開発に係る諸計画との調整を図りつつ,指定を行うことに留意するものとする。

第5 その他希少野生動植物の保護に関する重要事項

 

1 実態調査等の促進

 希少野生動植物の保護施策を的確かつ効果的に推進するためには,生物学的知見を基盤とした科学的判断が重要であり,動植物の生息・生育状況,生息地等の状況のモニタリング等実態を調査し,現状把握に努める。また,分布,生態,保護管理手法その他施策の推進に必要な各分野の調査等を促進する。

 2 県民の理解の促進と意識の高揚

 希少野生動植物の保護施策の実効を期するためには,事業者や県民等の適切な配慮や協力が不可欠であることから,希少野生動植物の現状やその保護の重要性について事業者や県民等の理解を促進し,及び自覚を高めるための  普及啓発活動を積極的に推進する。
 また,生物の多様性の保全及び人と野生動植物の共存の観点からも,農林水産業が営まれる農地,森林等が有する野生動植物の生息・生育環境としての機能を適切に評価し,その機能が十分に発揮されるよう対処するものとする。
 なお,土地所有者,事業者等は,各種の土地利用や事業活動の実施に際し,希少野生動植物の保護のための適切な配慮を講ずるよう努めるものとする。

 3 保護推進の仕組みづくり

(1)希少野生動植物の保護施策を推進するため,県内の市町村との連携はもとより,国及び他の都道府県,特に隣県との協力を図り,その推進に努める。
(2)希少野生動植物の保護に取り組むボランティアなどの育成等に努める。
(3)希少野生動植物保護推進員を中心に,県民,民間団体,ボランティア等を含めた保護推進活動に努める。

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