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ホーム > 産業・労働 > 食・農業 > 農業技術 > 研究報告 > 研究報告(令和2年度)

更新日:2021年3月30日

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研究報告(令和2年度)

1レイショ新品種‘しまあかり’の育成とその特性

柏木伸哉・小玉泰生・末川修・田中義弘・竹牟禮穣・竹之下佳久・清本なぎさ

玉利光男・福元伸一・加治俊幸・橋口健一郎・遠嶋太志・古江広治・池澤和広

要約

レイショ‘しまあかり’は,鹿児島県農業開発総合センターにおいて,ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する鹿児島県内向け品種の育成を目標に,鹿児島県の主力品種で良食味の‘デジマ’を母,ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する‘アローワ’を父として2008年秋に交配し,翌2009年に播種した実生集団から選抜し,本県に適する丸系バレイショとして育成した。2019年3月に品種登録出願を行い,同年8月に出願公表された。‘しまあかり’の休眠期間は‘ニシユタカ’並の“やや短”で,熟期は‘ニシユタカ’と同じ“中晩生”である。上いも重は‘ニシユタカ’と同等で,上いも平均重は,‘ニシユタカ’並である。ジャガイモシストセンチュウに“抵抗性”で,そうか病に対して“中~弱”,疫病に対して“やや弱”である。塊茎は‘ニシユタカ’と同じ“短卵形”で,皮色は“淡ベージュ”,肉色は“淡黄”で目の深さは極浅く,‘ニシユタカ’より外観品質が優れる。でん粉価は‘ニシユタカ’と同等かやや低く,肉質は“やや粘~粘”で,食味は‘ニシユタカ’より優れる。

バレイショ新品種‘しまあかり’の育成とその特性(全文)(PDF:840KB)

2レイショ新品種‘しまクイーン’の育成とその特性

柏木伸哉・小玉泰生・末川修・田中義弘・竹牟禮穣・竹之下佳久・玉利光男
福元伸一・加治俊幸・橋口健一郎・遠嶋太志・古江広治

要約

バレイショ‘しまクイーン’は,鹿児島県農業開発総合センターにおいて,ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する鹿児島県内向け品種の育成を目標に,鹿児島県の主力品種の‘ニシユタカ’を母,ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する‘アローワ’を父として2008年秋に交配し,翌2009年に播種した実生集団から選抜し,本県に適する長系バレイショとして育成した。2019年3月に品種登録出願を行い,同年8月に出願公表された。‘しまクイーン’の休眠期間は‘ニシユタカ’並の“やや短”で,熟期は‘ニシユタカ’と同じ“中晩生”である。上いも重,上いも平均重は,‘ニシユタカ’よりやや軽い。ジャガイモシストセンチュウに“抵抗”で,そうか病に対して“強~やや強”,疫病に対して“やや弱~弱”である。塊茎は‘ニシユタカ’より長い“卵~長卵形”で‘ホッカイコガネ’と同様で,皮色は“淡ベージュ”,肉色は“白”で目の深さは極浅く,‘ニシユタカ’より外観品質が優れる。でん粉価は‘ニシユタカ’より低く,肉質は“やや粘~粘”で,食味は‘ニシユタカ’より優れる。

レイショ新品種‘しまクイーン’の育成とその特性(本文)(PDF:831KB)

3鹿児島県におけるキャベツ根こぶ病の発生生態に対応した総合防除技術

湯田達也・相本涼子・樋口康一・西八束・尾松直志・白尾吏・倉本和幸・別府誠二・德永太藏

要約

鹿児島県では2013年頃からキャベツ,菜の花等で根こぶ病の発生が広がっている。県内産地への拡大を防ぐため,キャベツ根こぶ病の発生実態の解明と,総合的防除対策を確立する研究に取り組んだ。県内の火山放出物未熟土壌が分布する地域では,リン酸吸収係数が小さいため可給態リン酸が過剰になりやすく,本病の発病を助長しやすい土壌環境下にある圃場が多かった。本病の発病を抑制する石灰質資材として,速効的な効果を期待する場合は消石灰,持続的な効果を期待する場合はケイ鉄が有効であった。土壌pH7.0程度に矯正した圃場でアブラナ科野菜および輪作作物を栽培しても,生育への影響が少ないことが確認できた。本県におけるキャベツの抵抗性品種の適応性を評価した結果,春系品種‘YCR夢いっぽ’および寒玉系品種‘YCRげっこう’を,定植期が9月中旬,収穫期が11月下旬~12月上旬の作型における有望品種として選定した。指宿市において,低温期(12~1月)にキャベツを定植し生育初期の発病を抑えると,収穫時期まで発病を抑制し,生育への影響が少ないことが明らかとなった。上記防除対策を,単独または組み合わせて処理する場合の効果を現地汚染圃場において検討し,作付時期に応じた本病の総合防除技術を確立したと結論づけた。

鹿児島県におけるキャベツ根こぶ病の発生生態に対応した総合防除技術(全文)(PDF:1,932KB)

4ク葉片培養における光源の光質が不定芽誘導に及ぼす影響

玉利光男・藤川和博・白山竜次

要約

ク葉片培養からの不定芽誘導に適する光質を調査した。キク品種‘きゅらシューサー’,‘神馬’2号,‘新神’,‘サザンチェルシー’,‘サザンペガサス’,‘サザンサマーピンク’および‘モゼマゼンタ’,の葉片からの不定芽誘導処理に使用する光源として,遠赤色LED,赤色LED,青色LED,紫外線LED,昼光色蛍光灯および暗黒条件で検討した。その結果,従来の昼光色蛍光灯下による葉片培養で不定芽誘導数が少ない品種であっても,赤色LED等に光源を変えることで不定芽誘導数が向上することが明らかとなった。

キク葉片培養における光源の光質が不定芽誘導に及ぼす影響(全文)(PDF:578KB)

5チャ栽培における農薬散布量削減に関する研究

鹿子木聡

要約

チャ栽培における農薬散布の標的を新芽が形成される茶樹摘採面付近にスポット化することで,農薬散布量を慣行(200L/10a)比の約1月2日以下にする農薬散布方法(少量スポット散布)および装置(かごしま式防除装置)を著者ら鹿児島県農業開発総合センター茶業部と松元機工株式会社は共同開発した。茶園における「本当に必要な農薬散布量」の解明と新しい農薬散布技術の現場への普及を最終目標に,削減可能な農薬散布量(散布濃度は各農薬の登録濃度と同じ)と農薬散布量を削減した場合の害虫や天敵類,その他の昆虫類の個体数等について研究を行った。なお,かごしま式防除装置を搭載した乗用型防除機を,本研究では少量農薬散布機(少量散布機)とした。チャ主要害虫のチャノミドリヒメヨコバイに対する新芽被害防止効果は農薬散布量が多いほど安定傾向にあったものの,慣行の200L/10a散布と少量散布機による40L/10a散布および70L/10a散布が同等となった事例が多く得られた。チャノキイロアザミウマの新芽被害防止効果については,40L/10a散布と200L/10a散布が同等の場合が多く,また,茶樹葉層内におけるチャノキイロアザミウマとヒメグモ上科の相関関係は高く,40L/10a散布では200L/10a散布よりもアザミウマタマゴバチの個体数も多い傾向にあるなど,チャノキイロアザミウマの防除効果に対する天敵類の寄与の大きさも示唆された。チャノホソガの巻葉抑制効果については,少発生の場合は40L/10a散布および70L/10a散布と200L/10a散布が同等となった事例が多かったが,多発時においては,農薬散布量が多いほど効果が高い傾向にあると考えられた。防除効果が200L/10a散布と同等となったその他の最低限の散布量の事例は,チャノナガサビダニでは一番茶摘採直後の40L/10a散布,チャハマキおよびチャノコカクモンハマキについては,70L/10a散布であった。チャ栽培において削減可能な農薬散布量の変動要因としては,害虫の発生量や摘採面から葉層内にかけての農薬被覆程度に影響する農薬散布方法および葉層の状態,被害許容水準が主に挙げられた。また,天敵類への悪影響を避けるために徹底した害虫防除を目指さないことや,収量および品質に影響しない加害(痕)はカウントしない等の虫害判定基準の再検討も,農薬散布量の削減を進めるためには重要と思われた。少量スポット散布は農薬散布の標的を茶樹摘採面付近にスポット化するため,葉層内に農薬で被覆されない部分が多く残り,天敵類の「巻き添え死」が抑制されることも特徴である。研究茶園の葉層の成葉表面における農薬被覆面積率は,葉層上部(摘採面から5cm下部)において200L/10a散布では約90%以上であったが,40L/10a散布では約40~70%であり,葉層最下部(摘採面から25cm下部)の成葉表面では200L/10a散布で約20~50%,40L/10a散布は約0.1~9%であった。新芽加害性害虫に対してこのような農薬散布を年間4~5回行ったところ,クモ類,アザミウマタマゴバチ,Encarsiaspp.およびその他の寄生蜂類の年間個体数は,茶樹葉層内の農薬被覆面積が抑制された40L/10a散布下において保護される傾向にあった。また,研究茶園ではニセラーゴカブリダニ,チリカブリダニ,コウズケカブリダニ,ニセトウヨウカブリダニおよびフツウカブリダニが確認され,農薬散布から忌避可能な農薬で被覆されないスペースを葉層内に多く残すことは,これらのカブリダニ類の多様性維持を通じたカンザワハダニ発生量の抑制につながると考えられた。一方,40L/10a散布を継続した茶園では200L/10a散布の場合よりもクワシロカイガラムシの発生量が少ない傾向も認められたことから,茶樹摘採面付近の害虫防除時において葉層内の農薬被覆面積の抑制が図られることで,クワシロカイガラムシの密度がその天敵類によって間接的に抑制される可能性もあると考えられた。なお,茶樹葉層内に生息しているその他の昆虫類の年間個体数に与える農薬散布の影響は,タマバエ科については小さく,キノコバエ科およびクロバネキノコバエ科,トビムシ目とチョウバエ科については判然としなかった。チャ新芽加害性害虫からチャ芽を守るには,10a当たり200Lの農薬散布量が必要だと鹿児島県内では長年考えられてきたが,農薬散布の標的を茶樹摘採面付近にスポット化することによって,散布量を半量以下に削減できる場合が多いことが確認された。また,農薬で被覆される範囲が茶樹摘採面付近に止まり,葉層内の農薬被覆面積が抑制されるほど,葉層が農薬散布(害虫防除)の巻き添えから天敵類を保護する「シェルター」として機能しやすくなるとも考えられた。これらのことから,チャ栽培における農薬散布において農薬による直接的な害虫防除効果と,天敵類の保護活用による間接的な害虫の抑制効果をバランスよく得るためには,農薬散布の標的を茶樹摘採面付近にスポット化することで農薬散布量を削減し,葉層内の農薬被覆面積を可能な限り抑制する農薬散布方法が有効であると考えられた。

ャ栽培における農薬散布量削減に関する研究(全文)(PDF:1,944KB)

6域に適した暖地型牧草の選定とファジービーンの栽培調製技術に関する研究

田中翔太朗・橋口雄介・下副田充志・内村涼子・西村健一

要約

域に適した暖地型牧草を選定するため,霧島市,南さつま市および大島郡与論町でイネ科牧草のローズグラス‘カタンボラ’,ギニアグラス‘うーまく’およびパリセードグラス‘MG5’の品種比較試験を実施するとともに,霧島市でマメ科牧草のファジービーンの栽培適応性等試験を実施した。その結果,いずれの地域においても,ギニアグラス‘うーまく’は,暖地型牧草として県内で広く栽培・利用されているローズグラスと比較して,耐倒伏性および収量性に優れていた。また,ファジービーンはCP含量が高く,サイレージ発酵品質も良好であり,肉用牛繁殖雌牛等へのCPの増給ができる自給粗飼料として利用価値の高い牧草であると考えられた。

域に適した暖地型牧草の選定とファジービーンの栽培調製技術に関する研究(全文)(PDF:584KB)

7農における粗飼料自給率向上に向けた飼料給与技術の確立

脇大作・大六野洋・東山崎達生・川畑健次

要約

ルスタイン搾乳牛を用いて完全混合飼料(TMR)中の自給粗飼料割合について検討した。自給粗飼料を乾物当たり60%混合したTMRを給与し,パーティクルセパレーター(PSPS)を用いて選び食いの有無を調査したところ,給与飼料と残渣飼料のPSPS上段割合は,-2.1~9.3で,全頭の絶対値が10以下であったことから,選び食いができないことを確認した。自給粗飼料(トウモロコシサイレージ(S)とイタリアンS)を40%(40%区),50%(50%区),60%(60%区)含むTMRを給与し,飼料利用性及び乳生産性を調査した。まず,TMR中の濃厚飼料原料として,トウモロコシ圧ペン,大豆粕,加熱大豆,綿実,一般ふすまを混合したところ,乳量に有意差は見られなかったものの,60%区は50%区及び40%区に比べ,各々乳量が2.3kg(10%),3.5kg(14%)低い値を示した。次に,TMR中の濃厚飼料原料として,トウモロコシ圧ペン,大豆粕を混合したところ,乾物摂取量及び乳量,乳質,TMRの可消化養分総量(TDN)に有意差は認められず,TMR中の自給粗飼料を乾物当たり60%まで高めても,乳量・乳質等を低下させないで飼養できることが判った。粗飼料を60%含むTMRの粗飼料原料を自給粗飼料(トウモロコシSとイタリアンS)とした自給区と自給粗飼料(トウモロコシS)と輸入粗飼料(オーツヘイ,アルファルファ乾草)とした輸入区を比較したところ,乾物摂取量及び乳量,乳質,TMRのTDNに有意差は認められず,輸入粗飼料と同様に自給粗飼料が利用可能であることが判った。また,試験区間の飼料費を比較したところ,粗飼料割合を60%まで高めることおよび粗飼料を全量自給にすることで,飼料費の削減が可能であった。また,フリーストール牛舎で給与飼料中の自給粗飼料割合を60%に調整した部分的混合飼料(PMR)を給与し,経済性「生乳代金-飼料費」を検討した結果,輸入粗飼料を用いたPMRに比べ,経済性の高いことが示された。

農における粗飼料自給率向上に向けた飼料給与技術の確立(全文)(PDF:654KB)

8用牛の生涯生産性の向上を可能とする泌乳持続性の検証

東山崎達生・田中靖広・脇大作・川畑健次

要約

用牛の生涯生産性の向上を目的に,泌乳持続性の高い牛群の作出を行うとともに,泌乳前期の乳量を抑えつつ泌乳中後期の乳量の落ち込みを緩やかにすることで,エネルギーバランスの過不足が緩和される泌乳持続性の効果の検証を行った。泌乳持続性の遺伝評価値が102の種雄牛を交配して作出した供試牛群の,初産次,2産次および3産次の産乳成績および繁殖成績をそれらの母牛群の同一産次と比較したところ,供試牛群の初産次は母牛群に比べて最高乳量は低く,最高乳量到達日数は遅く,泌乳持続性の評価値は高くなったが,305日乳量は低下した。また,1-2産目の分娩間隔は短縮していた。2産次は,最高乳量は低く,最高乳量到達日数は遅く,泌乳持続性の評価値は高くなり,305日乳量は増加した。また,2-3産目の分娩間隔は延長していた。供試牛群の3産次は,母牛群に比べて最高乳量は低く,最高乳量到達日数は遅く,泌乳持続性の評価値は高く,305日乳量は増加しており,また,3-4産目の分娩間隔は延長していた。泌乳曲線を見ると平準化した泌乳持続性の特徴を示していた。供試牛群の初産および2産次の泌乳期間中のTDN充足率について,それらの母牛群の同一産次と比較したところ,泌乳前期のエネルギー不足が見られたが,泌乳後期はエネルギー過剰が抑制されていた。2産次のボディコンディションスコア(BCS)と体重減少率を比較したところ,供試牛群は母牛群に比べ泌乳期のBCSの変動および分娩後の負の体重変動率が小さく,305日乳量が向上していたことから,産乳に関してのエネルギー効率が向上しているものと推察された。また,供試牛群の初産次の305日乳量が低かった要因の一つとして,泌乳前期のエネルギー不足が考えられた。

用牛の生涯生産性の向上を可能とする泌乳持続性の検証(全文)(PDF:1,020KB)

9産原料を用いた完全自家配合飼料による繁殖成績および子豚育成成績
~国産原料によるオーガニック豚生産を目指して~

後藤介俊・池谷幸恵・梅北信二郎・大小田勉

要約

ーガニック豚の生産を視野に,安心・安全な国産原料による完全自家配合飼料での母豚育成~繁殖及びその産子の育成を目指し,バークシャー種の育成雌豚3頭に,手に入りやすく,将来オーガニック飼料として入手可能と思われる国産原料(玄米,きなこ,魚粉,甘藷)のみで作成した自家配合飼料を3ヵ月齢,体重40kgから給与し,発育を調査した。260日齢,120kg以降に,液状精液により1発情2回の人工授精を行い,繁殖成績を調査した。また,その産子を1週齢より同じ原料で作成した自家配合飼料のみを給与し,発育成績を調査した。対照として,市販飼料のみを給与した育成豚3頭とその産子を同様に調査した。自家配合飼料を給与した母豚は,発育・繁殖成績ともに,対照と差が見られず,その産子は,対照と比較して発育が遅かったものの,4つの原料のみでも発育が可能であった。

産原料を用いた完全自家配合飼料による繁殖成績および子豚育成成績(全文)(PDF:600KB)

10産原料で試作した有機様配合飼料が黒豚の発育と肉質に及ぼす影響

大小田勉・池谷幸恵・梅北信二郎・喜田克憲

要約

の研究は「かごしま黒豚」の発育と肉質に対する有機様配合飼料の影響を調べることを目的とした。この配合飼料を試作するため,地域で入手可能な非有機の粉末飼料を4種類(甘藷,玄米,大豆,魚粉)用意した。体重40kgの「かごしま黒豚」(バークシャー種去勢雄)6頭を,原材料により市販配合飼料(対照区)と有機様配合飼料(試験区)に分け(3頭/区,単独飼育),制限給餌にて肥育した。豚が115kgに達した時点で出荷・屠畜・解体し,各区3頭ずつのロースブロックを理化学検査に供した。配合飼料の違いによる肥育期DG,出荷日齢,上物率への影響はみられなかった。筋肉組織(ロース)においても,一般栄養成分,ドリップ,アミノ酸,核酸関連物質への影響は認められなかった。有機様配合飼料では,イミダゾールジペプチドであるアンセリンが有意に増加し,ビタミンB1が低下した。背脂肪組織では,脂肪融点への影響はみられなかったが,リノレン酸が試験区で対照区より有意に高い割合を示した。有機様配合飼料の価格は市販飼料の約3倍となり,実際の有機飼料(4種類)で配合すると約10倍以上と試算された。

産原料で試作した有機様配合飼料が黒豚の発育と肉質に及ぼす影響(全文)(PDF:612KB)

11育飼料の甘藷原料の違いが「かごしま黒豚」の成長と肉質に及ぼす影響

小田勉・井之上弘樹・高橋宏敬・喜田克憲・多田司・井尻大地・大塚彰

要約

重60kgの「かごしま黒豚」(バークシャー種去勢雄)19頭を,甘藷原料により国産甘藷(国産区),中国産甘藷(中国産区),国産甘藷澱粉(澱粉区)の区に分け(6~7頭/区,単独飼育房),TDN70%の各後期飼料を制限給餌して肥育した。豚が115kgに達した時点で出荷・と畜・解体し,各区5頭ずつのロースブロックを理化学検査および食味試験に供した。甘藷原料の違いによる肥育期DGや出荷日齢への影響はみられなかった。背脂肪厚は甘藷原料による差はなかったものの,澱粉区(2.2cm)がもっとも厚くなり,厚脂による格落ちにより上物率(67%)は他の2区より33%低くなった。筋肉組織(ロース)において,臭気成分やテクスチャー特性,ビタミンB類であるチアミンの含量に甘藷原料の影響は認められなかった。筋組織代謝物の網羅的分析においては,甘藷原料によって5種類の物質が有意に増減することが確認された。背脂肪組織においては,脂肪酸組成と脂肪融点に甘藷原料の影響は認められなかったが,脂肪組織中のα-トコフェロール含量は澱粉区が他の区より有意に低い値を示した。食味評価においては,甘藷原料による影響が顕著に現れ,中国産区が11項目中,香りの項目を除く9項目で最も高い評価となった。

育飼料の甘藷原料の違いが「かごしま黒豚」の成長と肉質に及ぼす影響(全文)(PDF:573KB)

 

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