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ホーム > 県政情報 > ようこそ知事室へ > 施政方針 > 令和7年第2回県議会定例会提案理由説明要旨

更新日:2025年6月4日

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令和7年第2回県議会定例会提案理由説明要旨

令和7年第2回県議会定例会の開会に当たりまして,当面する県政の諸問題の推移及び今回提案しております議案その他の案件につきまして,概要を御説明申し上げます。

我が国経済は,緩やかに回復しているものの,米国の通商政策等による不透明感がみられます。先行きについては,雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されますが,米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっております。加えて,物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども,我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また,金融資本市場の変動等の影響に一層注意する必要があります。

県内経済は,緩やかに回復しておりますが,足元では,生鮮品を中心とした物価上昇などの影響がみられます。

こうした中,国においては,本年4月25日に,米国の関税措置に関する総合対策本部において,「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」を決定し,影響を受ける企業への資金繰りを始めとした支援の強化,国内消費喚起策の強化と国民の暮らしの下支え,産業構造の転換と競争力強化などを柱とした緊急対応策を公表しました。

さらに,先月27日には,7月から9月までの3か月間実施する電気・ガス料金への支援のために,約3,900億円の予備費の活用を閣議決定しました。

また,赤澤経済再生担当大臣がこれまで4度訪米するなど,可能な限り早期に,日米双方にとって利益となるような合意を実現できるよう鋭意協議がなされております。

県においては,米国から相互関税措置の発表があった翌日の4月4日には,資金繰りへの影響が懸念される中小企業者等からの金融相談を受ける窓口を設置しました。また,4月16日には,関係部局で庁内連絡会議を開催し,一連の関税措置等の動向や県内事業者への影響などについて,情報を収集し,共有する体制を構築しました。現在,県内の事業者等から継続して聞き取りを行っており,「米国での消費がどれだけ落ち込むか不安である,米国政府の対応が二転三転していることから,現時点で具体的にどのような影響があるか分からない」などといった意見を聞いております。

今後とも,日米間での関税交渉の状況を注視しつつ,全国知事会等とも連携して,国に対し,必要な対策を講じるよう要望を行ってまいります。また,当初予算等に計上した物価高騰対策や輸出促進をはじめとする各種事業を実施するとともに,国の経済対策や米国との交渉結果を受けた対策の内容等も踏まえ,速やかに必要な対応を講じてまいりたいと考えております。

本格的な人口減少や少子高齢化の進行,不安定な海外情勢等による物価の高騰,デジタル化の進展,カーボンニュートラルの要請など,昨今の社会経済情勢は大きく変化しております。

私としては,これらに的確に対応しつつ,本県の基幹産業である農林水産業,観光関連産業など鹿児島の「稼ぐ力」の向上,地域や各種産業を支える人材育成,結婚・妊娠・出産・子育てしやすい環境の整備や高齢者が健やかで生きがいが持てる社会の形成など,「かごしま未来創造ビジョン」に掲げた各般の施策に積極的に取り組むことにより,「誰もが安心して暮らし,活躍できる鹿児島」を目指してまいりたいと考えております。

今後とも,「県民の皆様と一緒に鹿児島の今と未来をつくる」ということを基本として,「誠実に」,「着実に」県政の推進に全力を挙げて取り組んでまいります。

次に,最近の県政の展開の中で主な事項について御報告申し上げます。

スポーツ・コンベンションセンターについては,入札不調を受け,昨年の第4回県議会定例会において,白紙とすることも検討すべきなど,様々な御意見を頂きました。

これらの御意見も踏まえ,県としては,あらゆる選択肢について検討を行いましたが,白紙とした場合,県体育館・武道館の老朽化がますます進み,遠からず利用を中止せざるを得ない状況になります。

これから先10年,30年,50年後を見据え,県立体育館・武道館がなくなるということが本当にあって良いのか,スポーツの意義等に照らせば,施設の整備を断念することが,将来の県民の皆様に対し責任を果たせることになるのかなど,思いを巡らし,私としては,そのような事態は避けるべきではないかと考えました。

二つの半島,多くの離島を有するという地理的な特性がある本県において,県内各地の全ての県民の皆様に,できるだけ不便なく,安心,安全,快適に御利用いただくとともに,少なくとも県大会が開催可能な規模の県立体育館・武道館を新たに整備することが,広域自治体である県の責務であると考えております。

その責務を果たすため,施設の規模については,各種競技の大会基準等に基づき,県大会等を支障なく開催することができる必要最小限の規模として,バスケットボールコートでメインアリーナ4面,サブアリーナ2面の計6面の競技フロアが必要と考えております。

スポーツ利用のほかにも,体育館としての施設の仕様を特段変更することなく,これまで本県で開催できなかった規模のコンサートや展示会などで有効活用することとし,また,観光客等にも開かれた施設とすることで,更なる賑わいの創出や中心市街地の活性化にもつなげていきたいと考えております。

県政を預かる立場として,最も肝要なことは,スポーツ・コンベンションセンターの整備に当たり,他の事業に可能な限り影響を与えないようにすることであります。

他の事業への影響を考えるに当たっては,毎年度の一般財源の負担額を見て判断する必要があると考えています。

この観点から,毎年度の一般財源の負担額を軽減するため,整備運営手法を,県債を活用して30年で償還していく従来型手法に見直すこととしました。

この場合,国の補助金や県有施設整備積立基金等を活用することで,毎年度の一般財源負担額は10億円程度と見込まれます。

加えて,後年度に地方交付税措置が受けられるなどの有利な地方債の活用や,企業版ふるさと納税の実施の検討など,更なる一般財源負担の軽減に努めてまいります。

本県においては,これまで県庁舎や県民交流センター,農業開発総合センターなどの大規模な施設の整備の際には県債を活用し,毎年度の一般財源負担の軽減を図ってきました。これら3つの施設に係る県債の償還は近く完了する予定であり,これらに係る公債費計16億円が減少する見込みです。

今後,改修や更新を要する県有施設等も見込まれますが,メリハリをつけた社会資本整備を行うことなどにより,スポーツ・コンベンションセンターの整備に伴う10億円程度の公債費に対応することは可能であると考えております。

仮に,今後,事業費が増嵩し,毎年度の一般財源の負担が数億円程度増えたとしても,1,000億円余りの規模の毎年度の公債費の中で適切に管理し,持続的で安定的な財政運営を行ってまいります。

本年の第1回県議会定例会においては,このような県の考え方について御説明し,活発な御論議を頂きました。

今後,県議会での御論議を深めていただくため,設計を行い実際の建設費をお示ししたいと考えております。労務費等が今後も上昇する可能性が高い現状にあることを踏まえると,できる限り早く設計を行う必要があると考え,今回の補正予算に設計に要する経費を計上しました。

具体的には,国の基準に基づき積算した結果,本体設計及び設計を行うために必要となる調査に要する経費として,債務負担行為限度額9億3百万円,令和7年度歳出予算として,設計審査会の設置・運営や交通量調査に係る経費3千2百万円となっております。

設計の前提となる観客席数については,本年の第1回県議会定例会において,一定の経済波及効果を維持しつつ,初期コストを抑える観点から,あえてメインアリーナの固定席1千席の削減等を検討し,県の考え方をお示ししました。これに対し,「メインアリーナの固定席1千席の削減効果が15億円である一方で,今後何十年も経済波及効果が毎年4億円減少するのであれば,観客席は元の8千席にするのが適当ではないか」といった趣旨の御意見を複数頂きました。

このような御意見も踏まえ,県としては,メインアリーナやサブアリーナ等の観客席数を削減することによる建設コスト17億円の抑制よりも,毎年約4億円,30年間で約120億円,50年間で約200億円の経済波及効果を優先する方が,県全体としては有益と判断し,基本構想に基づく観客席数とすることを前提に設計を行うこととしたいと考えています。

先般,県市長会と県町村会から,スポーツ・コンベンションセンターの早急かつ着実な整備についての強い御要望を頂きました。

加えて,奄美群島市町村長会からも,基本構想に基づき県大会などの開催が十分に可能である規模で,本港区エリアにおいて着実に整備を進めることについての御要望を頂きました。

県の総合体育館については,これまで長年にわたり検討を重ねてきました。

これから先10年,30年,50年後を見据え,将来の県民生活の向上に大きな役割を果たせるよう,県民の健康増進とスポーツの振興等に加え,インバウンドを含めた観光振興や賑わいの創出,中心市街地の活性化,自然災害が頻発する中での災害対応機能の分散・強化,障がい者や高齢者も安全で利用しやすいユニバーサルデザインの実現,カーボンニュートラルに向けたゼブレディの導入,桜島の景観を望む本港区エリアにふさわしいデザインを備えた鹿児島のシンボル的施設といった,新たな価値も備えた施設として,しっかりとスポーツ・コンベンションセンターの整備を推進していく必要があると考えております。

今後とも,私自ら先頭に立って,県民の皆様に御理解をいただくために積極的な情報発信に努めてまいります。

私としては,スポーツ・コンベンションセンターの整備を進めるに当たっては,強い覚悟を持って臨んでまいりたいと考えております。

県議会の皆様の御理解を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます。

住吉町15番街区の利活用については,県議会における御論議も踏まえ,公募要領を策定し,本年3月28日から公募を開始しました。4月11日には,事業者説明会を実施し,県内外から参加のあった6事業者に対して,事業の趣旨,活用条件,評価の方法など公募要領の内容について説明を行いました。

先月16日には,公募要領の内容を十分に御理解いただき,よりよい提案をしていただくために,県内外の2事業者と個別対話を実施しました。

公募の受付期間は,8月8日までとしており,県としては,意欲のある民間事業者の積極的な参加を期待しております。

鹿児島港本港区エリア一帯の利活用については,先月23日に第5回鹿児島港本港区エリアまちづくり懇談会を開催し,県から,まちづくりに係る取組等を説明し,意見交換を行いました。出席者からは,「北ふ頭旅客ターミナルのスカイデッキは景色がよく,桜島を眺められるようにしてほしい」,「同ターミナルのトイレ,空調等の改修が早く進めば,単発的なイベント活用について相談したい」といった意見が出されました。

県としては,鹿児島港本港区エリアまちづくり懇談会における意見等を参考に,県議会での御論議も踏まえ,エリアコンセプトプランの具体化に向けた取組を着実に進めてまいります。

馬毛島における自衛隊施設の整備等については,4月には馬毛島と種子島の工事関係者数が5,940人となりました。国からは,「工事関係者数が概ねピークに達していると考えている」と聞いております。

また,基地の開設に必要な準備等を行うため,航空自衛隊の先遣隊約60人が,早ければ来月から中種子町に滞在し,馬毛島での勤務を開始する予定とのことです。

県においては,関係機関・団体からの情報収集や,先月15日に開催した種子島1市2町との連絡会等において,先遣隊の種子島への来島に伴う経済効果を期待する声のほか,馬毛島における仮設宿舎約4,200室の完成に伴い,賃貸物件や宿泊施設の不足などは徐々に改善しているものの,依然として住民生活や産業への影響が続いているとの声など,地元の懸念事項等をお聞きしました。国に対しては,引き続き,必要な対応を行うよう申し入れを行いました。

県としては,今後とも,地元市町と緊密に連携を図りながら,住民の安心・安全が確保され,また,環境保全措置が適切に講じられるよう,国に対応を求めるなど,しっかりと取り組んでまいります。

(誰もが個性と能力を発揮し活躍できる社会の実現)

男女共同参画・ジェンダー平等の推進については,今月から,広く県民を対象に,男女共同参画の基本的な考え方を知り,ジェンダーに関する無意識の偏見や思い込みに気づき,自ら何ができるかを考える「男女共同参画基礎講座」を開催し,地域・職場において男女共同参画を推進するための人材の養成に取り組むこととしております。

今後とも,男女共同参画社会の実現に向け,「第4次鹿児島県男女共同参画基本計画」に基づき,県民の意識啓発や気運醸成,女性活躍の推進など,各般の施策を積極的に推進してまいります。

(結婚,妊娠・出産,子育ての希望がかなう社会の実現)

本県における子ども・子育て関連施策を総合的に推進していくため,子ども・若者を対象としたアンケート結果や,子ども・子育て支援会議の議論,県議会での御意見等を踏まえ,本年3月末に「かごしま子ども未来プラン2025」を策定しました。

今後,結婚,妊娠・出産,子育ての希望が実現できる社会づくりの推進や,全ての子ども・若者が幸せを感じながら生活を送ることができる社会の実現を目指して,国や市町村,関係機関などと連携を図りながら,産後ケアなど健やかな妊娠・出産への支援や,離島に居住する子育て世代に対する経済的支援,不登校やひきこもり等の子ども・若者への支援など,同プランに盛り込んだ各施策を着実に推進してまいります。

子ども医療費助成制度については,本年4月から未就学児を対象に,現物給付方式を住民税非課税世帯から課税世帯にも拡げました。今回の県の制度拡充等を踏まえ,市町村においては独自に制度の拡充を行っており,全ての市町村において,未就学児の自己負担をゼロとしております。また,42市町村が中学生まで,そのうち,37市町村が高校生までを対象とし,自己負担をゼロとしております。

県としては,引き続き,新制度の内容や医療機関の適正受診に係る周知・広報を行ってまいります。

また,幼児教育・保育の充実に向けては,地域の幼児教育の拠点となる幼児教育センターを4月1日に設置しました。同センターにおいては,幼児教育アドバイザーが幼稚園・認定こども園・保育所等への訪問や園内研修等を通じて,保護者対応や園内の安全対策,幼児教育と小学校教育との円滑な接続などについての助言を行うこととしており,このような取組を通じて,幼児教育・保育の質の向上を図ってまいります。

子どもの居場所づくりについては,居場所に関するニーズ等を把握するため,昨年度,児童生徒や保護者,フリースクール等を対象に実態調査を実施し,結果を先月公表しました。

調査の結果,学校に行けなくなったときに,利用していた施設やあったら良かったと思う支援などについて,一定の実態が把握できたと考えております。

今年度は,新たに学識経験者や福祉・教育の関係機関等による協議会を設置しました。先月28日に開催した第1回の協議会においては,実態調査の結果等を踏まえ,児童生徒や保護者への相談支援体制の強化等について意見交換をしていただきました。今後は,児童生徒・保護者の意見をお聞きするとともに,他自治体の取組事例等を把握した上で,引き続き議論をしていただくこととしております。

(健康で長生きできる社会の実現と良質な医療・介護の確保)

新型コロナウイルス感染症については,5類移行後も夏と冬に流行が繰り返されており,本県の死者数は令和4年から3年連続で600人を超えております。新型コロナウイルス感染症以外でも,百日咳の週当たりの報告数が,本年4月に,現在の方法で統計を取り始めて以降最多だった40件を大きく上回る89件を記録し,その後も60件を超える週が続いています。

県では,昨年3月に改定した感染症予防計画に基づき,新興感染症発生時に,入院が必要な方を適切に入院させるための病床の確保や,外来において疑似症患者等の診察を行う発熱外来の確保,自宅療養者等への医療の提供を行うため,先月末までに,1,275か所の医療機関と協定を締結しております。今後とも,更なる協定締結に向けて取り組んでまいります。

県民の皆様におかれましては,引き続き,手洗いや手指消毒,換気など基本的な感染防止対策に取り組んでいただくようお願いします。

救急医療については,本年4月に,長崎県の対馬空港から,福岡県の民間病院へ向かっていた医療搬送用ヘリコプターが海上に不時着し,搭乗していた6名のうち3名が亡くなられる事故が発生しました。お亡くなりになった方々に哀悼の意を表するとともに,事故に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。

長崎県と同様に多くの離島を有している本県としても,今回の事故を大変重く受け止めております。今回の事故機と本県のドクターヘリの機種は異なりますが,本県のドクターヘリ等を運航している事業者及び医療機関に対し,あらためて,飛行前点検の実施等,安全な運航に向けた対応の再確認・徹底を求めました。今後とも,ドクターヘリ等の安全な運航管理を徹底し,救急医療体制の維持に努めてまいります。

救急車の適正利用などの効果が期待される「救急安心センター(#7119)」については,本県における事業導入の必要性等を検討するため,消防関係者,医療関係者,学識経験者等を構成員とする「救急安心センター導入検討委員会」を先月設置しました。

第1回の検討会においては,全国における導入状況や実施地域における取組実績,本県の救急搬送・救急医療の現状等を共有しました。今後も,救急安心センターの本県での有用性について,議論を重ねていただくこととしています。

(地域を愛し世界に通用する人材の育成と文化・スポーツの振興)

県立いろは中学校については,様々な事情で十分な教育を受けられなかった方や外国籍の方などを対象にした本県初の夜間中学として,10代から80代までの19名の生徒を迎え,本年4月18日に開校記念式典及び入学式を実施しました。その中で,新入生から「再び学ぶ機会を作っていただけたことに,胸が熱くなる。」「年代の違う多くの人と話し,友達をたくさん作り,一緒に学校生活を楽しみたい。」などの思いが語られました。こうした期待に応えるべく,今後,本県の新たな就学の機会を提供する場として,大きな役割を果たしていただきたいと考えております。

特別支援教育の充実については,視覚障害のある子どもに対する早期からの一貫した教育支援が重要であります。

鹿児島盲学校においては,現在,就学前の視覚障害のある子どもに対して,週3回程度,点字の習得等に向けた指導を行っておりますが,更なる教育の充実を図るため,同校に幼稚部を設置したいと考えております。

これにより,専任の教員を配置することができ,現在,週3日の教育時間が週5日に増え,言葉の獲得など幼稚園段階で必要とされている教育を計画的,継続的に実施することができるようになると考えており,令和8年度の幼稚部開設に向けて,必要な準備を進めてまいります。

県立高校については,生徒の多様な学びのニーズや生徒数の減少に対応することを目的に,本年度,今後の望ましい県立高校の教育の在り方について検討を行うため,学識経験者等で構成する「県立高校将来ビジョン検討委員会」を設置し,第1回検討委員会を今月10日に開催することとしております。

検討委員会においては,生徒の多様な学びのニーズに応える時代に即した新しい学校づくりの方向性などについて御議論いただき,本年度末を目途に,答申をとりまとめていただきたいと考えております。

県立短期大学については,今後,少子化の更なる加速が見込まれる中,将来にわたって更に魅力ある大学をつくっていくため,昨年5月に学識経験者等で構成する「魅力ある県立短期大学づくり検討委員会」を設置し,教育内容の更なる充実や学生の確保に向けた取組等について検討していただきました。

本年3月には,同委員会から,「創造力」や「課題発見力」を養うリベラルアーツ教育の実践,AI等の技術を適切に扱うための教養や情報リテラシーについての教育の更なる充実,高校生の大学への関心と理解を深めるためのオープンキャンパスの充実などの提言をいただきました。

県では,この提言の実現に向けて,県と県立短期大学の教職員で構成する検討会において,具体的な取組について協議を進めております。

文化芸術の振興については,来月18日から8月3日にかけて,国内外から著名な音楽家を迎え,みやまコンセールを中心に「第46回霧島国際音楽祭」を開催し,多彩なコンサートや講習会を実施することとしております。

今後とも,アジアを代表する音楽祭として,更に充実・発展していくことを目指してまいります。

みやまコンセールに整備を進めてきたパイプオルガンが,先月末に完成しました。今月1日には「パイプオルガン完成記念コンサート」を開催し,多くの皆様に御来場いただきました。

このパイプオルガンの整備に当たりましては,本県出身の方から多額の御寄附を賜りました。寄附された方の御厚意に心から感謝申し上げます。

今後は,コンサートやパイプオルガン講座の開催などを通じ,本県の新たな宝物の一つとして,活用を図ってまいります。

明治日本の産業革命遺産については,来月8日に世界文化遺産登録10周年の節目を迎えることから,日本が急速な産業化を成し遂げたことを証言する本遺産の価値や意義を改めて見つめ直す機会として,構成資産を有する8県11市で組織する世界遺産協議会において,来月6日に東京で記念シンポジウムを開催することとしております。

また,本県においても,来月12日に鹿児島市で記念シンポジウムを開催することとしております。

併せて,本遺産の認知度向上を図るため,SNSにおいて,旧集成館などの県内資産の写真・動画の投稿を促すためのキャンペーンを実施することとしております。このような取組を通じて,価値あるこの遺産を次の世代に継承し,地域の発展に生かしてまいります。

スポーツの振興については,本年4月6日に開催されたVリーグファイナルステージ決勝戦において,フラーゴラッド鹿児島が勝利し,Vリーグ初優勝,初代王者となる快挙を達成しました。

また,鹿児島レブナイズは,B2リーグ2024-25シーズンにおいて西地区2位となり,プレーオフまで進出しました。

さらに,ブルーサクヤ鹿児島は,女子ハンドボールで国内最高峰となるリーグHにおいて1位が確定し,今月開催されるプレーオフへの出場が決定しております。

このような県内のプロスポーツチーム等の活躍は,県民に大きな喜びと感動,夢を与えています。県としても,県民から愛され,その活躍や地域貢献活動が地域に活力をもたらす,これらのチームへの支援に,引き続き取り組んでまいります。

(脱炭素社会の実現と豊かな自然との共生)

地球温暖化対策については,本年2月の国の地球温暖化対策計画の改定等を踏まえ,今年度中に,「鹿児島県地球温暖化対策実行計画」を改定することとしております。

先月20日には,今年度第1回の県地球温暖化対策推進本部会議を開催しました。同会議においては,これまでの2030年度温室効果ガス削減目標に加え,新たに2035年度及び2040年度の削減目標を設定することなど,県計画の見直しに関する県の考えを説明しました。今後とも,温室効果ガス削減目標の達成に向けた再生可能エネルギーの一層の活用など,施策の充実・強化を図ってまいります。

洋上風力発電については,昨年5月に国への情報提供を見送って以降,県,関係市町,関係漁業者団体その他の利害関係者等で構成する研究会の開催や県による漁業者団体などへの個別の訪問を通じて,洋上風力発電の運転開始までのプロセスや漁業との共生を図る仕組みなどについて説明を行いました。また,いちき串木野市沖の情報提供の可能性について,関係市町や利害関係者等の意見を丁寧に聞きながら,検討を行ってきました。その結果,研究会の多くの会員からは,国への情報提供について,異論は無いとの意見を頂きました。

一方で,依然として,一部の会員からは,漁業にマイナスの影響が及ぶとの懸念から,情報提供に賛成することはできないといった意見が示されました。

現在の研究会の枠組みでは,専門的な知見や技術が不足しておりこのような懸念に関する議論がこれ以上深まらないことから,県としては,国への情報提供を行い,再エネ海域利用法に基づく法定協議会やその下に組織される実務者会議の中で,国や有識者等の専門的な知見や技術を活用しながら,更なる検討を行うことが必要であると判断し,本年4月25日に,いちき串木野市沖について,国への情報提供を行いました。

情報提供した区域の今後の取扱いについては,現在,国において検討が進められております。県としては,国の検討状況を注視しながら,引き続き,関係者の理解が得られるよう努めてまいります。

(安心・安全な県民生活の実現)

本年は,先月16日に,気象庁が1951年に統計を取り始めてから初めて,全国で最も早く九州南部が梅雨入りしました。また,先月19日には,奄美地方が梅雨入りしました。これから秋口にかけて集中豪雨などによる災害が発生しやすくなってまいります。

先月11日には,薩摩川内市の川内川において,国土交通省九州地方整備局及び薩摩川内市と共催で川内川総合水防演習を実施しました。

演習では,防災関係機関の連携・協力体制の強化や水防技術の向上,地域住民の防災意識の向上を図ることを目的として,災害を未然に防ぐ多彩な水防工法の実演やヘリコプターなどによる人命救助訓練などを行いました。今回の演習を生かし,水災害への対応に万全を期すよう,引き続き防災関係機関との連携に努めてまいります。

また,県においては,先月25日に,さつま町において,地域住民や94の機関・団体など約1,000人の参加者の下,豪雨による河川の氾濫に加えて地震が発生する複合災害により,孤立地域や多数の負傷者が発生することなどを想定した県総合防災訓練を実施しました。

今回の訓練においては,自衛隊等による孤立集落からの住民救助,避難生活の新たな環境基準等を踏まえた避難所の開設などに取り組むとともに,新たな取組として,DMATによる地域拠点病院の災害医療支援,衛星通信による通信手段の確保などに取り組みました。

今後とも,住民への適時・適切な情報伝達や円滑な避難が図られるよう,市町村や関係機関と連携し,防災対策の更なる充実・強化に取り組んでまいります。

県においては,毎年6月を「土砂災害防止月間」とし,チラシ配布による街頭PRやテレビ・ラジオ番組による広報,小中学校の児童・生徒への防災教育を実施するなど,土砂災害への県民の理解と関心を深め,土砂災害による被害の防止や軽減に努めております。

県民の皆様におかれましては,日頃から危険箇所や避難場所,避難経路を確認し,災害時には早めの避難に心がけていただくなど,備えに万全を期していただくようお願い申し上げます。

川内原発については,先月13日に開催した県原子力安全・避難計画等防災専門委員会において,九州電力から,昨年11月に運転開始40年までの長期施設管理計画の認可を受けた川内原発2号機について,運転開始50年目までの長期施設管理計画の認可申請の内容の説明がなされ,委員による議論を頂きました。

県としては,原子力規制委員会において,川内原発2号機の長期施設管理計画の認可申請について厳格な審査を行った上で,県原子力専門委員会で審査結果について御説明いただくなど,県民への分かりやすい情報発信・説明等に努めていただきたいと考えております。

今年度の原子力防災訓練については,来年2月7日に実施する方向で関係市町などと調整を進めており,訓練内容については,昨年度の訓練において外部評価者から出された御意見等を踏まえて検討してまいります。

また,原子力災害時の避難方法等について,県民への地道な周知活動が重要である旨の県原子力専門委員会の御意見等を踏まえ,県民の理解促進を図るため,更なる広報を行ってまいります。

今後とも,原発の立地県として,常に事故の発生を念頭に置き,県民の生命と暮らしを守る観点から,川内原発の安全対策・防災対策の充実・強化に取り組んでまいります。

(快適な生活環境の向上と世界につながる県土の創造)

屋久島空港については,滑走路の延長やエプロンの拡張などに必要な航空法に基づく空港施設の変更が,本年4月14日に国土交通省から許可されました。

本年度,実施設計や用地測量を行い,用地買収に着手することとしており,引き続き,地元屋久島町と一体となって,早期完成に向けて取り組んでまいります。

肥薩おれんじ鉄道については,昨年12月に設置した関係自治体や肥薩おれんじ鉄道等で構成する法定協議会をこれまで3回開催し,同鉄道の目指す姿や取り組むべき施策の方向性等を示した「肥薩おれんじ鉄道沿線地域公共交通計画素案」を本年3月に作成しました。

その後実施した,同素案についてのパブリックコメントの結果等を踏まえ,今月20日に開催予定の第4回協議会において「肥薩おれんじ鉄道沿線地域公共交通計画」を策定することとしております。

県としては,同計画等に基づき,来年度から,鉄道の安全性や利用者の利便性の維持・向上のための設備更新等に社会資本整備総合交付金を活用するなど,肥薩おれんじ鉄道が将来に渡って持続的な運行が可能となるよう,関係者と一体となり取り組んでまいります。

(個性を生かした地域づくりと移住・交流の促進)

移住・交流の促進については,県外からの移住者数が近年増加傾向にあり,昨年度は,市町村によれば,前年度より372人増加し,過去最高の2,950人となっております。

県では,今月1日に東京で開催された「テーマから探す!移住フェア」において,東京のふるさと回帰支援センターの移住・交流相談員と県庁のふるさと人材相談室の相談員が相談対応を行いました。今後も全国規模の移住イベントに出展・参加するとともに,市町村等と連携して首都圏等での移住・交流セミナーを開催することにより,本県への移住の魅力についてPRすることとしております。

ワーケーションの推進については,関係人口の創出・拡大を図り,将来の移住者の増加につなげるため,今月,市町村を対象とした先進事例等を紹介するセミナーやワーケーションツアープログラムの企画・開発をテーマとしたワークショップを開催することとしております。

(多様で魅力ある奄美・離島の振興)

奄美群島の振興については,奄美群島振興開発計画に基づき,交通基盤や産業基盤等の社会資本整備を図るとともに,移住・定住の促進や自然環境の保全と利用の両立,産業の振興による稼ぐ力の向上に加え,奄美群島が有する条件不利性の改善や沖縄との連携促進などの取組を推進してまいります。

4月20日には,大和村が本県と連携して整備を進めていた「アマミノクロウサギミュージアムQuru(くる) Guru(ぐる)」が開所し,私も記念式典に出席しました。奄美群島における人と生き物の共生を学ぶ施設として,希少野生生物の保護や自然環境教育に貢献するとともに,世界自然遺産の魅力発信や交流人口の拡大に寄与するものと期待しております。

離島の振興については,特定有人国境離島地域における航路・航空路運賃の低廉化や輸送コスト支援などを引き続き実施するとともに,自然条件等が特に厳しい離島地域における市町村の取組を特定離島ふるさとおこし推進事業により支援するなど,離島地域の活性化に着実に取り組んでまいります。

また,4月1日には,全国的にも貴重な恐竜化石が発見されている甑島において,薩摩川内市が本県と連携して整備を進めてきた「甑ミュージアム」が開館しました。甑島の化石・地質に関する調査研究を推進し,恐竜化石の島としての魅力を発信する施設として,島内外の交流拡大など地域活性化に寄与するものと期待しております。

(農林水産業の「稼ぐ力」の向上)

農林水産物の輸出促進については,「鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョン」における令和7年度の輸出目標額約500億円の実現に向けて,引き続き,生産体制と販売力の強化に取り組んでまいります。

特に,荒茶生産量日本一となったお茶については,欧米の抹茶等の需要拡大に対応するため,有機栽培茶の生産拡大やてん茶・抹茶加工施設等の整備を支援してまいります。また,EUへの更なる販路拡大に向け,現地パートナー人材の確保などに取り組むこととしております。

国内に向けては,3月29日から30日にアミュ広場で開催された「かごしま茶」日本一達成記念感謝祭を皮切りに,4月27日から28日には鹿児島空港において,先月17日から18日には博多駅において「新茶キャンペーン」を,先月10日から11日にはアミュ広場において「令和新茶まつり」を開催しました。

また,先月14日には,石破総理に新茶の贈呈を行い,私からも荒茶生産量日本一となったことを報告しました。「かごしま茶」を試飲された総理からは,「コク,深み,香り,色があって三拍子ならぬ四拍子揃った鹿児島のお茶」との評価を頂きました。

さらに,今月10日から11日にかけて,大阪・関西万博で開催される多様な地域の食などを紹介するイベント「RELAY THE FOOD」において,「かごしま茶」の試飲や産地の特徴の紹介などを行うこととしております。

クルーズ船の観光客を対象にマリンポートにおいても,「かごしま茶」の試飲や販売を随時行ってまいります。

県としては,荒茶生産量日本一となったこの機を逸することなく,「かごしま茶」の更なる認知度向上に努めてまいります。

県産和牛については,国内最大の和牛取扱量を誇る東京食肉市場において毎年開催されている東京食肉市場まつりが,今年は鹿児島黒牛を推奨銘柄牛として10月に開催されます。

県においては,4月28日に関係機関・団体からなる東京食肉市場まつり2025鹿児島実行委員会を設立し,先月15日には,首都圏の食肉事業者による産地視察を行いました。参加者からは,「輸送リスクがある中,鹿児島から高品質な牛を安定的に出荷していただいており,鹿児島の和牛には大変期待をしている。おいしいものは必ず売れるので,今後もたくさん東京に出荷していただきたい。」との高い評価を頂きました。

県としては,実行委員会を中心に,首都圏の食肉事業者や消費者に対して,鹿児島黒牛をはじめとする県産和牛の強みである品質と供給力をPRするとともに,「和牛日本一鹿児島」の認知度向上や,県産和牛の販路拡大に努めてまいります。また,本県の豊かな自然や食,歴史・文化,特産品など,「南の宝箱 鹿児島」の魅力を広く発信してまいります。

農業の担い手の確保・育成については,本年10月に,全国の農業者約2,000人が一堂に会して,相互研鑽・交流を行う「第27回全国農業担い手サミットinかごしま」が本県で開催されます。大会では,記念式典のほか,日本一の和牛,お茶などのふるまいや,6次産業化商品などのPRを行うこととしております。また,県内6地域に分かれて先進農家を視察する現地研修会や,本県の多彩な農畜産物でおもてなしをする交流会を開催します。県内外の皆様に本県の農畜産物の魅力を体験していただけるよう,担い手組織や農業団体等と一体となって開催に向けた準備を進めており,来月から参加者の募集を開始することとしております。

県としては,引き続き,実行委員会を中心に,県内外の農業者や関係者に対する広報活動を行い,大会開催に向けた更なる機運の醸成を図ってまいります。

豚熱については,4月11日に宮崎県の野生イノシシにおいて,豚熱の感染が確認されたことから,県においては,翌12日に県豚熱緊急防疫対策会議を開催し,関係機関・団体等を通じて,適時・適切なワクチン接種や,野生動物の侵入防護柵の再点検などの飼養衛生管理基準の遵守徹底を改めて周知しました。

また,県内の全養豚場について異状がないことを確認し,万一,飼養家畜に異状が認められた場合,直ちに通報するよう指導しました。

本県の養豚業は基幹産業である農業の産出額の約2割を占める重要な産業であり,県としては,市町村や関係機関・団体と一体となって,最大限の警戒感を持って,家畜伝染病の農場への侵入防止対策に取り組んでまいります。

林業の担い手確保・育成については,4月10日に,新規就業希望者向けの1年間の長期研修を行う「かごしま林業大学校」の開校式を行い,1期生13名を迎えました。

また,来年度の研修生の募集に向け,先月,募集要項を公表しました。来月には,「森の研修館かごしま」においてオープンキャンパスを開催することとしております。

本校の開校を契機として,林業の基礎から最先端に至る幅広い知識と技術を兼ね備えた安全知識の高い即戦力となる人材の育成に引き続き取り組んでまいります。

県産材の利用拡大については,民間建築物等での木材利用を促進するため,先月9日に県酒造組合と,「都市(まち)の木造化推進法」に基づく「建築物木材利用促進協定」を締結しました。

今後,同協定に基づき,酒造組合は,新たな酒造会館の建築にあたって県産材を積極的に活用することや,木材利用の魅力発信等に取り組むこととしており,県では,同組合が行う建築物の木造化の支援や活動内容等のPRを行うこととしております。

今後とも,建築物の木造化・木質化をより一層促進し,更なる県産材の利用拡大に努めてまいります。

水産業の振興については,生産量日本一を誇る鰹節の2大産地である「枕崎鰹節」と「指宿鰹節」が,3月18日に地理的保護制度「GI」に同時に登録されました。これにより,国内での認知度向上や販路拡大はもとより,海外輸出への追い風になると考えており,県においては,大阪・関西万博における外食パビリオン「宴~UTAGE~」などでの鰹節のPRを行うとともに,海外向けプロモーションの取組などを支援してまいります。

水産業の担い手の確保・育成については,先月17日に漁業就業希望者9名を対象に,「かごしま漁業学校」の入門研修を実施しました。

県としては,同学校での漁業体験や専門的技術の習得などを通じて新規漁業就業者の確保・育成に取り組むとともに,「新米漁業者みまもり隊」により地域に定着するためのフォローアップの取組を支援してまいります。

(観光の「稼ぐ力」の向上)

新型コロナウイルス感染症の影響で大きく落ち込んだ旅行需要は,徐々に回復しつつあり,県の観光動向調査において本年4月の県内宿泊者数はコロナ禍前の約8割程度の水準となっております。

国内からの誘客については,大手旅行予約サイトと連携して,今月下旬から,関東・関西在住の20代から30代をターゲットに,本県の観光素材を紹介する動画広告をSNS等で配信するデジタルプロモーションを展開することとしています。

さらに,動画広告から特設ページに誘導し,本県の観光スポット等の紹介に加えて,割引クーポンが利用できる宿泊予約サイトに案内することで,本県への誘客につなげてまいります。

本年4月から10月にかけて開催されている大阪・関西万博については,国内外から多くの来場が見込まれています。

万博会場では,先月28日から今月1日にかけて,内閣府主催の「地方創生SDGsフェス」が開催され,出水市や伊佐市,大崎町,肝付町が出展し,各地域におけるSDGsの取組を紹介するなど,県内各市町村が様々な情報発信を行っております。

県においても9月に,万博会場の催事施設EXPOメッセにおいて,九州7県で合同出展することとしています。鹿児島県ブースでは,本県の世界遺産,食文化,伝統的工芸品等の「南の宝箱 鹿児島」の魅力をPRすることとしており,市町村等とも一体となって,万博を契機とした本県の魅力の発信や観光誘客に取り組んでまいります。

国際交流の促進については,先月17日から19日にかけて,交流開始から40周年を迎える中国江蘇省の方偉副省長をはじめとする7名の代表団が来県され,県内の太陽光発電施設や介護施設,観光施設等の視察や,今後の交流について意見交換を行いました。

今後とも,これまで様々な分野で積み重ねてきた交流を踏まえ,本県と江蘇省の交流を更に促進し,お互いの地域の発展につなげたいと考えております。

鹿児島空港国際線については,4月3日からチャイナエアラインによる台北線が週2便から週3便に増便されました。また,将来的な定期便の就航を見据えて,ベトナム航空による鹿児島-ハノイ間の2WAYチャーターフライトが3月26日から30日の日程で実施されました。引き続き,鹿児島空港国際線の拡充及び安定的運航を図るための航空会社への運航支援を行ってまいります。

他方で,国際定期便の拡充に当たっては,グランドハンドリングなどの受入体制の確保が引き続き課題となっていることから,職員の採用支援などに引き続き取り組むとともに,今後の増便等も見据え,新規事業者の参入を促すため,参入に当たって必要な経営支援を行うこととしております。

鹿児島空港駐車場については,混雑が慢性化しており,大きな課題であると考えております。今年のゴールデンウィーク期間中も,空港駐車場が計3日間満車となり,空港ビル会社においては,満車時に臨時駐車場を開放するなどの対応を行いました。

県においては,連休など空港利用者が増加する時期には,SNS等で公共交通機関の利用を呼びかけております。

鹿児島空港駐車場の混雑緩和について,県としては,今後,国や空港ビル会社と連携し,駐車場の利用実態を把握する調査を早急に行い,国への働きかけを含め,必要な対応を検討してまいります。

クルーズ船については,本年は7月までで約130回の寄港が見込まれており,昨年同月までの100回を上回るペースとなっております。

県においては,経済効果の広域化を図るため,クルーズ船客向けのツアーを新たに造成し,そのツアーを催行する事業者に対し支援を行うこととしています。

引き続き,県内各地へのクルーズ船の誘致,クルーズ船の経済効果の波及に積極的に取り組んでまいります。

(企業の「稼ぐ力」の向上)

企業立地の推進については,新たな産業用地の確保に向け,昨年度に実施した適地調査等の結果を踏まえ,今年度は,5か所の候補エリアについて,ボーリング調査等を実施し,開発候補地の選定を進めることとしております。

スタートアップの創出・育成に向けては,各段階に応じた集中的かつ継続的な伴走支援を引き続き実施します。また,県庁18階の「かごゆいテラス」について,利用者の成長意欲の喚起や新たなビジネスの創出に向け,利用者からの相談対応を行うとともに,県内外の起業家や銀行などの支援機関とのマッチングを促進する人材を新たに配置しました。今後,起業を希望する方等に対し,事業計画策定などについて学ぶワークショップや県内外の起業家との交流を図るイベントなどを定期的に開催することとしております。

(多彩なキャリアをデザインできる働き方の創出)

県内の雇用情勢については,本年4月の有効求人倍率は1.10倍となっており,前月より0.01ポイント減少したものの,108か月連続で1倍台で推移しております。

本年3月新規学卒者の就職内定率は,高校,短大,大学ともに,おおむね堅調に推移しております。一方で,県内就職率については,大学では昨年度の水準を維持したものの,高校,短大においては減少が続いており,新型コロナウイルス感染症の5類移行の影響などによる県外志向がより強まる中で,産業人材の確保は引き続き重要な課題となっております。

このため,県においては,本年3月に,来春卒業予定の大学生等を対象とした合同企業説明会を開催したほか,先月22日には,鹿児島労働局と合同で,県内企業に対し,来春卒業予定の高校生の県内就職に向けた県内企業の魅力や認知度の向上について,積極的に取り組んでいただくよう,要請活動を行いました。今月7日から8日にかけては,高校生とその保護者に対する合同企業説明会を開催することとしています。

さらに,新たな取組として,本年3月に,鹿児島大学及び鹿児島国際大学と就職支援協定を締結し,県内企業や県内で働くことの魅力を発信するキャリアデザインセミナーを両大学で開催することとしております。また,県外在住の若者が県内で就職活動を行う際に要する交通費等を新たに支援することとしております。

今後とも,国や関係機関と連携しながら,新規学卒者をはじめとした若年者の県内就職の促進に努めてまいります。

外国人材については,近隣国との外国人材確保の競争激化や育成就労制度の創設など,外国人材を取り巻く環境の変化等を踏まえ,外国人材の更なる受入れ・定着に向け,外国人材の安定的な確保や外国人材が安心して働き,暮らせる環境整備等の取組をより一層推進することを目的に,本年3月に「第2次かごしま外国人材受入活躍推進戦略」を策定しました。

今後,同戦略に基づき,有望な送り出し国との関係構築や県内企業で就労する外国人材を対象とした日本語学習支援など,外国人材の確保,受入れ・定着に向けた取組を推進してまいります。

(デジタルテクノロジーを活用した県民の暮らしの質の向上)

行政のデジタル化については,収入証紙を用いた手数料等の納付において,行政サービスの利便性向上の観点から,令和5年12月に一部の手数料についてクレジットカード決済等も可能としました。

県としては,県民の利便性の更なる向上を図るため,電子マネーやクレジットカード等への対応など,キャッシュレス決済導入の環境整備等を進めることとしております。なお,現行の収入証紙は廃止したいと考えており,今後,県民への周知や関係者に対する丁寧な説明を行ってまいります。

(持続可能な行財政運営)

知事とのふれあい対話については,来月5日に喜界町において,農業の稼ぐ力の向上をテーマとして,開催することとしております。

今後も,県内各地域において順次開催し,県民との対話を通じて,県民の皆様の声を県政に反映するとともに,透明で開かれた県政運営を行ってまいります。

県議会の皆様方をはじめ,県民の皆様方の御理解と一層の御支援を心からお願い申し上げます。

次に,補正予算の概要について御説明申し上げます。

今回の補正予算は,スポーツ・コンベンションセンターの設計に係る債務負担行為や設計者選定等に要する経費のほか,国の令和6年度補正予算に対応した事業等を計上することとしております。

補正予算の総額は,一般会計で43億16百万円であり,この結果,補正後の一般会計の予算額は,8,570億50百万円となっております。この財源については,国庫支出金等をもって充てることとしております。

このほか,予算外の議案として,「鹿児島県職員等の旅費に関する条例等の一部を改正する条例制定の件」など,条例案9件,その他の議案5件,報告2件となっております。

何とぞよろしく御審議の上,議決していただきますようお願い申し上げます。

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