景観について
景観とは
一般的には,「人々の目に映る地形や地物(例えば樹林,建築物等)という意味で使用されています。
しかし,景観は,風土の基礎をなす自然環境(地形や気象,植生等)を根幹として,その風土に対応して築かれてきた文化や社会経済活動といった社会生活の様態により今日の姿を形成しており,今後も変遷していくものです。
よって,景観は目に見えるものと,その背景にある地域性や歴史性等の関係を捉えることにより,はじめて,景観の今日的な姿が把握できるものと考えています。
良好な景観とは
良好な景観は,美しく風格のあるふるさとの形成と潤いのある豊かな生活を営むために不可欠なものであり,地域の自然,歴史,文化等の諸要因と,人々の生活,経済活動との調和により形成されるものです。
景観形成とは
景観形成とは,良好な景観を「保全」し,損なわれた景観を「修復」し,優れた景観を新たに「創造」することととらえることができます。
景観形成は,単に視覚的に美しいものを守り育てるだけではなく,より質の高い環境の形成を自覚的に図っていくことを意味し,「地域づくり」,「まちづくり」につながってきます。
《景観形成の3つの取組み》
景観を守る~保全~
すばらしい自然環境や歴史的なまちなみなど地域に根ざした景観は地域独自のものです。
長い歴史と風土に培われた地域独自の味わいのある景観を守ることが景観づくりの出発点となります。
白金坂(姶良町)
武家屋敷(薩摩川内市入来町)
棚田(志布志市志布志町)
景観を育てる~修復~
生け垣の整備や自宅周辺での清掃活動など何気ない気配りや行動が,地域の素晴らしい景観を育てる行為になります。また,自然災害への適切な対応や景観を楽しむ場の整備といった取組も重要です。
生け垣の整備(鹿児島市)
美化活動(薩摩川内市里)
視点場の整備(指宿市)
景観を創る~創造~
地域を特徴づける生け垣や色彩等によるまちなみづくりを進めたり,公共建築物や道路,河川,公園など周辺景観と調和の取れた公共事業を推進することなどにより,魅力的な地域景観を新たに創ることが可能です。
摺ヶ浜ボードウォーク(指宿市)
伊唐大橋(長島町)
上野原縄文の森(霧島市国分)
景観形成に取組むにあたって
私たちは,このような景観の恩恵を,将来にわたって享受できるよう,長期的な視点に立って,県や市町村,地域住民やNPOなどが協働して,その整備,保全を図る必要があります。
景観形成の意義について
景観形成は,単に視覚的に美しいものを守り育てるというだけなく,地域の人々が生き生きとした豊かな生活を送ることのできる「地域づくり」,「まちづくり」につながるものであり,次にような意義を持っています。
「生活環境」の快適性の向上につながります
経済社会の発展,成熟に伴う価値観の多様化により,生活環境に対するニーズが高まっており,今日では,公害の防止や自然環境の保全にとどまらず,身近な緑や水辺,美しい街並みや歴史的な景観といった,私たちの生活にゆとりやうるおいをもたらす快適な環境を創造することも求められている。景観は,まさに住民が求めている快適な「環境」を向上させるのに重要なものであると言えます。
地域の魅力・個性の創出につながります
地域独自の自然や歴史・文化,産業等を活かした景観形成,例えば,ランドマークになっている山への眺望の配慮や地域の歴史を物語る文化財の保護などは,地域の魅力や個性を創出します。
郷土への愛着や誇りの醸成につながります
地域の美しい景観を求めて見直したり,近隣の人々と協力して花木や樹木を植えるなど,自ら景観形成に取り組むことは,自分たちの郷土への愛着や誇りを醸成します。
地域の人々の交流の活性化につながります
自分達の住む地域の景観を良くしていくための話し合いや清掃活動に自主的に参加するなど,多くの人々とともに景観形成に取り組むことは,地域交流の活性化につながります。
観光や交流の活性化につながります
人口減少時代に入り,これからの地域活性化にとって,観光振興や国内外との交流は大切な要素と言える。都市間競争の激化のなかで交流人口増加を図って行くには,地域固有の魅力を持つ,高めることが大事である。「景観」はその魅力の一つになりうるものであり,良好な景観の保全や形成を進めていくことが重要です。
商店街の活性化に寄与します
まちの郊外化や消費活動の変化により買い物客が減少し,賑わいが失われつつある中心市街地が見受けられる。商店街の景観形成の活動は,商店街の快適さに貢献することから,集客につながり,商店街を活性化させる手法となりうる。また,景観形成(まちづくり)の過程で行われる地元の景観資源の検討を通じて,忘れがちであった地元への愛着や誇りを再認識するという効果も期待できます。
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