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ホーム > 県政情報 > ようこそ知事室へ > 知事記者会見 > 令和5年度 > 令和6年度当初予算(案)等の知事記者会見

更新日:2024年2月9日

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ようこそ知事室へ

令和6年度当初予算(案)等の知事記者会見

日時:令和6年2月9日(金曜日)11時30分~14時01分

場所:5階記者会見室(県庁5階)

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「ムーブかごしま」からもご覧いただけます。

【発表事項】

1.令和6年度当初予算(案)等について

2.令和6年度の組織機構改正(案)について

《配布資料》

【発表内容】

1.令和6年度当初予算(案)等

【知事】
<冒頭>
それでは,私から令和6年度の当初予算(案)について発表をいたします。お手元の資料を御覧いただきながらお願いいたします。まず,1ページでございますけれども,総額は8,405億10百万円であります。
予算規模は,新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行や,国体開催関連事業の終了等により対前年比で5.5%の減となっております。
今回の予算は,かごしま未来創造ビジョンに掲げる各般の施策を着実に推進し,「誰もが安心して暮らし,活躍できる鹿児島」を実現する予算として編成いたしました。
また,歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組み,行財政運営指針に示した3つの指標を達成しております。
今回の予算の主要施策としては,まず第一に原油価格・物価高騰等総合緊急対策について,必要な対応を講じつつ,この資料に掲げてございます7つの項目に取り組むこととしております。
原油価格・物価高騰等総合緊急対策については,総額で約70.8億円を計上しております。
「稼ぐ力」の向上に向けた取り組みについては,農林水産業の「稼ぐ力」の向上関連事業に総額約132.7億円,観光関連産業の「稼ぐ力」の向上関連事業については,総額約21.5億円を計上しております。
企業の「稼ぐ力」の向上関連事業については,総額約44.7億円を計上しております。
次に,人材の確保・育成,移住・交流の促進に向けた取り組みについては,総額で約32.5億円を計上しております。
結婚,妊娠・出産,子育ての希望がかなう社会の実現に向けた取り組みについては,総額467.6億円を計上しております。

<健全な財政運営に向けた取り組み>
次に2ページでございます。
健全な財政運営に向けた取り組みについてでございます。
行財政運営指針等を踏まえ,歳入・歳出両面にわたる行財政改革に取り組んだ結果,1つ目の目標である当初予算における収支均衡については,14年連続で達成しております。2つ目の目標である本県独自に発行する県債残高については,令和6年度末の見込みは,1.1兆円を下回る1兆383億円程度となる見込みであります。3つ目の目標である財政調整に活用可能な基金残高については,令和6年度末見込みで251億円となり,250億円を下回らない水準を維持しております。
このように財政の持続可能性を維持するための取り組みもしっかりと行いつつ,重要施策には最大限投資するメリハリの効いた積極的な予算編成に心がけたところであります。

<行革PTの取り組み>
3ページ目を御覧いただきたいと思います。
行財政改革プロジェクトチームの取り組み状況でございます。
まず,令和5年度は,当PTの下に設置した「鹿児島県庁働き方改革ワーキンググループ」を中心に職員間で主体的に議論し,目指すべき職員像や人材育成の取り組みの方向性等をとりまとめた「鹿児島県職員人財育成ビジョン」を策定予定であります。
令和6年度以降,同ビジョンに基づき,人材育成等の取り組みをさらに拡充・強化してまいります。
具体的には,まず,人材確保の取り組みとして,育児や介護などを理由に退職した職員の再採用制度,カムバック制度(仮称)を新たに導入いたします。
また,人材育成・成長の取り組みとして,職場へのキャリアパスの提示等によるキャリア形成支援や人事評価制度の評価項目の見直し等による人材育成でのさらなる活用,研修の充実に取り組みます。
働きやすい職場づくりの取り組みとして,職員の健康保持等のための勤務間インターバルの確保や,職員の能力を広く役立てるための兼業・副業のさらなる促進に取り組みます。

4ページ目でございます。
令和6年度に向けた財源確保の取り組みとして,引き続き,事務事業見直しや歳入確保などに取り組んだ結果,14億円の効果額を生み出しております。
しかしながら,本県財政は,依然として予断を許さない状況にあることから,今後も持続可能な財政構造の構築に向けた取り組みを進めていく必要があると考えております。

<原油価格・物価高騰等総合緊急対策>
次に5ページをお願いいたします。
「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」についてでございます。
不安定な海外情勢や円安の影響などから,足元では物価の高騰が続いており,県民生活への影響が生じております。
県としては,国の施策とも連携して,これまで物価高騰の影響を受けている生活者や事業者の負担軽減に努めてきております。令和6年度当初予算においても燃料油や飼料の価格高騰に対する交通事業者や生産者への支援,LPガス利用者や特別高圧受電事業者への支援,医療機関や社会福祉施設等への支援などに要する経費を計上しております。
また,危機に強い経済構造への転換を図るため,中小企業のDX化,製造業・サービス業のAI,IoT等の導入による自動化・省力化の取り組みに対する集中的な支援などに要する経費を計上しております。

<予算(案)の重点ポイント>
6ページでございます。
今回の予算編成での重点ポイントについて御説明いたします。

1点目は,「稼ぐ力」の向上であります。
昨年5月の新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行後,コロナ禍からの経済の回復を確かなものとし,経済を持続的に発展させ,県民の所得の向上を図る必要があります。
このため,本県の基幹産業である農林水産業や観光関連産業,企業の「稼ぐ力」の向上に重点的に取り組みたいと考えております。

2点目は,人材の確保・育成でございます。
「稼ぐ力」の向上を図るためには,各産業を支える人材の確保・育成が不可欠であります。
少子高齢化や生産年齢人口の減少に加え,進学や就職に際して,若年層が県外に流出し,人材の不足が大きな課題となっております。
このような中,各種産業における人材の確保・育成をはじめ,移住・交流の促進,地域経済を支える貴重な人材としての外国人材の確保等に重点的に取り組みたいと考えております。

3点目は,子ども・子育て施策の充実・強化でございます。
出生数の減少が予想を上回る速度で進行し,人口減少に歯止めがかからない中,本県の将来を支える人材の確保・育成に向けて,国の施策の方向性も踏まえつつ,本県の実情に応じた子ども・子育て施策の充実・強化を図りたいと考えております。
今回,ライフステージごとの総合的な支援策として総額15.2億円の「子ども・子育て支援パッケージ」を取りまとめました。

<農林水産業の「稼ぐ力」の向上>
7ページを御覧いただきたいと思います。
ここからは,今回の予算の主要施策について,新たに取り組むものや強化,拡充を図ったものを中心に御説明いたします。

農林水産業の「稼ぐ力」の向上でございます。
農林水産業の「稼ぐ力」を引き出すためには,担い手の確保・育成を図りつつ,販売量の増加,販売単価の向上,生産コストの低減に取り組むことが必要であり,これが農林水産業の所得向上につながるものと考えております。
まず,「人づくりの強化」についてでございますが,農業においては,高齢化に伴い経営体数全体が大幅に減少する中,担い手は目標を上回る1.1万経営体程度で推移しているものの,新規就農者数は目標に達しておらず,今後高齢化がさらに進む中で,その確保に取り組む必要があります。
このため,これまで実施している高校生向けの出前講座,カリキュラムの充実等に加え,新規就農を希望する社会人が働きながら受けられる研修制度を新たに設けることとします。
また,本県の農業産出額の増加や農業所得の向上を図るためには,経営的視点を取り入れた農業法人を育成する必要があります。
このため,「かごしまの農業経営・就農支援事業」において,法人化を志向する農家に対し,プッシュ型で課題を掘り起こした上で,税理士等の専門家を派遣する取り組みを行います。
林業においては,近年新規就業者は150人程度で推移しているものの,今後,人工林が本格的な利用期を迎える中で,継続して新規就業者を確保するとともに,人材育成や労働環境の改善等を通じて定着率を高めていく必要があります。
このため,森林資源の循環利用の促進や,林業の成長産業化に向けて,幅広い知識と技術を兼ね備えた安全意識の高い即戦力となる人材の育成を目的とした林業大学校を令和7年4月に開校することとし,カリキュラムの編成や研修生募集,研修に必要な資機材等の整備など,開校に向けた準備を進めてまいります。

8ページ目でございます。
次に,「生産・加工体制の強化,付加価値の向上」についてでございますが,農林水産業の持続的発展に向けては,AIなどの最新技術を活用した「スマート農林水産業の推進」により,作業の効率化や生産性の向上を図る取り組みが必要であります。
農業分野においては,比較的導入コストが低いスマート農機を中心に導入が進みつつありますが,導入コストの高いスマート農機は経営規模によっては導入が難しい状況にあります。
このため,これらのスマート農機の導入が難しい中小規模の経営体においては,農作業受託組織への作業代行を行うことが有効であることから,これらの農作業受託組織に対する機械の導入を支援し,農作業の効率化や省力化を推進してまいります。
林業や水産業についてもスマート化を推進してまいります。

次に,「生産・加工体制の強化,付加価値の向上」についてでございます。
農業分野においては,食料安全保障の観点からも,引き続き生産基盤の強化や収益性の向上に取り組む必要があります。
このため,農産物処理加工施設や農業機械,畜舎など,生産基盤の強化や収益性の向上を図るための施設整備を支援します。
農産物の生産に当たっては,春野菜として定番化されている「そらまめ」や「実えんどう」などは有利販売が見込めることから生鮮向けに出荷する一方で,大根やキャベツなど加工・業務用に適した品目については,契約栽培が多く価格が安定している加工・業務用向けのニーズが高まっており,実需者のニーズに対応した栽培技術の普及等が課題となっております。
このため,実需者ニーズに対応した品種の導入や生産コストを低減するための機械の購入,大型コンテナの導入などを支援し,加工・業務用に対応した栽培技術の普及等を図ってまいります。
水産分野においては,本県の養殖ブリは生産量日本一を誇り,本県水産物輸出額の82%を占めております。
現在,養殖業者からのニーズが高い早期人工種苗の生産施設の整備に取り組んでおりますが,養殖現場からは,生産原価の低減を図るため,出荷サイズまでの養殖期間の短縮や生残率の向上などの品種改良を行う育苗技術開発の取り組みが求められております。
このため,高成長で生残率が高い優良種苗の生産技術を開発することにより,養殖業における生産原価を低減し,養殖経営の安定化を図ってまいります。

次,9ページ目でございます。
「国内販路拡大」についてでございます。
県では,県産農産物について,これまで販売指定店における販促活動,高級果物店と連携したイベント開催等の取り組みを行い,ブランド力向上に取り組んでおります。
一方で,県のオリジナル品種や高品質で希少性のある果物等は,必ずしも,その価値が価格面で十分に評価されていない品目もあることから,今後は,既存の「定時・定量・定質産品」とは別に「高付加価値産品」として販売促進に取り組むことが必要であります。
このため,今後,「高付加価値品」は,本年度策定したキャッチコピー「かごしまの推しです」や「南の宝箱鹿児島」を活用したPRを行いつつ,新たな販売促進により売り出していくこととします。具体的には,「定時・定量・定質産品」については販売指定店の拡大,「高付加価値産品」については高級果物店での取扱い品目の増加などに,それぞれ取り組んでまいります。

次に,本県の和牛については,昨年度の全国和牛能力共進会において「和牛日本一」の連覇を果たすとともに,産出額も日本一の実績を誇っております。
しかしながら,飼料価格の高止まりや国内の牛肉在庫量の増大,子牛価格の下落などにより,肉用牛農家の経営は厳しい状況となっており,国内外における県産和牛のPR活動を強化し,販売拡大に向けて取り組むことが必要となっております。
県産和牛の仕向先は,近畿が4割,九州が2~3割となっているのに対し,首都圏は約1割となっており,一般消費者の認知度も十分ではない現状にあります。首都圏は人口が多く,日本の情報発信の拠点となっており,高値での取引が期待できることから,首都圏での流通量の増加と認知度向上が課題であると考えております。
このため,一流レストランのシェフや食肉仲卸などを対象とした産地視察など実需者向けの取り組みを強化するとともに,スーパー・精肉店等の販売指定店におけるフェアを開催し,首都圏向けの取引量の拡大を図ってまいります。また,首都圏の一般消費者向けに,羽田空港や駅等におけるPR広告等の情報発信を集中的に行い,「和牛日本一鹿児島」の認知度向上を図ってまいります。さらに,高級ホテルでのレストランフェアを開催するとともに,トップセールスを行うなど,ブランド力の向上を図ってまいります。
林業分野においては,人口減少により住宅需要の減少が懸念される中,木造率が低い中高層建築物など,非住宅分野への県産材の利用拡大が必要であります。
このため,木造建築とRC造とのコスト比較集を作成し,これらを活用して設計事業者等に研修を行い,非住宅分野での県産材やJAS材の普及を行ってまいります。
また,県と建築物におけるかごしま材の利用促進に関する協定を締結している企業等が行う非住宅建築物の木造化・木質化の取り組み等を支援することで,非住宅における木造化を促進してまいります。

次に,「輸出拡大」でございます。
少子高齢化・人口減少の進行に伴い,日本の食需要は減少する中で,農林水産業が持続的に発展していくためには,輸出の大幅な拡大を図り,世界の食市場を獲得していくことが不可欠と考えております。
令和7年度の目標額約500億円の達成に向け,アジア諸国,米国,EU等を重点国・地域に設定し,輸出志向農家の確保・育成,流通・物流体制の構築,海外での販売促進活動等に取り組んでおります。
輸出に当たっては,輸出先ごと,品目ごとに食品衛生,動物検疫などの規制や消費者の嗜好といったさまざまなニーズへの対応が必要です。
このため,輸出先国のニーズに対応した生産体制の構築や国際認証取得等の取り組みへの支援を行います。官民一体となって輸出推進体制を構築するため今年度設置した「GFP鹿児島」を活用し,輸出先国の規制・ロット等に対応した輸出向け生産への産地転換,コールドチェーンの確保や混載等による集荷・流通体制の構築など,大ロット輸出産地のモデル構築等に取り組んでまいります。

<観光の「稼ぐ力」の向上>
次に10ページ目でございますが,観光の「稼ぐ力の向上」でございます。
新型コロナウイルス感染症の影響で大きく落ち込んだ旅行需要は,徐々に回復してきております。
観光の「稼ぐ力」の向上を図るため,本県の多彩な魅力を生かしたプロモーションを国内外に展開し,本県への誘客を促進するとともに,「個人向け」,「体験型」,「滞在型」など近年の旅行ニーズに対応した魅力ある観光地づくりを行ってまいります。

次に「戦略的なPRの展開」についてでございます。
本県は3つの世界遺産や多数の温泉,鹿児島黒牛をはじめとする食など魅力的な資源があり,これらの認知度や本県への訪問意向は高いものの,実際に本県への訪問へ行動を起こす割合は低い状況でございます。
本県へのさらなる誘客のためには,県のPRキャッチコピーであります「南の宝箱」を活用しつつ,ターゲットとなる観光客のニーズに応じて,その場所に行ってみたいとの共感を獲得できるようなストーリー性のあるPRが必要であると考えております。
このため,「南の宝箱鹿児島」をテーマとして,観光客のニーズに応じた,鹿児島の魅力を発信する複数のPR動画を作成するとともに,県民の皆様からもPR動画を募集するキャンペーンを実施いたします。これらのPR動画を,ターゲットとなる年齢層を絞ることができるYouTubeによる広告や各種イベント等の機会を捉えて積極的に発信いたします。併せて,今後さらなる誘客が期待できる首都圏における駅や車両を活用した広告展開を行い,本県への誘客につなげてまいります。
併せて,キャッチコピー「南の宝箱鹿児島」を活用しながら,鹿児島のPRや誘客促進のイベント等を交通キャリア等と連携して,期間を限定し,集中的に「南の宝箱鹿児島」キャンペーンを実施することで本県の認知度の向上を図り,首都圏,関西圏からの誘客を促進してまいります。

次に,「戦略的な誘客の展開」についてでございます。
近年,ライフスタイルの変化等に伴い,「個人向け」や「体験型」,「滞在型」など,旅行ニーズは多様化しております。
このため,新たに,鹿児島県を舞台にした作品や鹿児島県にゆかりのある人物など,いわゆる「推し」となりうる観光素材・コンテンツを掘り起こし,これらを周辺の観光地と併せて情報発信を行うことで,本県への「推し旅」・「聖地巡礼」を促進してまいります。

11ページでございます。
本県の外国人宿泊数は,少しずつ回復しつつありますが,令和元年の水準の6割程度となっており,鹿児島空港における地上支援業務,いわゆるグランドハンドリングに従事する職員の不足が引き続き課題となっております。県では,これまで地上支援業務職員の採用支援や航空会社に対する応援職員の派遣要請などに取り組むほか,他空港の複数のグランドハンドリング会社等に対して,鹿児島空港の現状を説明しつつ,新規参入も含め協力を要請してまいりました。
鹿児島空港国際線の需要に対応できるグランドハンドリング体制を確立するため,新規の参入事業者の安定的な事業運営に必要な経費を支援することといたします。
また,競争が激化する中で,インバウンドの早期回復を目指すため,航空会社から復便の要請のある香港,台湾,中国の直行3路線に対し運航再開時の広告掲載等プロモーション費を支援することといたします。また,ベトナム航空のプログラムチャーター便の運航に向けた支援を行うとともに,現地旅行会社へのプロモーションを行うなど,国際線の充実につながる対策を実施することとします。
さらに,インバウンド対策については,これまでコロナ禍で十分に取り組むことができなかった現地でのセールスやプロモーションなどを積極的に展開いたします。

次に,「魅力ある観光地形成」についてでございます。多様化する旅行ニーズに対応しながら,地域資源の活用により消費単価を上げる観光地づくりが必要です。
その中核的な役割を担うべき地域のDMOについては,体験プログラムの造成・販売などの動きは出てきているものの,さらなるレベルアップが課題となっており,それらの団体の体制強化を図ることが必要であります。
このため,観光地域づくりの中核的役割を担うDMO等の組織体制・人材育成に係る取り組みを重点的に支援します。
また,消費単価を上げる観光地域づくりのためには,地域が一体となったハード・ソフト両面での取り組みが必要であります。
このため,国のハード整備事業に採択された地域が実施する観光コンテンツづくりや料理開発,プロモーション等といったソフト面での取り組みを支援することで,観光地域の高付加価値化の先進的事例を創出し,県全体への波及を図ってまいります。

<企業の「稼ぐ力」の向上>
12ページでございますが,企業の「稼ぐ力の向上」についてでございます。
本県産業の競争力を高めるためには,省力化機器の導入等による県内企業の生産性・付加価値を向上させる必要があります。また。企業誘致や立地企業への成長支援にも取り組んでまいります。
本県産業が長期的に持続して発展するためには,スタートアップ支援等により,新たな産業を創出する必要があります。
さらに,加工食品等の県産品の国内市場が人口減少により縮小傾向にある中,海外市場において,さらなる需要・販路の開拓を図る必要があります。

まず,「生産性と付加価値の向上による産業競争力の強化」についてでございます。
本県企業の一人当たりの付加価値額は,製造業,サービス業ともに低くなっております。企業の生産性や付加価値を向上させるためには,各企業におけるAI,IoT,ロボット等の導入による自動化や省力化,デジタル化を進めていく必要があります。
こうしたことから,企業の生産性向上に向け,中小企業におけるDX化,製造業・サービス業におけるAI,IoT等の導入による自動化・省力化の取り組みについて,現下の物価高騰や人手不足の状況を踏まえ,規模を大幅に拡充した上で集中的な支援を実施いたします。
企業誘致については,「かごしま製造業振興方針」に基づき,「食品関連産業」,「電子関連産業」,「自動車関連産業」の重点3分野に加え,今後も成長が見込まれる「情報通信関連分野」,「環境・新エネルギー分野」の企業等に対し,県外事務所や市町村と連携しながら,誘致活動を展開しております。
こうした中,熊本県へのTSMC進出に伴い,本県においても企業からの引き合いが多くきており,新たな産業用地の確保が必要となっております。
このような状況を踏まえ,今後の成長が見込まれ,高い付加価値を生み出す情報関連産業の誘致活動に積極的に取り組んでまいります。
また,半導体関連産業等については,市町村と一体となった既存の産業用地への誘致活動等に取り組みつつ,今後の企業誘致に向けて,県内への立地可能性が高い業種の進出意向,産業用地に求められる条件,それらを踏まえた候補地の評価など,産業用地の可能性調査を行います。

13ページでございます。
「将来を担う新たな産業の創出」については,本県の起業件数は増えつつあるものの,開業率は,全国平均を下回る水準となっております。引き続き起業に向けた機運の醸成を図るとともに,スタートアップを支援する必要があります。

このため,大学生等を対象とした起業家によるワークショップ等を行うことにより,起業に向けた機運醸成を図るとともに,ビジネスプランの策定支援や事業化に必要な取り組みへの補助を行うなど,起業の各段階に応じた集中的かつ継続的な伴走支援を実施いたします。
また,新規事業への取り組み拡大を通じた中小企業の成長を促進するため,新たな産業の創出に向けた取り組みや市場拡大が期待される産業への新事業展開を総合的に支援する必要があります。
このため,新たな産業の創出に取り組む企業に対し,大学との交流の場の提供,事業ニーズの掘り起こしから事業化・販路拡大までの各段階に応じた研究開発費の補助や専門家による伴走支援など総合的な取り組みを行います。
今後,市場拡大が期待できる宇宙産業については,引き続き産学官による研究会の開催や実証事業に対する支援,ビジネスマッチングの支援などに取り組むとともに,国における大規模な基金の設置による民間企業等の先端技術開発,商業化等への支援などの動きも踏まえ,新規参入の余地がある事業分野や,新規参入につながる技術を有する県内企業の実態調査などを行います。

「県産品の国内外マーケットへの戦略的な展開」については,人口減少やライフスタイルが変化する中で,新興国においては経済成長や人口の増加により市場は拡大しており,世界的なEコマース市場の急成長やオンライン商談の普及など,海外との取引に参入しやすい環境となっていることから,加工食品等の県産品の海外市場での販路拡大に取り組む必要があります。
このため,加工食品などの県産品の海外市場開拓につなげるための貿易相談や貿易実務に関するセミナーの開催,有望な輸出先として期待されているASEAN地域に販売網を有するECモールを活用した販売機会の提供等に取り組んでまいります。
また,輸出商社が県内事業者と連携して,営業活動や商談機会を創出し,新規販路先の開拓や県産品等の輸出拡大を図る取り組みを支援してまいります。
本県を代表する特産品である本格焼酎の国内市場は,少子高齢化や人口減少等の人口動態の変化,ライフスタイルの変化や嗜好の多様化により,縮小傾向となっていることから,新たな市場を開拓する必要があります。
このため,本格焼酎のシェアが低く,今後の成長が見込まれる地域を対象に重点的な需要開拓に取り組むこととしております。具体的には,国内最大手の酒販店と連携して,同酒販店の本社が所在する宮城県を中心とした東北地方をターゲットとした本県の本格焼酎のプロモーションを実施します。

<人材の確保・育成,移住・交流の促進>
次は14ページでございます。
「地域産業の振興を支える人材の確保・育成,移住・交流の促進」でございます。
少子高齢化や生産年齢人口の減少に加え,進学や就職に際して,若年層が県外流出し,人材の不足が大きな課題となっております。
このような中,若年者等の県内就職促進,地域経済を支える貴重な人材としての外国人材の受入れのほか,移住・交流の促進等に取り組んでまいります。
「若年者等の県内就職促進」については,若年層に対して,より早い段階から県内企業の魅力や鹿児島で働くことへの魅力について,十分に伝えていく必要があります。
このため,合同企業説明会の開催や就職情報サイト「かごJob」による県内企業の情報提供等に引き続き取り組みます。また,県内製造業の認知度向上や人材確保を支援するため,これまでの高校生を対象とした取り組みに加え,新たに小中学生を対象とした企業見学会を実施します。
また,大学生の就職活動の早期化に伴い,大学3年生の夏頃にはインターンシップが開催されており,それ以前に県内企業の情報に触れる機会が少ない県外の大学生向けの早期の取り組みが必要であります。
このため,大学1,2年生を対象に,インターンシップへの参加やその後の採用につなげるための企業見学会を実施いたします。

次に,「移住・交流,UIターンの促進」についてでございます。
新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として,地方移住への関心が高まっていることから,この機会を逃すことなく,移住者を増やす取り組みを行い,人材確保につなげる必要があります。
これまで,相談窓口における相談対応のほか,全国的なイベントや各種セミナー等において情報発信・相談対応を行うなど,各種の取り組みを行っております。
東京のふるさと回帰支援センターの相談員については,今年度から相談員を増員し,相談体制の充実を図っております。これまでの取り組みの結果,相談件数や移住者も大幅に増加しておりますが,相談者からは,移住後の生活や仕事に対する不安の声も多く聞かれております。
このため移住相談窓口による相談対応や各種セミナー等による情報発信などに加えて,新たに移住検討者を対象とした現地視察を実施し,住宅などの情報収集,先輩移住者や地域との交流を行うことで,移住への不安の解消を図り,移住を促進してまいります。また,新たに,大学卒業後に本県に移住・就職する東京圏内の大学生を対象に,県内中小企業への就職活動に参加するための交通費を支援いたします。

次に15ページでございます。
ワーケーションや副業・兼業についても全国的に関心が高まっており,これらの取り組みを行い,関係人口の創出を図ることで,将来の移住につなげてまいりたいと考えております。
ワーケーションについては,「業務型」の関心が高まり,県内で好事例も出てきており,引き続き,こうした動きにも的確に対応してまいります。
このため,新たに,市町村やコワーキングスペース管理者を対象としたセミナーを開催し,業務型ワーケーションの好事例を周知するなど,取り組みを強化するとともに,ワーケーション拠点施設の改修や県外企業と地域の交流に係る支援を行ってまいります。

「多様な人材が就労できる環境づくり」についてでございます。
本県の外国人労働者は,これまでベトナムが最大の送り出し国であり,多くの人材が県内で就業しておりますが,今後は,近年増加しているインドネシアやフィリピンなど,新たな送り出し国との関係構築を図っていく必要があります。
このため,新たな送り出し国の現地送り出し機関と県内関係団体とのマッチングや本県受入企業の視察等を行うなど,関係構築を図ってまいります。
また,技能実習制度の見直しにより,転籍が可能になり,都市部への人材流出が懸念されることから,これまで以上に受入環境を整え,定着促進に取り組むことが必要であります。
このため,相談窓口の設置やセミナーの開催など,受入企業や市町村の支援を引き続き進めます。加えて,新たに,外国人材受入企業表彰制度を創設し,受入企業の取り組みやその企業で働く外国人材を紹介するPR素材を作成するとともに,SNS等を通じて本県の暮らしやすさ等を外国人材に向けて発信します。
また,「多文化共生推進事業」において,日本語講座,ボランティアの養成等を引き続き行うとともに,在留外国人に係る実態調査を実施し,さらなる多文化共生の推進につなげてまいります。

<結婚,妊娠・出産,子育ての希望がかなう社会の実現>
次に16ページでございます。
我が国では,出生数の減少が予想を上回る速度で進行し,人口減少に歯止めがかからない中,子どもや家庭を巡るさまざまな課題が深刻化しております。こうした中,国においては,今般,児童手当や出産一時金の大幅な拡充,保育士の配置基準の見直し等を盛り込んだ,こども未来戦略やこども大綱を策定し,子ども政策の強化に取り組んでおります。
また,妊娠・出産支援,子育て支援,保育サービスの充実など子育て支援施策の多くは,住民に身近な基礎的自治体である市町村を中心に実施されております。
本県においても,少子化は,人手不足の深刻化や地域の活力の低下を招くことから,私自身も非常に危機感を感じており,県としても,市町村に対する支援の充実を含め,子ども・子育て支援施策の充実に取り組みたいと考えております。
少子化の背景には,未婚化・晩婚化,妊娠・出産期や子育て期の孤立感や負担感,子育てに係る費用負担,仕事と子育ての両立の難しさ等のさまざまな課題があります。
このため,少子化を克服していくためには,ライフステージごとの課題に対応した総合的な支援を行っていく必要があると考えております。こうしたことから,県としては,国の施策とも連動しつつ,限られた財源を有効に活用して,各ライフステージにおける支援を大幅に拡充した総合的な対策を,総額15.2億円からなる「かごしま子ども・子育て支援パッケージ」として取りまとめました。

このパッケージにおける主な対策について御説明いたします。
まず,子育て世帯への経済的支援のうち,子ども医療費助成制度の見直しについてであります。
本県の現行制度は,住民税非課税世帯の高校生までを対象に自己負担を求めることなく,現物給付方式を導入しており,低所得世帯に非常に手厚い制度となっております。
他方で,多くの方々の強い御要望も踏まえ,子育てしやすい環境整備という観点から検討した結果,未就学児を対象に現物給付方式を課税世帯にも拡げることといたしました。
対象年齢については,未就学児が,成長や発達が著しく,生涯にわたる健康づくりの基盤となる重要な時期であることや,小・中学生と比べ医療機関を受診する機会が多く,医療費の負担も大きいこと,子育て支援については総合的な対策が必要であり,子ども医療費助成制度以外にも各ライフステージごとに取り組むべき課題があること等を踏まえまして,厳しい本県の財政状況等を勘案しつつ,持続可能で安定的に継続できる制度となるよう,今回の見直しでは支援の必要性が特に高い未就学児を対象といたしました。
来年度当初予算ではシステム改修費などの準備経費を計上しており,できるだけ早い時期に新制度をスタートできるよう取り組んでまいりたいと考えております。

次に17ページでございます。
妊娠・出産期においては,核家族化や晩婚化で両親からの育児支援が受けづらいこと等を背景に,妊産婦の方々の多くが不安や負担,孤立感を抱えていると考えております。
国の調査では,約9割の方が産後に,疲れやすい,睡眠がとれない,育児に自信が持てない,孤独だ,などと感じており,半数の方が「授乳や自分の健康状態に関する助言」や「育児の相談」を求めております。
このような中,約10人に1人の割合で産後うつの可能性があり,また,本県0歳児の虐待数は令和元年度の99人から令和4年度には143件と1.4倍に増加していることなどを踏まえると,産後の母親を身体的・心理的にサポートし,専門的な助言を行う産後ケアの拡充は急務であると考えております。
実際に利用者からは「産後ケアがなかったら産後うつになっていた」,「産後の慣れない環境の中で,寄り添って相談に乗ってもらえてありがたかった」との声が寄せられており,利用者のニーズは非常に高い状況にあるものと考えております。
他方で,利用者の費用負担は市町村による軽減措置があるものの,料金がネックとなって利用をためらうケースがあるなど費用負担の軽減が課題であると考えております。
このため,新たに,産後ケア利用者の利用料相当額を無償化する市町村に対し補助を行うことといたします。
また,産後ケア施設については,利用者の増加に伴い,その数は増加しておりますが,令和4年度の調査では,13市町村がサービス提供施設が不十分としており,希望する産後ケア施設が身近にないといった地域もあり,市町村の産後ケア事業の提供体制には差が生じております。
このため,国庫補助事業を活用した施設整備を市町村に働きかけるとともに,受け皿確保ができない小規模市町村においても利用ができるよう,県内の産後ケア施設における提供可能なサービスの内容や地域について調査を行い,県内市町村と情報共有を図り,当該市町村がサービス提供の委託先を確保できるよう支援することとしております。
また,子育て期においては,共働き世帯が増加する中,県の調査では,約95%の保育施設が保育士の確保に困っていると回答しており,同調査結果を元に推計した本県の保育士不足人数は約600人となっております。
また,令和5年度の本県の待機児童数は61人であり,まだ入園希望を叶えられない子育て世帯が存在しております。
このような状況の中,利用定員まで受入れができない,一時預かりができない,発達障害等の子どもの受入ができない等の弊害がある施設の割合は約35%となっており,保育環境の維持に影響が出てきております。実際に保護者の方々からは,「一時保育を利用したくても,いつも予約で埋まっている状態で利用できずに困っている」,「希望する保育園に空きがなく待機児童となり,予定どおり職場に復帰できなくて迷惑をかけてしまう」との声もあります。
また,国において,今後,「こども誰でも通園制度(仮称)」や,保育士の配置基準の見直しにより,さらなる保育士不足が懸念され,一部の市町村からは,人材の争奪戦により保育士の流出を危惧する声も寄せられております。
待機児童を解消するとともに,希望する保育所に子どもを入所させたいという保護者の方々の願いに応えるなどの保育環境の維持・向上を図っていくためには,保育士の確保が今後より一層求められます。このことにより,園児一人一人に寄り添った手厚い保育を行うことができ,保育の質の向上が図られることが期待されます。
このため,まずは,現在,本県に保育士登録している全員にアプローチし,約2万人と見込まれる潜在保育士の中から働く意思のある方を掘り起こし,県保育士人材バンクへの登録を促すことで登録者数の増につなげ,働く意思のある潜在保育士と人員を確保したい保育所等をマッチングする市町村の取り組みを促進いたします。
加えて,この人材バンクを活用したマッチングを円滑に行うためのコーディネーターの配置や,再就職支援のための就職相談会の開催,新卒保育士の確保のための保育所見学会など,市町村が実情に応じた独自の保育士確保対策に取り組めるよう,交付金制度を創設することといたします。

次に18ページでございます。
本県特有の子育ての課題として,離島地域の子育て家庭は,地理的状況や医療機関等の偏在などにより,本土に比べて経済的負担が大きくなっております。地域で必要な医療が受けられない場合,県本土の鹿児島大学病院や鹿児島市立病院等への受診を余儀なくされており,親の付き添いも必要となることから,交通費や宿泊費の負担が課題となっており,その負担軽減が重要と考えております。
保護者の方々からは,「半日受診するために2泊3日かかり,経済的にも精神的にも負担が大きい」,「長時間の移動は子どもに負担がかかるため,高額だが飛行機を利用せざるを得ない」との声があります。
例えば,奄美大島の方が,鹿児島大学病院や鹿児島市立病院でより高度専門的な医療を受ける場合,医療費については子ども医療費助成制度により自己負担分の償還があるものの,通院に係る費用として,2人分で往復航空運賃と2泊の宿泊代が約8万円~10万円程度かかることとなるということでございます。
奄美群島の市町村においては,年間150名を超える子どもに対し,交通費等の助成に取り組んでおりますが,市町村によって助成額や回数等に差が生じており,これらの市町村から県に対し,島外受診に係る旅費を支援するよう要望がなされております。
このため,新たに,離島地域に居住する子どもがやむを得ず島外の医療機関を受診する際の交通費等を助成する市町村を支援することといたします。
近年の女性就業率の上昇等による,さらなる共働き家庭等の増により,放課後児童クラブを利用する児童数が増加しており,今後もさらなる増加が見込まれます。子どもの小学校入学を機に,保育園時代に比べて預かり時間が短くなることにより,仕事と育児の両立が困難となる「小1の壁」を打破するためには,放課後児童クラブの果たす役割がますます大きくなっております。
本県でも令和5年5月時点で待機児童が162人発生しており,「通わせたくても空きがないと言われた。なんとかしてほしい。」などの切実な意見もあり,「経済的な理由等から利用したくても利用できない」などの低所得世帯や多子世帯の方々からの声も聞かれております。
未就学児童については,幼児教育・保育無償化により3歳から5歳児までの保育料が無償化され,0歳から2歳時についても所得に応じた保育料が設定されておりますが,放課後児童クラブにはそのような保護者負担の軽減のための制度がなく,ひとり親世帯や低所得世帯等への支援がなされておりません。
利用を希望するひとり親家庭や非課税家庭等が年々増加する中,利用料の減免が早期に実施されるよう,県へ要望がきております。
このため,ひとり親世帯や低所得世帯等に対する子育て支援の充実に向けて,市町村が行う放課後児童クラブ利用料の負担軽減の取り組みを支援することといたしました。このほか,同様に子育て世帯のニーズが高い,病児保育や産後レスパイトケアの利用料支援を推奨メニューとする交付金制度を創設し,これらの施策に取り組む市町村を支援することといたしました。
このほか,結婚を希望する方の出会いの場を提供する「かごしま出会いサポートセンター」の若年層の新規会員獲得に向けた取り組みを強化するとともに,子どもたちが安心して過ごせる居場所づくりに向け,各地域において子ども食堂とその関係者による協議会を設置し,連携体制を構築する取り組みへの支援を新たに行うこととしました。
さらに,不登校やいじめなどの未然防止や早期発見・早期解決を図るため,児童生徒への心理的な支援を行うスクールカウンセラーの派遣回数を大幅に拡充することといたしました。
県としては,これらの総合的な対策を迅速に実施することで,県民の皆様の結婚,妊娠・出産,子育ての希望を叶えられるよう取り組んでまいりたいと考えております。

<デジタルテクノロジーを活用した県民の暮らしの質の向上>
次に20ページでございます。
デジタル社会の実現については,交通,医療,介護,教育など,あらゆる分野におけるデジタルテクノロジーを活用した効率化・生産性向上に取り組むとともに,行政手続のオンライン化に向けた取り組みの推進やデジタル技術を活用した業務改革の積極的な推進など行政のデジタル化,人材の育成等に取り組んでまいります。

「暮らしと産業のデジタル化」については,介護・障害福祉分野へのロボット,ICT等の導入支援を実施するとともに,新たに,九州MaaSに参画し,官民一体となって地域公共交通の利用促進に取り組みます。
「行政のデジタル化」については,電子契約サービスの導入や庁内各業務のデジタル技術活用による業務改革に取り組みます。
「デジタル人材の活用・確保・育成」については,DXに向けた取り組みを伴走支援できるIT企業のエンジニア等の育成や,経営者等のデジタルリテラシー向上のための研修,ITエンジニアを目指す方を対象としたプログラミング研修等に取り組みます。
また,教育分野において,教員のICT活用指導力向上のための研修等の実施や,県立学校のICT支援員の配置に取り組むほか,ICTの専門家等による学校や市町村教育委員会への指導・支援等を行います。

<脱炭素社会の実現と豊かな自然との共生>
次は21ページでございます。
地球温暖化は,人類の将来に関わる最も重要な環境問題であり,県としても,2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとすることを目指し,昨年度改定した「鹿児島県地球温暖化対策実行計画」等に基づき取り組みを進めております。
「地球環境を守る脱炭素社会づくり」については,地球温暖化対策に対する気運醸成を図るため,各種イベントの開催や広報等を行うとともに,県有施設における照明のLED化や太陽光発電設備の設置を推進します。
また,GXに向けた新たな事業を創出するため,ワークショップの開催やモデル企業創出に向けた伴走支援等を行います。具体的な取り組みとして,県内外の企業と連携した,畜産業において飼料用アミノ酸を活用し牛から排出される温室効果ガスの削減を図る取り組みや,建設分野においてシラス由来の火山ガラス微粉末の量産化を促進し低炭素型シラスコンクリートの普及を図る取り組みを推進してまいります。
電気自動車の普及・促進に向けては,本土と比較して走行距離が短くメリットを感じにくい離島における電気自動車・充電設備の導入への支援を拡充します。
「再生可能エネルギーを活用した地域づくり」については,水素・再生可能エネルギーに関するセミナーの開催などによる普及啓発,エネルギーを地産地消するまちづくりの基盤整備として,県有施設を対象とした実証事業の検討等に取り組んでまいります。

<多様で魅力ある奄美・離島の振興>
22ページを御覧ください。
本県の離島は,各島の特色ある独特の自然,文化,伝統,多様なコミュニティなど,多様性を有しており,まさに鹿児島の宝であると考えております。一方で,外海離島が多く,台風常襲地帯であるという厳しい条件の下,医療,物価,物流など多くの面で課題もあります。離島の多様で豊富な地域資源を活用するとともに,生活環境,交通基盤,産業基盤などの社会資本の整備とさらなる産業振興を図ってまいります。
「島々の魅力を生かした奄美・離島の振興」については,奄美群島の自立的発展等を図るため,奄美群島振興開発特別措置法に基づく奄美群島振興開発計画の策定に向けて取り組みます。また,奄美の独自の文化である島唄の魅力を発信することにより,奄美の自然や文化に対する理解を深めます。なお,特定離島ふるさとおこし推進事業において,島民の負担の軽減を図るため,令和6年度から,島外車検時の車両航送料支援を補助対象に追加することといたしました。
「世界自然遺産の保全と持続的な観光の推進」については,世界自然遺産に登録された奄美の適切な保全・管理の継続的な実施に向けた取り組みを推進いたします。
また,「奄美・沖縄」の世界自然遺産登録効果を,奄美群島の持続的な発展につなげるため,沖縄県と連携し,プロモーションや周遊促進を図ってまいります。
「離島の交通ネットワークの形成」については,鹿児島-奄美群島間や奄美群島-沖縄間等の移動コストの負担軽減を図り,沖縄との連携・交流を促進するため,奄美群島の住民等を対象とした航路・航空路運賃の一部助成を行います。

<その他の主要施策>
その他の主要施策について,いくつかご紹介いたします。
23ページの「地域を愛し世界に通用する人材の育成,文化・スポーツの振興」でございますが,夜間中学の令和7年4月開校に向けた準備を着実に進めてまいります。
県立高校生徒の通学に関して,路線バス等の減便・廃止により,通学ルートの変更による通学時間の増加や定期代の負担増など,入学時に想定していなかった影響が生じていることを踏まえ,その経済的な負担増に対して一定の支援が必要であると判断いたしました。
このため,県としては,令和4年度から令和6年度の間の,路線バス等の減便・廃止の影響により,定期代の負担が増加した生徒に対し,緊急時限的な取り組みとして,増額分の一部を支援することといたしました。
県立高校に通う生徒の中には,これらの生徒以外にもより高額な通学費を負担している生徒がいるものと考えられることから,恒久的な支援を視野に入れて,今後,高校生の通学費等の現状について調査を行い,令和7年度からの支援を検討することとしております。

スポーツ・コンベンションセンターについては,スポーツ振興の拠点機能に加え,多目的利用による交流拠点機能を備えた施設として整備・運営を行ってまいります。

24ページの「個性を生かした地域づくりと移住・交流の促進」でございます。買物弱者対策として,県や市町村等が行う買物支援に関する情報の発信や,市町村が行う買物弱者対策への支援等を実施することとしております。
以上,主な施策の概要について御説明いたしました。

2.令和6年度の組織機構改正(案)

続きまして,令和6年度の組織機構改正(案)が取りまとまりましたので,主なものについて御説明申し上げます。

25ページでございます。
1つ目は,「子ども政策局」の設置でございます。
子ども・子育て関連施策について,企画立案・総合調整機能の強化等によりさらなる推進を図るため,「子ども政策局」を設置することとしております。併せて,「くらし保健福祉部」を「保健福祉部」に改称することとしております。
子ども政策局には,保健福祉部の子ども政策局長の下に,子ども・子育て関連施策の総合調整等を行う「子ども政策課」を設置するとともに,既存の組織を改組した上で,「子育て支援課」及び「子ども福祉課」を設置し,体制を強化することとしております。

2つ目でございます。
児童虐待相談対応件数の増加を踏まえ,各児童相談所の人員体制を強化することとしております。

次に,企業の「稼ぐ力」の向上の推進体制の強化でございます。
県内企業の「稼ぐ力」の向上に向けた施策について,本庁と地域振興局・支庁が一層連携し,さらなる推進を図るため,商工労働水産部及び地域振興局・支庁の体制を強化することとしております。
具体的には,地域振興局・支庁において,管内企業からの相談等に対応し,そのニーズを的確に把握するとともに,本庁との情報共有等を図り,関連施策の充実につなげるため,各地域振興局・支庁総務企画部に「地域企業振興監」及び「地域企業支援官」を設置することとしております。
併せて,本庁において,各地域振興局・支庁との連携を強化するため,商工労働水産部商工政策課に「課長補佐(地域連携担当)」を設置することとしております。

次に,外国人材の安定的な確保及び受入・定着に向けた取り組みをより一層推進するため,商工労働水産部に「外国人材政策推進課」を設置し,体制を強化することとしております。
併せて,同課と連携して,地域における外国人との共生をより一層推進するため,男女共同参画局くらし共生協働課に「多文化共生推進班」を設置することとしております。

次に,「畜産振興課」及び「家畜防疫対策課」の設置でございます。
鳥インフルエンザや豚熱などの家畜防疫対策を着実に推進するため,農政部の「畜産課」を改組し,「家畜防疫対策課」を設置するとともに,本県畜産のさらなる振興に向けた取り組みをより一層推進するため,「畜産振興課」を設置いたします。

組織機構改正についての説明は以上でございます。
私からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【質疑応答】

【記者】
まず,今御説明いただいた当初予算案について,改めてどんな特徴のある予算案なのか簡潔に教えてください。

【知事】
昨年に比べると5.5%の減となっております。これは,御説明申し上げたように新型コロナ対策に係る経費と国体関連が減ったということでございまして,そうした中で,誰もが安心して暮らし,活躍できる鹿児島を実現するために必要な予算編成を行ったということでございまして,中でも今御説明申し上げたような物価高騰,こういった影響を緩和するための対策,それに加えて基幹産業である農林水産業等の稼ぐ力の向上を図るということと,人材の育成・確保,子育て支援,こういったところに力を入れていきたいということで,そういったところに重点的に配分をしたということでございます。

【記者】
一言で表すとどんな予算だとお考えでしょうか。

【知事】
一言ですか。難しいですけどね。二言になるかもしれませんが,「稼ぐ力と人への投資」ですかね。二つになるかもしれない。

【記者】
先ほども知事がおっしゃっていましたが,今回はコロナと国体関連の予算がなくなって,ある意味スタートラインに立つという意味合いもあったかと思います。そこを色濃く反映している特徴がどんなところにあるとお考えでしょうか。

【知事】
色濃くと言いますか,コロナ対策は昨年の5月に5類になったということで,経済活動が活発化してきているというところで,今後の鹿児島県の持続的な発展を担うために,今必要な対策としてさまざまな稼ぐ力と将来的な人的な基盤を整備していこうと,そういう予算だというふうに思っております。

【記者】
知事としてコロナ禍に就任されたということもあり,今回の新年度予算というのがコロナ対策に追われず,御自身が考える重点施策に注力できるという側面もあったかと思うのですが,予算編成に当たって,これまでと違った点であったり,どういった点を意識されて編成されたのかというのを改めて教えてください。

【知事】
それほどですね,コロナ対策の時と大きく変わっているということではないとは思っているんですが,コロナがあるとコロナだけしかやってないということではなくて,これまでも継続的に本県の農林水産業や観光,企業の稼ぐ力の向上ということについては継続的にしっかりと取り組んできているというふうに思っておりますので,その延長線上に今回の予算というのもあるというふうに思っております。ただ違うのは,現地に出かけていって,プロモーション活動を行ったりというようなことを,輸出の面あるいはインバウンド対策,そういったことができるようになったので,そういった点では力を入れているということであって,必ずしもコロナだけをやっていて,今後スタート地点,ゼロからということではなくて,これまでずっと取り組んできたことをさらに強化していくということだというふうに思っております。

【記者】
予算の内容で言うと稼ぐ力の向上であったり,子育て支援等を中心としていろんな柱を立てて編成されたと思うんですが,何か特に力を入れた分野であったり,目玉となる看板政策は何になるとお考えなのか教えてください。

【知事】
看板というと繰り返しになるかもしれませんけれど,稼ぐ力についてのいろんな施策を総合的に講じるということと,子育て支援のところも,各ライフステージごとにそれぞれのニーズに応じた対策ということを予算に組み入れてきたということかと思っております。

【記者】
子育て支援の関係で,今回重点的に取り組む施策の一つですけれども,これまでも子育て支援ということ自体は県としても,予算案の中でも,柱の一つに位置付けていたと思うんですが,今回は,子ども政策局を立ち上げるなど,組織再編というところにも手をつけていて,先ほどの説明を聞いていても,非常に具体的なニーズの調査とか,そういったところまで取り組んでいるという意味ではこれまでと違った力の入れ方なのかなと思っているところなので,改めて,知事自身が子ども子育て支援施策を重視していくにあたって,どういう出来事をきっかけに,今回のような取り組みをすることと決めたのか。それから,そこに対してどんな思いで望んでいきたいのかっていうところを聞かせてください。

【知事】
これまでいろんな児童対策,子どもの対策もあったと思います。
それぞれその時ごとのニーズに応じて対応してきたというふうに思っておりますけれども,今般,国の方でも,こども家庭庁ができたり,子ども大綱ができたり,そういった全国的な動きもある中で,本県においても今後,人口減少がさらに進んでいます。思ったよりもどんどん加速化している中で,今後長期的に地域の持続的な発展というものを担う上では,子ども対策をしっかりと行っていく必要があるということで,これまでのさまざまな実情を調べた中で,ライフステージごとに総合的な対策を行っていく必要があると考え,今回部局的にも,いろんな関連する部署があるので,庁内各関係部局の総合調整機能というものも必要だろうということで,「子ども政策局」という組織も作りました。
また,ライフステージごとの課題ということも見えてきましたので,それについてしっかりと限られた予算の中で取り組んでいくということで今回整理をしたものであります。

【記者】
先ほどの説明の中でも何度か言及がありましたけれども,本県の人口減少も予想よりも加速化してるっていうようなことですけど,これは何か直近の国のいわゆる国立社会保障・人口問題研究所の予測とかそういったものを捉えてという。

【知事】
必ずしもそういったデータといいますか,いろんな地域においても,子どもの数が全国的に80万人を切ったり,本県においても離島などを中心に,子どもがいなくなったとかいろんな声も聞こえてきておりますので,そういった過疎が進み,また人口減少が進んでいくという実態は肌感覚として,いろんな声をお聞きしております。

【記者】
総合的な施策とおっしゃいましたけど,まさにパッケージの中に含まれてる施策は多岐にわたっていると思うんですけれども,さまざまな子ども子育て支援の課題がある中で,特に,まず直近で重点的にアプローチしていきたい課題というのは,どういったところになるのか教えてください。

【知事】
それぞれだと思うんですよね。ライフステージごとに何を取り組むかということで,今回精査をして予算化しているわけですけれども,結婚に当たってのマッチングもありますけども,妊娠,子どもを産むというステージにおいては,やはりその産後ケアのところが非常に多くのお母様方の悩みが多いということで,これについて県議会からもいろんな御意見もいただいてますので,産後ケアの充実,安心して産める,そういった環境整備ということが必要だろうと。
そしてまた,未就学児のところについては,先ほどの子ども医療費の現物給付に対する御要望というのが非常に高いというふうに思っております。
そういった取り組みと合わせて,小学校ぐらいの児童ということになりますと,共働き世帯においての学童保育,放課後児童クラブ,こういったところで預かるということが非常に皆さんにとって切実な声があるということだと思います。
また,未就学児については,保育士をしっかりと確保して,保育の質・量ともに確保していくという,こういったそれぞれのライフステージごとに総合的にこういった御要望が高いというふうに考え,今回,予算化をしたところです。

【記者】
私の方から最後に,そういった課題解決に取り組む上で,数値的な目標とか,そういったものがあれば教えてください。

【知事】
数値的にといいますか,市町村を支援するという施策が結構あって,市町村との関係もありますので,まだ数値的な目標設定というところまではできておりません。

【記者】
子ども子育て支援政策について何点かお伺いさせていただきます。
まず全体についてなんですけれども,これまで鹿児島の子どもに関する施策は,昨年の医療的ケア児等支援センターの設置だったりとか,課税世帯未就学児への子ども医療費,現物給付方式導入など,全国で遅れをとるものもあったかと思います。
今回の24年度の当初予算では,この子ども子育て支援パッケージということで,重点ポイントの一つになるとのことですが,知事として,これまでの鹿児島の子ども子育て政策全般についてどのように評価をされているでしょうか。
もう1点,今回のこのパッケージによって,鹿児島の子どもに関する施策を今後どのようにしていきたいと考えてらっしゃるか,例えば,全国でも注目されるような施策展開をしていきたいとか,何かそういった思いがあられれば教えていただきたいです。

【知事】
これまでの鹿児島県の子ども政策がどうかということで,医療的ケア児のセンターの設置とか,そこら辺が全国的にも遅かったとか,そういったことはあるんでしょうけれども,できることから着実にしっかりとやっていきたいと思っております。
教育面でいけば,今回夜間中学を設置をしたりというような教育面でもありますし,特別支援学校であったりとか,これは子ども子育てというよりは教育の方に分類されてるかもしれませんけれども,いろんな子どもに関わる,教育等に関わる部分というのがあって,そういったものについては,児童相談所の強化であったりとか,私が就任してから進んだ部分もあったんではないかなというふうに思っております。
今後どのようにということで言いますと,先ほど申し上げたような課題,現場のお母さんたちの家庭のお声,こういったことをしっかりと受けとめながら,また今後も課題を一つ一つ解決をしていきたいと思っております。
全国で注目されるっていうことが目的ではなくて,本当に今鹿児島の子どもたちが安心して暮らせる,あるいは鹿児島で子ども子育てをしている保護者の皆さんにとって,よりよい制度,そういったものを目指していきたいというふうに思います。

【記者】
保育士の人手不足についてもお伺いさせてください。
今回のパッケージの中ではその保育士の人材確保に向けた新規事業がいくつかあるかと思うんですけど,そもそも保育士不足の背景にどういった要因があるというふうに知事は認識してらっしゃるかというのと,また今回のこの新規事業を通してどのようにその人手不足を解消しようというふうにお考えなのか,お聞かせください。

【知事】
いろんな個別の保育士の方々の事情というのは,個人的な事情があると思いますけれども,保育士の皆さんのライフステージといいますか,結婚があったりとか,そういったようなこともあって,いったん離職をしたりというようなケースもあると思いますし,あるいは処遇の面で,他にもっと収入のいいところにというようなこともいろんなケースが考えられると思っております。
そういった中で2万人ぐらい潜在保育士の方がいらっしゃるということで,やはり資格をお持ちになってるということは,そういった保育ということに関心をもともと持って,意欲もあった,そういう方々だと思いますので,そういった方々がいろんな事情でいったん保育士の仕事を辞めたり,あるいは保育士として仕事をせず,そのまま就職をされたような方もいらっしゃると思うんですが,今潜在保育士として他で仕事をされてるのか,あるいは仕事をされずに専業主婦になってるのか,いろんなケースがあると思いますが,そういった方々の今の現状を一人一人調査した上で,働きかけを行ったりしながら,また魅力ある保育の仕事の現場に帰ってきていただけるような,そういった後押しを市町村と一緒にしていければと思っております。

【記者】
出会い結婚相談事業についてなんですけれども,この事業がどのようにして少子化対策につながっていくと知事はお考えでしょうか。

【知事】
少子化対策としては,やはり結婚,妊娠・出産,子育てと一連のプロセスがあるというふうに思いますので,そういった出会いの場ということをできるだけ多くの方にできればと,結婚を希望しながら,なかなか出会いがないという方も多いと思いますし,若い方を中心にそういった希望のある方に場を提供することで,結婚して家庭を築いてというようなきっかけにできればというふうに思っております。

【記者】
半導体関連産業の誘致についてお伺いします。
現在,九州全体で半導体関連産業の設備投資が進んでおり,特に熊本ではTSMC効果で人口増加や道路整備など波及効果がみられています。そこで1点。今回の当初予算案の方向性としては,「半導体」という文字があがりましたけど,施策の中には「半導体」という文字が見当たりませんでした。鹿児島県としては,半導体関連産業の誘致又は育成の必要性について,どのようにお考えでしょうか。

【知事】
半導体関連の産業というのは,九州全体がシリコンアイランド九州となっておりますので,従来から多くの関連産業が立地していると思っております。京セラとかソニーセミコンダクタマニファクチュアリングもございますし,そういったところでも半導体の増産に向けての工場の増設というのも,川内工場,国分工場,それぞれ計画があり,そういったことについての用地面,さまざまなインフラなども県としても一緒に支援をしている状況になります。また,企業誘致に当たっても,電子関連産業,情報関連産業,そういうところを強化してきておりますので,そういった部分については,引き続き取り組んでいきたいと思っております。

【記者】
当初予算というのは,県がこの1年で一番力を入れる施策というのを対外的に示す絶好の機会だと認識しているのですが,そのような中で,施策に「半導体」というのが触れられていないのは,誘致に対して消極的に捉えられかねないと思いますが,経産省出身の知事から見て,鹿児島への誘致というのは難しいとお考えでしょうか。

【知事】
電子関連産業,情報関連産業についての誘致というのは入っていると思うんですけど,TSMCみたいな大きな工場の誘致というのは,今,用地がないということで,今すぐには難しいと思っています。

【記者】
最初の質問と重なるところでもあるのですが,知事は2021年の議会で,県の産業の柱としては,農林水産・観光以外にもつくるべきだというふうに言及されておりますが,稼ぐ力の起爆剤となり得る半導体関連産業の誘致に関して,県としては今後,積極的に進めていきたいと考えているのか,位置づけをお聞かせください。

【知事】
言葉として,「半導体」を使うのか,「電子関連産業」を使うのかという言葉の違いだけであって,中身はそう変わらないと思うんですけど,半導体に関連するいろんな裾野の広い部品等もありますので,そういったものについては,これまでも積極的に働きかけて誘致をしてきておりますし,今後もそういった形で進めていくと考えております。

【記者】
子育て支援の中の離島地域支援について伺います。
こういったところが鹿児島ならではだと思うんですけど,新規事業にあります離島地域子ども通院費等支援事業について,これができることになった背景を改めてお聞かせください。

【知事】
離島というのは,子ども達を育てる際に医療資源が脆弱であるということで,島内の病院で対応できる場合もあるかと思いますけれども,そうではない場合,先ほど申し上げたような本土の病院で高度な医療サービスを受けなければいけない場合に,船や飛行機で通わないといけないことになりますと,半日病院に行くにも交通状況によって二泊三日ぐらい必要になってくるということで,大変負担が大きいということが,前からの課題になっていたわけではありますけど,実際に奄美群島の中で150人ぐらいが対象になるような状況がありますので,そういったことを考えれば,今回,子育て支援という中で,安心して県内で子育てができるような環境整備を図るというときに,1つの大きな課題として今回予算に入れたということです。

【記者】
今回の内容としては,助成を行っている市町村に対しての一部の支援というふうになるかと思うんですけれども,実際にお子さんを育てていらっしゃる保護者の中では,やはり交通費であったり,宿泊費がかなり負担になっていて,市町村の支援とは別に,例えば県独自で支援をしていくというような,今後のさらなる展開というのがありましたら,教えてください。

【知事】
市町村がやっているのに,これが実際,市町村支援に対する上乗せということにはなると思うんですよね。ですから,基本は市町村でお願いして,それを後押しするという形かと思います。

【記者】
再開発に関連して,まず本港区の方,スポーツ・コンベンションセンターの関連経費が計上されていました。改めて方向性等,整備に向けたお気持ちをお聞かせください。

【知事】
スポーツ・コンベンションセンターについては,PFIの事業を進めていくための必要な予算等を計上しておりますので,それに沿って着実に進めていこうと考えております。

【記者】
鹿児島中央駅西口の工業試験場跡地に関しても,利活用検討事業ということで事業費が計上されています。具体的な中身を教えていただけないでしょうか。

【知事】
中央駅の西口は,JR,JP,鹿児島市の四者で一定の方向性を,陸の玄関口としてにぎわうというか,いろんな方向性について,合意をした上で開発をしていきましょうということだったわけですけれども,JR,JPともに,AMU・WEができたり,マンションの計画があったりということで,この西口の県の土地が残っていることになっております。ただ,これについて,どう活用していくかを,これまで検討してきたこの四者の皆さんと,これからどうしていくかを検討していくということであります。

【記者】
なかなか動き出さなかったものが動き出したのかなという印象を受けましたが,いかがでしょうか。

【知事】
私が就任する前に,一時期,体育館を中央駅西口にというようなアイデアがあって,それに伴って,JRとかJPとかも動きがそこでいったん止まっていたと思うんですね。その後,西口の体育館というのが無くなったということで,それぞれ,また皆さんの構想を進めてきたということで,だいぶその辺の方向性が出てきたので,県としても今後,西口のこの場所について,どうするのかということを,関係の皆さんとより具体的に検討をしていきたいと,そういう段階になってきたなと思っております。

【記者】
改めて林業大学校への期待をお聞かせください。

【知事】
今,150人ぐらいが就業している方がいらっしゃいますけれども,より高度な,即戦力となるような人材をしっかりと育成をしていくために,県議会の方からも御提案をいただいたりしてですね,最先端の技術を鹿児島大学とも連携して高隈演習林で行い,また,既存の研修施設の蒲生の方でも,資格であったりとか,技能とか,そういったものを身につけるような形で,即戦力となる人材,こういった方々が活用できるように育成をしていきたいというふうに思っております。

【記者】
県内の観光地,知事が推したい観光地があるとすれば,どこか教えていただけないでしょうか。

【知事】
いっぱいありすぎますけどね。どれというのを,この場で言うのも難しい気もしますけれども。どこがいいですかね。与論だったら百合ヶ浜とか,ああいうところが非常にあれでしょうし,沖永良部だったら,最近ではケービングとか,ああいうのはめったにできない体験だと思いますから,皆さん,若い方にも来ていただけるような素晴らしい体験型の,そういったメニューにできるんじゃないかなというふうに思います。

【記者】
先ほど,その他の主要施策の中で,知事がおっしゃった県立高校生の通学支援事業についてですが,路線バスや通学バスの減便,廃止に伴って,ルート変更で通学時間が増加したり,長距離化した生徒に対する定期代の補助と伺っているんですけれども,知事は先ほど緊急時限的にまず支援を行った上で,令和7年度から恒久的な支援をしていきたいというお話だったと思うんですけれども,昨年までの議会とかで質問が出たときに,公平性の問題でなかなか支援が難しいという,悩ましいとおっしゃってきたかと思うんですけど,今回その支援に踏み切ったその背景といいますか,理由という部分をちょっとお話いただけないかと思います。

【知事】
これまでいろんな検討をする中で,教育委員会の方でも検討していただいていましたが,従来からバスの運行がない地域の高校生とバスがあってそれが減便になったり廃止になったりした方への支援というのが,公平性をどういうふうにするのかとか,あるいは定期代が上がったといっても,従来からそれ以上の高額な定期代を払って通学している人との支援のあり方をどうするのかとか,そういった観点での議論っていうのが本来必要だろうというふうには思っておりますけれども,議会においても,高校生たちの切実な声として,そういった公共交通機関で通う子どもたちの負担を何とかして欲しいっていう声がありましたので,今,現に通っている人たちの負担というのは,当初,そこの高校に通学をしようと決めたときには,通学の手段っていうのがあったと。それが想定していない減便とか廃止というようなことで影響を受けてる部分は,緊急的に時限的にそういった方々を救済してもいいのではないかと。それと併せて,実態を調査した上で,今後,令和7年度からは,高校生の通学の費用をどういう形で支援をするのか,一定の高額な方を対象に一定割合で支援するのかとか,その辺をきちんと整理をしていければと思っております。

【記者】
今回,当初予算に盛り込まれたわけなんですけれども,実際高校入試というのは来週出願が締め切られるわけですけれども,そういう意味で,選択をしていく際にやっぱり一つのメッセージとして,通学に対して鹿児島県がある程度支援をしていくというメッセージが,出願前に,本来であれば望ましかったんじゃないかと思うんですけど,時期的なものについてはいかが思われていますか。

【知事】
予算的な検討というのは,なかなか,時間的に間に合えば良かったんでしょうけど,そこまでのタイムスケジュールが制約がある中での検討ではあったと思います。

【記者】
別の予算なんですけれども,今回新規予算として,「魅力ある県立短期大学づくり検討事業」が新たに組み込まれているんですけれども,これまでもたびたび議会で取り上げられてきましたけれども,今回この時期に「県立短期大学づくり検討事業」が盛り込まれた理由が何かありましたでしょうか。

【知事】
従来から県短をどういうふうに魅力あるものにしていくかというのは,学内でも検討していただいていると思うんですね。そういった中で,これから子どもが少なくなっていく中で,いかに県立短期大学を魅力ある場として,しっかりと人材を送り出していくか,そういったところについて,設置者として,大学と一緒に考えていきたいということです。

【記者】
有識者で構成する検討委員会について,イメージされてる,想定されてる方とかいらっしゃるんでしょうか。

【知事】
まだこれからだと思います。

【記者】
観光関連でいくつかお伺いさせてください。
今回,大きな柱の一つに観光関連産業の稼ぐ力の向上を掲げています。
インバウンド誘致の項目もいくつか入ってて目立つと思うんですけれども,観光県の鹿児島にとってインバウンドの重要性っていうのはどのようにお考えか,改めて教えていただきたいです。

【知事】
これから日本全国人口が減っていく中で,観光関連産業としては,海外からのインバウンド誘致っていうのが非常に重要になってくるというふうに思っています。
またインバウンドの国にもよりますけれども,消費額は多く消費をしていただくということで高付加価値化も必要になってくると思いますし,そういった意味では県内に来て,単に泊まるというだけではなく,食べたり体験したりというようなことでの他の産業への波及効果が大きいというふうに思いますので,インバウンド誘致ということは,これからの観光にとって大きな部分を占めるのではないかと思っております。

【記者】
続けてなんですけれども,重要視されているインバウンドの玄関口でもある鹿児島空港では,引き続きグランドハンドリングの不足という課題がありますが,県の方でも昨年から支援を続けていて,事業者の方も人員の確保に努めていらっしゃるんですけれども,なかなか解決に至ってないという現状があります。そこに関してはどのような危機感を持っていらっしゃるのかというのと,あと,昨年までいろいろ取り組みをされたと思うんですけれども,それをどのように分析して,来年度ではどのような取り組みを行う予定か教えていただきたいです。

【知事】
このグランドハンドリングについてはもう本当に,コロナ禍が明ける頃からずっと事業者に対してもしっかりと対応をお願いしてきているところでありますけれども,なかなか人材確保に至っていないっていう状況でございます。
県としても,いろんな人材のPRであったりとか,あるいは他の空港から支援をもらうときの滞在費用を県が支援をしたりとか,いろんな事業者に対しての支援策は行ってきておりますけど,なかなかそれが人材確保に,事業者の方でうまくつながっていけていないという状況であります。
こうした中で今回,新規参入事業者に対しての支援ということで,これまでもいくつか県外のグランドハンドリング事業者に対しても,本県への新規参入の要請等もしたり,相談したりはしてきておりますけれども,この人手を確保するのが難しいというのは,全国的にもそういった状況があり,またあるいは機材もそう簡単に手に入らない,あるいは,高いっていう状況もあるということで,新規参入に向けても,今までのところは,なかなか来てもらえていないという状況で,今回,新規参入する場合の支援措置というものを設けて,これからまたさらに新規参入事業者にお願いしていきたいというふうに思っています。

【記者】
新規参入への支援というのは,先ほどおっしゃったように機材がなかなか高くてっていうところへの支援も入るということでしょうか。

【知事】
機材というよりはですね,グランドハンドリング事業者が1回当たり,航空路線を担当する場合に,1回のグラウンドハンドリングをするといくらってありますけれども,その採算ラインっていうのが月に何便やれば採算がとれるっていうのがあるんですね。こういった安定的なグランドハンドリングの経営ということが実現するように,例えば,月に20便担当しないと採算がとれない。でも今現在飛行機が飛んできているのが5便しかない。その差15便分の料金を県が支援する。そういったことで,これから海外の復便をすれば,徐々にそれが20便,30便となれば安定的にグランドハンドリング事業が成立するということになる。それまでの間の参入するときにしっかりと支えていく。そういったことを考えています。

【記者】
台湾や中国などは,まだ定期便が再開していない路線もあるかと思うんですけれども,現段階での再開の見通しだったり,今ベトナム空港とも取り組まれていますが,新規就航の見込みなどがあれば教えてください。

【知事】
今はチャイナエアラインも復便をしたいという意向はありますし,その他の航空会社でもニーズはあるんですけれども,なかなか先ほどのグランドハンドリングのところが見通しがたっていない状況ではありますが,何とか来年度のサマーダイヤに向けて復便できればという希望は持っておりますけれども,まだそういった見通しが立ってるかっていうと,まだ,そういう状況ではありませんけれども,引き続き,そういった気持ちで取り組んでいきたいと思っております。

【記者】
あくまでも見通しというよりは,希望という形でしょうか。

【知事】
はい。

【記者】
スポーツ・コンベンションセンター関連で聞きますが,当初のPFIの可能性調査で出ていた230億円という事業費と比べると,今回ここにあがっている債務負担行為は83億円くらいあがっているかと思いますが,増額について知事はどのように受け止めてますか。

【知事】
当初,積算していたものよりもいくらか,資材価格とか人件費の高騰といったようなことで,あがっているということではありますけれども,PFI事業とかの要因で減る部分もありますので,しっかりとそこを今後の状況等を見ながら進めていきたいと思っています。

【記者】
すみません。何の状況を見極めながらですか。

【知事】
事業者の方と,入札等もあると思いますので,そういった状況も見ながら進めていきたいと思います。

【記者】
230億円からの313億円というのは,県の財政規模からみて妥当かどうかというのはどうお考えですか。

【知事】
230億円というか,それはあれですかね。

【記者】
基本構想が最大で245億円くらいで,可能性調査をしたら230億円くらいにおさえられる見込みが出てて,そこからの313億円ということなんですけど。

【知事】
15年間で大体毎年20億円くらいかと思いますので,そこらへんについては,しっかりとこれから財源等についても検討して進めていきたいと思っております。

【記者】
財源は,国の補助金とかは3億円くらいしか使えないんじゃないかなと思われますけど,そこらへんはどうですか。

【知事】
そこは県の財政の中で検討していくということになるかと思います。

【記者】
本港区関連なんですけれども,今回,当初予算の方で,県とか市とか関係団体と一緒に懇談会をするっていうのがあがってきてるんですが,ここでは,今北ふ頭に鹿児島市がスタジアムを作りたいと言っていたり,住吉の15番街区で商工会議所がMICE施設をというような話もありますけど,そういう具体的な施設について協議するものなのか,どんなものだと思えばいいですか。

【知事】
協議って,そこで何かの意思決定をするってことではなくて,懇談会ですから,いろんな場所についてのアイデアとか意見とか,そういうったことについての情報共有とか議論,こういったことをしていく場所と理解しています。

【記者】
個別施設の整備の可否というのが決まっていくのは,どういう場だというふうに知事としては考えてますか。

【知事】
そういった懇談会での御意見等も踏まえながら,アイデアとかが整理をされていく中で,実際の事業者からのサウンディング調査,そういったものを見たりしながら検討を進めていくということになろうかと思います。

【記者】
この懇談会での議論っていうのは,今後の施設を決めていく検討材料の一つになっていくんだよというような理解ですか。

【知事】
いろんなアイデアとか議論をしていく中で,そういったことも十分踏まえながら検討していく必要があるんだろうなと思います。

【記者】
来年度中に何かここで決めるとかそういうものではないということだということですね。

【知事】
懇談会の場で何か決めるとか,そういうことではないです。

【記者】
今の段階で,何かを決めるものをいつつくりたいとか,いつ設置したいとかそういう考えはありますか。

【知事】
まだこれからしっかりと検討していきたいと思います。

【記者】
全体的な県の財政について,お伺いしたいと思います。先ほど知事の予断を許さない状況だということがありました。改めて県の財政状況について,現状を知事はどのように評価しているか教えていただけますでしょうか。

【知事】
鹿児島県の財政というのは他県に比べても非常に厳しい状況であると思っております。自主財源の比率もそう高いわけではありませんし,災害等も多い地域で,また離島も多く,その分の教育とか,いろんな部分でのお金がかかる部分がございますので,そういった意味では,非常にこれから県有施設の老朽化とか,道路,公共インフラ,そういったものも含めて,いろんなことが想定されますので,そういった中で,予断を許さない状況であると思っております。

【記者】
先は長いと思いますが,ある程度は解消しながら,事業をやっていきたいことをやっていかないといけない状況だと思いますけど,一番,今回の予算編成で,無い中でどう振るかといったところは難しかったと思いますけど,何か苦労した点はございますか。

【知事】
私がというか財政課はいつも苦労していると思うんですけれど,新しくいろんな行政ニーズが出てくる中で,今回の子育てのところも,元々が10億円くらいのところを5億円というお金をひねり出してくれてますから,そういうのが大変なところだったのかなというふうには思っております。

【記者】
新規事業を見てみると,子育て関連だとほとんどが市町村を後押しするような事業だと思います。これは国の動きもあってしているのか,それとも県単独で考えて,施策をひねり出しているのか。全般的な,その考え方の意味を教えていただけますでしょうか。

【知事】
子育てというのは鹿児島の場合の地域の実情を踏まえた上でこういった施策を取り組んでいこうということでございますけれども,必ずしも国との何かというのは,別途給付金とかそういうのはあるんだと思いますけども,今回のところは,県が独自にしている部分だとは思いますが,ただ,国も同じような問題意識は持っていて,そういった国の考え方と大きく違うということはないんじゃないかと思っております。

【記者】
先ほども質問のあったTSMCの件で,シリコンアイランドということで,どうやってそこを取り組んでいくかというところで,金融機関の方もライバル会社同士が一遍にやっている状況はあると思うんですね。言い方は悪いんですけど,どうやっておこぼれを頂戴するかっていう形で,県の方の財政としてもあまりにも大きいので,先を見るとかなり有用なものになるのではと思ったりするんですが,県としては,例えば熊本と何かするとか,宮崎と何かするとか,そういうようなお考えはないでしょうか。熊本と誘致とかTSMCに関連づけて何かするとかというお考えはないんでしょうか。

【知事】
企業の誘致で熊本や宮崎と一緒に何かっていうのは特にはないと思います。それぞれで企業誘致は場所が分かれるからですね。鹿児島県の土地であれば鹿児島県が誘致をするでしょうし,宮崎県の場所であれば宮崎県が誘致をするということだと思います。何か一つの企業を一緒にっていうことにはなかなかならないような気がします。

【記者】
実際,熊本の方は賃金も上がってまして,むしろ人材が流出してしまうんじゃないかというような状況もあると思うんですけれども,これに関してはいかがですか。

【知事】
そういった懸念はあって,京セラでも人材確保に苦労しているというふうな話も聞いておりますけど,こういった中で,鹿児島県としても外国人材の定着などでもそうですけれども,鹿児島における働きやすさとか暮らしやすさとか,そういったことも含めて,就職される方々にはPRしながら情報提供していければというふうに思っております。

【記者】
私からも財政についてお聞きします。
先ほど,今回の予算編成について,子育ての財源をひねり出したというお話をいただいたと思うのですけれども,今回に限らず,今後,将来的なところも含めて,必要な施策を講じていくというところと財政健全化というところをどう両立させていけるのかというところをお話いただけますでしょうか。

【知事】
財政の制約がある中で,しっかりと行政的な課題に対応していくということでは,事務事業見直しもやっておりますけれども,政策的な事業の優先順位をつけながら,どういうふうにしていくかということだと思います。
ですから,新規事業を行う場合であれば,スクラップアンドビルドをしながらとか,重要な施策については,要求段階ではそういうことを要せず要求ができるとか,いろいろな考え方で全体を調整しながら行っていくということかと思いますし,あるいは国庫補助金で使えるような制度を見つけてきて活用するとかいろいろなやり方があると思います。

【記者】
自主財源の低さなんですけれども,自主財源を増やす取り組みとして考えられるものというところと,国にかなりの割合で頼っているというところで,国に対して求めたいものは何かありますでしょうか。

【知事】
国に対しては,毎年全体の地方の財源確保ということはこれまでも毎回お願いをし,個別の特別交付税措置等についても要望活動をしたりということをしておりますし,その他,各省の使える予算についてもそれぞれ制度的な,制度の創設だったり予算の活用,いろんなことを要望してきているので,そういった中でいろんな政策をこれまでもいくつか実現をしたりということかなと思います。
自主財源を増やすという意味では,税をたくさん納めていただくということでありますから,企業誘致をしたり,あるいは生産を上げていただいて税金を納めてもらえるように稼ぐ力を向上させたりとそういった方向だろうと思います。

【記者】
今回,引き続き力を入れられている稼ぐ力の向上ですとか,子育て施策にに関しても将来的に見れば自主財源の増収につながるというお考えということでよろしいでしょうか。

【知事】
人口が増えればそれだけ経済活動も大きくなるという意味ではそうでしょうし,あるいは経済活動の主体として稼いでいただければ,その分きちんと税収にも反映される部分もあろうかと思いますけど,子どものところはだいぶ先ではありますけど,そういった効果も将来的にはあるのだろうと思います。

【記者】
行財政運営指針に方向性として示されている3つの目安ですけど,県債残高のところで,先ほど知事も鹿児島は災害県だということを触れられましたけれども,特に大規模な災害が起こると復興費用等で県債の発行額が大きく上がるということがあると思うのですけれど,今回の当初予算に関しては間に合わなかったかもしれないんですけど,1月に能登半島地震も起きたということで,この県債残高を1.1兆円程度で推移させるという目安について,改めて見直すというお考えはありますでしょうか。

【知事】
財政的な一つの目安というものは考えておかないと,鹿児島県の全体の財政というものが膨らんでいくこともあろうかと思いますので,一定の目安としてはこれは必要なんだろうと思っております。その都度,いろんな財政需要が,災害があったりとか,そういう場合に増える部分については,それはそれで,その時に国の支援等もいただきながら対応していくんだろうと思います。

【記者】
現時点では,収支均衡,県債残高,基金残高のこの3つの方向性については適切な数字であるということでよろしいですか。

【知事】
はい。

【記者】
かごしま子ども・子育て支援パッケージの中の出会い・結婚相談事業についてお伺いします。
知事はこの事業について,県民の方々が結婚を希望しながらも出会いがないという方が多いとおっしゃっていたかと思います。鹿児島出会いサポートセンターというのは出会いを求める県民の声を受けてつくられた経緯もあるかと思うのですけれども,利用される方も行政がされているから安心という声もあるかと思います。
一方で,行政が出会いとか結婚への支援を少子化対策というところに位置づけて展開することについては,全国的にも賛否両論あるかと思います。それは子どもを持ちたくても持てない人だったり,結婚の制度すら整っていない性的少数者の方がいらっしゃったりして,結婚をして子どもを持つという姿に当てはまらない方々が,行政がすることによって,結婚をするのが当たり前とか,結婚したら子どもをもって一人前だとか,そういった世間の意識に悩まされている方がいらっしゃって,行政がそれをすることで,そういう意識をより強化するという側面があるという御指摘があるところです。
知事は,そういうさまざまな意見があることについて,少子化対策としてこういう婚活事業を位置づけることについて,双方の意見があることを知事はどのようにお考えか見解を教えてください。

【知事】
結婚というのは,妊娠・出産につながるというのは,そのためにというだけではないと思うんですよね,少子化対策というだけではなく,結婚はしてもお二人で過ごしたいという方もいるでしょうし,価値観はいろいろですから,結婚に求めるものもさまざまだとは思います。ですけど,出会いが中々無くて,結婚したいと希望される方がいるのであればその場を提供するということであって,それ以外のいろんな,今おっしゃったような反射というかですね,いろんな効果を懸念をされる方がいるということでありますけれども,そういった方々にはそういった意見もあるということは十分留意しながら,これはこれで,いろんな人がいる中で,結婚したい,家庭を持ちたいという人に対してのサービスとしてしているだけであって,そうでない人はおかしいとか否定するものではないというふうには思いますので,そういったふうに思われないように注意しながら進めていきたいと思います。

【記者】
このセンターは,担当課にも確認して,平成29年に開所して,成婚数が1月末で107組だということでした。その後子,どもが産まれているかというところは追って調査はされていないということで,それは子どもを持つことについて踏み込むことは,はばかられるというところがあるんだと想像しているところなんですけれども,この事業を少子化対策ってところに今回も位置づけてはいるかと思いますが,この事業の効果はどのように評価されるのか教えてください。

【知事】
ここは,それだけが目的というわけではなくて,結婚,妊娠・出産,子育ての希望ですから,結婚というところの希望が叶うかどうかということだと思うんですね。その結果が少子化対策にも一部役立つところがあるということであって,そういう意味で効果を図るということでは成婚数がどうかということではないかと思います。

【記者】
今回,1千5百万円ぐらいの拡充になると思うんですけど,拡充した理由はなんでしょうか。

【知事】
拡充は,会員数が伸び悩んでいたり,若い人が中々入ってなかったりというようなこともあるので,若い方でそういった希望を持っている方で,こういったところに行きにくいとか,いろんなことがあるんだと思うんですけど,そういった方々を今回会員として獲得していくための拡充というところです。

【記者】
子ども医療費の窓口負担に関してですけれども,現物給付に関しては,多くの団体だったり,県議の方達も中学生までを対象にということで要望されてたと思いますけど,そこまで至らなかった要因としては,やはり財政状況が一番ネックになっているという認識でよろしかったでしょうか。

【知事】
先ほど申し上げたような,子育て支援ということで限られた予算をどこにどういうふうに使っていこうかということで,これまで他の県の事例等を見ながら試算をしていったわけです。未就学児,小学生,中学生と医療費の負担の状況をみると,未就学児のところが病院によく行くということで,年間24万円くらいの医療費の負担がある,小学校,中学校になると10万円くらいになるということで一番必要性が高い,医療費の負担が大きいところというのは未就学児のところが大きいということと,また未就学児というのが発達段階において,健康上の,病気とかを早く見つけて早く対処することが発達段階においても非常に重要だというような御指摘をいただいているということで,より重要性が高いのではないかということ,そして,また財政的な部分を考慮したときに,持続可能な制度とするために,どこまでできるだろうかということで考えたところ,先ほど申し上げた他の施策も含めて,どこを優先的にやるかという中で,未就学児に今回したということであります。また今後はその状況を見ながらということかと思います。

【記者】
農林水産業関係で,ちょっといくつかお伺いしたいんですけど,まず最初に機構改正のところで,畜産課を改組して家畜防疫対策課と畜産振興課を設置するということなんですけれども,改めて今回こういう改組をするに至った背景と狙いを教えてください。

【知事】
畜産課で畜産の家畜防疫と畜産の政策全般を担当してきたわけですけれども,最近,高病原性鳥インフルエンザが発生をしたりだとか,豚熱対策など家畜防疫に係る業務というのが非常に重たくなってきておりまして,本当に冬場の高病原性鳥インフルエンザが発生している時期は,職員がそっちにほとんどかかりっきりになるというような状況がございますので,やはりここは業務量を考えたときに,家畜防疫の対策を行う対策課と,畜産の全般,振興を担う場所というのを分けて,それぞれ充実をさせていくということを狙いとしております。

【記者】
具体的にはどれくらい人員を拡充するとかいうのがそれぞれあるんでしょうか。

【知事】
2課で4人ということです。

【記者】
畜産課なんですけど,歴史をみたら80年くらいずっと畜産課という名前があったみたいなんですけど,今回それが一応なくなるということで,その点はどうでしょうか。


【知事】
いろんな時代の変化に合わせて,組織も名称も変わるというのは,これまでもいろんなのがありますので,そこは業務をしっかりと行える体制として,できればいいんじゃないかなと思います。

【記者】
家畜防疫対策課ができるんですけれども,一方で獣医師の資格をもった職員というのがかなり欠員が生じているということで,そこの確保も大事になると思うんですけれども,その辺の対策はどういうふうにされるんでしょうか。

【知事】
獣医師に限らず,いろんな技師,技術系の職員の採用というのがですね,なかなか難しい状況というのが,最近続いております。そういう中で獣医師の確保ということは,最近では給与を上げるなど行っておりますので,徐々にそういった効果も出てくればいいなと思っております。

【記者】
農林水産業の予算の関係でいくつかお伺いをしたいんですが,今回稼ぐ力の向上ということで,農林水産業をあげていらっしゃるんですけれども,大きな柱とか項目としては,令和5年度とあまり大差はないのかなと感じるんですけれども,特にどこに力点を置いたのかとか,目玉は何かとか,ちょっと重複しますけどお願いします。

【知事】
今までの稼ぐ力の延長ということだと思います。基本的には稼ぐ力というのは最初に申し上げたように,販売量を増やす,生産基盤をしっかりとつくって生産していくということと,できるだけ高く売るということ,販路を拡大していく,輸出を増やす,こういったことだと思います。そういった中で,その時々に応じてどういうふうに基盤を作っていくかということで,例えば今後の輸出拡大に向けては,水産業のブリが140億円くらいのものを,今年は170億円くらいに増えるかなと。500億円のうちの200億円くらいを担ってもらうためには,安定的に稚魚を獲得していくということで,養殖のところの生残率が高い,あるいは効率のいい,そういった種苗をしっかりと作っていくということで,安定的な輸出,あるいは量的な拡大,さらには生産効率を上げていくというところに,さらに力を入れていくということだというふうに思っておりますし,いろんなブランド価値の向上に向けても,これまでの販路に加えて,先ほど申し上げたような高付加価値品としての取り扱いを新たにブランド力の向上のために首都圏でそういうチャネルを使ったり,また和牛日本一の効果というのが,なかなかまだ浸透していない中で,首都圏の1割しかいっていないものを増やしていくことによる効果を上げていく。これまでの対策をさらに強化して,生産基盤を強化し,また販売価格を上げ,そして輸出拡大など販路開拓もしっかりと行い,ブランド価値を向上させるというようなことを総合的に行っていくことかと思いますし,農産物でもGFP鹿児島を組織しましたので,輸出産地の形成といったようなことでもさらに強化をしていきたいというように思っております。

【記者】
PRに関連してなんですけれども,今回和牛日本一とか鹿児島茶の魅力向上をうたっておりますけれども,それは前々からやってこられてて,特に和牛なんかは宮崎牛とか佐賀牛とかの方がかなり知名度が高くて,鹿児島はやっぱりPR下手とどうしても言われてしまうところがあると思うんですけれども,その点はどういう分析をされてて,どこが弱点であって,どこをどう強く力を入れていくとか,その辺はどういうふうにお考えでしょうか。

【知事】
今申し上げたような,やはりその和牛については,鹿児島の牛というのは,
関西とか九州内が中心で,あまり首都圏の方の露出というのがこれまでなかった。1割くらいしか出ていないという,皆さんの目に触れたり,口に入ったりという機会が限られていたんじゃないかなというふうに思っておりますので,そういった意味で首都圏に出すことでの認知度向上,そして,また単価も上がるということで,鹿児島黒牛としてのブランド力の向上に向けて,今後首都圏を中心に今まで,昨年からもやっておりますけれども,人気レストラン,高級レストラン,あるいはホテルのフェア,こういったようなことをやったり,あるいは首都圏の交通機関の全面広告を活用したりというようなことを行って,認知度向上をしていきたいと思っております。

【記者】
首都圏に力を入れるというのは,たぶん前々から首都圏は力を入れるべき所だったと思うんですけれども。宮崎とか佐賀とかもすごく力を入れてやっていたのに,鹿児島が遅れたのは何か理由があるのでしょうか。

【知事】
どうしてなんでしょう。私の来る前はどうたったのかあれですけれども。やはり安定的に大量に出荷をしているという取引関係の安定というところをこれまでどちらかといえば,鹿児島の産品というのは重視をしてきたんじゃないかなというふうに思います。そういう継続的な取引の中で,さらに首都圏にというような取り組みがやや遅れていたんじゃないのかなというふうに思います。

【記者】
最後に,今回和牛の取り組みとかもそうですけど,何かすごく話題になるような取り組みって何か考えてらっしゃいますでしょうか。

【知事】
話題になる取り組み。

【記者】
例えば宮崎とかだったら,宮崎牛でピラミッドを作ってみたりとか,なんかちょっと奇をてらったものとかがあると思うんですけれども。

【知事】
東京モノレールとか,東急の電車に。まあ宮崎もやっていますけどね。全面広告をしたりとか,そういったようなことをしたり。羽田空港でも宮崎牛と書いてある横に,鹿児島黒牛ていう看板を。これはたまたまかもしれませんけれども並べてたりというようなことはありますけれども。そう話題にはあまりならないかもしれませんけれども。

【記者】
稼ぐ力の向上,これまでも取り組んできた重点施策の1つだと思いますけど,その成果について,農業,観光,中小企業支援,多岐にわたるのでなかなか表現しづらいかもしれませんが,知事の中で,今年度成果が上がったなというような取り組みの事例,あるいは逆に課題と捉えているような事例があれば教えていただければと思います。

【知事】
稼ぐ力というようなことで,数値的なものでいえば,農業の算出額が令和4年度5,114億円ということで5,000億円を超えたということはあげられるかと思います。ずっと全国で第2位ということで。それとこれまで輸出拡大に取り組んできていて,311億円,327億円というふうに輸出額も増えてきているということや,一方で企業の方の生産性の向上のための投資に対する支援というのも一定の企業の中で2割くらい生産性が上がったというような声もありますので,そういったところはあがっているかなと。先ほど来出ている和牛も前回の宮城大会以降,今回までの間に62億円だったものが,約2倍に輸出金額も増えているという部分というのは,稼ぐ力という意味では,数値的には現れてきているかと思います。

【記者】
着実に成果を上げてきているというような御認識ですか。

【知事】
そうですね。上がっている部分もあろうかと思います。ただコロナでだいぶ痛んでいる部分もあろうかと思いますし,人手不足とかそういった中でいろんな影響が複雑に絡んでいるので,その辺一概にどこがどれだけというのを言うことは難しい部分もあるんじゃないかなと思います。

【記者】
農業については算出額が全国2位といった成果も出ているというようなことですけども,これを所得率で見ると全国下位レベルになってしまうというような現状もありまして,農業分野においての稼ぐ力の向上というのは,むしろなかなか進んでいないのではないかというような印象もあるんですが,その点いかがでしょうか。

【知事】
稼ぐ力で農業でいいますと,やはり畜産のウエイトが鹿児島は非常に高くて,6割くらいを占めていますので,畜産が販売価格も高いんですけど,なかなか餌代とかいろんな経費の方も大きいということで,利益率が低い。そのウエイトが鹿児島は大きいということ,そういった構造的な部分というのがあろうかと思います。別に宮崎とか,先ほど出た佐賀とか,いろんな他の畜産のところが畜産で鹿児島より所得率が高いかというと,必ずしもそうではなくて,やはり畜産業というのは全般的に全国で見た時に同じような傾向はあると。その中で,鹿児島はそのウエイトが高いということだと思います。ただ,大規模な経営の所も多いので,実際の農家の所得額というので見ると,かなり稼いでいる所は多いんだと思います。その他に,さつまいもであったりとか,さとうきびとか,そういった部分でもなかなか今言ったような所得率というところが高いわけではないと。あとは所得率というのは,たしか国の補助金等の部分も入っているということですから,お米を作っている,稲作の所はそういったものも多くもらえるような,そういう違いというものが,作っている物の違いというものもあろうかと思いますので。ただ,そういった中で,どういうふうに鹿児島県の農業の構造を考えていくのがいいのか,どういう作物を重点的に今後生産をしていくのかというところをですね,個々の地形とか気候とかそういうのも制約もあろうかと思いますけれども,そういった中で,今後さらに検討していきたいと思っています。

【記者】
人材確保と子育て支援の話なんですけども,知事これまで,年頭会見とか最近の定例会見でも子育て支援に言及する際に,今後の社会を担う人材の確保に向けての子育て支援,そういった言い回しをされてきています。人材確保と子育て支援というのがセットで登場してくる印象なんですけれども,知事の中で子育て支援を重視することと,人材確保に取り組むということの関係性についてどういうふうに捉えていらっしゃるかというのをちょっとお願いします。

【知事】
今どこも人手不足ということで,いかにこれを克服するかということで,生産性を上げる,省力化投資をしていくものの他に,UIターンでの人に来てもらうだとか,あるいは副業等で人材を活用するだとか,外国人材を導入するというのが当面の人材確保対策だろうというふうに思います。一方で中長期的に見ると,やはり少子高齢化で人口が減っていくという流れを少しでも和らげると言いますか,食い止めるためには,子育て支援,安心して子どもを産み育てられる環境というものが必要だろうというふうに思いますので,中長期的には鹿児島で子ども達が育っていくということが大事なんじゃないかと。ちょっとタイムスケジュールが一緒ではないんですけど,そういった観点からの対策というふうに思っております。

【記者】
子育て支援を今回支援パッケージという形でまとめたわけですけれども,これは子育て支援を重視する形で施策を立てようというのはどの段階で決めて,号令をかけたんですか。

【知事】
これまでも子育て対策とか,柱にはなってはいたわけですね。ビジョンの中でも柱に位置付けられておりましたけども,こども家庭庁等もできたりして,国の施策も踏まえてしっかりと県しても取り組んでいく必要があるという中で,具体的には,今年度の予算編成のときにも,子育て対策ということについては,一定の枠で財政課に要望ができるようなふうにしておりますので,昨年の夏から秋ぐらいにかけては,既にそういったことでの検討というのはするようにはなっていたと思います。

【記者】
それは知事の方から指示を出したということなんですか。

【知事】
そうですね。今年の予算編成にあたっての大きな方針としてですね。

【記者】
パッケージっていうこの名称をつけつけることになったのはどんな段階だったんでしょうか。いつ,どの場で。

【知事】
年末から年明けにかけてぐらいですか。

【記者】
そのパッケージにすることの意味合いってのは,どんな意図のもとだったんでしょうか。

【知事】
やはり結婚,妊娠・出産,子育てっていうのが,それぞれのステージごとに,対策としていろんなニーズがあるっていうことでありますから,そういう一連のものとして,県民の皆さんにも理解していただいて,この段階ではこういう支援,この段階でもこういう支援,こういうふうなのがちゃんとあるんだという一連の流れの中で,理解をしていただけるということは,大事なんじゃないかなというふうに思ってです。

【記者】
知事は日頃ボトムアップでの政策の立案っていうのを重視されてるという姿勢だったかと思うんですけど,その辺反映されてるのはあるのでしょうか。子育てに限らず。

【知事】
何がありましたかね。1つは先ほど言ったGXの取り組みなんかはそうですね。牛の排出する温室効果ガスを低減するためのアミノ酸の飼料というものを導入をするっていうような,実証的な取り組みをしたりとか,あるいはCO2の排出量の少ないシラスの火山ガラスを活用したセメントコンクリート材料をこれから生産をするという新しいビジネスとして,こういった産業を興していくというようなのは,担当の部局の方からのアイデアとして上がってきたものです。

【記者】
今回予算編成したわけですけれども,そういったボトムアップ的な観点からの満足度ってのはいかがですか。

【知事】
いろんな議論というのが,これまでも各部署,あるいは部署横断的に総合政策会議などでも行ってはきておりますけれども,まだこれからいろいろ改善すべき点もあるんではないかなと思っております。

【記者】
改善すべき点というとどんなものでしょうか。


【知事】
やはりきちんともう少しデータに基づいてとかもあろうかと思いますし,事業の効果をどういうふうに計っていくかとか,いろいろ議論の過程で,何ていうんでしょう,部局はやっぱり縦割りのところもどうしても一部見受けられたりというようなこともありますので,そういったところを県庁全体でもっとしっかり議論するようなことがこれからも必要かなと思います。

【記者】
組織改編でコロナ関係の2課を集約するということで,県庁2階の講堂をおそらく閉じることになろうかと思うんですけど,就任以来コロナ対策がかなり大きかったかと思うんですけど,2課を畳むというのは,コロナ対策でいえば象徴的な場面かなと思うんですけれども,その辺の考えは何かありますか。

【知事】
新型コロナウイルスという名前がついた課がなくなって,感染症対策課になるということもありますけれども,ただ,現実にコロナがなくなったわけではありませんので,この辺はやっぱり感染症としてしっかりと対応していくっていうことは,これからも必要だというふうに思いますので,これが課が新型コロナってのはなくなったからといって特段何かこれで解決というものではないというふうに思っております。

【記者】
話全然変わりますけど,さっき工業試験場跡地のことですけれども,協議会を立ち上げるということで,これは県として,財政苦しい中で,売却という考え方はなかったのでしょうか。

【知事】
今のところ,そこを売却するかどうかということについては,これまでの四者の協議の中でも,一定の方向性を持った活用ということを考えてきておりますので,そういった方向性に沿って,どうするかということをまずは議論をしたいということです。

【記者】
まずは従来からの枠組みの中でということですか。

【知事】
はい。

【記者】
各種施策をいろいろ打ち出されて,今後は議会を通過した後に実効性が問われるわけですけれどもその辺の思いというか,決意ということで,ちょっとお聞かせください。

【知事】
実効性というのが,先ほどのいろんな数値的なものっていうのもあろうと思いますけども,従来からマニフェスト等,あるいは政策についての評価というものは,しっかりと行っていくということではありますが,必ずしもその数値的なものなのか,定性的なものなのか,これはしっかりと考えながら進めていきたいと思っております。

【記者】
目標にどう届くかっていうところはあろうかと思うんですけど,意思として,ここに書いてある施策を実現したいという思いを聞きたいんですけど。

【知事】
当然これは予算化している事業ですから,これについては着実に進めて実現していくということです。

【記者】
逆になりますけど,例えば今回子ども関係特出しして強くアピールする形だったりしますけど,子育てに限らず,新規事業いろいろありますけれども,やらなかった場合,鹿児島県はどうなるというふうにお考えでしょうか。

【知事】
今現在,少子高齢化が進む中で,各地域の持続的な発展ということが,どうなるかという,大変危機的な状況にある地域もあろうかと思いますけども,そういった中で,子育て支援っていうのがない,あるいは産業に対する支援,生活するためのそういったものがないということであれば,そこら辺の地域というのも衰退していくということがあり得るんじゃないかなというふうに思います。

【記者】
鹿児島県の今度の予算,8,400億円ぐらいですよね。
ただ,実際内訳を見てみると,義務的経費が6割近くを占めて,昨年度よりもパーセンテージが4%ぐらい上がってたんじゃないかなと思いますけれども,実際,自由に使えるお金というか,政策面で投資できるお金っていうのは,8,400億円よりはるかに少ないわけですけれども,鹿児島県の自由に使えるお金の少なさを見たときに,率直にどうお感じになりますか。

【知事】
先ほどの子育ての,予算を捻出するところでも申し上げましたけど,今のような義務的経費が6割ぐらいを占めているっていうこと,その他にもいろんな国の補助金とかそういうのの半分の裏とか,なかなか自由に使えるお金というのは非常に限られているということでありますので,そういった貴重な財源でありますから,できるだけ効果的な政策につなげていくように使っていく必要があると思っております。

【記者】
子育て支援についてまた話戻ってお伺いしたいんですが,やっぱり県の子育てにかけられる予算の増減,増額分であったり,新規事業の多さからいっても県としてギアを上げてこれから子育て支援に取り組んでいこうというお考えの意思の表れだとも感じたんですが,鹿児島県の人口減少だったり少子化っていうのが別に今始まったことではないですし,国が異次元の少子化対策を打ち出す前から重点的に取り組んできた他の都道府県もある中で,今になって子育て支援のギアを上げて取り組むっていうのもちょっと遅きに失した感覚も個人的にあるんですが,そこに関しての知事の認識を教えていただけたらお願いします。

【知事】
子どもの少子化って言いますか,出生率の低下が始まってるのはもう昭和50年ぐらいからずっと減ってきていて,ただ人口減少があまりこう目に見えず,寿命が伸びる中で,全国的にそこまでの対策ということがとられてなかったということだと思います。過疎対策とかいろんな対策はあったとは思うんですよね。
そういう中で,内閣府の地方創生推進室とか,地方創生担当大臣,こういうのができたときに,地方消滅というような話もあって,そこからいろんな取り組みが始まってきているんだと思います。ですから,今回,子ども政策局として1段上げたっていうことはありますけれども,それまで何かしてないとか,そういうことではなくて,今までやってきたことの延長上にさらに強化をしていくということでありますので,何か全て鹿児島だけなんか遅れているとか,そういうことでは必ずしもないと思っています。

【記者】
内容を見ると市町村への補助っていうものが先ほどの話も出てくるかぎり目立っていると思うんですが,県の補助を新たに付けるであったり,あるいは増額するっていうことに対する,市町村に対してそれがどういったメッセージを持っているのかということであったり,どういった効果を県として期待しているのかというところを教えてください。

【知事】
国,県,市それぞれいろんなツールで子ども対策というものをしてきていると思います。
そういう中で,どうしても子育てというところは,基礎的自治体としての市町村の役割が大きいと思います。ただ,その市町村の中でいろいろ差が生じていたり,あるいは小規模なところで,なかなかやりたくてもできない,そういったところを後押しできるような,県としての仕組み,そういったものを作ることで,地元の自治体の積極的な活用を期待したいと思っております。

【記者】
県としても市町村に新たな取り組みであったり独自の取り組みっていうのをどんどん進めていって欲しいという意味合いもあるってことでしょうか。

【知事】
はい。

【記者】
また,今回の子育て政策をパッケージも作ってやられたっていう中で,新年度の予算に充てた今回の政策っていうのが十分にこうやれることができたっていうふうな感触なのか,それともやっぱりまだちょっと足りない点があるっていう評価なのか,知事の評価を教えてください。

【知事】
お金があればもっといろんなこともですね,やりたいと思ってる職員も多いんではないかと思いますけれども,やはり財政面で限られている中で,優先順位をつけながらやっていかざるをえない部分というのはどうしてもあるんじゃないかと思う。

【記者】
この今の限られた予算の中でいうと,十分に政策としてはできたと。

【知事】
限られてるので,それが十分かどうかっていうと,まだまだやりたい部分というのはあるかもしれませんけれども,今の財政の中では,やれることをやっているということだと思います。

【記者】
最後に子育て関連の施策っていうのはすぐに効果が出る特効薬みたいな要素はないとは思うんですが,継続して予算を充てる,取り組み続けるっていうところが必要になってくるかと思うんですが,先ほどからお話してるように,厳しい財政状況の中で,今後どのように取り組んでいきたいかといったり,今後の予算のつけ方だったりその辺の見通しについてお考えを教えてください。

【知事】
基本的には今年だけっていうような性格のものではないと思っておりますので,継続的に取り組んでいくべきものだというふうに思っております。
ただ政策的な効果というものは,今後見ながら,また随時,政策の優先順位というものは検討しながら,ローリングしてブラッシュアップしていくっていうのが基本的な考え方だと思います。

【記者】
今回の総額についてなんですけど,コロナ前の水準に戻ったということで,この8,405億円という額については,どのようにみてらっしゃいますか。

【知事】
昨年は大体8,900億円でしたけど,国体関連,コロナ関連で700億円くらい減っておりますので,それから考えると,元のレベルプラスアルファくらいになっているかと思っております。

【記者】
1期目最後の予算編成だったと思うんですが,全体の予算編成について,御自身でどのように評価されてらっしゃいますか。

【知事】
これまで取り組んできたことで,稼ぐ力を向上させる,あるいは人材の確保をして,しっかりと地域が持続可能な社会になっていけるようにということで,コロナ禍においても,いろんな施策をこれまでも行ってきていて,その延長上で今回これをまたさらに強化していく,そういう予算にできたんではないかと思っております。

【記者】
やるべきことはほとんど網羅されているというような形でしょうか。

【知事】
今の現時点においてはですね。

【記者】
評価としてはまあ高い評価ということでしょうか。

【知事】
はい。まあ自画自賛って言われるからあんまり。

【記者】
観光の部分で国際クルーズ船誘致の部分なんですけれども,拡充部分に船舶などを活用した2次交通対策というふうにあるんですけれども,具体的に内容を教えていただけますか。

【知事】
クルーズ船が入港したときに,大きな船の場合に,なかなかそこから市外に行くのに,バスをチャーターしている船もあればそうでない船もあったり,タクシー待ちの行列が多かったりっていうような,2次交通ですよね。そこが結構大変なので,海の方も,海上交通を利用して,県内各地に行けるようにという取り組みを一部行ってきております。大隅の方に行ったりとかですね。
今度,マリンポートに浮桟橋があって,桜島側にもありますけれども北ふ頭の方にも,今浮桟橋をつくっていますので,そうすると,錦江湾の水上交通でクルーズ船でこられた観光客の方がいろんなところに動きやすくなるようにということです。

【記者】
主な内容は浮桟橋の整備っていう形ですか。それとも船を使うにあたっての費用を県の方で補助するとかそういうところでしょうか。

【知事】
チャーターの費用も入っています。

【記者】
あと,先ほどのグランドハンドリングの件に戻るんですけれども,昨年からの支援がなかなかうまくいかなかった原因とか理由っていうのはどうお考えですか。

【知事】
まず,今グランドハンドリングを担っている会社っていうのが1社しかなくて,そこの1社の採用活動がうまくいかないと全体うまくいかないと,こういう状況で,他の新規参入の会社に相談をしても,全国的に人がなかなか集まらないという状況があったり,あとは機材の関係もですね先ほど申し上げたようなGSEという飛行機を押したりとか,いろんなそういう機材調達をどういうふうに利用をどうするかとか,いろんな調整すべき事項が実は多いという,そういう現場で,なかなか調整が難しい部分というのがあるようです。

【記者】
知事としては今担っている会社が1社しかないというところですけど,できれば複数入って欲しいというお考えですかね。

【知事】
そうですね。今ある会社がやってくれれば,それはそれでいいんですけど,なかなか進まないのであれば,できる会社があれば,入ってきていただければ,鹿児島空港のグランドハンドリングがしっかりと機能するようになるということを期待したいと思っています。

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