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更新日:2022年6月1日

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パラワン州(フィリピン)

I.自治体の概要

  1. 人口
     
    640,486人(1997年現在)
  2. 面積
     
    14,896.55平方km
  3. 気候
    • 熱帯性
    • 平均気温28℃
    • 年間降水量1,672mm
  4. 言語
     
    ピリピノ(タガログ)語、英語
  5. 県都とその人口
     
    プエルトプリンセサ市
    155,507人(1998年現在)
  6. 主要産業又は主要産物
    • 農業カシューナッツ
    • 漁業水産品(海藻など)
    • 稲作
    • トウモロコシ
    • ココナツ
  7. 地域の特色
    • パラワン州はフィリピン諸島最西端に位置し、フィリピン共和国のボルネオ島とミンドロ島との連結点にあたる。州の土地面積は14,896.3平方kmで、フィリピン共和国最大である。州の東端はスル海、西端は南シナ海によって区切られている。大小1,780もの島から成るパラワン州の自慢の種は、白砂海浜、島々を縁取る色鮮やかなサンゴ層、水晶のように澄み切った海、そしてそこに住む原色の熱帯魚である。
    • パラワン本島は緑豊かな森に覆われており、自然破壊されていない森の中には野生の動物・鳥・珍しい昆虫などが生息する。
    • 文明に汚されていないパラワン州の自然環境は観光の目玉となっており、州を訪れる観光客は増加している。

II.世界自然遺産地域の概要

A.トゥバタハ岩礁海洋公園

  1. 世界自然遺産地域の名称
     
    トゥバタハ岩礁海洋公園
  2. 世界遺産一覧表に登録された年
     
    1993年
  3. 世界自然遺産地域の面積
     
    332平方km
  4. 世界自然遺産地域の土地所有者
     
    パラワン州
  5. 世界自然遺産地域について
    • i.概要
    • トゥバタハは、スル海中心部に位置する巨大なサンゴ礁である。公園の面積は330平方kmで、州政府所在地のプエルトプリンセサ市から、約150kmのところに位置している。
    • この国立海中公園は、幅8kmの海峡で分けられた2つの環礁から成る。大きい方のノース・リーフは全長16kmに及び、幅は約5kmである。小さい方のサウス・リーフは全長5km、幅は3kmである。
    • 広大な地域の3分の2以上が色鮮やかなサンゴ礁で、周辺の海域には、イルカ、サメ、マグロ、オニイトマキエイ、ウミガメ、カワカマスなど多様な海洋生物が生息している。また、ここは鳥類保護区域でもあり、何万羽ものカツオドリ、アジサシ、グンカンドリが、毎年渡りの途中に休憩する場となっている。
    • さらにトゥバタハは、フィリピンでもスキューバ・ダイビングに最適の地としても知られている。

      ii.世界遺産登録理由
    • 豊かな生態系。
    • 一つの地域に生息する海洋生物群として、世界最大級の規模。
    • 地域的な生物多様性。

B.プエルト-プリンセサ地下河川国立公園

  1. 世界自然遺産地域の名称
     
    プエルト-プリンセサ地下河川国立公園
  2. 世界遺産一覧表に登録された年
     
    1999年
  3. 世界自然遺産地域の面積
     
    20,202ha
    (保護地域5,753ha緩衝地域14,449ha)
  4. 世界自然遺産地域の土地所有者
    • 核心部:プエルト・プリンセサ市
      (1992年、保護地域の所有権が国からプエルト・プリンセサ市へ公式に譲渡される。)
    • 緩衝地帯:多くの民有地を含む
  5. 世界自然遺産地域について
    • i.概要
    • プエルト-プリンセサ地下河川国立公園は、パラワン州都プエルト・プリンセサ市から北西80kmのセント・ポール山岳地域に位置する。プエルト・プリンセサ市からの交通手段として陸路と海路(ボート)がある。
    • 同国立公園内には、長さ8.2kmの地下河川があり、美しい石灰岩のカルスト地形を形成する。この地下河川は海中に直接注ぐ川で、川の河口部は潮の干満の影響を受けている。
    • また、生態系保全のための重要な生息地である。この地域では、文字どおり陸海のすべての生態系が網羅されており、パラワン湿性林に代表されるようなアジア地域の重要な森林が保護されている。
    • 年間平均降水量は2,000~3,000mm。平均気温は27℃。

      ii.世界遺産登録理由
      世界遺産委員会は以下の認定基準3と4に基づいて、この国立公園を世界遺産リストに登録した。
    • 基準3:類例を見ないすぐれた自然現象および景観美
      セント・ポール山岳地域は、他に類を見ない石灰岩カルスト地形を形成している。直接海に注ぐ地下河川や潮の干満の影響を受けるその様は、すぐれた自然景観である。
    • 基準4:生態系と絶滅の恐れのある種
      同国立公園は、代表的な生態系の保全のために重要な生息地である。山岳生態系と海洋生態系の両方を有し、パラワン生物地理区内の最も重要な森林地帯が保護されている。

III.世界自然遺産への関わり

A.トゥバタハ岩礁海洋公園

  1. 世界自然遺産の管理について
    • i.管理の法的根拠
    • トゥバタハ礁は、1988年8月11日に大統領布告第306号により国立海洋公園に指定された。公園の管理については、環境天然資源省(DENR)とパラワン持続開発委員会との間に取り交わされた合意覚書に定められている。トゥバタハは保全地域と考えられているため、2つの法律でカバーされている。1つはフィリピン全土を対象に環境天然資源省が制定している、全国統合保全地域制度法(NIPAS)である。もう1つは、パラワンを対象にパラワン持続開発委員会が制定している、環境計画法(SEP)である。しかし、世界自然遺産地域としての管理運営について規定する法律はない。
    • 合意覚書に記載されているとおり、保全地域管理委員会(PAMB)がトゥバタハの管理方針を監督している。
    • 州知事がPAMBの議長を務める他、パラワン州政府も同委員会に代表を送っている。

      ii.管理体制(管理者)
    • 合意要項に基づいて設置された保全地域管理委員会(PAMB)は、各種管理団体(パラワン州政府・トゥバタハ礁のあるカガヤンシーリョ市行政局・パラワン持続開発委員会・環境天然資源省・軍部・NGO・住民団体)の代表によって構成されている。上記の母体団体は、密接に連携してトゥバタハ礁の管理にあたっている。PAMBは、トゥバタハの保全管理に関する計画・事業の採用や実施も担当する。
    • パラワン持続開発委員会は、PAMBの事務局を担当している。この委員会は行政・技術支援を提供する一方で、PAMBの調整機関としての役目も果たしている。

      iii.管理の方策
    • 長期的に見た海中公園管理の目標は、まだそれほど破壊されていないトゥバタハの貴重な天然資源を保全すると同時に、地域全体の環境を維持可能かつ生態学的に健全な状態に保つことにある。
    • トゥバタハの繊細な生態系、および不安定な砂州の状態を考慮し、地域内でのインフラ施設の建設は、必要な環境保全証明を得たもの以外認めない。
    • 海中公園内の資源に対するダメージを和らげるために、入園者数を規制する。同時に、園内での釣り、ジェットスキー、その他モーター付き乗り物の使用を禁止する。域内で可能な活動は、研究目的のダイビングもしくは観光のみとする。
    • 現在、力を入れている管理活動は、パトロール活動の強化による法的強制、地元民に対する活動参加への呼び掛けおよび環境教育である。

  2. 自治体の世界自然遺産地域への関わり
    • i.自治体による遺産地域の管理
    • パラワン州政府は、保全地域管理委員会(PAMB)の議長である州知事を通して、管理に携わっている。パラワン持続開発委員会の技術協力の後押しもあり、州政府が主唱する形で、トゥバタハ礁を管理する州政府以外の部門・担当グループ(軍・NGO・地元自治体カガヤンシーリョ)を結集し、トゥバタハの保全管理に総動員させることに成功した。

      ii.その他
    • トゥバタハ礁の管理計画は、トゥバタハ保全地域管理委員会の主導によりとりまとめられる。
      ※州政府は現在、トゥバタハ管轄区の自治体であるカガヤンシーリョの地元住民に対し、生計の足しになる仕事を提供するという形で支援している。その狙いは、地域の資源の管理保全など共通の目的の下に、一般地元民をまとめることにある。さらにこのような活動を通じ、かつては地元民の漁場とされていたトゥバタハへの負担は減少している。

B.プエルト-プリンセサ地下河川国立公園

  1. 世界自然遺産の管理について
    • i.管理の法的根拠
    • プエルト-プリンセサ地下河川国立公園は、共和国法7586のもと、保護地域として大統領布告に組み込まれている。

      ii.管理体制(管理者)
    • 遺産地域の核心部は、法的にプエルト・プリンセサ市政府により所有される。これは、プエルト・プリンセサ市政府と中央政府間の譲渡に関する同意書に基づいたものであり、同市長が法的な権限を有す。管理に関する決裁は、保護地域管理委員会(PAMB)との協議のもと、市長によって行われる。この同意書は、遺産地域が国レベルというよりも地方政府・自治体レベルで保護されていることを示す。

      iii.管理の方策
    • プエルト-プリンセサ地下河川国立公園の管理は、(ア)核心部と(イ)緩衝地帯に分けて行われている。
      (ア)核心部
      現在、核心部(国立公園区域より成る)の管理は、地域の強力な政治的支援、十分な財源と職員の資質を反映して、とても効果的に行われている。遺産地域を訪れる観光客から集めた財源は増加しており、公園管理目的で支出された残りは、信託基金として預けられる。プエルト-プリンセサ地下河川国立公園は、このようして入園料で利益を得ているフィリピンで唯一の国立公園である。公園の管理をより効果的に行うために、公園管理計画により目的や関連プログラムが定められ、公園内の地域区分が行われている。
      (イ)緩衝地地帯
      緩衝地帯は、核心部への影響を最小限にするために各種活動を規制するため、管理指針に基づき管理されている。この指針は、現在、緩衝地帯内農業地の持続可能な保護施策確立を目的とする欧州委員会パラワン熱帯林プログラムの支援を得ながら、保護地域管理委員会により作成されている。また、このプログラムは、天然資源を保全し、地域住民の生活向上を目指す保護的施策の導入も目的としている。

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