4 効率的にエネルギーを利用して暮らす
背景と課題
量的には少ないものの伸び率が大きい鹿児島市の家庭から排出される二酸化炭素
鹿児島市の1家庭当りから排出される二酸化炭素排出量を見ると、1997年では全国平均の約86%の水準にありますが、1990年から1997年までの増加率は全国平均8.4%に対し、約14%となっており急速な増加傾向にあることが分かります。地球温暖化防止の観点からも二酸化炭素排出量を減らす生活が求められます。

図4-1主要都市別家庭からの二酸化炭素排出原単位「建築技術1998年11月号」より作成
建築的手法と設備的手法による省エネルギー
二酸化炭素排出量の増加はエネルギー消費量の増加を意味しています。省エネルギーの基本的な対策には建築的手法と設備的手法が考えられます。建築的な手法は断熱気密性の向上や開口部の工夫により冷暖房及び照明負荷を削減するもので、設備的な手法は効率の良い住宅設備機器の選択が考えられます。
削減対象 |
省エネルギー手法 |
|
暖房エネルギー |
建築的手法 |
躯体の断熱・気密化
・開口部の断熱・気密化
・窓面積の適正化
・パッシブソーラー化(南面の大窓と蓄熱体の設置) |
設備的手法 |
太陽熱の利用(空気集熱及び水集熱)
・換気排熱の回収(熱交換器)
・機械換気量の適正化・給湯排熱の回収 |
冷房エネルギー |
建築的手法 |
屋根、天井の断熱・窓の日射遮蔽
・通風の利用(適切な通風経路)
・躯体の断熱・気密化(大きな冷房負荷を削減する)
・調湿材利用(電力ピークカットに適する) |
設備的手法 |
換気排熱の回収(熱交換器)
・機械換気量の適正化
・地中冷熱の利用(クールチューブ等) |
給湯エネルギー |
太陽熱利用
・冷房等の排熱の回収
・配管の断熱と距離短縮 |
電力エネルギー |
太陽電池
・家電機器の消し忘れ防止
・待機電力の少ない家電機器 |
表4-1住宅で適用可能な省エネルギー手法(機器単体の効率化による省エネは除く)
「建築技術1998年11月」より作成
省エネルギー型の設備機器の採用
家庭での消費電力量の用途別の使用割合は図4-2に示す通りです。住宅を計画する際に関連する設備のうち、エアコンが23%、照明器具が16%と全体の4割を占めています。エネルギー消費量は住まい手の使い方によって左右されるものですが、エネルギー消費量の削減のためには、これらの機器についてエネルギー効率の高いものを選択することが考えられます。個々の設備機器の効率は年々向上しており、そうした最新の高効率設備機器を採用すればエネルギー消費量は減らないまでも大きく増加することはないと考えられます。
また、全体の量からみるとまだ小さいものですが、温水洗浄便座や衣類乾燥機、食器洗浄乾燥機といった、新しい家電製品の電力消費量が全体の7%を占めています。個々の設備機器の効率化が進む一方で、生活スタイルの変化から新しい機能を持つ設備機器が家電として使用されるようになっています。これらの家電機器やガス等を燃料にする設備機器も含めて、常に省エネ型を選択することが全体の消費量を増やさないための基礎的な取り組みになります。

図4-2家庭における用途別消費電力量
資源エネルギー庁「平成12年度電力需要の概要(平成11年度推定実績)」より作成
対策
→10建物の断熱・気密性の向上
→11省エネ型の設備機器の採用
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