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ホーム > 県政情報 > ようこそ知事室へ > 施政方針 > 令和2年第3回県議会定例会施政方針及び提案理由説明要旨

更新日:2020年9月14日

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令和2年第3回県議会定例会施政方針及び提案理由説明要旨

令和2年第3回県議会定例会の開会に当たりまして,県政に臨む所信を申し上げます。また,当面する県政の諸問題の推移及び今回提案しております令和2年度補正予算その他の案件につきまして,概要を御説明申し上げます。

現在,我が国は,本格的な人口減少や少子高齢化の進行,経済のグローバル化の進展,地域間競争の激化,技術革新の急速な進展,国・地方を通じた厳しい財政状況など大きな変革期を迎えております。
本県におきましても,特に中山間地域や離島地域などにおいては,人口減少や少子高齢化の進行が著しく,地域コミュニティの崩壊など,様々な課題に直面していると認識しております。
また,新型コロナウイルス感染症拡大により,飲食店や旅館・ホテルなどの観光関連産業,交通産業,イベント関連産業,農林水産業など,本県の経済は大きな影響を受けております。とりわけ,県内の中小企業・小規模事業者は大変厳しい状況に直面しており,その支援が喫緊の課題となっております。
感染防止対策をしっかりと講じるとともに,医療提供体制を確保することで,県民の皆様方の安心・安全と,経済活動,社会活動の両立を図ることが必要です。さらに,新型コロナウイルス感染症の収束後の力強い経済復興,そして更なる成長に向けて,県民一丸となって取り組んでいく必要があります。
今般の感染症拡大により,我が国においては,デジタル化・オンライン化の遅れ,都市過密・一極集中のリスク,新しい技術を活用できる人材の不足,非正規雇用者,フリーランスや中小企業・小規模事業者の苦境,グローバル・サプライチェーンの脆弱さ等の課題やリスク,取組の遅れなどが顕在化しています。
感染症の拡大等先行きが不透明でもあり,確実な見通しを持つことは困難であるものの,これらを社会変革の契機として捉え,これからは,新たな日常の構築に向けて,あらゆる分野でのデジタル化,スマート化の導入が不可欠であり,5GをはじめとするSociety5.0新時代のインフラを早期に整備し,経済社会のイノベーション創出の動きを更に加速させることで,感染症の脅威にも強くしなやかに対応できる社会,そして,安心・安全で持続可能な地域社会の構築を目指してまいります。
私は,30余年にわたる公務員生活で,地域活性化政策に数多く携わってまいりました。
少子高齢化の進行に的確に対応し,人口の減少に歯止めをかけるとともに,東京圏への人口の過度の集中を是正し,それぞれの地域で住みよい環境を確保して,将来にわたって活力ある社会を維持していくことが必要であります。
また,今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,今,地方における暮らしの豊かさに,改めて注目が集まっております。この機会を逃すことなく,若者を惹きつけるようなしごとを地方につくりだすとともに,地域の魅力を高めることで,地方への新しいひとの流れを大きくするなど,国と地方が総力を挙げて地方創生に取り組むべきと考えております。
そのために何よりも大切なのは,地域の皆様がその地域を誇りに思うことであります。
本県には,豊かな自然,食,歴史や伝統,文化,お祭りなど素晴らしい地域資源が豊富にあります。鹿児島の大きな特色の一つは,南北600キロメートルに連なる多くの離島の存在であります。本県は離島が多く,多様な地域,コミュニティが存在しています。各島に特色のある独特の自然,文化や伝統があり,多様性がその魅力であります。
以前から鹿児島の良さを一人の県民として実感していましたが,併せて「鹿児島の良さ」をもっと生かすことができるのではないかということも感じておりました。
鹿児島に今ある地域資源を更に磨き上げ,中国や東南アジアに近いという地理的特性を生かして,これらの地域とつながっていくこと,県内の個性豊かな多様な地域との貿易・投資交流,人的交流を促進することにより,九州の南の玄関口として発展させることが可能であります。
今後,地域資源を最大限活用し,地域に根差した様々な取組を実施することが,鹿児島の発展につながるものと考えております。
鹿児島の基幹産業である農林水産業については,産出額は増大しているものの,農家の所得向上が課題となっております。また,同じく本県の基幹産業である観光関連産業は,新型コロナウイルス感染症の影響を最も受けており,国内外とも観光客が大幅に減少しているところであります。
今後の県勢発展の基盤をしっかりと作っていくためにも,鹿児島の基幹産業である農林水産業,観光関連産業の更なる振興に取り組む必要があります。自立的な地域経済の実現を可能にするため,ICT等を活用したスマート農業の推進による生産性の向上や高収益作物の生産,かごしまブランドの一層の確立など,農林水産業の高付加価値化を推進してまいります。
また,観光客のニーズに的確に対応できるよう,データを客観的に分析・検討し,観光客はもとより観光消費額の増を図るとともに,交流人口の増加を地元の雇用促進にしっかりとつなげるため,地域全体で,地域資源の発掘・磨き上げや地域の観光資源・食を中心とした幅広い関係者が連携した観光地域づくりを行ってまいります。
特に,世界自然遺産登録を目指す奄美においては,観光客を群島全体に波及させるための交通アクセスの充実,自然環境を保全しつつ観光客の満足度の向上を図るためのエコツアーガイドの養成,体験プログラムを活用したモノ消費からコト消費に変わりつつあるインバウンド観光の活性化などにも取り組んでまいります。
地域を支える人材,新たな未来を切り拓いていく人材の確保・育成も大切であります。若年者等の県内定着と大都市圏からのUIターンを促進するとともに,地域外に進学・就職する場合も,郷土愛を育み,地域の良さや課題を認識し,その課題解決のための目的意識を持って学び,一定の経験を積んで帰って来る人を増やすほか,地域の産業が必要とする専門人材を育成するため,自治体や企業と連携して,地域における人材育成に取り組んでまいります。
加えて,技術力の高い製造業や情報産業,ヘルスケア産業など若者が働く場としての新たな産業の創出に取り組み,経済を持続的に発展させることで,地域の格差を是正しつつ,県民所得の向上を図り,県民の皆様の暮らしと雇用を守りたいと考えております。
こうした取組を通じて,鹿児島の「稼ぐ力」の向上に努めるとともに,結婚・出産・子育てしやすい環境の整備や高齢者が健やかで生きがいを持てる社会の形成などに取り組み,これらを基盤として,高齢者や女性,障害者,子ども達,あらゆる方々が生き生きと活躍し,暮らしていける鹿児島をつくってまいります。
私は,このような基本的な考え方に立って,マニフェストに掲げた8つの主な施策を中心に,「県民の皆様と一緒に鹿児島の今と未来をつくる」ということを基本として,「誠実に」,「着実に」県政の推進を図っていきたいと考えております。
第一は,「新型コロナウイルス感染症拡大防止及び経済立て直しに向けた対応」であります。
新型コロナウイルス感染症拡大は,あらゆる方面に影響を及ぼす先例のない危機的状況であることから,県民の命と暮らしを守ることを最優先とした感染防止対策を実施するとともに,新型コロナウイルス感染症の影響を克服する強力な産業支援を講じてまいりたいと考えております。
具体的には,感染防止対策として,徹底した検査体制及び医療提供体制の整備,現場の最前線に立つ医療機関等における医療資材の備蓄体制,離島における水際対策や医療提供体制の整備を図るとともに,「新しい生活様式」の徹底により,県民の皆様の生命と健康を守りたいと考えております。
また,新型コロナウイルス感染症の影響による多様な働き方改革の一層の進展などを踏まえ,本県の特性を生かした地方への移住と業務移転の推進を図ってまいります。
産業支援対策としては,事業者に対する資金繰り支援などの新型コロナウイルス感染症対策を最優先した財政支援措置や,地域経済団体と連携した経営支援などを講じ,県民の皆様の暮らしと雇用を守りたいと考えております。
なお,新型コロナウイルス感染症の影響で,多くの県民の皆様が苦しんでいる中,痛みを分かち合い,少しでもお役に立てればという思いで,私の給料を,1年間,3割減額することとし,関連する条例案を今議会に提案しているところであります。
第二は,「脱原発への対応」であります。
川内原発については,3号機の増設は凍結するとともに,1・2号機の20年延長については,「原則40年」との認識の下,特例的な取扱いの可否について,県原子力安全・避難計画等防災専門委員会に原子力政策に批判的な学識経験者も入っていただくなど委員構成を見直した上で,同委員会において科学的,技術的な検証を徹底的に行い,事業者及び原子力規制委員会に対し,厳正な対応を要請いたします。
また,20年延長については,必要に応じて県民の意向を把握するため,県民投票を実施いたします。
緊急時における避難計画については,不断の見直しや防災訓練などの充実を図るなど,総合的な安全対策を適切に講じてまいります。
再生可能エネルギーの導入促進については,脱原発に向けて自然環境に配慮しつつ,原子力発電に代わる再生可能エネルギーや燃料電池の導入促進,省エネルギーの徹底を図るとともに,本県離島地域を含め,蓄電池を活用した地産地消型再生可能エネルギーの導入に向けた取組を積極的に進めてまいります。
第三は,「県民が豊かになる産業振興」であります。
地域経済の基幹産業である農林水産業や観光関連産業,地域経済を牽引する中核企業,中小企業・小規模事業者の「稼ぐ力」を引き出す施策を積極的に講じてまいります。
具体的には,本県農業については,ICT等を活用したスマート農業の推進による生産性の向上や高収益畑作農業の普及推進など,食料生産供給基地として更なる発展と生産所得の向上等に努めてまいります。
また,新たな商品開発や販路開拓支援,農林水産業の高付加価値化とかごしまブランドの一層の確立に努めるとともに,「県知事は鹿児島県の営業マン」という思いで,国内外へ向けたトップセールスを積極的に行い,農林水産物・加工品の販路開拓と全国トップクラスの海外輸出額を目指してまいります。
さらには,地域の農林水産業の維持・発展を図るため,担い手育成や新規就業者対策,女性農業者等の活躍支援など総合的な対策を講じてまいります。
観光関連産業については,新型コロナウイルス感染症の影響を最も受けていることから,観光の再生に向けた効果的な施策を展開してまいります。また,それぞれの観光地域の「稼ぐ力」を引き出すため,地域の観光資源・食を中心とした関係者が広く参画し,市町村とも連携した「観光地域づくり」を推進してまいります。
国内外観光客の増大を図るため,農家民泊などの体験型観光や錦江湾のリゾートとしての活用,観光情報発信の強化などを進めるとともに,九州の南の玄関口として鹿児島空港の機能強化や新型コロナウイルス感染症の影響により全便が運休している国際航空路線の段階的な復旧に向けて取り組んでまいります。
中核企業の育成,支援等については,新たな産業による「稼ぐ力」の創出を図るため,スタートアップ支援による新たな産業の創出や若者が働く場としての新たな産業の育成を図るとともに,地域経済を牽引する中核企業に対する研究開発や生産性向上対策の支援により,一層の「稼ぐ力」を引き出し,地域経済の好循環を高めてまいります。
第四は,「優しく働きやすい福祉の実現」であります。
介護分野においては,人材の育成や確保を推進し,ICTを活用した機器等の導入を促進するとともに,医療分野においては,地域における医師や看護師等の確保に取り組むなど地域医療の確保や離島・へき地医療の充実を図ってまいります。
健康寿命を延ばすため,がん早期発見のための受診率向上,メタボリックシンドローム対策や生活習慣病の予防のための取組を推進いたします。
いじめや虐待,ひきこもりなどの相談への適切な対応を図るとともに,婚活プロジェクトへの支援や子育て世代が安心して子育てができる環境整備を推進してまいります。
重度心身障害者の窓口負担ゼロについては,関係者の御意見を伺いながら,他県の事例を参考に,手続きの簡素化等の取組を前向きに検討してまいります。
第五は,「多様な魅力を持つ離島は,鹿児島の宝」であります。
鹿児島の宝である離島については,温帯から亜熱帯地域に広がる多様で豊富な物的資源・経済的資源を活用するとともに,社会資本の整備と更なる産業振興を進め,「暮らしやすい・働きやすい・また行きたい・定住したい」と思う島づくりを推進してまいります。
具体的には,引き続き関係市町村・国,関係機関とも連携して,奄美大島と徳之島の世界自然遺産登録を目指すとともに,奄美群島の貴重な動植物が生息する自然環境の保全に努めてまいります。
蓄電池を活用した地産地消型再生可能エネルギーを推進することで,エネルギーの自給率の向上,非常時のエネルギーの確保,雇用創出による地域活性化を進めてまいります。
また,LCCによる路線の新設やジェット機就航による,本県離島への観光客の増大を図ってまいります。
第六は,「アジア中核都市の実現」であります。
ドルフィンポート跡地については,鹿児島市と連携して国際会議などを開催できるコンベンション機能や展示機能を備える施設の整備について検討を行ってまいります。
また,国際都市にふさわしい交通インフラの充実・強化や鹿児島の伝統と文化が息づく街づくり,外国人が安心して暮らせる受け入れ基盤の更なる充実を図るとともに,国際路線の拡充を図り,若者の国際交流や貿易・投資交流を更に促進してまいります。
第七は,「鹿児島が誇れる人づくり」であります。
鹿児島で生まれ育った若者が,鹿児島に住み,働きたいと思えるように,鹿児島の歴史や伝統,文化,地域の特性などを理解し,ふるさとに誇りを持てる郷土教育の充実を図るほか,鹿児島の企業情報の充実と学生・保護者への情報提供,地元企業のインターンシップの充実を図ってまいります。
鹿児島での豊かな生活の情報発信を強化し,内外からの人材を誘致するとともに,地域おこし協力隊制度の積極的活用や任期終了後の地元への人材定着を図ってまいります。
外国人技能実習生や高度人材,留学生など外国人材の受入環境の整備に努め,外国人材の受入拡大,地元就職の促進を図ってまいります。
女性や高齢者,障害者が生き生きと活躍できる環境づくりを進めるとともに,働き方改革を推進してまいります。
ビジネスプランコンテストなどを通じて,鹿児島で起業しようという若者を輩出するための気運を醸成するとともに,中小企業における事業承継が円滑に行われるよう,関係機関と連携してマッチングを推進してまいります。
県立楠隼中学校・高等学校については,共学化や全寮制の廃止に向けた取組を進めてまいります。施設の改修やそれに係る財源の確保,また在校生への影響などを考慮しつつ,今後の進め方やスケジュールなどを検討してまいります。
第八は,「県民が安心できる行政づくり」であります。
県政運営については,県民との対話を進め,政策決定の透明化を図り,市町村との連携強化により県民一丸となって県勢発展を推進してまいります。
具体的には,情報公開を適切に行うとともに,県民と真の対話を行う場として「知事とのふれあい対話」を開催するほか,各地域における県政の総合拠点である地域振興局・支庁を積極的に活用し,県民の皆様の声を県政に反映してまいります。
また,女性の県政への参画促進を図るため,県が設置する審議会等における女性委員の登用,女性職員の採用に向けた取組や幹部職員への積極的な登用を進めるとともに,職員の能力を更に向上させるため,職員研修の充実などを図ってまいります。
馬毛島については,政府の安全保障に係る方針や訓練内容等をお聞きするとともに,地元の意見もお聞きした上で,県として考え方を整理し,対応を検討してまいります。
防災等については,道路,河川,砂防,港湾,農地等の整備など,県土の強靱化を計画的に行うとともに,その時々の防災上の課題等を踏まえ,毎年度,県地域防災計画の見直しを行うなど,自然災害防止や減災対策の充実に取り組んでまいります。また,家畜伝染病予防のための万全な防疫体制を構築してまいります。
以上,申し上げました私の8つの公約を実行していくため,その実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
7月28日の就任以来,かごしま国体・かごしま大会については,7月31日に佐賀県の山口知事,8月5日に滋賀県の三日月知事と会談し,できるだけ早期の開催を県民が待ち望んでいることや,後催県の準備状況,新型コロナウイルスの状況下において鹿児島でしっかりとした大会を開催できる時期などを総合的に勘案し,2023年にかごしま国体・大会を開催させていただきたいとの要請を行い,8月19日には佐賀県知事が,2023年のかごしま国体・大会の開催の受入を表明していただきました。
これまで長年準備を進めてきた佐賀県の競技団体や市町村,経済団体などの関係者,2023年をターゲットに一生懸命練習を積んでこられた選手の皆さん,そして何よりも佐賀県民の方々にとって,大変重い判断であったと考えており,困難な調整に御尽力くださった山口知事,鹿児島県の苦境に御理解を示してくださった佐賀県の皆様,そして,明治維新以来,非常に固い絆でつながってきた佐賀県の御温情に鹿児島県民を代表して深く感謝申し上げます。
かごしま国体・大会の2023年の開催に向けて一歩前進できたことは非常に喜ばしいことであると考えております。
県議会におかれましても,日本スポーツ協会等への早期開催に向けた要望や,佐賀県,滋賀県の議会に対する協力依頼など,多大な御支援を賜っておりますことに対し,深く感謝申し上げます。
滋賀県との調整など,引き続き,日本スポーツ協会,日本障がい者スポーツ協会,スポーツ庁と連携しながら,御理解が得られるよう進めてまいりたいと考えております。
今後,関係者の理解が得られ,日本スポーツ協会等から3年後の開催についての提案がなされた場合には,2023年の開催に向けて必要な手続きを進めてまいりたいと考えております。
マニフェストの実現に当たっては,県民の皆様お一人お一人の考えをしっかりと受け止めながら,県民の皆様の御期待に添えるよう,県民が主役の,県民の目線に立った,県民の声がしっかりと反映される県政を担ってまいりたいと考えております。
県議会の皆様方の御理解と御協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。

次に,当面する県政の諸問題の推移について申し上げます。

まずはじめに,新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。
感染防止対策の推進及び医療提供体制の整備については,8月27日に県議会臨時会を招集させていただき,医療機関等に対する支援金や医療従事者等に対する慰労金など,早期に実施する必要がある施策に関する補正予算を提出し,議決していただいたところであります。
補正予算に計上した事業を円滑に推進し,感染防止対策の推進及び医療提供体制の更なる整備にしっかりと取り組んでまいります。
今後は,感染防止対策と医療提供体制の確保をしっかりと行った上で,県民の安心・安全と社会経済活動の両立を図る必要があると考えており,県内の医療福祉関係団体,経済団体,観光関係団体,農林水産団体の代表の方々等から頂いた御意見等を踏まえ,社会経済活動に対する支援策について,今回の補正予算に計上しているところであります。
次に,令和2年7月の豪雨災害について申し上げます。
今回の豪雨により1名の方が亡くなられたほか,住家被害をはじめ,道路,河川,農地や用排水路及び農作物や農業施設などで,多大な被害が発生し,被害額は,約267億円となっております。
亡くなられた方に対しまして,心から哀悼の意を表しますとともに,被災された方々に対しましては,心からお見舞いを申し上げます。
県としては,速やかに,大きな被害を受けた鹿屋市等11市町に災害救助法を適用し,各種の応急救助を実施しております。また,住家の全壊等の被害が大きかった鹿屋市及び垂水市には,被災者生活再建支援法を適用し全壊世帯等の生活再建支援を行うほか,他の市町で床上浸水以上の被害を受けた世帯に対しては,県と市町村による基金から被災者生活支援金を支給することとしております。
被災箇所については,県民生活に支障が生じないよう,国の補助事業である災害関連事業を活用するなど,早期の復旧,再度の災害防止に向けて全力を挙げて取り組んでいるところであります。
8月6日には,私も,被災箇所を訪れ,応急対策の状況を直接確認するとともに,復旧に向けた取組を早急かつ着実に進めるよう指示したところであります。
また,県民の安心・安全のためには,道路等を含め,被災箇所の早期の本格復旧が必要なことから,県開発促進協議会等を通じて,速やかな災害査定,復旧事業の採択及び予算の確保などについて,関係省庁へ要望を行ったところであり,各地での甚大な被害に対し,8月28日に,激甚災害の指定を受けたところであります。
次に台風第10号への対応等について申し上げます。
大型で非常に強い台風第10号により,1名の方が亡くなられたほか,大雨や暴風による停電,断水や,住宅の全壊などの住家被害,公共土木施設や農作物などの被害が発生したところであります。
亡くなられた方に対しまして,心から哀悼の意を表しますとともに,被災された方々に対しまして,心からお見舞い申し上げます。
私は,台風が接近する前の今月4日に早めの避難を県民に呼びかけるとともに,十島村長からの,島民の島外避難に係る自衛隊への災害派遣要請依頼を受けて,自衛隊に派遣要請を行い,200名の島民の方々が島外へ避難しました。
また,三島村においても,村営フェリーにより58名の方々が,島外へ避難しました。
5日には,災害対策本部を設置し,防災関係機関等と連携をとりながら,事前の対策に万全を期したところであります。
県といたしましては,県民生活に支障が生じないよう,直ちに倒木除去等の応急対策を行ったところであり,現在,被災箇所の復旧に向けた取組を着実に進めているところであります。
避難所の設置・運営に当たっては,県で作成した「新型コロナウイルス感染症対策指針」などを踏まえて,各市町村において,避難所の定員数を減らすとともに,避難所の増設に取り組むほか,消毒液の設置や検温の実施など新型コロナウイルスの感染防止対策に取り組んでいただいたところです。一方で,定員数に達した避難所が生じ,他の避難所を案内するなどの事例が発生したところであります。
これからも,台風など災害が発生しやすい時期が続きます。県においては,引き続き,市町村や防災関係機関と緊密な連携を図りながら,防災対策に全力を傾けてまいりたいと考えております。
県民の方々におかれましても,気象情報等に十分注意を払っていただくとともに,自宅など周辺の状況を確認し,備えに万全を期していただくようお願い申し上げます。
いじめ再調査に係る再発防止策等については,現在,再発防止策等検討会において,いじめの防止等のための対策などについての検討を行っているところであります。
引き続き,再調査委員会の調査結果や提言を踏まえて,専門家の御意見を伺うとともに,御家族の御意見を伺いながら再発防止策を検討してまいります。
7月14日「県民の日」については,県民の皆様がふるさとを愛する心を育み,自信と誇りにあふれる,より豊かな鹿児島の未来について考える日となるよう,鹿児島ゆかりの著名人からのメッセージ等を収録した記念動画を制作し,県内の全小・中・高等学校等にDVDを配布するとともに,県ホームページに掲載いたしました。
また,県有施設や市町村・民間文化施設において,入館・入場料の無料化や歴史・文化に関するイベントが実施されたところであります。
新たな総合体育館については,これまでの検討経過や県議会での御論議などを踏まえつつ,今後の検討の方向性として,まずは,必要となる機能や規模,その構成など,どのような施設を整備すべきかを十分に議論した上で,整備候補地の検討を行う必要があると考えております。
このようなことから,県庁東側民有地の土地譲渡協議については,白紙に戻すこととしたところであります。
また,これらの議論を行うに当たっては,様々な方々の御意見を伺うなど,透明性を確保しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
このため,今後,屋内スポーツ競技関係者や学識経験者等で構成する「総合体育館基本構想検討委員会(仮称)」を新たに設置するとともに,同委員会における今後の検討に資するため,スポーツ利用を中心として,その他コンサートなどの多目的利用についての全体的な需要予測調査を行うこととし,これらに要する経費を今回の補正予算に計上しているところであります。
奄美・離島の振興については,国や市町村等と連携し,航路・航空路の運賃軽減や輸送コスト支援など,条件不利性の改善に取り組むとともに,定住促進や観光振興などを図り,同地域の活性化を着実に進めてまいります。
新型コロナウイルス感染症の拡大により,本県の宿泊客数の実績は,対前年比で4月に約8割,5月に約9割の減となるなど,本県の観光産業はこれまでに経験したことがない非常に厳しい状況となっております。
このようなことから,現在,観光客の激減に苦しむ観光業を守り,早期の需要回復を図るため,感染防止対策の徹底に取り組む宿泊事業者等への支援を行うとともに,本県独自の実効性・即効性のある経済対策として,「ディスカバー鹿児島キャンペーン」を段階的に展開しているところです。
感染の状況に応じ一時停止していた期間がありましたが,県内宿泊を促進する事業を8月26日から再開いたしました。さらに,今月からは,県内観光バスの旅行商品への助成,本県の魅力のPR,県外からの誘客を図るための,県産品等をプレゼントする事業,県内のタクシー・レンタカー利用を促進する事業を実施しております。
県ホームページについては,8月1日から7言語に自動翻訳できるシステムを導入いたしました。引き続き,外国人への多言語による情報発信の充実など,多文化共生社会の推進に取り組んでまいります。
水俣病対策については,昨日,認定審査会を開催したところであります。今後とも,認定申請者の審査を進めるなど,水俣病対策の円滑な実施に取り組んでまいります。
本県における気候変動影響や適応に関する情報の収集,提供等を行う拠点として,7月30日に県環境保健センター内に「鹿児島県気候変動適応センター」を設置したところであります。
県としては,同適応センターを活用して,農林水産業,自然災害,健康等の各分野の関係機関と情報を共有し,連携しながら,気候変動適応に関する施策を一層推進してまいります。
林業の振興については,湧水町において,新たな木質建材等を製造する大型木材加工施設の建設が進められており,今後,木材需要の増加が見込まれることから,森林施(せ)業(ぎよう)の集約化や高性能林業機械の導入,路網の整備など,県産材の安定供給体制の整備に努めてまいります。
低所得のひとり親家庭については,新型コロナウイルス感染症の影響による子育て負担の増加や収入の減少に対する支援を行うため,8月14日から臨時特別給付金の支給を開始したところであり,引き続き,ひとり親家庭の方々の生活の支援に努めてまいります。
昨年8月の女児死亡事案については,今月2日に,県社会福祉審議会の相談部会から「検証報告書」を頂きました。
報告書では,児童相談所の業務執行体制の強化や職員の専門性・対応力の強化のほか,関係機関間における情報の相互確認と情報共有の徹底,市町村の要保護児童対策地域協議会の強化などに関する提案を頂いたところであります。
県としては,頂いた報告書の内容をしっかりと真摯に受け止め,今後,再発防止に向けて,関係機関とともに,このような事案が起きないよう,速やかに,着実に,取り組んでまいります。
保育士の確保については,保育士養成施設の学生に対する修学資金の貸付けを引き続き行い,質の高い保育士の確保や県内定着を図ることとしており,今月1日までに,50人に対し貸付けの決定を行ったところであります。
厳しい経営環境が続く飲食店での消費喚起については,お得なプレミアム付き飲食券,通称ぐりぶー飲食券を販売するとともに,スマートフォンアプリを活用した割引クーポン,通称ぐるめクーポンを配信することとしております。
現在,募集している飲食券・クーポンを利用できる飲食店については,感染防止対策実施宣言ステッカーの取得を要件としており,感染防止対策の促進も図っているところであります。
製造業の振興については,引き続き,「かごしま製造業振興方針」に基づき,県内製造業の付加価値の創出や販路開拓,新分野参入への支援,人材育成などの取組を進めるとともに,これからの社会経済の動向など,製造業を取り巻く環境の変化を踏まえながら,鹿児島の特性を生かした振興の方向性を盛り込んだ,次期方針を本年度中に策定することとしております。
県内の雇用情勢については,7月の有効求人倍率は1.07倍となり,6か月連続で前月を下回っているところであります。
県としては,雇用維持及び離職者の再就職に向け,雇用調整助成金をはじめとする各般の相談に対する専門家の派遣や雇用保険未加入の離職者への職業訓練受講期間における助成金の支給などを行っているところです。
また,新規学卒者などの県内就職を促進するため,大学生等に続き,7月に,高校生及びその保護者を対象としたWEBを活用した合同企業説明会を開催したところであります。
今後とも,国や関係機関と連携しながら,雇用維持,離職者の再就職に向けた支援及び新規学卒者などの県内就職の促進に努めてまいります。
水産業の振興については,長期的かつ総合的な視点に立った施策の推進方針等を示す「水産業振興基本計画」が,本年度,終期を迎えることから,水産業関係者,学識経験者などの御意見を頂きながら,新たな計画の策定を進めているところであります。
ミカンコミバエについては,6月9日に屋久島町で誘殺が確認されて以降,今月7日までに18市町村において,合計98匹の誘殺が確認されております。
誘殺が確認された地域においては,国のマニュアルに基づき,発生調査や防除対策に速やかに取り組んでおり,現在,県内におけるミカンコミバエの定着は確認されておりません。
今後とも,ミカンコミバエ等重要病害虫の侵入警戒及び侵入した場合のまん延防止に努めてまいります。
家畜防疫対策については,国内の養豚農家において,4月以降,CSFの発生は確認されておりませんが,近隣諸国において,ASF等が続発しており,依然として国内への侵入リスクが高い状況にあります。
また,今後,渡り鳥が飛来する時期を迎えることから,養鶏農家における飼養衛生管理基準の遵守の徹底を図るとともに,10月には,鹿屋市においてCSF及び高病原性鳥インフルエンザの防疫演習を予定しているところであります。
県としては,引き続き,関係機関・団体と一体となって,高い防疫意識を持って,農家への侵入防止対策に万全を期してまいります。
令和元年度の県産農林水産物の輸出額は,平成30年度の227億円に対し,225億円とほぼ横ばいとなりました。
世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大による外食需要の減少に伴い牛肉などの輸出にも影響が及んでいるところであります。
他方で,アジア地域への輸出は少しずつ回復基調にあり,今後は,輸出先国の経済活動の回復状況を踏まえた戦略的なPR・販売促進活動や,国の緊急経済対策等を活用した輸出向けの施設整備など,反転攻勢に向けた取組を積極的に展開してまいります。
スマート農業の推進については,国や県の補助事業を活用して,ドローンを活用した病害虫防除や施設園芸用ハウス内の温度や土壌水分等の制御など,県内全域で,28件の技術実証が進められているところです。
今後とも,これらの取組を通じて,スマート農業の普及拡大に努めてまいります。
令和4年度に本県で開催される第12回全国和牛能力共進会については,「種牛の部」では,出品条件に合わせて優良雌牛に人工授精等を進めているところであります。
また,「肉牛の部」については,来月から候補牛が産まれてくる予定となっております。
県としては,生産者をはじめ,関係機関・団体と一体となって,「鹿児島黒牛」の更なる改良と出品対策を強化し,本県大会での連覇を果たすべく,全力で取り組んでまいります。
また,本大会は,県内外から訪れる多くの方々に鹿児島をアピールする絶好の機会でありますことから,大会マスコットキャラクターの活用やPR活動等を通じて,県内外に向けて気運醸成を図ってまいります。
茶業の振興については,本年11月に本県で9年ぶりの開催を予定しておりました「第74回全国お茶まつり」が,新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けて中止となりましたが,全国茶品評会については8月25日から28日にかけて本県で開催され,普通煎茶10キロの部で,最も優れた産地に授与される産地賞を本県が17年連続で受賞するとともに,個人でも農林水産大臣賞をはじめとする特別賞を本県生産者6名が受賞することが決定したところであります。
今後とも,海外で需要が高まっている有機栽培茶や抹茶の生産拡大を推進し,更なる輸出拡大を図るなど「儲かる茶業経営」の実現に向けた取組を進めてまいります。
高規格幹線道路については,東九州自動車道及び南九州西回り自動車道の整備促進に努めており,このうち,東九州自動車道の鹿屋串良ジャンクションから志布志間について,本年度中の供用が予定されております。
地域高規格道路については,本年度中の供用を予定している都城志布志道路の末吉道路及び有明志布志道路のほか,北薩横断道路や大隅縦貫道などの整備を進めております。
今後とも,高規格幹線道路や地域高規格道路の早期供用に向け,国と一体となって整備に努めてまいります。
甑島の県道鹿島上甑線において整備を進めておりました藺牟田瀬戸架橋工区については,甑大橋を含む5.1キロメートルが,去る8月29日に供用開始となりました。
今月7日の台風第10号の影響で,断水となった下甑島の鹿島地区へ,甑大橋を利用し,上甑島から給水車を派遣するなど,早速,その効果が発揮されたところであります。
このように,この供用により甑島の上甑島・中甑島・下甑島の間の陸上交通ネットワークが形成され,医療体制や災害応援体制の向上,観光業や水産業の振興など地域の発展に寄与するものと期待しております。
川内原発に係る今年度の原子力防災訓練については,昨年度の反省点や県原子力安全・避難計画等防災専門委員会の御意見等を踏まえながら,来年2月6日に実施する方向で関係市町などと調整を進めているところであります。
また,原子力災害時における円滑な避難を確保するため,国の交付金等を活用して,原子力防災アプリ及び被災情報等を取得できるシステムの開発を進めており,その経費を今回の補正予算に計上しているところです。
今後とも,県民の生命と暮らしを守る観点から,川内原発の安全対策・防災対策の充実・強化に取り組んでまいります。
学校における新型コロナウイルス感染症への対応については,1学期の臨時休業に伴う学習の遅れを補うために,夏季休業の短縮や,学校行事の見直しなどが行われているところであり,引き続き感染症対策に万全を期しながら,子ども達の学習の機会の確保に努めてまいります。
鹿児島市南部地区における特別支援学校の整備については,本年7月に実施設計が完了したところであり,令和5年4月からの供用開始に向けて,今回の補正予算に施設整備を行うための経費を計上しているところであります。
さて,我が国経済は,新型コロナウイルス感染症の影響により,依然として厳しい状況にありますが,このところ持ち直しの動きが見られるところであります。
先行きについては,感染拡大の防止策を講じつつ,社会経済活動のレベルが引き上げられていく中で,各種施策の効果もあって,持ち直しの動きが続くことが期待されますが,感染症が国内外の経済に与える影響に十分注意する必要があります。
県内経済については,個人消費は,総じて持ち直しの動きが続いているものの,そのペースは緩やかとなっており,また,観光は,一部に持ち直しの動きがみられるものの,依然として厳しい状況が続いているなど,新型コロナウイルス感染症の影響により,全体として厳しい状況にあります。
国・地方を通じた厳しい財政環境の中,国が7月末に示した「中長期の経済財政に関する試算」では,新型コロナウイルス感染症の影響等を背景とした経済の下振れにより,国,地方ともに税収の減が見込まれており,今後,一層厳しい財政状況が続くものと考えられます。
このようなことから,持続可能な行財政構造を構築するため,引き続き,行財政改革推進プロジェクトチームを中心に,歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組んでまいります。
県としては,新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図りつつ,経済の回復や更なる成長に向けて,国や市町村等と連携しつつ,本県の実情に応じた各種施策をしっかりと進めてまいります。
県議会の皆様方をはじめ,県民の皆様方の御理解と一層の御支援を心からお願い申し上げます。

次に,補正予算の概要について御説明申し上げます。
新型コロナウイルス感染症対策については,これまでに,強力な資金繰り支援や事業継続支援など中小企業等に対する支援や落ち込んだ需要の回復に資する対策等を講じるとともに,8月に議決いただいた補正予算においては,感染症対策の推進及び医療提供体制の整備等を中心とした対策を講じてきたところであります。
今回の補正予算においては,県民の安心・安全と社会経済活動の両立を推進するため,基幹産業である農林水産業,観光業の需要喚起に対する支援や製造業の新製品開発に対する支援等に要する経費を計上することとしております。
さらに,経済団体や医療関係団体の関係者の御意見等を踏まえ,感染症対策及び医療提供体制の整備に資する追加の対策として,顧客等と接する機会の多い中小企業等が実施する感染防止対策への支援や新型コロナウイルス感染症患者等の診療等に携わる医療従事者への危険手当の支給に対する支援に要する経費についても計上することとしております。
また,6月からの大雨による被害に対する災害復旧事業等に要する経費のほか,新たな総合体育館の整備に向けた有識者を含めた検討委員会の設置等に要する経費や,鹿児島市南部地区特別支援学校の整備に要する経費等を計上することとしております。
補正予算の総額は,一般会計で233億93百万円であり,この結果,補正後の一般会計の予算額は,9,269億10百万円となっております。この財源については,地方交付税,国庫支出金,県債などをもって充てることとしております。
また,特別会計の補正予算額は,病院事業特別会計の2億47百万円などとなっております。
このほか予算外の議案として,「鹿児島県税条例の一部を改正する条例制定の件」など,条例案4件,その他の議案8件となっております。
なにとぞよろしく御審議の上,議決していただきますようお願い申し上げます。

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