青森県（2）

3世界自然遺産への関わり

世界自然遺産の管理について

1.管理の法的根拠

・遺産地域は、白神山地自然環境保全地域（自然環境保全法）、津軽国定公園（自然公園法）、天然記念物（文化財保護法、種指定のみ）に指定されており、それぞれの法の規定により厳格な管理が行われている。
・遺産地域の一部は、青森県の赤石渓流暗門の滝県立自然公園（青森県自然公園条例）に指定されており、厳格な管理を行っている。
・遺産地域は全て国有林であり、林野庁により白神山地森林生態系保護地域として厳格に管理されている。
・青森県は、自然公園法の規定に基づき、国定公園の管理の一部を担っている。

2.管理体制（管理者）

・1.の各種制度を所管する国（環境庁、林野庁、文化庁）及び青森県、秋田県が密接な連携の下に一体的に管理を行っている。
・なお、遺産地域の管理に当たって、関係行政機関の連絡調整を図る場として「白神山地世界遺産地域連絡会議」が設置されている。

3.管理の方策

・世界遺産としての価値を損なうことのないよう、核心地域、緩衝地域の管理区分に沿って的確に保全を図ることとされている。
ア）核心地域

人手を加えずに自然の推移に委ねることを基本とし、工作物の新築や土石の採取など、自然環境の保全上支障を及ぼすおそれのある行為は、学術研究等特別の事由がある場合を除き、各種保全制度に基づき厳正に規制する。特に人の入り込みによる自然環境への影響が懸念されていることから、既存の歩道を利用した登山などを除き、立入は規制する。なお、その態様は入り込みの状況、地元の意見等を踏まえ、更に検討することとされている。

イ）緩衝地域

必要に応じ、一定の行為を規制し、現状の保全を図る。
なお、木材生産を目的とする森林施業は行わず、既存の人工林は複層林施業等により、将来は天然林に導くものとしている。

2.自治体の世界自然遺産地域への関わり

1自治体による遺産地域の管理

保全にかかる各種制度を所管する国及び秋田県と青森県が密接な連係のもとに一体的に管理を行っている。

2遺産地域を活用した地域振興策

青森県では、自然との共生を礎とした地域の振興にも十分配慮しつつ、そのかけがえのない自然を後世に引き継ぐため、白神山地における自然環境の保全を図ることを目的として、「調和と永続」を基本理念に、「白神山地保全・利用基本計画」を策定し、白神山地における自然環境の保全及び利用の総合的な構想としている。
なお、青森県では昨年10月、白神山地を訪れる人々に対し、白神山地の情報提供や、自然観察及び体験学習を通じて自然保護意識の普及啓発を行うための拠点施設として「白神山地ビジターズセンター」を開館した。