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更新日:2011年3月15日

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鹿児島の環境(特集:奄美群島の世界自然遺産登録をめざして)

はじめに

 本県は,南北600キロメートルに及ぶ広大な県土を有し,日本で初めて国立公園に指定された霧島,世界自然遺産に登録された屋久島,世界的にも貴重な動植物を有する奄美群島,毎年1万羽以上渡来する出水平野の特別天然記念物「ツル」など,他の地域にない優れた自然環境に恵まれています。このかけがえのない恵み豊かな自然環境を大切に保全し,活用しながら,次の世代に確実に継承することは,現代に生きる私たちの使命であると考えています。
 本県の環境は,全般的におおむね良好に維持されておりますが,今,私たちの環境を取り巻く状況は,地球温暖化,廃棄物の減量化・リサイクル,希少野生動植物の保護など複雑・多岐にわたっております。
 これらの問題の解決には,県民一人一人が身近なところから環境保全への取組を実践し,環境への負荷の少ない循環型社会の実現や人と自然が調和する地球にやさしい社会の実現を図っていくことが大切です。
 「環境」は,21世紀における人類の共通課題であり,今後様々な行政展開が集中的に求められると考えており,県としても,平成21年度から「環境部」を新たに設置して,今後地球温暖化対策推進のための条例制定や,世界自然遺産の島・屋久島における低炭素社会づくりのモデルとなる取組,産業廃棄物管理型最終処分場の整備に向けた取組などを進めることとしておりますので,県民の皆様の御理解,御協力をよろしくお願いします。
 なお,この白書は,平成19年度における鹿児島の環境の現状と施策の内容・成果を取りまとめたものであり,この白書が,県民の皆様の環境に対する認識や意識を高め,環境保全に向けた取組の参考になれば幸いです。
 
 
 

 平成21年2月
 
 鹿児島県知事  伊藤 祐一郎 

特集:奄美群島の世界自然遺産登録をめざして

 奄美群島は,トカラ列島と沖縄諸島の間に連なる奄美大島,加計呂麻島,請島,与路島,喜界島,徳之島,沖永良部島,与論島の8つの有人島からなる島々で,アマミノクロウサギなどの希少野生動植物が生息・生育する亜熱帯の森や美しいサンゴ礁などが多くの人々を魅了しています。
 平成15年,環境省と林野庁による「世界自然遺産候補地に関する検討会」において,奄美群島を含む「琉球諸島」が世界遺産の登録基準を満たす可能性が高い地域の1つとして選定されました。
 県では,奄美・琉球諸島の世界自然遺産登録の早期実現に向けて,地元市町村や国の関係機関などと連携しながら,国立公園などの保護地域指定の推進や普及・啓発活動などに取り組んでいます。
 

○世界遺産とは

 世界遺産とは,UNESCO(国連教育科学文化機関)の「世界遺産リスト」に登録された遺産のことで,国家や民族を超えて人類が共有し,次世代に受け継いでいくべき価値をもつ遺産を対象とします。
 世界遺産には自然遺産,文化遺産,複合遺産の3種類があり,2008年7月現在 自然遺産174件,文化遺産679件,複合遺産25件,合計878件が登録されています。
 国内の自然遺産は鹿児島が誇る「屋久島」や「白神山地」,「知床」の3地域です。
 また,県では「九州・山口の近代化産業遺産群-非西洋世界における近代化の先駆け」の世界遺産(文化遺産)登録を目指した取組も進めています。

○世界遺産への道のり

 世界遺産登録の前提として,数年以内に推薦する物件の「暫定リスト」を,政府がUNESCOの世界自然遺産委員会に提出する必要があります。
 また,推薦にあたっては,推薦地域の価値や保護管理体制を記述した「推薦書」を世界遺産委員会に提出し,審査などを受けることになります。

○奄美・琉球諸島の自然の特徴

 奄美・琉球諸島の成立はプレート運動とサンゴ礁の働きによるところが大きく,大昔から中国大陸や日本列島と陸続きになったり,離れたりを繰り返して,多くの島々で構成される現在の姿ができました。
 また,世界の亜熱帯地域に比べると例外的に雨が多いため,豊かな亜熱帯性照葉樹林が分布しています。そして,海岸のマングローブ林,浅海のサンゴ礁と特徴的な生態系が連続してみられます。そのため,太古の昔,大陸から渡ってきた生物が各島々で独自の進化を遂げたことと相まって,遺存種や固有種が多い独自の生物相を形成しています。

○亜熱帯性照葉樹林

 奄美・琉球諸島では,モンスーンのもたらす降雨により,世界の亜熱帯域の中でも限られた地域にしかない亜熱帯性照葉樹林が成立し固有種や希少種の主要な生息・生育地として生態系の基盤になっています。生息する代表的な動物として,アマミノクロウサギやケナガネズミ,オオトラツグミ,オーストンオオアカゲラ,アマミヤマシギ,オットンガエルなどがあげられます。

○サンゴ礁

 サンゴ礁とは,サンゴや有孔虫など石灰質の骨格を持つ生物の死骸が長い時間かけて堆積してできた「地形」です。奄美・琉球諸島のサンゴ礁は,世界でも高緯度の地域に位置し,同緯度にある他のサンゴに比べ種の多様性が高いのが特徴です。サンゴ礁は,すばらしい景観をつくりだすとともに,海の生態系にとって大きな役割を果たしています。

○生物の多様性

 奄美・琉球諸島はアマミノクロウサギやヤンバルクイナ,イリオモテヤマネコなど数多くの固有種の生息・生育地になっているほか,種の多様性に富むサンゴ礁生態系が見られ,世界的に見ても生物多様性保全上重要な地域です。また,渡り鳥やクジラ類,ウミガメ等の繁殖地や産卵地となっており,移動性の高い種群を維持する上でも重要な地域です。

○世界自然遺産に向けて~美しい自然と希少な動植物を後世へ~

 平成15年,環境省と林野庁による「世界自然遺産候補地に関する検討会」において,「奄美・琉球諸島」は,大陸との関係において独自な地史を有し極めて多様で固有性の高い亜熱帯生態系やサンゴ礁生態系を有している点,また優れた陸上・海中景観や絶滅危惧種の生息地となっている点が評価され「知床」,「小笠原諸島」とともに世界遺産の登録基準を満たす可能性が高い地域として選定されました。
 しかし,世界遺産に登録されるためには,自然の資質が一定の基準を満たしていることに加え,法律・制度に基づいた保護措置がとられている必要があるため,奄美地域や沖縄本島北部のやんばる地域では,環境省や林野庁が中心となり,新たな保護地域指定に向けた取組が進められています。

○国立公園の指定に向けて

 平成20年,環境省による「奄美地域の自然資源の保全・活用に関する検討会」が開催され,保護地域指定や世界自然遺産登録を視野に入れた自然資源を保全・活用していく上での基本的な考え方がまとめられました。
 環境省は,奄美地域の自然資源の保全・活用にあたっては,保護措置として「国立公園」の指定が有効であるとし,亜熱帯照葉樹林を中心とする生態系全体を管理する「生態系管理型国立公園」,人間と自然が深く関わり調和してきた関係そのものを対象とする「環境文化型国立公園」というこれまでにない国立公園を目指すこととしています。
 また,国立公園として適当な地域は,固有の動植物が生息・生育する亜熱帯性照葉樹林や現在国定公園に指定されている海岸線,伝統的な集落景観が残る地域など多様な地域が想定されています。

○希少野生生物の保護

  環境省奄美野生生物保護センターでは,希少野生生物の保護増殖事業や奄美大島の生態系に大きな影響を与える外来種マングースの防除事業などに取り組んでいます。
 鹿児島県や地元市町村等においては,アマミノクロウサギ等の希少野生生物の保護を図るため,交通事故(ロードキル)対策やノイヌ・ノネコ対策,自然植生の衰退を招く恐れがある野生化ヤギの防除などの取組を進めています。

○奄美の自然を学ぶ

 地域住民の方々に,国立公園や世界自然遺産,奄美の自然特性や価値などへの理解を深めていただくため,パンフレット等の作成・配布や各島での公開講座などを行っています。
 また,住民の自発的な推進活動の一環として,「奄美群島を世界自然遺産へ!クリーンアップ大作戦」などが開催されています。
 

○「奄美群島自然共生プラン」~世界自然遺産にふさわしい「自然との共生」をめざした地域づくり~

 平成15年,奄美群島の多様な自然との共生を目指した地域づくりの指針として,県と地元市町村が一体となり「奄美群島自然共生プラン」を策定しました。
 このプランでは,奄美固有の自然,これに関わる伝統,文化,産業などを核として,「人と自然の共生」を基軸とする個性的な地域をつくることとしており,9つの具体的な施策が盛り込みれています。また,効果的なプランの推進に向け,国,県,地元市町村及び関係団体からなる推進本部を設置し,プランに沿った事業展開を図っています。

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