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更新日:2026年3月10日

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研究報告(令和7年度)

高温登熟性に優れ,いもち病抵抗性を備えた水稲新品種「なつまつり」の育成とその特性

小牧有三・竹牟禮穣・田之頭拓・濵﨑翔悟・若松謙一・松田慶五・古園百音・岡田大士

要約
水稲新品種「なつまつり」は,早期栽培の主食用で,中生熟期,高温登熟性,病害抵抗性,多収・良食味を目的として,高温登熟性が“やや強”で多収の「西南164号」を母本,高温登熟性“強”・良食味でいもち病圃場抵抗性遺伝子Pi39,Pb1を有する「西南165号」を父本として,2017年に農業開発総合センターにおいて交配した組み合わせから選抜・育成した.2025年3月に鹿児島県の水稲奨励品種に採用され,同月に品種登録を出願した.「なつまつり」は,「イクヒカリ」と同じ早期栽培用の中生種,高温登熟性は“やや強”で,「イクヒカリ」に比べ玄米外観品質が優れ,千粒重及び収量性は同程度の多収である.食味は「コシヒカリ」並の良食味である.いもち病圃場抵抗性Pi39,Pb1を保有し,葉いもち及び穂いもちに強く,耐倒伏性は“やや強”である.

高温登熟性に優れ,いもち病抵抗性を備えた水稲新品種「なつまつり」の育成とその特性

鹿児島県水稲育種における選抜手法と成果

若松謙一・田之頭拓・竹牟禮穣・小牧有三・田中明男・山根一城・園田純也・大内田真・濵﨑翔悟

要約
鹿児島県では,水稲の独自ブランド品種開発を目的として1991年に県単独事業による育種を開始し,2025年までに15品種を育成した.開始当初の育種目標は晩生・良食味・多収品種であり,その目標を達成するため,初期世代における熟期選抜,在来品種の改良や,食味向上に向けた新たな光沢検定法等の選抜技術を導入してきた.その結果,2000年に晩生・良質・良食味の「はなさつま」,2005年に多収・良食味の「夢はやと」,2007年に多収・良食味で「特A」の食味評価を10年獲得している「あきほなみ」を育成している.また,在来の極良質糯品種「溝下糯」の短稈化を図り育成した「さつま白もち(2002年)」,さらに栽培特性を改善した「さつま雪もち(2005年)」「さつま絹もち(2011年)」など,在来品種を改良した品種を育成した.その後,病害虫抵抗性遺伝子の導入や,高温登熟性評価手法の開発を行いながら,高温登熟性に優れる「なつほのか(2014年)」「あきの舞(2022年)」「なつまつり(2024年)」など,様々な栽培環境に対応し,安定的な収量性を発揮する品種の育成を行っている.

鹿児島県水稲育種における選抜手法と成果

鹿児島県におけるサツマイモ基腐病の発生生態と伝染に関する研究

西八束・西岡一也・本田傑・中西善裕・福元智博・福田健・上室剛

要約
鹿児島県で2018年に確認されたサツマイモ基腐病について,防除対策確立を目的に発生様相,伝染様式および病原菌の生態を解析した.現地調査により,基腐病の早期診断に有効な病徴を明らかにし,罹病種イモ由来苗では外観健全部位からも病原菌が検出されることを示した.また,ベンズイミダゾール系薬剤による苗消毒は苗伝染を抑制し,汚染土壌からの感染も約1か月抑制した.
多発圃場の休耕試験では,罹病残さ中では長期間病原菌が検出されたが,耕起後10か月以上経過した土壌では未検出となり,罹病残さが主要な土壌伝染源であること,土壌伝染抑制には2年以上の休耕または輪作が必要と考えられた.さらに,連作圃場の雨水中の病原菌調査から,栽培初期は微細な残さや残さ由来の胞子が,栽培中・後期は新病斑由来の胞子が感染や二次伝染に関与することが示唆された.そのため,防除には植付前の残さ処理等による病原菌密度低減,初期からの予防的な薬剤防除による二次伝染防止が重要であることが明らかとなった.
本稿は,鹿児島県における基腐病の発生様相と伝染環を解明し,発生圃場の休耕期間中の残さ・土壌および連作圃場の雨水中における基腐病菌量の推移を定量的に示した初の報告である.腐植質厚層アロフェン質黒ボク土壌において,鹿児島県の下水汚泥肥料施用ガイドラインに基づき,1作当たり500gm-2あるいは1kgm-2程度の下水汚泥肥料を施用した連用試験を10年間実施し,春夏作:サツマイモ-秋冬作:露地野菜の輪作体系での収量,植物体や土壌中の重金属量などに及ぼす影響を検討した.下水汚泥肥料の窒素肥効率を考慮し,不足する肥料成分を化学肥料で補給する施肥法により,収量は,化学肥料のみの栽培と同等であった.収穫物可食部中のカドミウム含量については,各作物ともコーデックス委員会が定める国際基準値を大きく下回った.当栽培体系における銅,亜鉛およびカドミウムの収支解析から,下水汚泥肥料による施肥は銅,亜鉛およびカドミウムの投入量に対して作物吸収量が少ないため,これら重金属は土壌に蓄積されたものの,下水汚泥肥料の連続的な施用による土壌に蓄積する含量は公的な基準値に比べて低かった.以上,サツマイモ-露地野菜の栽培体系において,下水汚泥肥料を1作当たり500gm-2程度の10年間連年施用は,窒素肥効率や不足する養分を補給する施肥によって,化学肥料のみの施肥と同等な収量が確保でき,可食部のカドミウム含量が国際基準値を超過することなく,土壌への重金属の蓄積程度も小さいと考えられる.

鹿児島県におけるサツマイモ基腐病の発生生態と伝染に関する研究

搾乳ロボットシステム牛群における自給粗飼料を活用した収益性向上の検討

岩﨑駿・山﨑彦樹・兒玉卓也・脇大作・西博巳

要約
搾乳ロボットシステムでは,搾乳ロボット内で配合飼料が給与され,牛舎ではその分の栄養価を調整した部分混合飼料(PMR:PartialMixedRation)が給与される.PMRにおいて,自給粗飼料主体(自給区)と輸入粗飼料主体(輸入区)の2区を設定した結果,自給区は輸入区に比べ,3産以上の搾乳回数と日乳量が有意に多く収益性が高かった.次に,自給区において,ロボット内配合飼料割合が高い配合多給区とPMR中の濃厚飼料割合が高い濃PMR区を設定した結果,配合多給区は濃PMR区に比べ,3産以上の日乳量が有意に多く収益性が高かった.さらに,自給区-配合多給区において,飼料中粗蛋白質(CP)が14.2%(低CP区)と16.3%(高CP区)を設定した結果,産乳性への影響は小さく,収益性は低CP区の方が高かった.

搾乳ロボットシステム牛群における自給粗飼料を活用した収益性向上の検討

「かごしま地鶏」における増体遺伝子の特定と改良効果の解明

東原大・高橋啓祐・森元瑞穂・川畑明治

要約
「かごしま地鶏」における増体に関連するコレシストキニンA受容体遺伝子(以下CCKAR遺伝子)の特定と改良効果について検討した.「かごしま地鶏」の原種鶏である「薩摩鶏」,「さつま地鶏」,「横斑プリマスロック」において,CCKAR遺伝子の遺伝子型別の保持状況,発育成績および産卵成績を比較したところ,すべての鶏種において,A/A型,A/C型,C/C型を保持しており,A/A型の56日齢体重および70日齢体重が最も重く,産卵成績に差はみられなかった。また,「黒さつま鶏」において,CCKAR遺伝子の遺伝子型別の発育成績を比較したところ,雄雌ともにA/A型の出荷体重が有意に重くなり,飼料要求率はA/A型が最も低くなった.さらに,肉質成績を比較し,官能評価をおこなったところ,遺伝子型別での肉質や食味に影響を与えなかった.このことから,「かごしま地鶏」において,CCKAR遺伝子のA/A型が増体に有効であることが示唆され,「黒さつま鶏」においては,A/A型を選抜することで,飼料効率の向上や出荷日齢の早期化による,さらなる生産性の向上が期待される.

「かごしま地鶏」における増体遺伝子の特定と改良効果の解明

よくあるご質問

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農政部農業開発総合センター企画調整部

電話番号:099-245-1114

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