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更新日:2023年10月23日

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農林水産業分野の気候変動影響とその適応策

各区分における影響と適応策

農業

区分 影響 適応策
水稲 温によると考えられる白未熟粒の発生や出穂の早進化などが確認されており,将来,登熟期間の高温条件で背白米,基白米などの発生により一等米比率の低下が予想。 温耐性をもった品種の育成や夏期の高温対策技術を開発・普及。
果樹 んきつ類で高温・強日射による果実の日焼け,着色遅延等,ぶどうで着色不良等,なしで秋期から初冬期の高温による発芽不良の発生。将来,このような影響のほか,うんしゅうみかんやぽんかんでは,果実肥大期の高温・多湿による浮皮の発生が懸念。
た,うんしゅうみかんについては,2060年代には本県を含む主力産地の多くが現在よりも栽培しにくい気候になると予測。
暖化を利用して,果樹の簡易な保温技術による低コスト栽培技術や新たな作型を開発・普及。
園芸作物 菜で集中豪雨等による生育阻害が見られ,将来,高温等による収穫の前進・集中化,発芽不良,抽苔率の増加,微量要素欠乏症の発生,日焼け,着果不良,徒長等が懸念。一方で,冬期の温暖化による新たな作型の開発,簡易な被覆や暖房コストの削減による低コスト化等が期待。
た,花きで夏秋期の高温による品質低下や冬期の極端な高温・寒波による収量減等が見られており,更なる気候変動が花きの計画的な出荷を困難にする可能性。
暖化を利用して,野菜の簡易な保温技術による低コスト栽培技術や新たな作型を開発・普及。また,花き等の高温耐性をもった品種の育成や夏期の高温対策技術を開発・普及。
畜産 用牛の乳量・乳成分・繁殖成績の低下や,肉用牛,豚及び肉用鶏の増体率の低下等が報告。将来,温暖化の進行に伴って肥育去勢豚や肉用鶏の成長への影響が大きくなるとともに,増体率が低下する地域が拡大し,その低下の程度も大きくなることが予測。 切な畜舎環境の確保及び適切な飼養管理技術の指導・徹底等。
病害虫 害虫については,近年,地球温暖化に伴う分布地域の北上で,これまで奄美・沖縄での発生が確認されていたものが,県本土,更には九州,四国,本州へと拡がりつつあり,将来,分布圏の北への拡大や越冬生存率の上昇,春の出現時期の早期化,年間世代数の増加等の可能性。
た,イネ紋枯病の生育初期からの発生や,ミカンコミバエの中国大陸からの飛来による国内への侵入リスクの拡大も予想。
暖化により多発等が懸念される病害虫については,発生予察の充実と予察情報の提供による適期適確な防除の促進。
に,温暖化で侵入リスクが高まっているミカンコミバエ等の特殊病害虫については,継続して侵入警戒対策に取り組むとともに,侵入時には国等と連携して,迅速な防除対策を実施。
農業生産基盤 年,異常な降雨等による農地や農業用施設の甚大な被害。将来の降水量・降雨強度の増大により,シラスなどの特殊土壌地帯を中心とした農地土壌の侵食量の増大や地すべりなどの農地斜面災害の頻発,ため池決壊の危険性の増大が予想。 用地において,排水路網の整備を実施し,侵食・崩壊などの災害を未然に防止。更に,平均気温の上昇による蒸発散量増加に伴い,用水需要の増加が見込まれることから,現在の水資源の有効活用を図るため,地下灌漑システム等の導入を検討。
田や畑地などの農地は,適切な管理により土壌中に炭素を貯留できることから,農地の吸収源対策として土層改良等の基盤整備工法を検討。

体例

春施肥への変更によるニホンナシの発芽不良発生軽減効果(PDF:78KB)
係機関:鹿児島県農業開発総合センター

カンコミバエの調査結果について
係機関:経営技術課

森林・林業

区分 影響 適応策
山地災害,治山・林道施設 2007(平成19)年度からの最近10年間において,年平均74件の山地災害が毎年発生しており,将来,多くの地点で大雨の発生回数の増加により,集中的な崩壊・土石流等が頻発し,山地や斜面周辺地域の社会生活に与える影響が増大することが予測。 資源の確保上重要な水源地域や荒廃山地等において,治山施設の整備・機能強化,森林整備等を実施し,水源のかん養及び災害(山地災害,高潮災害等)の防止。
のウェブサイトに「山地災害危険地区マップ」を掲載し,住民への危険地区情報の周知を図るとともに,「山地防災ヘルパー」による山地災害の情報収集や山地災害危険地区の住民への周知,「山地災害防止キャンペーン」による防災意識の醸成。
天然林 ナ林の南限である高隈山系で,温度上昇によるブナの成長低下の傾向が報告。将来,ブナの更新が一層難しくなるとともに,アカガシやウラジロガシなどの常緑広葉樹の侵入によりブナの密度が減少する可能性。
た,四国と九州ではブナ林の適域が温暖化の進行によりほぼ消滅する可能性が指摘。
布適域の変化など気候変動の影響等に関して,観測結果等による情報収集を行うとともに,分布適域の変化などの状況に応じて,適切な保全。
特用林産物 温の上昇が進むと,しいたけの原木栽培において高温障害や病虫害の発生の危険性が高まることが予想。 原菌や収穫量など温暖化の影響に関して,生産者等からの聞き取りによる情報収集を行うとともに,温暖化に対応した原木しいたけの栽培技術や病害虫防除技術の研究・普及。

体例

山地災害危険地区マップ(関係機関:森づくり推進課)

水産業

区分 影響 適応策
海面漁業,海面養殖業 土海域において,南方系の魚種が漁獲されるようになったり,南方系の海藻が多く見られるようになったとの報告。
た,赤潮の長期化が報告。将来的には,高水温化により赤潮発生の頻度が増加する可能性が指摘。
水温や赤潮情報の定期的なモニタリング等を通じ,漁業者等への迅速かつ正確な情報提供に努めるとともに,赤潮発生等の際には養殖生け簀の避難や餌止め等の指導を行い,漁業被害の防止と軽減に努める。
た,漁獲動向,藻場の状況について,情報を収集し,実態を把握するとともに,環境の変化に対応した対策を検討。
漁業,漁村 に海面水位の上昇傾向が見られる。将来,台風の強度増大が予測され,天端高が低い係留施設や荷さばき所等が浸水するなど,漁港機能に影響を及ぼす可能性。 気圧や台風の大型化,潮位の上昇等の自然条件の変化による漁港施設や背後地への浸水被害等に対し,漁港施設の機能強化整備。高潮・波浪等による被害から背後地等を守るため,海岸保全施設の新設・改良。

体例

鹿児島湾及び奄美海域における水温変動について(PDF:82KB)
係機関:鹿児島県水産技術開発センター

最新の情報は上記センターHPの「漁海況情報」ー「漁海況長期予報」ー「海況」で公表されています。

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環境林務部環境保健センター

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