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更新日:2017年4月25日

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秋輪ギク(電照)の年間作業体系(大隅地域)

1.栽培上の特性

秋ギクは,夏から秋にかけて日長が14.5時間程度になると花芽分化し,10~11月に開花します。しかし,8月上旬頃から電照し,長日条件にすると開花を抑制することができます。
この特性を利用して,定植や電照打ち切り時期をずらしていくと,11月下旬から4月まで出荷可能となります。花芽分化には大部分の品種が15℃以上の温度を必要とします。
栽培方法は摘心栽培と無摘心栽培に分かれます。無摘心栽培は多くの苗を必要としますが,品質的にも良くなり,二度切り栽培を前提とした前作は無摘心栽培が基本となります。
 

2.適地


キクは,浅根性で過湿に弱く,乾燥にも弱いため,排水性,保水性に優れた腐植に富む膨軟な土壌でpHは6.0~6.5が適します。
 

3.作型

品種,温度管理などにより,同じ作型でも定植や電照打切り時期が異なります。
ここでは,「神馬」の直挿し定植・無摘心栽培を標準として記載しました。

秋輪ギク作型

4.主な品種

品種名
花色
特徴
神馬1号
花は純白で咲き足は早いが花形が崩れにくい。
草丈は良く伸び、立葉で草姿が良い。花持ち,水揚げは非常に良い。
栄養生長期間に低温遭遇すると,開花遅延しやすい。
神馬2号
神馬の選抜系統で,低温開花性を有する。
高温期の作型ではボリュームがつきにくい。
新神
神馬の改良種で,高温期に無側枝性を発揮する。
花が大きく,立葉で草姿が非常によい。花芽分化には高温を要する。
新神2
新神の改良種で,高温期の無側枝性,低温開花性を併せ持つ。
神馬系で花が最も大きく,葉数も多い。
精興光玉
純黄色の抱え咲大輪,葉は丸葉の照葉。中幹種。下葉・中間葉が枯れやすい。
山陽黄金
濃黄の管弁で立弁中大輪。高温時に分枝の発生が悪い。花首が短い。中幹種。
 

写真1秋輪ギクの主要品種

秋輪ギクの主要品種

5.定植

(1)ほ場準備

栽培歴の浅いほ場等では,完熟堆肥(牛ふん)や有機物(調整ピート,ヤシがらなど)の施用と深耕を実施して物理性改善を中心とする土づくりを行います。
前作の古株は除去するか,土壌消毒等で完全に腐敗させます。pHは6.0~6.5に矯正しましょう。
基肥施用後はロータリーで耕耘し,床を作り(平床もある),フラワーネット(15cm角の5目ネット)を張ります。支柱は1.5m間隔に,通路が通りやすいように千鳥になるように立てます。

(2)定植の時期


挿し芽(砂上げ苗)利用の場合は,根が1~1.5cmに伸びたら定植します。直挿し栽培の場合は,穂冷蔵を2週間程度行って,発根を促進します。
定植時期は出荷時期から逆算(無摘心栽培で100~110日前)して決めます。

(3)施肥

固定張りハウスの連作地等ではリン酸やカリの過剰等が散見されているので,ほ場毎に適正施肥量が異なります。このため土壌診断を行い,結果に基づいて適正な施肥量を決定しましょう。
 
〔施肥例〕(栽培歴5年以内、天上ビニル張替え)
(kg/10a)

肥料名

基肥

追肥

成分量

1回目

2回目

N

P

K

堆肥 3,000          
ニュー有機美人 100 40 40 21.6 14.4 14.4
ファームアップ2号 30   30 3.6 2.4 2.4

合計

    25.2 16.8 16.8
追肥は消灯2週間前と消灯2週間後
 

(4)作式

一般的な無摘心栽培では,床幅75cm,通路幅55cm条間15年30月15日cm,株間7.5cmの4条植えとします。中央のネットは1目空けた方が秀品率が向上します。

〔作式例1時15分cmの5目ネット使用〕10a当りの定植本数は約41,000本(計算値)となります。
秋輪ギク作式例1
〔作式例2時15分cmの5目ネット使用〕10a当りの定植本数は約51,000本(計算値)となります。
秋輪ギク作式例2

(5)苗定植の方法

定植前は土壌を絶対に乾燥させないように注意し,適湿状態の土壌に定植することが重要です。定植は日中の高温時を避け,朝夕の涼しい時に行いますが,日差しが強い場合は必ず寒冷紗を張ってから実施しましょう。高温期は事前に寒冷紗を張って地温を下げておきましょう。
1畦程度定植が終わったらかん水するといったように,苗をあまり乾燥させないよう注意します。定植後の活着の良否が後の生育に大きく影響しますので,定植作業は丁寧に行いましょう。
 

(6)直挿し定植の方法

直挿し定植は,挿し穂を直接本ぽに定植する方法で,育苗作業が省略でき,定植作業に要する時間も短縮されるため,大幅な省力化となる技術です。
キクの直挿し栽培では,挿し芽後の速やかな発根が不可欠であり,9割以上成功しなければ補植作業の手間や生育不揃いの発生で,かえって労力がかかったり,品質低下を招く恐れがあります。よって,挿し芽の前に挿し穂に根原基を形成させることが重要となります。直挿し定植を行う場合,必ず2週間以上の穂冷蔵を行い,定植前に十分な水揚げ及び発根促進剤処理を行います。
 
ほ場準備は苗定植に準じますが,排水の良いほ場や,乾きやすい状況の場合,直挿し定植を行う当日の朝にもかん水します。穂を挿す時には,深く挿しすぎると発根不良となりますし,浅すぎると倒れやすくなるため,2cm程度の深さに挿すようにします。直挿し後はかん水ムラのないように,十分にかん水します。立枯病予防のため殺菌剤をかん水と同時に処理するとよいでしょう。
 
直挿し定植後,挿し穂の葉面の水分が乾いた時点で,乾燥防止のために透明の有効ポリフィルム(0.02mm程度)でべたがけします。秋口や春先の高温期にはポリフィルム内が高温になるので,シェード資材や寒冷紗等で70%程度の遮光を行いましょう。暗くしすぎると発根が悪くなるので注意します。地温を15~25℃に保つようにすると発根が促進されます。
 
発根の状態を見ながら,7~10日後に揃って1cm程度発根してきたらポリフィルムを取り除きます。寒冷紗も2週間を目安にはずしましょう。

写真2定植直後の様子

定植直後の様子

7.栽培管理

(1)ネット上げ

フラワーネットは両サイドに丈夫なひもを通し,ネットが生長点の15~20cm程度下になるように生長にあわせ引き上げていきます。
引き上げが遅れると,茎曲がりにつながるので注意します。

(2)水管理

土壌の乾燥程度と草丈の伸びを見ながらかん水しますが,生育全般にわたって極端な乾燥や過湿を避けます。かん水ムラは生育不揃いの大きな原因となるので,かん水器具等の目詰まりや水圧の調整には十分注意しましょう。

(3)摘蕾


側蕾の花首が伸び始める頃が摘蕾の適期です。適期は非常に短かく,摘蕾が遅れると摘蕾跡が目立ち,花も小さくなるため,適期を逃さず短期間に作業を終わらせられるように心がけましょう。

(4)温度管理


温度管理も品種により異なりますが,大部分の品種は,栄養生長期は夜間の最低気温を13℃~15℃とし,消灯後出蕾まで15℃~18℃に上げ,再び13℃~15℃まで温度を下げます。その後は,収穫予定日と蕾の発達具合を見ながら温度を管理します。
また,膜切れ(破蕾)以降は16~17℃程度に温度を上げると,ボリュームがついて花の品質が向上します。特に白系品種はこの時期の低温管理で蕾がクリーム色になることがあるので注意します。昼間はおおむね25℃~28℃を目安に換気しましょう。
 

8.電照管理


品種によって日長反応は異なりますが,一般に秋ギクは日長が14.5時間以下になると花芽分化を始め,13.5時間以下になると開花する品種が多くなります。
以前は長日期は電照せず,8月20日頃電照開始する場合がほとんどでしたが,確実なやなぎ芽抑制や生育促進・開花揃い等を考えると,周年電照栽培が望まれます。現在は,確実な電照抑制のため深夜電力を利用した4時間(午後10時~午前2時)又は5時間の一定時間電照が普及しています。
電球は75wの省エネタイプであれば,9~10平米(3坪)に1個,地上180cm前後の高さに設置します。
花芽分化を抑制できる照度は,品種・温度等により異なりますが,一般的に50Lux以上あれば良いとされます。また,3日以内の電照中断であれば花芽分化に移行せず,生育的には問題はありませんが,それ以上の中断は花芽分化開始の危険性が高まりますので,3日に1度は正常に電照されているか確認しましょう。
 

9.再電照


電照打切り後の条件によっては,うらごけや舌状花の減少,露心花の発生が多くなります。このような品質低下を回避するため,消灯後に再び電照を行うことを再電照といいます。
一般に日長操作による草姿改善方法には再電照,日長延長+再電照,再々電照等があり,前から順に効果は緩やかですが,失敗の可能性も低くなります。
通常は,再電照で草姿改善効果は十分ですが,品種や時期により再電照が効きにくい場合は他の方法も検討するとよいでしょう。
ただし,草姿改善は,日長だけでなく,管理温度,ホルモン処理も影響するので,総合的な処理法を考える必要があります。
具体的には,目的ごとに再電開始時期が異なるので,必ず検鏡を行って花芽の分化状況を確認してから再電を開始します。一般的に,うらごけ防止を目的とした場合は総苞形成前~後期,小花数(舌状花)の増加を目的とする場合は総苞形成後期~小花形成前期に再電照を開始すると良いとされます。
適期に再電照を行わないと,効果が得られないだけでなく,花芽分化・発達に悪影響を及ぼす場合もあるため,必ず検鏡を行いましょう。

再電照の開始適期は温度管理や日照条件等により異なるりますが,電照打切りから再電照開始までの日数は12月出しで12日前後、3月出しで14日前後を目安にし,検鏡を行って確実に適期に行いましょう。
また,再電照を行うと花首が伸びるので必ずわい化剤処理を行い,草姿改善しましょう。
 

写真3輪ギクの花芽分化過程

輪ギクの花芽分化過程

10.わい化剤処理

上位の節間や花首を詰め,草姿を改善したり,ボリュームのある切り花に仕上げるために,以下の点に注意してわい化剤の処理を行います。
一般的に,同じ量の処理では生育ステージが早いほど効果が高まります。
 

(1)処理時期及び量

上位15節に効かせるためには,再電照終了時頃から処理を開始します。B-ナインなどのわい化剤は,効果が10日程度持続しますので,処理開始から10日間隔で3回処理,処理量はB-ナインで1,000~1,500倍液の80~100リットル/10aが一般的ですが,品種の特性によって処理量や回数を調整しましょう。
伸長性の高い品種で,消灯までに十分に草丈が取れている場合は,消灯時に2,000~3,000倍液の80~100リットル/10aの処理を行うことで切り花のボリュームアップを図ることもできます。
なお,消灯10日目頃にわい化剤の効果が残っていると花が小さくなりますので,消灯翌日から再電照開始時までの処理はしなようにしましょう。
 
<散布例>
  • 1回目:再電照終了時1,500倍100リットル/10a
  • 2回目:その後10日目1,500倍100リットル/10a
  • 3回目:その後10日目1,000倍100リットル/10a

(2)効果的な処理方法

B-ナインなどの生長ホルモン剤は植物の活性が高い状態での散布が最も効果的となりますので,晴れた日の午前中の散布がよいでしょう。
B-ナインは葉の気孔から多く吸収します。土壌水分が適度にある状態で散布すると,気孔が開いているため体内への吸収が良くなります。ほ場が乾燥しているようなら,前日にかん水しておきましょう。
散布後はなるべく伸長性を抑えるために乾燥気味に管理しましょう。

11.主要病害虫防除


病気は,白さび病,黒斑病,褐斑病を中心に予防散布を徹底します。
害虫はマメハモグリバエ,ハダニ類,アザミウマ(スリップス)類,アブラムシ類,カスミカメムシ類,ヨトウムシ類,キクモンサビダニの発生が多いので,発生初期に徹底防除しましょう。
最近は,えそ病(TSWV),わい化病(CSVd)の発生も増加しています。罹病苗の持ち込みや病気を媒介するアザミウマ(スリップス)類の防除には注意しましょう。
 

写真4輪ギクの主要病害虫

輪ギクの主要病害虫

12.収穫・出荷


朝,夕の涼しい時間帯に収穫し,切り口から15cm程度の葉を取り除き,茎曲がりなどを別にして,品質を揃え10本1束とします。
最近は,選花から結束まで自動化された全自動選花結束機が一部で普及し,省力化に貢献しています。

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大隅地域振興局農林水産部農政普及課

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