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ホーム > 地域振興局・支庁 > 大隅地域振興局 > 産業・労働 > 農業 > 生産技術情報 > 【野菜】キュウリの年間栽培体系(肝属地域)

更新日:2022年6月15日

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【野菜】キュウリの年間栽培体系(肝属地域)

1.作型表

作型

栽培様式

は種期

定植期

収穫期

品種

促成(長期取り) ハウス加温

9月上旬~10月上旬

10月上旬~11月上旬 11月中旬~6月下旬 エクセレント620,輝世紀
半促成(春きゅうり) ハウス加温 1月中旬~2月中旬 2月下旬~3月下旬 3月下旬~6月中下旬 エクセレント620,輝世紀

2.栽培の基本

(1)きゅうりの栽培生理

(ア)性状

ウリ科に属する一年生のつる性で,インド原産とされています。きゅうりは単為結果性(無受粉で肥大)で,品種や用途によって異なりますが,生食用で一果重80~120g,果長20~22cm程度で収穫されます。

(イ)雌雄花の分化

きゅうりの花芽分化は,気象要因の影響を受けず,いかなる環境下でも雌雄花ともに分化します。その比率は環境や栽培の条件によって左右され,品種や系統のもつ遺伝的特性によっても異なります。一般に,短日,低温で雌花率が高まります。窒素が十分に効いて,土壌水分が多く,栄養成長が強い場合は,同じ環境条件でも雌花の着生は少なくなります。

(ウ)生育温度

生育適温は昼間25~28℃,夜間13~16℃で,地温は18~23℃です。施設栽培で実用的な夜間管理温度は,現在の白いぼきゅうりでブルームレスつぎ木台木を使用した場合,13~15℃です。低温に強い黒ダネ台木を使用すると1℃程度下げられます。

(エ)空気湿度

湿度は光合成と関係が深く,あまり低いと光合成が低下し,生育や収量に悪影響を及ぼします。換気が強いと外湿度の低い冬期は,ハウス内でも50%以下になることもあります。逆に湿度が高すぎると病害の発生や徒長しやすい。葉の老化防止や健全な生育には,光合成のさかんな午前を中心に,昼間の湿度を70~80%程度に保つことが大切です。

(オ)土壌条件

腐植に富み膨軟な深い土壌に適します。耕土の浅い場合や砂壌土では,乾湿差や温度較差が激しく,変化が大きいので,老化が早くなります。一般的に,PH6.0~6.5,EC0.5~1.0ms/cmくらいの範囲が栽培しやすいです。生育に適する土壌水分は,PF1.5~2.2といわれます。

(2)適応品種

(ア)穂木

輝世紀,エクセレント620,635,MTソフィア

(イ)台木

ゆうゆう一輝(黒),ビッグアイ,昇竜
 

3.栽培のポイント

(1)深耕

きゅうりは乾燥に弱いので,保水性を高め根の張りを良くするため,定植50日前までに深耕を行い,堆肥や稲ワラ等の有機物資材を施用し土壌条件を良くします。

(2)育苗

(ア)は種期

促成:9月上旬~10月上旬,半促成:1月中旬~2月中旬

(イ)は種量

10a当たりの栽植本数は,作式((5)-(ア)作式の項参照)によりますが,750~1,200本必要となりますので,予備苗を考慮し,穂木,台木ともに1,000~1,600粒準備します。

(ウ)は種法

は種床は育苗箱を使用,条播きし覆土後は十分にかん水し乾燥防止のため濡れた新聞紙で覆います。同時は種または,穂木を1~2日程度早く播くと接ぎ木時の生育が揃います。

(3)接ぎ木

(ア)接ぎ木法

呼び接ぎ法を用います。

(イ)かん水

穂木,台木ともに,接ぎ木の2~3日前からかん水を控えます。

(ウ)鉢上げ

育苗鉢は,鉢上げ2~3日前ぐらいより,十分かん水しておき,接ぎ木直後に穂木,台木の地際を広げて鉢上げする。鉢上げ後は,かん水を控えます。

(エ)養生

接ぎ木後は,2日程度黒カンレイシャで密閉遮光し,朝夕2回程度空気を入れ替えます。接ぎ木後7~10日で穂木の胚軸を切断する。

(4)育苗管理

(ア)温度

日中は,高温にならないように通風,換気を十分行います。

(イ)かん水

接ぎ木活着後は水を控え,苗の徒長を防ぎます。高温と多かん水が徒長苗となり定植後の過繁茂の原因となるので水管理には十分注意します。

(ウ)鉢ずらし

葉と葉がふれない程度に数回に分けて行います。鉢ずらし後は乾燥しやすいので注意します。

(5)定植

(ア)作式

2ベッド4条植え株間50~70cm千鳥植(860~1,200本/10a)
3ベッド3条植え〃45~60cm(750~1,000本/10a)

(イ)苗令

は種後30~35日苗(半促成は35~40日苗)を目安に本葉3~4枚の苗を定植します。

(6)かん水

(ア)定植後

定植後活着までは,手かん水で十分かん水して活着を促します。

(イ)活着後

活着後はかん水を控え,根を土中深くまで張らせます。

(ウ)生育初期

本葉12~13枚頃までは,成りぐせをつけるため,葉のつやをなくさない程度の少量かん水とします。その後は,かん水量はやや多くしますが,側枝が出過ぎないよう注意します。

(7)整枝誘引

(ア)主枝

テープ誘引とし16~18節で主枝の摘芯を行います。第1回追肥は,摘芯時に肥効が現れるように,6~7日前に施します。

(イ)子づる

下節6節までは早めに除去し,その後は1~2節で摘芯を行います。

(ウ)孫,ひ孫づる

株に応じて整枝を行い混み合う場合は適宜整理します。

(8)力枝の確保

品種特性にもよりますが,年明け以降収量を落とさないために,12月中旬より力枝を数本確保し,つるが動き出してから適宜整理する。

(9)温度管理

(ア)管理温度

日中は25~28℃,夜間は13~14℃で管理します。生育前半は外気温が高いので換気を十分に行います。

(イ)加温開始

11月末までは1重で管理し,低温になる場合は暖房機を使用してください。暖房機は夜間の最低気温が10℃を下回ってから使用します。

(10)摘果

曲がり果・短径・尻太果等の不良果は,幼果の時に早めに摘果します。

(11)摘葉

(ア)ポイント

かげ葉をなくし葉に光線が十分当たるように摘葉します。同化能力の高い葉を残して病葉,黄化した葉を除去し,採光をはかります。側枝の受光態勢をよくし,孫づる,ひ孫づるの発生,発育をよくします。

(イ)摘葉の目安

摘葉の目安としては,子づるの収穫が始まる時期から行い,1週間おきに1株当たり1~2枚を摘葉します。一度に過度の摘葉を行なうと一時的に転流が促進され果実の肥大が早まりますが,光合成産物が減少するため根を傷めたり,孫づるの発生を弱めることがあります。

(12)収穫

重さ100g長さ20cm程度のM級を中心に収穫します。収穫は涼しい時間に行い,収穫後の品質保持に努めます。

(13)病害虫防除

主な病害虫は,べと病,褐斑病,灰色カビ病,菌核病,うどんこ病,アザミウマ類等です。予防散布を基本に,温湿度管理や整枝などのハウス内の環境を良くし耕種的な防除にも努めてください。また近年,アザミウマ類等の害虫防除に天敵を導入する方法も普及しつつあります。

きゅうり写真

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大隅地域振興局農林水産部農政普及課

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