閉じる

  •  
 
 

閉じる

 
 

ホーム > 地域振興局・支庁 > 大隅地域振興局 > 産業・労働 > 農業 > 生産技術情報 > 秋スプレーギク(電照)の年間栽培体系(大隅地域)

更新日:2022年6月15日

ここから本文です。

秋スプレーギク(電照)の年間栽培体系(大隅地域)

1.栽培上の特性

秋ギクは夏から秋にかけて日長が14.5時間以下になると花芽を作り始め,10~11月に開花しますが,日長操作(電照,シェード)と温度操作を行うことで周年生産ができます。
ここでは,電照抑制による11~4月出荷の栽培体系について記します。

2.適地

ほ場は日当たりや通風・排水性が良く,かん水や電照・加温施設が設置できる場所が良く,肥沃で,通気・保水性に優れる土壌が適しています。

3.作型

秋スプレーギク電照栽培の作型

4.主要品種

一作に複数の品種を栽培する場合は,栄養生長期間(定植から消灯までの草丈確保に必要な期間)と致花日数(消灯から収穫開始の日数)別に品種をグループ分けして,作付計画を立てましょう。栽培特性の似た品種を栽培する方が管理しやすくなりますが,そうでない場合は,定植日を変えるなど,電照打切りが同時にできるように管理します。
 

品種名

花色

花型

到花週数

草丈

特性

セイプリンス

シングル 7 白系の代表品種,下葉が上がりやすい
モナリザ

アネモネ 7.5 低温期は輪数が減少しやすい
レミダス

シングル 7.5 中長 秀品率が高く作りやすい,下葉が上がりやすい
セイカナリア

アネモネ 7 高温期はガク焼けが発生しやすい
ペリカン

シングル 7 高温期は退色が大きい
ジョースピッツ

アネモネ 7 高温期は退色が大きい,夏場は開花が遅れる
ロリポップ

ポンポン 8 花首がやや伸びやすい
ヨーコオノ

ポンポン 7 花首が折れやすい

5.定植

(1)ほ場準備

土壌の物理性や保肥力を良くすために,定植前に完熟堆肥(牛ふん)や植物性の有機物を施しましょう。年に1回程度は土壌消毒し,pHは6.0~6.5に矯正します。
スプレーギクは過湿に弱いため,5~15cmの畦を立て排水を良くしましょう。
十分灌水した4~5日後に耕うん,畦立てを行い,定植前には適湿にしておきます。
高温期の定植は,朝夕または曇天時の涼しい時間帯に行い,低温期は,数日前からハウスを締め切って地温を確保します。

(2)定植の時期

定植の時期は,出荷時期から到花日数や栄養生長期間等を逆算して決定します。
到花日数は,栽培時期や温度管理により5日前後変動することを考慮しましょう。

(3)定植方法

育苗を行う場合は,さし芽後7~14日で根が1~1.5cm伸長した苗を定植します。
直ざしの場合は,直ざし後,根締めのかん水をし,有孔ポリや不織布等でべたがけを行い,ハウス全体を覆うように遮光資材で遮光します。遮光の程度は,時期により変え,適度な照度になるように管理します。
スプレーギクは根が弱いため,深植えにならないように注意しましょう。

(4)施肥

花芽のできる時期に窒素肥料が効き過ぎると,草姿の乱れや開花遅延の原因になることがあるので,基肥を中心にして消灯前後の肥料の効きを抑えます。
ただし,低温期の作型や生育状況によっては,液肥等で追肥します。
秋スプレーギク電照栽培の施肥例

(5)作式

ボリュームをつけるために無摘心栽培を基本とします。
下図のような作式例がありますが,例2のように密植を行う場合は,揃った優良苗を植え,採光や水管理等に注意し,生育を均一にするよう心がけましょう。
秋スプレーギクの作式

6.栽培管理

(1)ネット張り

定植前もしくは草丈が20cm程度になるまでに,フラワーネットを張ります。
支柱は,1.5~2m間隔に立て,生育に応じてネットを引き上げていきます。

(2)かん水

活着までは,かん水ムラのないように十分かん水し,活着後は,過湿に注意して土の表面が乾燥したときにかん水します。
花芽のできる時期に生育が旺盛であるとやなぎ葉や2次側蕾を生じ,草姿が乱れるため,やや乾燥気味に管理します。その後はかん水量を戻し,収穫中も極端な乾燥は控えましょう。

(3)脇芽かき

消灯から4~5週間すると,通路側など光のよく当たるところは,下の節から側枝が発生するので,全体の草姿を考え,不要な側枝を早めに除去しましょう。

(4)温度管理

定植時の温度が低いと発根が遅く,生育の揃いも悪くなるため,最低温度は14℃で管理します。消灯開始から出蕾(再電照終了後10日程度)までは,最低温度を18℃で管理した方が,発蕾が揃い,花数が増加します。その後は,徐々に温度を下げ,最低温度は14℃程度としますが,白色系の品種では花弁にアントシアン色素が発現するため膜切れから収穫までは16℃で管理します。

(5)わい化剤処理

草丈の伸びの良い品種や花首の伸びやすい品種は,上位のボリュームをアップさせるために,わい化剤(B-ナイン,キクエモン)を処理します。
処理時期,回数については,品種や作型,温度管理により異なりますが,1回目は再電照開始時に全品種に,2回目は出蕾時に花首の伸びる品種のみに,1000倍で10a当たり100L程度散布します。

7.日長管理

(1)電照

一般に秋ギクは,14.5時間以下になると花芽分化を始める品種が多いため,15時間以上の日長になるよう電照が必要です。ただし,品種によっては長日期であっても花芽を持つので,周年2時間以上の電照をします。
花芽分化を抑制できる照度は,品種・温度等により異なりますが,一般的に白熱球で50Lux以上あれば良いとされます。また,3日以内の電照中断であれば花芽分化に移行せず,生育的には問題はありませんが,それ以上の中断は花芽分化開始の危険性が高まりますので,3日に1度は正常に電照されているか確認しましょう。

以前は白熱球が用いられていましたが,現在ではLED(波長:660mm)が用いられることがほとんどです。電球色のLEDを用いる場合は最低でも61lux,630mmのLEDでは,91lux以下とならないよう配置します。

(2)再電照

再電照は,上位葉のボリュームアップ等の品質向上対策として行います。
処理は,消灯後11~13日目頃から3~4日間,3~4時間暗期中断を行います。
再電照開始適期は,品種や温度管理,光条件により異なるため,日数ではなく必ず検鏡し,総ほう形成後期に行います。この際,頂花だけでなく2~3花まで花芽の状態をみることで,バランスよく開花させることができます。
消灯からの温度が不足すると花芽の発達が揃わず,逆に花数の減少や奇形など品質低下を招くため,確実に温度を確保しましょう。

(3)12時間日長処理

秋ギクの花芽分化・発達の適日長は12時間です。自然日長が12時間以下になる11~1月に消灯する作型(1~3月出荷)では,花首や節間が短く,上位葉が小さくなり,品質が低下します。これに対し,電照で12時間日長になるように補光すると,品質が向上します。日長処理は,消灯から再電照開始までに夕方と早朝に電照し,暗い時間が連続12時間になるようします。

8.主要病害虫防除

周年を通して予防散布と早期発見,早期防除を徹底しましょう。
病気では,白さび病が13~25℃,湿度90%以上での発生が多いため,定期予防散布やハウスの換気をするなど発生しない環境に保ちましょう。
害虫では,アブラムシ類,アザミウマ類,ハダニ類,ヨトウ類,マメハモグリバエが発生しやすいため,予防,初期防除が必要です。
スプレーギクは,他のキクに比べ葉が弱いため,高温期の薬剤散布等での薬害に気を付けましょう。

9.収穫・出荷

収穫は,中心花が完全に展開し,側花の2~3輪が半開の時を基準に,高温期はやや早めに,低温期はやや遅めに収穫します。
収穫したら基部から15cm程度の葉を落とし,頂部を揃えて10本ずつ束ね,フラワーキャップをかぶせ,水揚げしてから出荷します。

このページに関するお問い合わせ

大隅地域振興局農林水産部農政普及課

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?