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更新日:2017年4月25日

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【畜産】肉用牛の防暑・防寒対策(大隅地域)

1.肉用牛の適温と生産環境限界温度

肉用牛にとって好ましい気温(適温域)と,生産に影響を及ぼす気温(生産環境限界温度)は表1のとおりです。
牛は比較的寒さに強いと言われますが,哺乳子牛や肥育牛の適温域は,育成牛・繁殖牛と比較して低温に弱く,肥育牛は高温に弱いため,防暑・防寒対策が必要です。
表1肉用牛の適温域と生産環境限界温度
 

適温域(℃)

生産環境限界温度(℃)

低温

高温

哺乳子牛

13~25

5

32

育成牛

4~20

-10

32

繁殖牛

10~15

-10

30

肥育牛

15~25

5

30

2.暑熱・寒さの影響

肥育牛は表2に示すとおり高温に弱く,採食量が減少し,飼料効率が悪くなります。気温が高くなる夏季は防暑対策が必要になります。
表2環境温度と肥育牛の反応(農林水産技術会議事務局研究成果200,1988)

温度

採食量

飲水量
L/日

生理反応

乾草(kg/日)

配合(kg/日)

呼吸回数(回/分)

心拍数(回/分)

皮膚温(℃)

直腸温(℃)

24

1.42

4.54

18.1

30.3

64.7

33.8

38.6

32

0.85

3.19

58.9

88.7

62.8

36.9

39.5

 
表3環境温度と肉用牛の飼料摂取量の増減(NRC飼養標準,1981)
環境温度
飼料摂取量の変化(NRC飼養標準の養分要求量に対する比率)
35℃以上
 
 
 
25~35℃
高温,夜間の高温,日射:著しい採食量の低下
飽食給与の牛:10~35%減少
体重現状維持の制限給与の牛:5~20%減少
日陰,冷却,低繊維質飼料では減少緩和
採食量:3~10%減少
15~25℃
飼養標準の養分要求量を摂取
5~15℃
-5~5℃
-15~-5℃
-15℃以下
採食量:2~5%増加
採食量:3~8%増加
採食量:5~10%増加
採食量:8~25%増加
極端な寒冷(-25℃以下),風,雪,嵐では一時的な採食量減少
粗飼料だけでは採食量増加を達成できない
 
表4発育,飼料採食量および飲水量に及ぼす季節の影響(D.E.Ray,1989)

季節

例数

DG
(kg)
飼料採食量(kg)
飼料効率
(kg)
飲水量
(L)

夏季

82

0.89

6.25

7.26

32.1

冬季

82

1.08

6.68

6.81

27.9

3.防暑対策の基本と具体策

(1)太陽熱等牛舎外から侵入してくる熱を遮断するために,牛舎周りの環境改善
寒冷紗,日陰樹,軒の延長,よしず,裸地の緑化など
(2)牛舎内の熱を速やかに舎外へ排出するために,牛舎内の改善
扇風機,壁の撤去,空気の流れを遮るものの撤去(牛舎内の整理整頓),天窓の設置
(3)牛体や牛床から発生する水分を速やかに牛舎外へ放出
扇風機,牛床管理
(4)牛体内での無駄な熱発生を抑える
給与時間の変更,冷水給与(ウオーターカップの清掃)
(5)給与飼料の高温化防止
飼料タンクからの直接給与は避ける(台車等に入れ,日陰や扇風機で冷却)
飼料タンクの回転を早める(高温による飼料の酸化防止→肉色に悪影響!)
 

4.防暑対策の本命は送風!

表5温度・風速の変化と体感温度の変化
環境温度(℃)
風速(m/秒)
体感温度(℃)
24
0.5
19.8
1.0
18.0
2.0
15.5
28
0.5
23.8
1.0
22.0
2.0
19.5
32
0.5
27.8
1.0
26.0
2.0
23.5
※湿度が高くなると体感温度は高くなるため、風速を上げる必要がある
※風速2m以上の風は、吸血害虫の被害を抑えるといわれている
 
表6寒冷紗の遮光率別防暑効果
測定項目

体温(℃)

呼吸数(回/分)

脈拍数(回/分)

日射量(Kcal/時,平米)

時間

10時

14時

上昇差

10時

14時

上昇差

10時

14時

上昇差

10時

14時

A

38.92

39.50

0.58

40.1

65.6

25.5

83.4

97.8

14.4

516

480

B

39.02

39.37

0.35

39.2

65.5

26.3

74.1

92.4

18.8

276

264

C

38.99

39.23

0.24

36.8

48.6

11.7

71.0

78.0

7.0

120

182

D

39.18

39.37

0.19

39.1

46.6

7.5

75.6

77.4

1.8

108

72

(注)A:無日覆B:寒冷紗(遮光率40%)C:寒冷紗(遮光率60%)D:寒冷紗(遮光率80%)
(九農試、暖地向きつなぎ式乳用牛飼養施設設計指針解説書)
 

5.暑熱時はビタミンA欠乏症にも注意を!

(1)主な症状は?

(ア)飼料摂取量の日差が大きくなり、軟便、下痢が観察される(初期症状)
(イ)免疫機能が低下し、感染症にかかりやすく肺炎・下痢が観察される
(ウ)食欲不振(日量6kgを下回る)、増体の低下、皮膚炎
※ビタミンA欠乏による食欲不振は、濃厚飼料・粗飼料ともに採食量が落ちる
ルーメンアシドーシスによる食欲不振は、濃厚飼料のみ採食量が落ちる
(エ)過度の流涙、眼球突出、弱視、失明
(オ)足の腫れ、むくみ、神経症状(反応緩慢、卒倒)
(カ)被毛の粗剛化、腹の巻き上がり

(2)対応策(食欲回復のための)

(ア)アルファルファペレットの添加
(イ)ビタミンA添加剤の添加
(ウ)高単位ビタミンA含有飼料の添加
(エ)低単位ビタミンA剤の注射

6.暑熱時に肥育中期に当たる牛は要注意!暑熱ストレスによる繊維質飼料の摂取量不足になりやすい!

それに伴い食い止まりやルーメンアシドーシスが出やすくなる
→1~2週間に1日、濃厚飼料を2kg程度減らして給与するのも一つの手
→夏場は涼しい時間帯に粗飼料を追加してあげる
※日頃に比べ、粗飼料(ワラ)の摂取量が増えだすと、約1カ月後には濃厚飼料摂取量が1~1.5kg低下する(食い止まり)傾向がみられる
→繊維分の高い飼料(ビール粕など)、吸着剤(ソフトシリカ、ゼオライトなど)、第1胃機能促進剤等で早めの対応を行う

7.防寒対策

防寒対策だからといって,牛舎を密閉状態にしてはいけません。
牛舎内にアンモニアなどの有毒ガスやホコリ等が増え,呼吸器病を引き起こすおそれがあるなど,牛にとって良くない環境になります。保温と換気をうまく調節することが重要です。

8.防寒対策の基本と具体策

(1)北風,北西風の吹き込む方向は,コンパネやカーテン等ですきま風を防ぎましょう。牛に直接,寒風を当てないようにしましょう。
(2)日中,南面は開放して太陽光線を入れ,牛舎を暖かくしましょう。天気のよい日は運動場で日光浴もさせましょう。
(3)牛床の敷料は厚く敷き,乾燥した状態に保ちましょう。牛の腹を冷やさないようにしましょう。
(4)子牛には投光器やヒーター等を活用して保温しましょう。
(5)カーテンを使用している場合は,換気のため上部を開けましょう。
(6)寒冷時は子牛の下痢発生も多くなります。下痢が見られたら他の子牛と隔離して,速やかに獣医師の診断を受けましょう。
(7)水道管が凍結すると断水し,飼養管理に影響があるので,保温材を巻くなどの対策も考えましょう。

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大隅地域振興局農林水産部農政普及課

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